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飛べない動物と武官
3 アベメタタリア③ 体表を鱗で覆われた有羊膜類を意味する。
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中庭を通り過ぎると、広間が現れる。奥は舞台のように高くになっているが、真っ黒な木片が積み重なっていた。焼け落ちたという木造物だろう。柱や屋根と言った部分は崩れ、土台や壁の石造り部分が残るのみとなっている。ウィラビィが倒壊して焼け焦げた柱に近づく。
「美しい彫刻が掘られているのね。ここが玉座の間というところかしら?」
そうなのだろう。広場の地面から壁面まで青いタイルに覆われ、更に美しい幾何学模様が施されている。ここに装飾鮮やかな木造の梁や台座が残っていたら、良い観光名所になったかもしれない。私もウィラビィに続いて舞台へ近づく。燃え残りの灰や木炭が独特な匂いを放っていた。
「いつの火事だったのかな。つい最近みたいだけど」
随分激しく燃えたようだが、壁面は煤けただけのようだ。
「リンネ!こっちへ」
木片の残骸の向こうから声がかかる。足元に注意して玉座の後ろ側へ回る。その辺りはタイルも溶けて日干し煉瓦が覗いている。特に延焼が酷いようだ。
「見てちょうだい。不自然に木材が燃え残こっているの」
ウィラビィの横に積み重なった黒い木材がある。
「さて、なにを隠したいのかな?
ウィラビィ、この土地の性質は?」
「3の質よ。パンフレットに書いてあった」
彼女が三つ折の紙を広げる。どうやら観光地化まっしぐららしい。すぐにここも再建されるだろう。
「ウィラビィ、6の力で後片付けを手伝ってやって」
ウィラビィは3の質。土地の質と足して6の力が使える。
「良いけど、貴女の7の力の方が楽じゃない?」
私は4の質。足して7だ。
「7の力?火の質が強化されるんだよ?この城自体まる焦げだ」
ウィラビィが肩を竦めてみせた。戦闘以外で力を使うのは苦手なようだが、深呼吸して5本の指と人差し指を木片に向けた。とたんに、轟音が響いたかと思うと視界が真っ白に染まった。
6の力。
それは雷を操る力。
彼女の力は強烈だった。雷が落ちた柱が再び燃え上がる。距離をとっていなかった私は、おかしくなった耳を押さえた。
「我が主のお望み道理かしら?」
「もうちょっと力の加減は出来ないの?……見て、もう鎮火しかかってる」
上部を燃やしたところで火は消えかかっている。
「3の性質の土地では火事もままならないらしい」
ウィラビィを見ると私に向かって掌を返してきた。次は私の番というわけだ。
私は7本の指を突き出す。
爆発音と爆風を感じたのは同時だった。
体を吹き飛ばされると瞬時に察するが、ウィラビィが私の体を抱えて広場に避難する方が早かった。気づけばタイルの上に横倒しにされている。
爆風から私を庇う彼女の長い金髪が巻き上がり、炎の光を受けて荒々しく輝いた。
彼女の姿は戦いの中で更に美しい。
私が瞬きもせずにその一瞬を見つめていると、彼女が艶やかに笑んだ。
スローモーションのように彼女の髪が背に流れていく。
そして彼女の腕がぐっ、と私を助け起こした。二人で王座を振り返る。一面赤々と燃えていたが、急に炎が掻き消えた。3の土地の性質が随分影響するようだ。
「これが貴女の言う力加減?焼け残っていた木材に文化財としての価値がなければいいわね」
ウィラビィが呆れたように笑う。玉座の舞台も広場も熱でタイルが溶けだしているし、焼け落ちて積み重なった木材は灰すら残さず消えている。私も苦笑を返すしかない。ウィラビィが障害物の無くなった広間から玉座にあがっていく。私も歩いて向かうが、溶けたタイルが靴にくっついて不快だった。不自然に木材が積まれてあった付近まで来ると、何を隠していたかは一目瞭然。壁面の下には通用口があった。以前は透かし彫りの入った扉が付いていたんだろうが、蝶番を残して燃えてしまっている。奥には地下に伸びる階段があった。ウィラビィは屈んで地下を覗くと調子よく階段を下りていく。私もそれに倣った。細い石畳の階段はすぐに広い地下室に着く。アーチ状に作られた天井が続く広い廊下や小部屋があるようだ。
「随分立派な地下空間ね。古本の匂いはする?」
「するね。あの突き当りの部屋に行ってみよう。一番広そうだ」
ウィラビィは足元のカンテラを人指し指に引っ掛けて拾うと、反対の5本の指を蝋燭に近づけた。両手指の間を細い電流が流れて火が灯る。彼女はそれを掲げて私を先導した。彼女のヒールが立てる音が地下に反響している。何百年と使われている立派な遺構のようだ。書庫もとっくに調査済みか。突き当りの部屋の扉はご丁寧に鍵まで掛けてあるのだ。ウィラビィはカンテラを足元に置くと6本の指を開く。錠前が軽い火花を上げた。私はすぐさま袖からピックを出してそれを切り落とした。ピックを振って汚れを落とす。強い電流が流れた鉄は形を変えやすい。
