異世界わんこ

洋里

文字の大きさ
1 / 3
第一章

富士山噴火

しおりを挟む
 その日、数百年ぶりに日本の霊峰富士山が、噴火、爆発を起こした。

 日曜の夕方、まだ夕飯の支度には、少しばかり早い頃、大きめの地震の揺れを感じて、私、小日向真奈は、犬の散歩に行こうと仕度していた手を止めて、テレビのスイッチを入れた。
 地震の時には、震度や震源地、津波の有無の確認の為に、いつもしている事だ。
 そこに飛び込んできたのは、緊急速報の富士山噴火のニュース。
 慌てている様子のキャスターが、画面に映る。
「本日、夕刻4時46分、数百年ぶりに富士山が噴火、爆発を起こしました。現在、被害の規模は、まだ分かっておりませんが、近隣の住民は直ちに避難してください。命を優先してください。また、噴火に伴う地震が頻発する恐れがあります。建物の倒壊などに十分注意しながら、指定の避難所に避難を開始してください。なお、今のところ、津波の心配はありません」
 その後、各地の震度が発表されていく。

 さっきの地震、この辺は、震度4だったみたい。
 我が家は、自慢じゃないが、おばあちゃんの時代からの古い一戸建てだ、つまり、現代規格の耐震構造ではない。
 富士山近郊ではないから、噴火の被害の影響は、すぐにはないだろうけど、地震に耐えられるかは微妙かも?
 幸い、散歩に出るつもりだったので、すぐ外には出られる状態。
 なので、ひとまず避難所に向かう事にしよう、と動き出す。
 お散歩グッズの他に、普段から用意していた避難リュックを背負い、更に念の為に、犬用のケージを一個、肩から下げる。
「ココ、ハク、ミルク、お散歩行くよ」
 そう声を掛けて、ウチの犬達、パピヨン三匹の首輪にリードを繋ぐ。
 念の為、歩きやすいトレッキングシューズを履き、戸締りしながらつぶやく。
「行って来ます。どうか、家が無事に残りますように」
 そして、散歩にはしゃぐ犬達を連れて、指定避難所である、少し先の中学校へと歩を向ける。
 いつもとは散歩コースが違うので、犬達は、さらに浮かれているようだ。
 道路に人は歩いておらず、避難を始めているのは私達だけみたい。
 まだ地震直後だから、様子見の人が多いのかな。
 ウチは、私と犬三匹だから、避難所に入れてもらえるかどうかわからないけど、まずは、犬達を先に連れて行って、長引くようなら、後でもう一度家に引き返して、テントを取って来るつもりだった。
 避難所の校庭で、テントを設営させてくれるといいんだけれど。

 そんな事を考えながら歩いていると、一番ちびのミルクが、グっ、と手足を突っ張って後ずさりする。
「ミルク、歩くの嫌なの? 行こうよ」
 そう声を掛けた瞬間、余震だろうか? また地面がぐらりと揺れた。
「え、え?」
 揺れは、さほど大きくなかったのに、足元がぐんにゃりと変形していくような、妙な感覚。
 液状化現象だろうか? 
 足が取られて、立っていられない。
「ココ、ハク、ミルク!」
 犬達を踏んでしまわないように、でも、しっかりとリードを引き寄せる。
 と、体がぐるんと回転したような、眩暈めまいのような感じがした途端、世界は暗転した。


 どれほどの時間が、経ったのだろうか。
 犬達のクンクン心配そうな声と、舌が頬を舐める、温かな濡れた感触で目を開けると、
 なぜかそこは、うっそうとした深い森の中だった。
「 ? 」
 え、なんで森?
 びっくりしながら、辺りを見回す。
 犬達は、3匹共無事。
 というか、わたしが起きたので嬉しいらしく、みんな、尻尾をぶんぶん振っている。
 良かった、リードは、しっかり持ったままでいたみたい。

