1 / 2
卵焼きにおはよう
しおりを挟む
桜さんは鬱陶しいので嫌いだ
出張の時が特に嫌いだ
そして、そのせいで卵焼きも嫌いだ
ブブブ、ブブブ
スマホのバイブで動く
「またか」
朝食の時間が終わる20分ほど前に
かならずLINE電話をしてくる
「朝ごはんの時間なくなるよ」
「またですか?
何度も言いますが
朝ごはん食べないんです。
では、後でロビーで」
返事も聞かずに切り二度寝する。
切ったものの、起こされたイライラもあり
目が覚めてしまった。
そうなると、
朝食を食べないのは、お金がもったいないと思えてくるので、結局朝ごはんを食べに行く。この考え方って貧乏性かな?
食堂には、桜さんがいてのんびり卵焼きを食べていた。
この人いつも卵焼き食べてるなぁ
と思いつつ、人が美味しそうに食べていると自分も欲しくなる。改めて自分は貧乏性なのか?と思いつつ玉子焼きを食べる。
次の出張先では、バイキングではなく「卵焼きのついた和食」か「目玉焼きのついた洋食」が選べたが、桜さんはやっぱり卵焼きのある和食を食べていた。もちろん、LINE電話で起こされたのは、言うまでもない…
ある出張先で少し不思議な事があった。
桜さんはやっぱり卵焼きを食べていた。
でも、そこのバイキングは、スクランブルエッグはあるけど、卵焼きはなかった。
時間限定?売り切れた?そして、食べ損ねた。と少し嫌な気分になった。やっぱり貧乏性なのかな?
と席につく。たまたま空いてるところがなくて、桜さんの隣に座った。席に着くと
「おはよう、卵焼きいる?」
と卵焼きののったお皿を軽く持ち上げていた。
「あ、欲しいです。ありがとうございます。
あ、え~っとおはようございます」
なんとなくしどろもどろになってしまった。
「どうぞ。二切れとっていいよ。」
ありがとうといいながら、二切れもらった。
この人卵焼き独り占めしたのか。そのせいで俺の分なかったのか。それなら、もっとくれても良くないか?など思いつつ食べた卵焼きは、かなり甘く作られていた。
「甘!でも美味しい」
「良かったね。甘いの嫌なの?」
「これくらい甘めのは、始めて食べました」
「で、美味しかった。と」
「はい、これ美味しいなぁ」
「もっといる?」皿を持ち上げる桜さん。
「じゃ、もう一切れ」と、もらった
最後の一切れを。
「じゃ、先に行くね」
と卵焼きだけを残していた桜さんが、出て行った。
ロビーで待ち合わせすると、桜さんはチェックアウトの途中だった。
「朝食の時の卵焼き代が、別途300円になりますので・・・
???別途??別料金出してまで食べるの?
「はい。でも、会社には言えないので、領収書など分けれるとお聞きしてます。」
「はい、そのように対応させて頂きます」
やっぱり桜さんが嫌いだ。
卵焼きは確かに美味しかった
でも、朝の混み合うチェックアウトの時に、ホテルの人も朝食の別料金の精算なんて、面倒だし迷惑だろうに、そこまでして卵焼き食べる意味あるのか?と思うと、美味しかった卵焼きも、なんとなく味気なく感じでしまった。
しばらく出張はなくなったが、なんとなくあの甘い卵焼きが食べたくなった。
不本意ながら、桜さんに聞いてみた。
「あの、桜さん。もし知ってたら、教えて欲しいんですが、結構前に出張先でもらった、あの甘い卵焼きを食べれる食堂とか、居酒屋知りません?」
「君は自分で作るって選択肢はないのか?」
「え、自炊なんてしませんよ。
上手く作れないし、洗い物とか面倒だし」
「ま、そんな考えの人もいるか。
でも、栄養の
などと話つつ、メモを書く桜。
「はい」
とメモを突き出してきた。
「お店の名前と、だいたいの場所
マップで多分すぐに見つかるよ。」
と4つほど店の情報を書いたメモをくれた。
「あ、LINEでもらえません?」
「先に言えよ!」
「あ、大丈夫です。これで
後でテキスト読み込みするんで」
「あなたは、いつも余計な事言うね💢」
少し怒らせてしまったが、今更のフォローは無駄なように思えたので、軽く謝ってその場を離れた。その後はお互い特にギクシャクするわけでもなく、普通に仕事していた。
そして、また出張
やはり桜さんは卵焼きを食べている
「いつも卵焼き食べてますね?