「ご丁寧に扉まで鉄製」
ウィラビィがその扉を押して部屋へ入る。私を通すと屈みこんで何か作業を始めたかと思うと部屋に明かりが付いた。
「電気設備があるみたいね」
「少なくとも、この城塞には6の力が行使できる3の質の人物と4の力が行使できる1の質の人物がいるわけか」
彼女の足元に発電機があった。そこから電気をとって光る裸電球が天井からぶら下がっている。この規模の施設では6の力を使える者を一人や二人は雇っていることだろう。最近は電気を必要とする機械や機器が増えてきている。私は部屋を見渡した。あまり広くはないが、書棚が六架ほどある。手近なところに巻子本や木片を閉じたコデックスが置いてあった。手に取りながら内容を確認していく。多くはこの城塞の建立に関係する書簡のようだ。歴史研究的な価値はあるだろう。
「1の質?」
ウィラビィも反対の書架を確認しながら声を掛けて来る。
「上の火災。3の性質のこの城塞ではありえない規模だ。火の力が使えて私達をここに来させたくない誰かの仕業だろう」
「だとしたら、なかなかの力の使い手のようね。全て灰にしないあたりは」
「そのようだね」
ウィラビィの皮肉に苦笑を浮かべる。軽口を言いながら書簡を確認していると、ふと、手にし.た隣の書物が気にかかった。薄いその本を本棚から引き出す。
「ここにあるのは城に関するもののようね。全て貴女が接収するわけにはいかないでしょう?そろそろ部屋に戻りましょうよ」
接収。酷い言われようだが、最近のエナンティオが古い書物を集め回っているのは本当だった。私としてはここにある書物にそういった価値があるとは思わないが。私は本を手にしたまま地下室を後にする。今夜の晩餐会にも招待されているから用意があるのだ。
部屋に戻ると、豪奢なティーテーブルの上に数冊の本が置いてあった。管理責任者のクルロが言っていた蔵書か。ちらりと背表紙を見てその一つを手に取る。「エナンティオの砂漠におけるアブフィロプルマの化石について」。古生物学者の最近の著書だ。その他の本にも化石研究に関するものがある。さて持ち帰るべきか悩んでいると、ウィラビィが隣で本をめくっていた。
「手記のようね」
それは乾燥した保存状態の良くない薄い本だった。私が地下の書庫から何となく拾ってきた古書。ウィラビィが形の良い唇を動かす。
「この深い悲しみは何故なのだろう?」
一文が朗読される。
「僕たちの愛は犠牲を忍び、お互いに総ては求めない、というのでなければ成り立たぬのだろうか。君が僕だけのものでなく、僕が君だけのものでないことを、君は変えることができるだろうか?」
ウィラビィの声が乾いた空気を揺らす。
「ああ――言葉なんか本当に何の役にも立たぬ瞬間があるものだ。」
本から顔を上げた彼女と視線を合わせる。
戦いの中で輝く濃い茶色の瞳。
今は少しの悲しみと怒りが映っている。
後から思えばそれは意趣返しの色で、彼女が裏切りを決意した瞬間だった。
「私が読み上げても、貴女のような祝福は訪れないのね」
彼女が色っぽく溜息を吐く。そして、手記をテーブルに置くと軽やかに私に歩み寄ってキスをした。彼女が愛用する麝香が香る。キスを返しながら薄く開いた目に赤いイブニングドレスが映った。
――ああ、言葉なんか何の役にも立たない。
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引用文献
2 江時久 1999 本当は聞こえていたベートーヴェンの耳 NTT出版株式会社 pp230-pp231
「美しい彫刻が掘られているのね。ここが玉座の間というところかしら?」
そうなのだろう。広場の地面から壁面まで青いタイルに覆われ、更に美しい幾何学模様が施されている。ここに装飾鮮やかな木造の梁や台座が残っていたら、良い観光名所になったかもしれない。私もウィラビィに続いて舞台へ近づく。燃え残りの灰や木炭が独特な匂いを放っていた。
「いつの火事だったのかな。つい最近みたいだけど」
随分激しく燃えたようだが、壁面は煤けただけのようだ。
「リンネ!こっちへ」
木片の残骸の向こうから声がかかる。足元に注意して玉座の後ろ側へ回る。その辺りはタイルも溶けて日干し煉瓦が覗いている。特に延焼が酷いようだ。
「見てちょうだい。不自然に木材が燃え残こっているの」
ウィラビィの横に積み重なった黒い木材がある。
「さて、なにを隠したいのかな?