 しかし、どう見ても森だ。
 背の高い樹木が繁って、どこまで続いているのか終わりの見えない森。
 更に、家を出たのは夕方だったのに、今は、もう昼前位なのだろうか、凄く日が高いみたい。
 そんなに長い間、寝てしまっていたのだろうか?
 それにしては、お腹は空いていないけど。
 まずは、リュックから、ラジオを取り出して電源を入れる。
 が、うんともすんとも言わない。
 おかしいな、電池は、最近、避難用具の見直しをしたばかりだから、新品なんだけど。
 スマホを取り出して、電源を入れる、こちらは圏外。
 何の情報も拾えない。
 充電がもったいないので、すぐにまた電源を落とす。
 富士山の噴火と地震、どうなったんだろう?
 とりあえず、遭難した時のキャンパーの心得は、その場をいたずらに動かない事。
 なんだけど、少し移動して道路に出たいなぁ。
 これが山の中なら、尾根に向かって登った方が、道は探しやすいはずなんだけど、この森は平坦な地形だし。
 避難リュックに、水や、ある程度の食料に、ドッグフードは入っているから、数日は大丈夫とはいえ、早めにここを抜け出さないと。
 避難したはずが、見知らぬ森で遭難、餓死、なんて冗談じゃない。
 暗くなる前に、少し移動してみようかな。
「さー、みんな。 お散歩しよう」
 そうして、少しの逡巡しゅんじゅんの後、意を決して、そこらをクンクンと探索していた犬達と、恐る恐る歩き出したのだった。

 う───ん。
 やっぱりこの森、見た感じにたがわず、結構な規模の大きさみたい。
 歩けども歩けども、ちっとも、道路になんて辿り着かない。
 そうして、歩いているうちに、木がまばらになって途切れた、と思ったら、目の前に川が現れた。
 そんなに、大きな河川ではないけど、小川と言うには大きい感じ。
 覗き込むと、水は澄んでいるし、小さな魚が泳いでいるのが見える。
 これ、飲めるんじゃない?
 一応、不安なので、手ですくって口をすすいでみる。
 うん、変な味も刺激もないし、いけそう。
 一応、避難グッズから、携帯用のろ過機能付きボトルを出して、水をたっぷり汲む。
 ストローを吸うと、ろ過された水が飲める仕組みなのだが、少し飲んでみたら、普通においしい水に感じる。
 犬達も喉が渇いているだろうと、家から持って来ていたペットボトルの水を、容器に入れて飲ませてあげる。
 このまま、数時間しても、私に異常が出なければ飲み水として使おう。
 時間的にも、もう夕方っぽいし、今日はここでビバークかな。
 とはいえ、テントは持って来ていないので、完全に野宿状態だけど。
 少し、川から遠ざかって、気持ち小高くなってる場所の木々の間に、少しだけあった、落ち葉や枯草などを集めて、こんもりさせる。
 その上に、非常用アルミシートを敷いて、更に、その上に寝袋を出す。
 寝袋とは言っても本格的なシュラフではなく、封筒型と言われる、ジッパーを閉めると袋状にもなるし、拡げれば毛布としても使える簡易な物だけど。
 犬達と、一緒に入って寝られるから、こちらの方が使い勝手がいい。
 食事は、犬達には持ってきていたドッグフードをあげて、自分用には、クッキーっぽい総合栄養食をかじる。
 本当は、コンロを持ってきているので、多少の暖かい物も出来るのだが、いつ、この森から抜けられるか分からない今、燃料は貴重なので今夜は我慢。
 でも、暗闇は怖いから、後でランタンは点けよう。

 翌日、思ったよりも快適に眠れて、目覚めはすっきり。
 春から夏に移行する、いい季節で助かった。
 川に降りて、洗面と歯磨きを済ませると、犬達にドッグフード、自分用には、残りの総合栄養食と、コンロでお湯を沸かしてコーヒーを淹れる。
 インスタントの、砂糖とミルクの入ったスティックコーヒー、いくつか入れておいて良かった。
 暖かい飲み物は、気持ちを豊かにしてくれる。
 本当は、
(ここどこー?)
と、ギスギスしそうになる気持ちも、落ち着くってものだ。
 食事の後で、もう一度、ラジオとスマホを試してみるが、相変わらず何も聞こえないし圏外のまま。
 ため息が出るが仕方ない、今日は、この川沿いに下って行ってみよう。
 それなら、少なくとも水は確保できるものね。