そんなに好きなら自分で焼いて
お弁当に入れればいいじゃないですか」
「私会社にお弁当持ってきてないよ」
「あれ、そうでした?」
「あんたってホント余計な事言うね」
「え~、そうですか~?
でも、そう感じてるなら謝ります
すいません」
「感情ないね。ま、いいや。
一切れいる?」
「また自腹で払ってまで食べてるんですか?なんのおまじないですか?」
「それも余計な一言」
「あ、重ね重ねすいません。
でも、一切れはもらいます」
?さっき食べた卵焼きと味が違う
この人もしかして、甘い卵焼きわざわざ作らせてるのか?
桜さんとは仲良く仕事をさせてもらっているとこともあり、出張同行もそこそこの頻度でらあった。出張先では、晩ご飯も一緒なのは当然で、出張先で半日空き時間ができた時は、二人で近くの温泉街に行き、観光をしたりした。温泉にもはいって、レンタルの浴衣でお土産をみて回ったり。
恋人同士に見られるのでは?と思うが、その事を口に出す間ではないような気がしていた。
そんな関係が2年ほど続き、俺は昇進して、課長にまでなったが、桜さんは主任で止まっていた。原因は「休みが多い」とのこと。
確かにあんまり意識していなかったが、定期的に休んでいたの。観察してみると毎月19日頃に休んでいる。
その事を他の同僚と飲んでいるときに話してみた。
「その人がどうかわわからないけど、俺が前に勤めてた会社の同僚の女の子は、結婚を約束してた彼氏が事故で亡くなって、月命日に必ず墓参りするために休んでるって。俺ちょっと狙ってたけど、その話聞くと、その彼氏に勝てる気しなくて手を引いた?と言うか、やめたんだ」
「そんな人いるんだ。月命日か。」
桜さんはどうなんだ?気になりだすと、もう頭の中は毎日そればかりになる。そうなると今度は桜さんを意識してみるようになってしまった。ま、顔は少しキツめだけど美人だし、話もオタクっぽい話をしても楽しそうに聞いてくれる。スタイルも服の上からでもわかるくらいの…
それになんと言っても、出張先でいつもおこしてくれて、ご飯の心配して、卵焼きを食べさせて栄養とか管理してくれてる。これってやっぱり。姉さん女房かぁ。妄想が暴走する。
そんなある日出張先で、晩ご飯を食べに入った店に【当店の超オススメ 絶品卵焼き】
とあった。これは入るしかない!
と思って店に入ると、桜さんは一向に卵焼きを頼まない。
「桜さん、オススメが卵焼きだけど、頼まないの?!と聞くと
「こう言う店の卵焼きって、甘くないでしょ?」
言ってる事はわかる。でも、なぜそこまでこだわるかがわからない。甘いのも美味しいけど、出汁のたっぷり効いた出汁巻きや、鰻巻きも美味しいだろ?って思ったが、また『余計な事』と言われるだけなので、何も言わないでおいた。
そしてまた出張。
晩ご飯を食べに行った。その店は、店主と奥さん2人でやっている小料理屋。そんな店だと頼みやすいのか、卵焼きを甘く焼いて欲しいと注文して頼んでいた、チャンスかな?と思ったので、桜さんに聞いてみた。
「また、余計な事とか言われるかもしれないですが、なんでいつも甘い卵焼きにこだわるんですか?」
???『エッ』と驚く声も出ないほど桜さんは驚いた。
「あ、でも、なんか、気になって」
下向き、少し鼻をすする音が聞こえた。
「ゴメン、ちょっと花粉症の薬がきれたのかな、スゴイ鼻水だから、これだけ食べたら先に帰るね。」と返事をはぐらかすように、急ぎでパクパクと食べて、ジャケットを腰に巻いて、千円置いて「足りない分明日言ってね」とそそくさと帰ってしまった。
「なんだ?」と口に出てしまった。
ま、いいか。今度聞こう。と思いつつ。味気なく残っていた卵焼きや残りの料理食べ、店を出た。会計は、2,384円…
千円もらっておいていいかな?と思いつつ、念のためレシートをみた。桜さんはお酒を飲んでいなかったので、千円はもらいすぎかな?と思ったが、あの人の事だから、お金で返しても受け取らないのは目に見えている。なんかご馳走するかぁ~と思いながら、ホテルでシャワーを浴びる。そして、その時に今日の行動の意味を聞こう。
そのチャンスは思ったより早く訪れた。二人のチームで対応してる顧客から緊急呼び出し。しかし、行ってみると相手の勘違い。電話での話し方から、大事件で長くなると思い、30分くらいで仕事を翌日に回すなどの手配をしてきたので、二人とも時間がごっそりあいてしまってら早く帰って仕事すればいいが、拍子抜けした気持ちは、仕事モードへの切り替わりが難しそうだ。
「あの、コーヒーでも飲みません?