ウィラビィ、この土地の性質は?」
「3の質よ。パンフレットに書いてあった」
彼女が三つ折の紙を広げる。どうやら観光地化まっしぐららしい。すぐにここも再建されるだろう。
「ウィラビィ、6の力で後片付けを手伝ってやって」
ウィラビィは3の質。土地の質と足して6の力が使える。
「良いけど、貴女の7の力の方が楽じゃない?」
私は4の質。足して7だ。
「7の力?火の質が強化されるんだよ?この城自体まる焦げだ」
ウィラビィが肩を竦めてみせた。戦闘以外で力を使うのは苦手なようだが、深呼吸して5本の指と人差し指を木片に向けた。とたんに、轟音が響いたかと思うと視界が真っ白に染まった。
6の力。
それは雷を操る力。
彼女の力は強烈だった。雷が落ちた柱が再び燃え上がる。距離をとっていなかった私は、おかしくなった耳を押さえた。
「我が主のお望み道理かしら?」
「もうちょっと力の加減は出来ないの?……見て、もう鎮火しかかってる」
上部を燃やしたところで火は消えかかっている。
「3の性質の土地では火事もままならないらしい」
ウィラビィを見ると私に向かって掌を返してきた。次は私の番というわけだ。
私は7本の指を突き出す。
爆発音と爆風を感じたのは同時だった。
体を吹き飛ばされると瞬時に察するが、ウィラビィが私の体を抱えて広場に避難する方が早かった。気づけばタイルの上に横倒しにされている。
爆風から私を庇う彼女の長い金髪が巻き上がり、炎の光を受けて荒々しく輝いた。
彼女の姿は戦いの中で更に美しい。
私が瞬きもせずにその一瞬を見つめていると、彼女が艶やかに笑んだ。
スローモーションのように彼女の髪が背に流れていく。
そして彼女の腕がぐっ、と私を助け起こした。二人で王座を振り返る。一面赤々と燃えていたが、急に炎が掻き消えた。3の土地の性質が随分影響するようだ。
「これが貴女の言う力加減?焼け残っていた木材に文化財としての価値がなければいいわね」
ウィラビィが呆れたように笑う。玉座の舞台も広場も熱でタイルが溶けだしているし、焼け落ちて積み重なった木材は灰すら残さず消えている。私も苦笑を返すしかない。ウィラビィが障害物の無くなった広間から玉座にあがっていく。私も歩いて向かうが、溶けたタイルが靴にくっついて不快だった。不自然に木材が積まれてあった付近まで来ると、何を隠していたかは一目瞭然。壁面の下には通用口があった。以前は透かし彫りの入った扉が付いていたんだろうが、蝶番を残して燃えてしまっている。奥には地下に伸びる階段があった。ウィラビィは屈んで地下を覗くと調子よく階段を下りていく。私もそれに倣った。細い石畳の階段はすぐに広い地下室に着く。アーチ状に作られた天井が続く広い廊下や小部屋があるようだ。
「随分立派な地下空間ね。古本の匂いはする?」
「するね。あの突き当りの部屋に行ってみよう。一番広そうだ」
ウィラビィは足元のカンテラを人指し指に引っ掛けて拾うと、反対の5本の指を蝋燭に近づけた。両手指の間を細い電流が流れて火が灯る。彼女はそれを掲げて私を先導した。彼女のヒールが立てる音が地下に反響している。何百年と使われている立派な遺構のようだ。書庫もとっくに調査済みか。突き当りの部屋の扉はご丁寧に鍵まで掛けてあるのだ。ウィラビィはカンテラを足元に置くと6本の指を開く。錠前が軽い火花を上げた。私はすぐさま袖からピックを出してそれを切り落とした。ピックを振って汚れを落とす。強い電流が流れた鉄は形を変えやすい。
「ご丁寧に扉まで鉄製」