 あるく、あるく、あるく。
 ひたすら歩き続けているが、全く、景色が変わり映えしない。
 くじけそうになってきたが、そろそろお昼、
(休みつつ、ご飯にしようかな)
と、思っていたら、いきなり開けた原っぱに出ていた。
 そして、その原っぱの向こうに、馬車と馬と、なんだか、カラフルな髪色の一行が見えたのだった。
 馬? 馬車? あの髪色からしてバンドマンとか? そんな感じかな? 
(何にしても助かった)
 そう思いながら、わたし達は、一直線に彼らのもとへ近づいて行く。
 それにしても凄いな、ピンクや水色、濃い緑からパステルっぽい紫と、綺麗だけど、目に眩しい色合いの髪色だ。
 近づくにつれ、彼らも、こちらに気が付いて手を振ってくれる。
 そして気付く、お顔立ちが、皆さん外国人っぽいんですけど、日本語通じるかな。
「こんにちは」
「こんにちは~、こんな所に、一人とワンちゃん?」
 良かった、通じた。
「そうなんです。 なんだか、地震の後に変な所に来ちゃってて」
「ん~、地震? ワンちゃん達、可愛いね~。 珍しい種類みたい、撫でていい~?」
「あ、いいですよ、撫でられるの好きなんで。 このこ達は、パピヨンって犬種です」
 お散歩の時に、余所よその犬飼いさんと、よくする会話の延長線のような、無難な話。
 この人達、すごく若いな、そして、気さくでありがたい。
 ピンクとパープルの子は女の子で、どちらも可愛い顔立ちだが、ドイツ系っぽい素朴な感じ。
 ピンクの子はそばかすがあって、更に可愛らしい。
 水色と緑の子は男の子で、水色の子は線が細くて美少年って感じ。
 緑の子が一番年長に見える、ちょっと、日本人が混ざったような、ハーフっぽいお顔だった。

 たき火で、鍋を煮ているようで、これからお食事だったみたい。
「えーっと、みなさん海外の方ですか?」
「? 私達は、東のコリン村の出身だけど。 私はミミア、こっちはリム。」
 ピンクの子がそう言って、パープルさんを指す。
 ってか、ここ海外?
 何で? いつの間に?
 軽く、絶望感が襲うが、顔には出さないように、にこにこ愛想笑いを貼り付けておく。
「向こうの、鍋煮てる子がイシュリーで。 リーダーがコータ」
 イシュリーと呼ばれた子は、水色の美少年で、緑の年長さんは、やっぱりリーダーなんだ。
「わたしは小日向真奈、と言います。 わんこはココとハクとミルク。 ココがお母さんで、ハクとミルクは、同じ日に生まれた兄妹犬。 ハクだけ男の子なので、ちょっと大きく育っちゃって」
 自己紹介がてら、説明すると、
「えー、親子と兄妹なんだ~。 いいねぇ、可愛い可愛い」
 ミミアとリムは、夢中で犬達を撫でてくれている。

 そうしていると、コータがゆっくりと近付いて来た。
「マナちゃん? 良かったら一緒に昼飯食う? 出先だから、たいしたモンないけど」
「あ、ありがたくいただきます。 うれしい」
「そ? じゃあ、こっち来て座りなよ。 飲み物いるよな」
 そう言って、手招きされた先に、丸太が椅子の様に置かれていたので腰掛けると、木のコップに、なみなみと冷たい飲み物が注がれる。
 濃い紫でフルーティな香り、ごくり、と、ひと口飲み込むと果物のジュースだった。
「山ぶどうのジュース。 村の特産なんだ、うまいだろ」
 コータが、得意そうに微笑む。
 コクコク頷きながら、心の中では、
(めっちゃ、おいしいです)
 と、叫んでいた。
 たくさん歩いて、水しか飲んでなかった喉と体にしみ渡るようで、涙がウルッと出そうになる。
 次いでイシュリーが、かき混ぜていた鍋から、汁物を、やはり木のお椀によそって、さじと一緒に、無言で渡してくれる。
 すうっと匂いを嗅いでから、火傷しないよう慎重にすすると、これも、ちょっと豚汁っぽくて、凄く美味しい。
 涙だけじゃなく、ハナミズまで出そうで、思わず鼻をすすりあげる。
「これは、野菜と干し肉のスープなんだけど、発酵した豆の調味料で味付けしてるんだ、口に合うといいけど」
「すっごく、おいしいです」
「そっか、良かった」

