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Lap 4 「クラシックの風に乗って」
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「なあ悟。ちょっと頼みがあってさ」
いつものようにオイルの焼けた香りが立ちこめる『ガレージ風馬』で、店長の古川がチラシを一枚手渡してきた。
悟が手に取って見ると、それは『クラシックカーフェスティバル in 筑波』の案内だった。旧車限定のレースイベントらしい。
「今後うちでもな、チューニングカー作ってレースに出てこうかと思ってんだよ。宣伝兼ねてさ。で──」
古川がニヤリと笑った。
「手始めにお前のトレノ、使わせてくれないか?」
「……は?」
「もちろんレギュレーションに合わせるから、いじれてもライトチューンだけどな。見た目と中身、バランスよく仕上げる」
悟は少し目を見開いたが、すぐに笑った。
「おー、いいじゃん。いつも世話になってるしな。……で、ドライバーはどうすんの?」
「んー……」古川は頬をかきながらチラリと後方を見た。
「早矢ちゃんに頼もうか、今ちょっと悩んでてな──」
そのとき、ちょうどタイミングを見計らったかのように、ガレージの入り口で元気な声がした。
「こんにちはー!」
白Tシャツにジーンズ、髪をポニーテールに束ねた早矢が、汗を拭きながら入ってきた。
「あ、悟さん!先日は応援に来てくださってありがとうございました!」
古川が手を叩いた。「おう、ナイスタイミング!」
「表彰台おめでとうな」悟も笑う。
「いやいや、悟さんのアドバイスがなかったら、きっとあんなにうまくいかなかったです……ほんとに感謝してます」
「いや、俺は何もしてないよ。早矢ちゃんの実力だろ」
そう言いながらチラシをポケットにしまおうとした悟だったが、その紙を早矢がすかさず目に留めた。
「あ、それ……!」
「ん?」
「これ、出られるんですか? いいなあ~!私、こういう旧車系のイベント、一度は走ってみたかったんですよ」
古川がにやりと笑う。
「……じゃあ、ドライバー頼もうかな?」
「えっ……わ、私でいいんですか?」
「って思ってたけどなあ……」
早矢がちらっと悟を見る。それはどこか茶目っ気のある視線だった。
「……悟さん、出てみません?」
「……は?」
「だって、悟さんの車ですし。私も全力でサポートしますから!」
「いやいやいや、ちょっと待てって!俺、そんな本格的なのは……」
「早矢の言う通りだな。お前の車だし、誰より走り込んでるだろ?」
古川もちゃっかり便乗してくる。
「ちょ……ええっ?」
あたふたする悟を見て、早矢が無邪気に笑った。
「大丈夫ですって!何から始めればいいか、一緒にやりましょう!」
悟はしばし黙り込んだあと、ふと車のボンネットに目をやる。
──30年付き合ってきた愛車。
このクルマと一緒に、もう一歩踏み出してみても、悪くないかもしれない。
「……わかったよ。でも、俺、本当に素人だからな」
「大丈夫です!楽しみですね!まず、ライセンス取りに行きましょう!」
こうして、悟の”初めてのレース”に向けた準備が、静かに始まった。
いつものようにオイルの焼けた香りが立ちこめる『ガレージ風馬』で、店長の古川がチラシを一枚手渡してきた。
悟が手に取って見ると、それは『クラシックカーフェスティバル in 筑波』の案内だった。旧車限定のレースイベントらしい。
「今後うちでもな、チューニングカー作ってレースに出てこうかと思ってんだよ。宣伝兼ねてさ。で──」
古川がニヤリと笑った。
「手始めにお前のトレノ、使わせてくれないか?」
「……は?」
「もちろんレギュレーションに合わせるから、いじれてもライトチューンだけどな。見た目と中身、バランスよく仕上げる」
悟は少し目を見開いたが、すぐに笑った。
「おー、いいじゃん。いつも世話になってるしな。……で、ドライバーはどうすんの?」
「んー……」古川は頬をかきながらチラリと後方を見た。
「早矢ちゃんに頼もうか、今ちょっと悩んでてな──」
そのとき、ちょうどタイミングを見計らったかのように、ガレージの入り口で元気な声がした。
「こんにちはー!」
白Tシャツにジーンズ、髪をポニーテールに束ねた早矢が、汗を拭きながら入ってきた。
「あ、悟さん!先日は応援に来てくださってありがとうございました!」
古川が手を叩いた。「おう、ナイスタイミング!」
「表彰台おめでとうな」悟も笑う。
「いやいや、悟さんのアドバイスがなかったら、きっとあんなにうまくいかなかったです……ほんとに感謝してます」
「いや、俺は何もしてないよ。早矢ちゃんの実力だろ」
そう言いながらチラシをポケットにしまおうとした悟だったが、その紙を早矢がすかさず目に留めた。
「あ、それ……!」
「ん?」
「これ、出られるんですか? いいなあ~!私、こういう旧車系のイベント、一度は走ってみたかったんですよ」
古川がにやりと笑う。
「……じゃあ、ドライバー頼もうかな?」
「えっ……わ、私でいいんですか?」
「って思ってたけどなあ……」
早矢がちらっと悟を見る。それはどこか茶目っ気のある視線だった。
「……悟さん、出てみません?」
「……は?」
「だって、悟さんの車ですし。私も全力でサポートしますから!」
「いやいやいや、ちょっと待てって!俺、そんな本格的なのは……」
「早矢の言う通りだな。お前の車だし、誰より走り込んでるだろ?」
古川もちゃっかり便乗してくる。
「ちょ……ええっ?」
あたふたする悟を見て、早矢が無邪気に笑った。
「大丈夫ですって!何から始めればいいか、一緒にやりましょう!」
悟はしばし黙り込んだあと、ふと車のボンネットに目をやる。
──30年付き合ってきた愛車。
このクルマと一緒に、もう一歩踏み出してみても、悪くないかもしれない。
「……わかったよ。でも、俺、本当に素人だからな」
「大丈夫です!楽しみですね!まず、ライセンス取りに行きましょう!」
こうして、悟の”初めてのレース”に向けた準備が、静かに始まった。
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