この前の千円、もらいすぎだから奢ります。」
「あ、ホント。ラッキー」と喜んだと思ったら急に「なんか企んでる?」と桜さんは急に怪しんだが、すでにコーヒーショップの前だったので、僕の企み?を聞き出すことなく店に入った。
「あの桜さんって、卵焼き好きですね」
席についてすぐに聞いた。「そうだね。好きだよ。小さいころから」
と普通の会話が始まった
「小さいころから好きだから、あの甘い味付けなんですか?」
「ま、それもあるかな。。。」少し遠い目をしたように感じた。
「それもってことは別の理由もあるってことですよね?
それって俺が力になれたりします?」
「は?何のことかわからないけど。。。。」
「桜さん毎月同じように日に休むじゃないですか?」
「休むね。でも、卵焼きと関係なくない?」
「もういいですよ。なんとなくわかってるんです」
「えっ、なにを?」
「このコーヒー代分の飲み屋でのやり取りとか覚えてます」
「えっ!!!何それ関係あるの?ってか見えたの?」
「はっきり見えたわけではないですが
僕にだってわかりますよ。あんなの」
「え~マジでかぁ」と上を向く
「今日は会社戻らないし、俺の前でなら泣いてもいいですよ」
「ホントだね、ちょっと泣きたいわ・・・・
生理が急にきて、ズボン少し汚れたから急いでかくして出たのに
まさか隠せてなくて見られてたかぁ~」
は?は?はぁ?はぁ?えっ?えっ?えええええぇツ???
「ちょっと待って。あの時下向いて鼻すすって、泣くのこらえたじゃないですか?」
「何それ?鼻はすすったよ。鼻炎だし・・・
さっきもいったけど急にアレがきて、なんとなく下向いて
ズボンチェックしたら、ちょっとダメな事になってるし
鼻炎の鼻水垂れそうになるし、あの日はホント最悪だった」
「え?鼻炎?で、せいり?」
ヤバイ・思ってたのと違いすぎ・ワロス・急展開スギ!
等の文字が目の前を過ぎていく。大量に。
「え?私の何をどうみてる?それと休む日も何?
え!休むのはアレがどうとかじゃないよ。
旦那の病院の付添」
「え~~~~旦那さんいるの?~~」
「何しらなかったの?確かに苦手だから指輪はしてないけど。。。みんな知ってるよ。私に旦那いるって」
ヤバイの文字がめちゃくちゃ増えて、ブラックアウトしそうだ.…
「もしかして
「嫌違う!」店内に響いてしまうくら行こう大きな声で否定する。さらにカッコ悪い…ヤバイ等の文字は増える一方だ。
クスクス笑う声が聞こえる気がする。
「途中で遮らないから話してくれる」
「はい、わかりました」なぜか敬語
「桜さんはまず未婚か既婚かはあんまり考えてなかったけど、指輪してないなって思った事はあります。そして、毎月決まった日に休むのは、事故か病気で亡くなった旦那さんの月命日。卵焼きはその人が好きだったから、供養と言うかなんか、忘れないようにとかで食べてて、一緒に食べれらるように結婚とかして忘れさせれないかな?って思いました。で、私でよろしければ、結婚を前提としたお付き合いをお話しさせて頂こうと思っておりました。」なぜか終始敬語のまま話終える。
プルプル震えるほど、笑いをこらえている桜さんの姿をみて、恥ずかしいはMAXに。
「帰りま
「まって。ちゃんと説明はしとく」
と被せるように、引き留められた。
「まず、帰るって言葉遮ってゴメン。早速約束破ってしまった。ゴメン。
で、旦那がいて、その旦那が、ぢとちょっとお尻関連の病気になってしまって、毎月通院が必要になった。その通院も、擦れたりするから歩きダメ、もちろん自転車ダメだし、車でうつ伏せで寝転んで帰らないとだめだから、絶対付き添いいるんだ。でも来年いっぱいで終われそうなんだけどね。で、旦那と休み合わせて病院にいくのが、先生のいる日とかも考えると、毎月同じくらいの日になってたの。
で、卵焼きだけど、うちの旦那が病気がわかった原因が浮気なの。浮気相手と変態的なことしてる時に、お尻の穴変だよ。って言われて気になって病院いったら、病気が見つかった。で、全部告白して、でも助けて欲しいって言われた。学生時代から付き合ってて、情もあるから、離婚とか考えれなくて。」