 スープを、お替わりまでして、人心地ついた後、食後のコーヒーを出してもらいながら、ホウっ、と溜息をついていたら、コータが、自分もコーヒーのカップを片手に、向かい側に座って話しかけてきた。
「さて、マナちゃんは、この後どうする? 俺らは、交易品を届けに、ハンブルって町に行く途中なんだけど、一緒に行くか? どの道、この森を歩きで越えるのは、かなり無理があるぜ」
「連れて行ってもらえるなら、すごく助かります。 お願いしてもいいですか」
「うっし、OK。 そうと決まったら、担いでた荷物と犬達連れて、馬車の荷台に乗んな」
「はい、よろしくお願いします」
 勢い込んで、頭を下げる。
「マナちゃん、一緒に行くの~? ワンちゃん達も一緒、うれしい~」
 ミミアとリムは、ニコニコとはしゃいでくれてる、可愛いな。
 コーヒーを、急いで飲み終えると、犬達と共に馬車の荷台に乗り込む。
 たくさんの、積み荷が乗せてあるので、そんなに広くはないが、大人3人に犬3匹、余裕で座れるスペースはあった。
 男の子たちは、御車台で馬を操ってくれるらしい。
 お腹いっぱいなのと、昨日から、歩きっぱなしだった疲労感とで、馬車が動き始めると、すぐにウトウトしてしまう。
「マナちゃん寝ちゃった。 一応、酔い止め掛けとく?」
「うんうん、具合悪くなったら可哀想だし。 前もって掛けておこう」
 うっすらと、そんな会話が聞こえてきた気がするが、眠くて、あまり気にも留めずに、そのまま深い眠りについてしまった。


 翌日の朝、
「マナちゃん、朝ご飯だよ~」
という、リムの声で目が覚めた。
 どうやら一晩中、ぐっすりと寝てしまっていたみたい。
 携帯ろ過機能付きボトルに、汲んでおいたお水で、軽く口をすすいでから、みんなの所に行くと、パンに塩漬け肉を焼いた物を挟んだ、サンドイッチを手渡される。
 塩漬け肉は、ベーコンみたいに脂が乗ってて、少し燻製してあるみたい。 
 ちょっと、焦げ目もついてて、香ばしくっておいしい。
 ワンコ達も、パンをもらっていたので、後で、ドッグフードを少なめにあげる事にしよう。
 食後のコーヒーを飲んで、
(そういえば、昨日は使った食器を、洗いもせずに返しちゃったな)
と、気付く。
 色々、良くしてもらって申し訳ないし、洗い物くらいはやりたいな。
 そう思って、カップの回収をしに来た、ミミアに聞いてみる。
「あ、洗い物手伝うよ?」
「ん~? 大丈夫よ~。 洗浄で、パパッと終わるから」
 そう言うと、事もなげに、集めたカップを仕切りのついた箱に戻して、その上で、くるくるっと指を回す。
 中を見ると、カップは、まるで新品のごとく綺麗になっていた。
  ?
「ミミアちゃん、あの。 今の、洗浄って……」
「洗浄魔法。 生活基本魔法だけど~」
「ま、魔法なんだ。 やっぱり……」
「マナちゃん、どうしたの~? 顔色悪いかも? 調子悪い~?」
 どうやら、わたし。
 国内でも海外でもない、魔法のある世界に来ちゃってるみたいです。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

旦那様、離婚してくださいませ!

ましろ
恋愛
ローズが結婚して3年目の結婚記念日、旦那様が事故に遭い5年間の記憶を失ってしまったらしい。 まぁ、大変ですわね。でも利き手が無事でよかったわ!こちらにサインを。 離婚届?なぜ?!大慌てする旦那様。 今更何をいっているのかしら。そうね、記憶がないんだったわ。 夫婦関係は冷めきっていた。3歳年上のキリアンは婚約時代から無口で冷たかったが、結婚したら変わるはずと期待した。しかし、初夜に言われたのは「お前を抱くのは無理だ」の一言。理由を聞いても黙って部屋を出ていってしまった。 それでもいつかは打ち解けられると期待し、様々な努力をし続けたがまったく実を結ばなかった。 お義母様には跡継ぎはまだか、石女かと嫌味を言われ、社交会でも旦那様に冷たくされる可哀想な妻と面白可笑しく噂され蔑まれる日々。なぜ私はこんな扱いを受けなくてはいけないの?耐えに耐えて3年。やっと白い結婚が成立して離婚できる!と喜んでいたのに…… なんでもいいから旦那様、離婚してくださいませ!

処理中です...