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希望の別れ道
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あっという間に昼休みを迎え、俺は柚樹に引っ張られ、屋上でいつもの4人で会うことになった。
お互い昼食を広げ、食事をしながら話をすることにした。
俺は話すつもりはなかったけど…
「それで話ってなんですの?」
開口一番、藤木乃さんが聞いてきた。
「聞いてくれよ、さっき紅葉の母ちゃんが来てさ」
「えっ、紅葉くんのお母さんってロンドンに居るんじゃないの?」
「帰ってきたらしいんだよ
俺も窓から見たけどよ、大層な着物姿で」
「そうなんだ…」
さくらちゃんが動揺している…
「それで、いきなり紅葉をロンドンに連れていくって…」
「えっ…」
「本当ですの?稲葉くん」
「…あぁ、俺をロンドンに置いて父さんの会社の次期社長として育てるために…」
「でも、そんな急じゃないんでしょ?
進級前とか卒業してからとかー…」
「文化祭が終わったら、退学手続きをするって…母さんは言っている」
「嘘…」
「俺はロンドンには行きたくない…
そりゃ、誰一人として知ってる奴のいない学校に来て心細かったけど…今は大事な仲間がいるんだ…この場所を離れたくないよ」
「それは、みんな一緒ですわ」
「そうだそうだ、母ちゃんを説得してこい!今の紅葉の言葉をそのまま母ちゃんに聞かせてやれば母ちゃんも分かってくれるさ!」
「…だといいんだけどな
まぁ、説得してみるよ」
ダメな気はしているが、やってみなきゃいけない
放課後、珍しく俺は1人で下校した。
さくらちゃんは委員会、柚樹は部活
藤木乃さんは習い事で忙しい。
ロンドンから一時帰国している母は、俺が今住んでいる実家に居る。
帰宅すると、夕飯のいい匂いがする。
母さんが家政婦の美原さんを連れて帰ってきたのか…そんなことを考えて玄関に立ち尽くしていると、母さんが居間から出てきた
「あら、おかえりなさい紅葉」
「…」
「何なのその目は」
「なんで急に帰ってくるんだ、連絡も受けてないし、今まで1人にしてたくせに」
「跡継ぎのことは前から父さんと話をしてはいたのよ。でも、なかなか私も父さんも仕事の都合で紅葉の様子を見に行けなかったから」
「御託はいいからさっさと帰れよ
俺はロンドンには行かないからな」
「あなた昔、父さんの会社に行きたいって言っていたじゃない!」
「いつの話掘り起こしてんだよ!そんな話で俺がロンドンに行くとでも思ってんのかよ」
「なんで行きたくないのよ?
ロンドンに行けば色んな事を学べるし、今より生活がぐっと楽になるわよ
それに、母さんや父さんたちと一緒に暮らせるじゃない」
「俺は…今の学校で大事な仲間がいるんだ。春に入学した時は誰も知ってる奴のいないところで少し不安だったけど、行事や普段の生活を通して仲間の大切さを知ったんだ」
「そう…でもね、稲葉家の血を絶やすことは出来ないの、父さんの会社は代々稲葉家の直系が受け継ぐものなの」
「…そんなの…俺には…」
「これは宿命なの、紅葉
あなたは稲葉家に産まれた長男なんだから家のことを第一に考えなさい
いいわね?」
「俺はここに残りたいんだ!!!今すぐロンドンに行かなくたっていいだろ!」
そう言い放った瞬間頬に痛みを感じた。
母さんの平手打ちが左頬に入った。
「…いい加減にしなさい
あなたのわがままには付き合ってられないわ」
「うるさい!あんたらの勝手な決め付けで俺がいつも振り回されて俺の気持ちなんかそっちのけだろ!」
俺はそう母さんに言い捨てて
家を飛び出した。
「待ちなさい紅葉!!」
走って走って、ただひたすら走って
隣町の公園までやってきた…
ブランコに腰掛け…夕日を眺めた。
「紅葉…くん?」
「…さくら…ちゃん」
「どうしたの?顔…それに制服のままだし…」
「…母さんと言い合って…飛び出してきたんだ…」
「…そう…なんだ…」
気まずく、しばらく沈黙が続く。
「私ね…お母さん、いないの」
「!」
「私が小学校1年生の時に病気で亡くなっちゃった
お父さんは単身赴任でフランスにいるし…今はお姉ちゃんと二人暮しなの」
「そうなんだ…」
「ねぇ、紅葉くん…
私は、紅葉くんの辛さを分かってあげられないかもしれない
でもね、自己主張って大事なことなんだよ」
「うん…」
「自分がしたいことを主張して、曲げずに貫き通せば、きっと道は開けるはず」
「さくらちゃん…」
「よく…小さい時にお父さんが私に言ってた言葉なの
悩んだり落ち込んだりすると決まってお父さんが自分のしたいようにすればいいって声をかけてくれたんだ」
「そっか…ありがとう、なんかスッとしたよ」
「良かった。お母さんと仲直りできるといいね」
「うん、それじゃ家に帰るね
また明日、さくらちゃん」
お互い昼食を広げ、食事をしながら話をすることにした。
俺は話すつもりはなかったけど…
「それで話ってなんですの?」
開口一番、藤木乃さんが聞いてきた。
「聞いてくれよ、さっき紅葉の母ちゃんが来てさ」
「えっ、紅葉くんのお母さんってロンドンに居るんじゃないの?」
「帰ってきたらしいんだよ
俺も窓から見たけどよ、大層な着物姿で」
「そうなんだ…」
さくらちゃんが動揺している…
「それで、いきなり紅葉をロンドンに連れていくって…」
「えっ…」
「本当ですの?稲葉くん」
「…あぁ、俺をロンドンに置いて父さんの会社の次期社長として育てるために…」
「でも、そんな急じゃないんでしょ?