「それと卵焼き関係あるんですか?」
「で、病気による食事制限もあるし、浮気のバツとしての卵焼きをとりあげたの。で、私は最初はバツの意味で目の前で食べてたんだけど、ちょっとかわいそうになってきて、家で食べるのやめてあげた。でも、長年ほぼ毎日食べてたから、出張とか昼ごはんとか、旦那と食べないご飯の時に食べるようになった。ってことなんだ。なんか誤解させてゴメンね」
『マジか・・・』声もでない。。。
と思ったがしぼるように出てきた声
「だって普通指輪もなくて、毎月休むし、卵焼きばっかり」ってなにをいってるのかわからない、現実が理想とかけ離れすぎて、泣くの通り越して、笑えるのをまた通り越して、やっぱり泣ける…涙が出てきた。
恥ずかしいという気持ちが、人生最大を迎えた時、なんとかでた言葉は
「俺、もっと美味しい卵焼きしってるよ」
そのあとの事は記憶がない
ピピピピッ、ピピピピッ
目覚まし時計の音で、目が覚める
もう何年も前の話なのに
いまだに夢を見る
「はあ、定期的にこの夢見るな」
ため息にのる言葉
これがダメなのか?言霊ってヤツか。
次見ても絶対言わない
と決めて、起きる。
「おはよう」「おはよう」
その食卓には
出汁の味が強く、お酒の深み
そして少しだけ砂糖の甘みのある
『今の俺が好きな卵焼き』が
毎朝ある。
出張の時が特に嫌いだ
そして、そのせいで卵焼きも嫌いだ
ブブブ、ブブブ
スマホのバイブで動く
「またか」
朝食の時間が終わる20分ほど前に
かならずLINE電話をしてくる
「朝ごはんの時間なくなるよ」
「またですか?
何度も言いますが
朝ごはん食べないんです。
では、後でロビーで」
返事も聞かずに切り二度寝する。
切ったものの、起こされたイライラもあり
目が覚めてしまった。
そうなると、
朝食を食べないのは、お金がもったいないと思えてくるので、結局朝ごはんを食べに行く。この考え方って貧乏性かな?
食堂には、桜さんがいてのんびり卵焼きを食べていた。
この人いつも卵焼き食べてるなぁ
と思いつつ、人が美味しそうに食べていると自分も欲しくなる。改めて自分は貧乏性なのか?と思いつつ玉子焼きを食べる。
次の出張先では、バイキングではなく「卵焼きのついた和食」か「目玉焼きのついた洋食」が選べたが、桜さんはやっぱり卵焼きのある和食を食べていた。もちろん、LINE電話で起こされたのは、言うまでもない…
ある出張先で少し不思議な事があった。
桜さんはやっぱり卵焼きを食べていた。
でも、そこのバイキングは、スクランブルエッグはあるけど、卵焼きはなかった。
時間限定?売り切れた?そして、食べ損ねた。と少し嫌な気分になった。やっぱり貧乏性なのかな?
と席につく。たまたま空いてるところがなくて、桜さんの隣に座った。席に着くと
「おはよう、卵焼きいる?」
と卵焼きののったお皿を軽く持ち上げていた。
「あ、欲しいです。ありがとうございます。
あ、え~っとおはようございます」
なんとなくしどろもどろになってしまった。
「どうぞ。二切れとっていいよ。」
ありがとうといいながら、二切れもらった。
この人卵焼き独り占めしたのか。そのせいで俺の分なかったのか。それなら、もっとくれても良くないか?など思いつつ食べた卵焼きは、かなり甘く作られていた。
「甘!でも美味しい」
「良かったね。甘いの嫌なの?」
「これくらい甘めのは、始めて食べました」
「で、美味しかった。と」
「はい、これ美味しいなぁ」
「もっといる?」皿を持ち上げる桜さん。
「じゃ、もう一切れ」と、もらった
最後の一切れを。
「じゃ、先に行くね」
と卵焼きだけを残していた桜さんが、出て行った。
ロビーで待ち合わせすると、桜さんはチェックアウトの途中だった。
「朝食の時の卵焼き代が、別途300円になりますので・・・
???別途??別料金出してまで食べるの?