ウィラビィがその扉を押して部屋へ入る。私を通すと屈みこんで何か作業を始めたかと思うと部屋に明かりが付いた。
「電気設備があるみたいね」
「少なくとも、この城塞には6の力が行使できる3の質の人物と4の力が行使できる1の質の人物がいるわけか」
彼女の足元に発電機があった。そこから電気をとって光る裸電球が天井からぶら下がっている。この規模の施設では6の力を使える者を一人や二人は雇っていることだろう。最近は電気を必要とする機械や機器が増えてきている。私は部屋を見渡した。あまり広くはないが、書棚が六架ほどある。手近なところに巻子本や木片を閉じたコデックスが置いてあった。手に取りながら内容を確認していく。多くはこの城塞の建立に関係する書簡のようだ。歴史研究的な価値はあるだろう。
「1の質?」
ウィラビィも反対の書架を確認しながら声を掛けて来る。
「上の火災。3の性質のこの城塞ではありえない規模だ。火の力が使えて私達をここに来させたくない誰かの仕業だろう」
「だとしたら、なかなかの力の使い手のようね。全て灰にしないあたりは」
「そのようだね」
ウィラビィの皮肉に苦笑を浮かべる。軽口を言いながら書簡を確認していると、ふと、手にし.た隣の書物が気にかかった。薄いその本を本棚から引き出す。
「ここにあるのは城に関するもののようね。全て貴女が接収するわけにはいかないでしょう?そろそろ部屋に戻りましょうよ」
接収。酷い言われようだが、最近のエナンティオが古い書物を集め回っているのは本当だった。私としてはここにある書物にそういった価値があるとは思わないが。私は本を手にしたまま地下室を後にする。今夜の晩餐会にも招待されているから用意があるのだ。
部屋に戻ると、豪奢なティーテーブルの上に数冊の本が置いてあった。管理責任者のクルロが言っていた蔵書か。ちらりと背表紙を見てその一つを手に取る。「エナンティオの砂漠におけるアブフィロプルマの化石について」。古生物学者の最近の著書だ。その他の本にも化石研究に関するものがある。さて持ち帰るべきか悩んでいると、ウィラビィが隣で本をめくっていた。
「手記のようね」
それは乾燥した保存状態の良くない薄い本だった。私が地下の書庫から何となく拾ってきた古書。ウィラビィが形の良い唇を動かす。
「この深い悲しみは何故なのだろう?」
一文が朗読される。
「僕たちの愛は犠牲を忍び、お互いに総ては求めない、というのでなければ成り立たぬのだろうか。君が僕だけのものでなく、僕が君だけのものでないことを、君は変えることができるだろうか?」
ウィラビィの声が乾いた空気を揺らす。
「ああ――言葉なんか本当に何の役にも立たぬ瞬間があるものだ。」
本から顔を上げた彼女と視線を合わせる。
戦いの中で輝く濃い茶色の瞳。
今は少しの悲しみと怒りが映っている。
後から思えばそれは意趣返しの色で、彼女が裏切りを決意した瞬間だった。
「私が読み上げても、貴女のような祝福は訪れないのね」
彼女が色っぽく溜息を吐く。そして、手記をテーブルに置くと軽やかに私に歩み寄ってキスをした。彼女が愛用する麝香が香る。キスを返しながら薄く開いた目に赤いイブニングドレスが映った。
――ああ、言葉なんか何の役にも立たない。
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2 江時久 1999 本当は聞こえていたベートーヴェンの耳 NTT出版株式会社 pp230-pp231
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