ウソコク

三五八11

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第3章 新しい関係

温度差

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大樹はまだ知らない


大樹はいつものように
「美依、好きだよ
 全国大会で優勝したら
 学生結婚しようね」
美依「またどうせ、ウソでしょ」
大樹はこの後にどうしても
「ウソじゃない」と言えない。

実は秘密を知っている
美依に対しても……

そんな日常を過ごし
サッカー部は大会に向けて
一丸になりつつあった
一部でまだ大樹に対する
ひがんで陰口をいう者もいたが
少数すぎて、逆に居心地がわるなる。
其れ程サッカー部は
今いい雰囲気で過ごしていた。

この次の瞬間まで
「大樹、彼女いい子だな。
 いままでの彼女は
 紅葉さんの事知ると
 だいたい合わせろとか
 あっちのほうがいいとか
 必ず言われたもんな。
 大事にしろよ」
「花咲先輩、なんの事ですか?
 まず、まだ彼女じゃないし
 それにあいつの話なんて
 一度もした事ないですよ」
花咲は小さい声で、思わず
「しまった……
 あの子、口めちゃくちゃ固いんだ」
沈黙の中、花咲はそっと大樹を見た。
確実に怒ってる時の顔だった
「どんな状況で、何か意味があって
 それで話した。って
 何言っても許せないんですが
 花咲先輩、知ってるでしょ
 俺はあいつのせいで
 最初無理にサッカーさせられてたの
 それに新聞とか、雑誌とか
 それにテレビとかの取材がきて
 両親が舞い上がった結果
 離婚寸前までいった事
 オヤジはずっといなくて
 母親は自慢の息子だって
 ずっとあいつのサッカーの為に
 なんでもするって
 免許までとって
 その間俺がどれだけツライ思いしたか
 花咲先輩は
 全部知ってるじゃないですか!」
花咲は全て知っていた
実際、そのお母さんにも会った。
話しかけてくる内容は
全て紅葉さんの事ばかりで
大樹の事を聞くと
あの子はダメ。紅葉と違うから
と小学生だった花咲にも
こんな親は嫌だな。と思わせる
そんな母親だった。
だから、花咲は兄になる
とおもった。
その自分が今
大樹が一番嫌な事をしてしまった。
ひたすら謝るしかなかった
「大樹、すまん。
 本当に悪かった。」
「何言っても許せないっす
 今ならこの   怒りのパワーで
 一対一抜けそうですよ」
「じゃあやってみろよ」
さっきまでは謝っていたが
花咲もサッカーでは負けたくない
花咲も熱くなった。
しかし、兄の事を話された
と大樹はさらに熱く怒っていた
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