「はい。でも、会社には言えないので、領収書など分けれるとお聞きしてます。」
「はい、そのように対応させて頂きます」
やっぱり桜さんが嫌いだ。
卵焼きは確かに美味しかった
でも、朝の混み合うチェックアウトの時に、ホテルの人も朝食の別料金の精算なんて、面倒だし迷惑だろうに、そこまでして卵焼き食べる意味あるのか?と思うと、美味しかった卵焼きも、なんとなく味気なく感じでしまった。
しばらく出張はなくなったが、なんとなくあの甘い卵焼きが食べたくなった。
不本意ながら、桜さんに聞いてみた。
「あの、桜さん。もし知ってたら、教えて欲しいんですが、結構前に出張先でもらった、あの甘い卵焼きを食べれる食堂とか、居酒屋知りません?」
「君は自分で作るって選択肢はないのか?」
「え、自炊なんてしませんよ。
上手く作れないし、洗い物とか面倒だし」
「ま、そんな考えの人もいるか。
でも、栄養の
などと話つつ、メモを書く桜。
「はい」
とメモを突き出してきた。
「お店の名前と、だいたいの場所
マップで多分すぐに見つかるよ。」
と4つほど店の情報を書いたメモをくれた。
「あ、LINEでもらえません?」
「先に言えよ!」
「あ、大丈夫です。これで
後でテキスト読み込みするんで」
「あなたは、いつも余計な事言うね💢」
少し怒らせてしまったが、今更のフォローは無駄なように思えたので、軽く謝ってその場を離れた。その後はお互い特にギクシャクするわけでもなく、普通に仕事していた。
そして、また出張
やはり桜さんは卵焼きを食べている
「いつも卵焼き食べてますね?
そんなに好きなら自分で焼いて
お弁当に入れればいいじゃないですか」
「私会社にお弁当持ってきてないよ」
「あれ、そうでした?」
「あんたってホント余計な事言うね」
「え~、そうですか~?
でも、そう感じてるなら謝ります
すいません」
「感情ないね。ま、いいや。
一切れいる?」
「また自腹で払ってまで食べてるんですか?なんのおまじないですか?」
「それも余計な一言」
「あ、重ね重ねすいません。
でも、一切れはもらいます」
?さっき食べた卵焼きと味が違う
この人もしかして、甘い卵焼きわざわざ作らせてるのか?
桜さんとは仲良く仕事をさせてもらっているとこともあり、出張同行もそこそこの頻度でらあった。出張先では、晩ご飯も一緒なのは当然で、出張先で半日空き時間ができた時は、二人で近くの温泉街に行き、観光をしたりした。温泉にもはいって、レンタルの浴衣でお土産をみて回ったり。
恋人同士に見られるのでは?と思うが、その事を口に出す間ではないような気がしていた。
そんな関係が2年ほど続き、俺は昇進して、課長にまでなったが、桜さんは主任で止まっていた。原因は「休みが多い」とのこと。
確かにあんまり意識していなかったが、定期的に休んでいたの。観察してみると毎月19日頃に休んでいる。
その事を他の同僚と飲んでいるときに話してみた。
「その人がどうかわわからないけど、俺が前に勤めてた会社の同僚の女の子は、結婚を約束してた彼氏が事故で亡くなって、月命日に必ず墓参りするために休んでるって。俺ちょっと狙ってたけど、その話聞くと、その彼氏に勝てる気しなくて手を引いた?と言うか、やめたんだ」
「そんな人いるんだ。月命日か。」
桜さんはどうなんだ?気になりだすと、もう頭の中は毎日そればかりになる。そうなると今度は桜さんを意識してみるようになってしまった。ま、顔は少しキツめだけど美人だし、話もオタクっぽい話をしても楽しそうに聞いてくれる。スタイルも服の上からでもわかるくらいの…
それになんと言っても、出張先でいつもおこしてくれて、ご飯の心配して、卵焼きを食べさせて栄養とか管理してくれてる。これってやっぱり。姉さん女房かぁ。妄想が暴走する。
そんなある日出張先で、晩ご飯を食べに入った店に【当店の超オススメ 絶品卵焼き】
とあった。これは入るしかない!
