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妃教育の果てに
しおりを挟む「ごめんなさい!アル!」
アルヴィンにあって
お茶が運ばれた後二人きりになると
ユーフォリアは立ち上がり
アルヴィンに謝った。
「私はやっぱりケルヴィン様が好きなの。だからアルの気持ちには答えられない!」
アルヴィンはしばらく
黙った後
ユーフォリアを椅子に座らせて
いいよ。気にするな。と笑って言った。
「あまりにもピーピー泣くから
うるさくてつい口からでまかせを言ったが私はリアよりもっと可憐な少女と結婚したい。」
「悪かったわね。可憐な少女じゃなくて。」
アルヴィンが嘘を言っていることは
わかっていた。
その笑顔の裏には傷ついた顔をしている。
(アルごめんなさい。)
「リアにはバカな兄上がお似合いだ。」
「ケルヴィン様を馬鹿呼ばわりできるのはアルだけね。」
ふっとアルヴィンは静かに笑うだけで
何も言い返してはこなかった。
「アル。私頑張るわ。
ケルヴィン様が留学に行かれたこの2年余り。
私は手紙で一喜一憂して
噂に振り回されただけだった。
そんなんで王子妃が務まるわけ無いわよね。
今まで散々逃げていた妃教育を真剣に取り込もうと思う。
それで帰ってきたケルヴィン様を
あっと驚かすわ!」
夜会から帰って手紙を書いたあと
ひとしきり泣くだけ泣いて
もうこれ以上枯れるのかというくらい
朝まで泣いた。
そして頭は泣きすぎてズキズキ
痛んだけれど
心はどこかスッキリとしていた。
2年も損したけれども
今から頑張ればいい。
今からここからだ。
「おう。こんな腫れに腫れまくった目元で力説されても説得力ないが頑張れ。」
そう言ってアルヴィンは
いつものようにユーフォリアの
おでこにデコピンをしたあと
満面の笑みを浮かべた。
アルヴィンの気持ちには
答えられない。
この2年間、アルヴィンは
ユーフォリアをずっと支えてくれていた。
ユーフォリアのそばには
常にアルヴィンが居てくれた。
だからアルヴィンの気持ちには
薄々気づいてた。
だけどどうしても気持ちに
応えてあげられなかった。
嘘の気持ちでアルヴィンと
結婚なんてできない。
小さい頃からずっと。
ずっとケルヴィンだけ。
ユーフォリアの心の中には
ケルヴィン以外入る余地はなかった。
そんな女がアルヴィンを
幸せにできるとは思えない。
アルヴィンに対して恋愛感情はなくとも
ユーフォリアにとって
大切な大切な人だ。
だからこそアルヴィンの
気持ちに対して誠実でありたかった。
大切だからこそ
嘘偽りでそばに居たく無い。
「アルは大切な人よ」
「ふん。どうせ弟して。だろ。」
「うん」
はぁと大きいため息をついた後
本当にこの泣き虫姫は最悪だ。って
冷たくなったお茶をぐびっと
一気に飲みこむと
アルヴィンはもう一度今度は
力一杯ユーフォリアのおでこを
デコピンした。
「暴力反対」
涙目になって睨んでしまうが
この涙はカウントしないでほしいなと
だれかに思った。
そこから約1年。
ユーフォリアはそれまで
適当に受けていた妃教育を
真剣に取り組むことにした。
ダンスは体を動かすものだから
わりと得意であったが
手先が不器用なもので
刺繍などはかなり苦戦した。
アルマニー家の血筋のはずなのに
ユーフォリアの頭はそこまでいい方では無いので
算術や歴史については
度々居眠りをして先生に怒られたりもした。
頑張るっていうのは
どうした?
とアルヴィンが度々叱咤激励を
してくれるのでその度に喝を入れて
がむしゃらに学んでいった。
ユーフォリアの先祖たちの
アルマニー国に関してだけは
はじめから真剣に学んだ。
そうして亡きアルマニー国を
思い一度領地に帰りたいと思った。
帰って領地のあちこちを
この目でもう一度見たいと思うようになった。
「今度一緒にアルマニー領に行くか。」
アルヴィンにもっと自分の家の領地を
見て回りたいと言ったところで
あっさりと誘ってくれた。
「いいの!?行きたい!」
「じゃあ次のスケジュール調整後に
アルマニー領に行くか」
「うん!楽しみ!」
そう約束したけれども
結局その約束は果たされないままになってしまう。
アルヴィンがやらかしてしまったからだ。
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