進級前とか卒業してからとかー…」
「文化祭が終わったら、退学手続きをするって…母さんは言っている」
「嘘…」
「俺はロンドンには行きたくない…
そりゃ、誰一人として知ってる奴のいない学校に来て心細かったけど…今は大事な仲間がいるんだ…この場所を離れたくないよ」
「それは、みんな一緒ですわ」
「そうだそうだ、母ちゃんを説得してこい!今の紅葉の言葉をそのまま母ちゃんに聞かせてやれば母ちゃんも分かってくれるさ!」
「…だといいんだけどな
まぁ、説得してみるよ」
ダメな気はしているが、やってみなきゃいけない
放課後、珍しく俺は1人で下校した。
さくらちゃんは委員会、柚樹は部活
藤木乃さんは習い事で忙しい。
ロンドンから一時帰国している母は、俺が今住んでいる実家に居る。
帰宅すると、夕飯のいい匂いがする。
母さんが家政婦の美原さんを連れて帰ってきたのか…そんなことを考えて玄関に立ち尽くしていると、母さんが居間から出てきた
「あら、おかえりなさい紅葉」
「…」
「何なのその目は」
「なんで急に帰ってくるんだ、連絡も受けてないし、今まで1人にしてたくせに」
「跡継ぎのことは前から父さんと話をしてはいたのよ。でも、なかなか私も父さんも仕事の都合で紅葉の様子を見に行けなかったから」
「御託はいいからさっさと帰れよ
俺はロンドンには行かないからな」
「あなた昔、父さんの会社に行きたいって言っていたじゃない!」
「いつの話掘り起こしてんだよ!そんな話で俺がロンドンに行くとでも思ってんのかよ」
「なんで行きたくないのよ?
ロンドンに行けば色んな事を学べるし、今より生活がぐっと楽になるわよ
それに、母さんや父さんたちと一緒に暮らせるじゃない」
「俺は…今の学校で大事な仲間がいるんだ。春に入学した時は誰も知ってる奴のいないところで少し不安だったけど、行事や普段の生活を通して仲間の大切さを知ったんだ」
「そう…でもね、稲葉家の血を絶やすことは出来ないの、父さんの会社は代々稲葉家の直系が受け継ぐものなの」
「…そんなの…俺には…」
「これは宿命なの、紅葉
あなたは稲葉家に産まれた長男なんだから家のことを第一に考えなさい
いいわね?」
「俺はここに残りたいんだ!!!今すぐロンドンに行かなくたっていいだろ!」
そう言い放った瞬間頬に痛みを感じた。
母さんの平手打ちが左頬に入った。
「…いい加減にしなさい
あなたのわがままには付き合ってられないわ」
「うるさい!あんたらの勝手な決め付けで俺がいつも振り回されて俺の気持ちなんかそっちのけだろ!」
俺はそう母さんに言い捨てて
家を飛び出した。
「待ちなさい紅葉!!」
走って走って、ただひたすら走って
隣町の公園までやってきた…
ブランコに腰掛け…夕日を眺めた。
「紅葉…くん?」
「…さくら…ちゃん」
「どうしたの?顔…それに制服のままだし…」
「…母さんと言い合って…飛び出してきたんだ…」
「…そう…なんだ…」
気まずく、しばらく沈黙が続く。
「私ね…お母さん、いないの」
「!」
「私が小学校1年生の時に病気で亡くなっちゃった
お父さんは単身赴任でフランスにいるし…今はお姉ちゃんと二人暮しなの」
「そうなんだ…」
「ねぇ、紅葉くん…
私は、紅葉くんの辛さを分かってあげられないかもしれない
でもね、自己主張って大事なことなんだよ」
「うん…」
「自分がしたいことを主張して、曲げずに貫き通せば、きっと道は開けるはず」
「さくらちゃん…」
「よく…小さい時にお父さんが私に言ってた言葉なの
悩んだり落ち込んだりすると決まってお父さんが自分のしたいようにすればいいって声をかけてくれたんだ」
「そっか…ありがとう、なんかスッとしたよ」
「良かった。お母さんと仲直りできるといいね」
「うん、それじゃ家に帰るね
また明日、さくらちゃん」
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