と思って店に入ると、桜さんは一向に卵焼きを頼まない。
「桜さん、オススメが卵焼きだけど、頼まないの?!と聞くと
「こう言う店の卵焼きって、甘くないでしょ?」
言ってる事はわかる。でも、なぜそこまでこだわるかがわからない。甘いのも美味しいけど、出汁のたっぷり効いた出汁巻きや、鰻巻きも美味しいだろ?って思ったが、また『余計な事』と言われるだけなので、何も言わないでおいた。
そしてまた出張。
晩ご飯を食べに行った。その店は、店主と奥さん2人でやっている小料理屋。そんな店だと頼みやすいのか、卵焼きを甘く焼いて欲しいと注文して頼んでいた、チャンスかな?と思ったので、桜さんに聞いてみた。
「また、余計な事とか言われるかもしれないですが、なんでいつも甘い卵焼きにこだわるんですか?」
???『エッ』と驚く声も出ないほど桜さんは驚いた。
「あ、でも、なんか、気になって」
下向き、少し鼻をすする音が聞こえた。
「ゴメン、ちょっと花粉症の薬がきれたのかな、スゴイ鼻水だから、これだけ食べたら先に帰るね。」と返事をはぐらかすように、急ぎでパクパクと食べて、ジャケットを腰に巻いて、千円置いて「足りない分明日言ってね」とそそくさと帰ってしまった。
「なんだ?」と口に出てしまった。
ま、いいか。今度聞こう。と思いつつ。味気なく残っていた卵焼きや残りの料理食べ、店を出た。会計は、2,384円…
千円もらっておいていいかな?と思いつつ、念のためレシートをみた。桜さんはお酒を飲んでいなかったので、千円はもらいすぎかな?と思ったが、あの人の事だから、お金で返しても受け取らないのは目に見えている。なんかご馳走するかぁ~と思いながら、ホテルでシャワーを浴びる。そして、その時に今日の行動の意味を聞こう。
そのチャンスは思ったより早く訪れた。二人のチームで対応してる顧客から緊急呼び出し。しかし、行ってみると相手の勘違い。電話での話し方から、大事件で長くなると思い、30分くらいで仕事を翌日に回すなどの手配をしてきたので、二人とも時間がごっそりあいてしまってら早く帰って仕事すればいいが、拍子抜けした気持ちは、仕事モードへの切り替わりが難しそうだ。
「あの、コーヒーでも飲みません?
この前の千円、もらいすぎだから奢ります。」
「あ、ホント。ラッキー」と喜んだと思ったら急に「なんか企んでる?」と桜さんは急に怪しんだが、すでにコーヒーショップの前だったので、僕の企み?を聞き出すことなく店に入った。
「あの桜さんって、卵焼き好きですね」
席についてすぐに聞いた。「そうだね。好きだよ。小さいころから」
と普通の会話が始まった
「小さいころから好きだから、あの甘い味付けなんですか?」
「ま、それもあるかな。。。」少し遠い目をしたように感じた。
「それもってことは別の理由もあるってことですよね?
それって俺が力になれたりします?」
「は?何のことかわからないけど。。。。」
「桜さん毎月同じように日に休むじゃないですか?」
「休むね。でも、卵焼きと関係なくない?」
「もういいですよ。なんとなくわかってるんです」
「えっ、なにを?」
「このコーヒー代分の飲み屋でのやり取りとか覚えてます」
「えっ!!!何それ関係あるの?ってか見えたの?」
「はっきり見えたわけではないですが
僕にだってわかりますよ。あんなの」
「え~マジでかぁ」と上を向く
「今日は会社戻らないし、俺の前でなら泣いてもいいですよ」
「ホントだね、ちょっと泣きたいわ・・・・
生理が急にきて、ズボン少し汚れたから急いでかくして出たのに
まさか隠せてなくて見られてたかぁ~」
は?は?はぁ?はぁ?えっ?えっ?えええええぇツ???
「ちょっと待って。あの時下向いて鼻すすって、泣くのこらえたじゃないですか?」
「何それ?鼻はすすったよ。鼻炎だし・・・
さっきもいったけど急にアレがきて、なんとなく下向いて
ズボンチェックしたら、ちょっとダメな事になってるし
鼻炎の鼻水垂れそうになるし、あの日はホント最悪だった」
「え?鼻炎?で、せいり?」
ヤバイ・思ってたのと違いすぎ・ワロス・急展開スギ!
等の文字が目の前を過ぎていく。大量に。
「え?私の何をどうみてる?それと休む日も何?
え!休むのはアレがどうとかじゃないよ。
旦那の病院の付添」
「え~~~~旦那さんいるの?~~」
「何しらなかったの?確かに苦手だから指輪はしてないけど。。。みんな知ってるよ。私に旦那いるって」
ヤバイの文字がめちゃくちゃ増えて、ブラックアウトしそうだ.…
「もしかして
「嫌違う!」店内に響いてしまうくら行こう大きな声で否定する。さらにカッコ悪い…ヤバイ等の文字は増える一方だ。
クスクス笑う声が聞こえる気がする。
「途中で遮らないから話してくれる」
「はい、わかりました」なぜか敬語
「桜さんはまず未婚か既婚かはあんまり考えてなかったけど、指輪してないなって思った事はあります。そして、毎月決まった日に休むのは、事故か病気で亡くなった旦那さんの月命日。卵焼きはその人が好きだったから、供養と言うかなんか、忘れないようにとかで食べてて、一緒に食べれらるように結婚とかして忘れさせれないかな?って思いました。で、私でよろしければ、結婚を前提としたお付き合いをお話しさせて頂こうと思っておりました。」なぜか終始敬語のまま話終える。
プルプル震えるほど、笑いをこらえている桜さんの姿をみて、恥ずかしいはMAXに。
「帰りま
「まって。ちゃんと説明はしとく」
と被せるように、引き留められた。
「まず、帰るって言葉遮ってゴメン。早速約束破ってしまった。ゴメン。
で、旦那がいて、その旦那が、ぢとちょっとお尻関連の病気になってしまって、毎月通院が必要になった。その通院も、擦れたりするから歩きダメ、もちろん自転車ダメだし、車でうつ伏せで寝転んで帰らないとだめだから、絶対付き添いいるんだ。でも来年いっぱいで終われそうなんだけどね。で、旦那と休み合わせて病院にいくのが、先生のいる日とかも考えると、毎月同じくらいの日になってたの。
で、卵焼きだけど、うちの旦那が病気がわかった原因が浮気なの。浮気相手と変態的なことしてる時に、お尻の穴変だよ。って言われて気になって病院いったら、病気が見つかった。で、全部告白して、でも助けて欲しいって言われた。学生時代から付き合ってて、情もあるから、離婚とか考えれなくて。」
「それと卵焼き関係あるんですか?」
「で、病気による食事制限もあるし、浮気のバツとしての卵焼きをとりあげたの。で、私は最初はバツの意味で目の前で食べてたんだけど、ちょっとかわいそうになってきて、家で食べるのやめてあげた。でも、長年ほぼ毎日食べてたから、出張とか昼ごはんとか、旦那と食べないご飯の時に食べるようになった。ってことなんだ。なんか誤解させてゴメンね」
『マジか・・・』声もでない。。。
と思ったがしぼるように出てきた声
「だって普通指輪もなくて、毎月休むし、卵焼きばっかり」ってなにをいってるのかわからない、現実が理想とかけ離れすぎて、泣くの通り越して、笑えるのをまた通り越して、やっぱり泣ける…涙が出てきた。
恥ずかしいという気持ちが、人生最大を迎えた時、なんとかでた言葉は
「俺、もっと美味しい卵焼きしってるよ」
そのあとの事は記憶がない
ピピピピッ、ピピピピッ
目覚まし時計の音で、目が覚める
もう何年も前の話なのに
いまだに夢を見る
「はあ、定期的にこの夢見るな」
ため息にのる言葉
これがダメなのか?言霊ってヤツか。
次見ても絶対言わない
と決めて、起きる。
「おはよう」「おはよう」
その食卓には
出汁の味が強く、お酒の深み
そして少しだけ砂糖の甘みのある
『今の俺が好きな卵焼き』が
毎朝ある。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。
汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。
元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。
与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。
本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。
人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。
そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。
「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」
戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。
誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。
やわらかな人肌と、眠れない心。
静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。
[こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる