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第一部
1ー8 文書室と封印庫
しおりを挟む階段ではなかった。
けれど、あの“沈み込む感触”は――この館の最奥で、何かが起こっている事を教えてくれていた。
俺たちは食堂を後にし、北側の回廊へと足を向けた。
午前の陽は高くなりつつあるはずだが、北翼の廊下には、すでに外界の明るさが届かなくなっていた。
静けさのなか、石床に響く足音だけが不気味に反響する。
「この先に……文書室と倉庫がある、はず」
セイラがぽつりと呟いた。
文書室と倉庫ーーギルドで聞いた、今回の依頼の目的地だ。
内部を調べ、文書や封印された物品類を運び出す、それが依頼内容だった。
「けど、正直……この雰囲気だと、物を運ぶだけって感じじゃないですよね」
リュクスが小声で言った。
口調は丁寧だが、その肩はやや強ばっている。
「さっきの“影”のことだけど……あれ、霊的な残滓なんだよな?」
俺がそう確認すると、セイラは小さく頷いた。
「ええ......。
記憶のなかに宿る“強い想念”が、場と結びついたとき、ああいう形になるの」
「で、その残滓の元……みたいなのが、この奥にある、と」
「断定はできないけど、ね。
ただ、ギルドの記録では、この館で、"影"が襲って来た、なんて話は一度もなかったわ。少なくとも、ここ数十年は......。
けど、この奥にある"封域"が緩んだのなら、何があってもおかしくないのかも」
「そ、そもそも......"封域"って何なんです?
魔術の封印みたいなもんかな?って思ってましたけど」
「そうね......そんな感じだけど、
詳しく言うと、空間に組み込まれた"結界"っていえば良いのかな。
場所に刻まれた記憶や呪式を、半ば“物理的に”閉じ込めておくものなの」
「それが緩むって……どういう状態なんだ?」
「うーん……例えるなら、ワインのコルク栓とかかな。
浮いてるけど、開いてない。でも、中から"何か”が漏れ出している」
「それって、かなりヤバくないです?」
「ヤバいのは確かね.....。
結界が劣化したのか、誰かが干渉したのか……」
セイラは一拍おいて、小さく息を吐いた。
「でも、封域って、"放っておいて自然に緩む”なんてことは、まずないの。
だから、もし原因があるとすれば――それは、この館の奥、もっと深いところにあるはず」
「それに……」
セイラは少しだけ言葉を切り、迷うように続けた。
「ずっと前に、聞いた事があるの......。
ーー北の果て、凍りついた山間に、"影”を扱う魔女たちがいるって」
「魔女……?」
「うん......。
たしか、"Morigna”……だったかな。里長とかは、"影を視る者たち”って呼んでたけど。
姿のない霊や想念に語りかけて、記憶や感情の残滓を引き寄せて使役したとか」
「じゃあ、さっきのあれ……その、モーリグナの仕業ってことですか?」
リュクスが息を呑む。
「……多分。"誰か”が、この館の奥の奥から、"見つめてる"、"呼びかけてる"ように感じるわ」
セイラの言葉は淡々としていたが、どこか沈んだ響きがあった。
俺は思わず、その横顔を盗み見る。彼女の瞳は、ひたすら前を向いていた。
――何かを、確かめるように。
「私の一族――Faelrusaでは、“影”って、ただの敵じゃないって考えるの」
「……どういう意味だ?」
「想いの欠片。忘れられた痛みとか、見捨てられた記憶とか。そういうのが“影”になるって、言われてるの」
セイラの声は、どこか遠くを見るようだった。
「だから、もしそれがこの館に残ってるなら……たぶん、まだ“応え”を待ってるのかもしれない」
「……私の考え方は、王国にいる、普通の“魔術師”とはちょっと違うと思う」
「違うって、どんな風にだ?」
「たとえば、“呪い”を見つけたら、普通、“解かなきゃ”って思うでしょ?
でも私は、“何故?"から見てしまうの。
なぜ、それがそこにあるのかって......」
「俺にはピンとこないが……。
そういうのも、"魔女"ってやつなんだな」
セイラは小さくうなずく。
「私たちーーFaelrusaは、ずっと昔から、"人の心”を感じ取ることに力を使ってきたの。
だから、“敵”とか“味方”じゃなくて、“なにがそこにあるのか”を読み取ろうとする」
「セイラさんは、記憶を信じる方……なんですね」
リュクスがぽつりと呟いた。
「記憶?」
セイラが振り返る。
「はい。僕は、記録が好きなんです。
記憶は流れてしまうけど、記録は残せますから。
でも、その記憶がどうして残ろうとしたのか、考えるのも、大事なのかもしれません」
セイラはしばらく彼を見つめた後、ふと微笑んだ。
「いいこと言うわね。……そう思わない?」
「……ああ。
まさか、リュクスがそんなこと言うとは思わなかったけどな」
「それくらい、当たり前ですよ! セクンダとはいえ、冒険者ですから!」
リュクスは少し赤くなって目をそらした。
やがて、長く曲がりくねった回廊の果てに、重そうな扉が現れた。
黒檀のような濃い木材に、銀の装飾が散りばめられている。
枠の彫刻は経年による欠けもなく、むしろ研ぎ澄まされた静謐さを湛えていた。
「ここが、文書室……?」
その言葉に応じるように、低い風の音が足元で鳴った。
気づけば、セイラの肩にとまっていた霊鳥――アルファレアが、首を傾けて、扉の向こうをじっと見つめている。
「……感じた?」
セイラが問いかけると、アルファレアは一声も発さず、ただ目を細めた。
「この扉の向こう、“閉じ込められている”んじゃなくて――“眠ってる”」
彼女の囁きに、アルファレアの翼がふわりと揺れた。
静かな拒絶か、あるいは同意か――霊鳥の示す感覚は、言葉にはならない。
アルファレアの身体がふわりと浮かび上がった。
軽やかな風紋が広がり、銀白の羽が、静かに廊下の薄闇を切り裂いてゆく。
音はない。ただ、ひときわ冷たい空気の流れだけが残った。
アルファレアは、扉の上空をひと巡りして、再びセイラの肩へと舞い戻って来る。
「......ねぇ、クリシュ」
セイラがこちらを見た。
「この子って、霊には強いんだけど、“意思”には触れたがらないの。
だから、いまみたいに飛んだ時は……“距離を取りたい”って、そういう意味なのよ」
「つまり、この向こうに、"意志を持った何か”がいるって事か……?」
「眠ってるだけ、ならいいんだけどね」
「......差し詰め、静かなる"番人"ってところですか」
リュクスが苦笑混じりにぼやく。
「さて、鬼が出るか、魔が出るか......」
そう言いつつ、腰のポーチから“銀の鍵”を取り出す。セイラから手渡されたものだ。月明かりのような光沢が、どこか神聖な印象を与える。
鍵を差し込む。
カチャ、と軽やかな音がしたのに、扉はびくともしなかった。
「……開かない?」
リュクスが不安げに声をあげる。額には、先ほど“影”に触れた時と同じような、細かな汗が浮かんでいた。
「魔術封印ね」
セイラがそっと扉に手をかざす。
彼女の指先が触れた瞬間、銀の文様がわずかに脈打つように光った。
「これは……図書封印術式、かな。帝国時代の。少しだけ、記録を読んだことあるけど……」
彼女は文様をなぞりながら、言葉を選ぶように続ける。
「こういう封印は、“鍵”の他に、正当な来訪者しか、開けない仕組みになっているわ」
「正当な……って?」
「鍵の持ち主と、誓約。あるいは、"管理者"としての証。
誓約は、大抵ーー荒らさず、壊さず、持ち出さずっていう"お約束”ね。文書室だから、当たり前ではあるんだけど」
「それって……俺に、できるのか?」
「クリシュ」
セイラがそっと、俺の右手に触れた。
「試してみて。……あなたなら、通れる気がするの。
"魔女"のお告げよ」
冗談めかした言葉とは裏腹に、彼女の瞳はいつになく真剣だった。
戸惑いながらも、俺は扉に再び手を伸ばし、ゆっくりと押してみる。――すると。
カコン……と、微かな音とともに、錠前の周囲に刻まれた文様が白く発光しはじめた。
まるで、扉自身が俺の存在を“認識”したかのように。
「……開いた?」
重い扉が、静かに、きしむ音を立てて開いた。
その瞬間――
「……うっ」
セイラが額を押さえて立ち止まる。
「どうした?」
「……ちょっとだけ、共鳴してる。気にしないで。大丈夫だから」
そう言いながらも、その指は微かに震えていた。
【倉庫】
扉の先は二手に分かれていた。左が倉庫、右が文書室。
まず俺たちは、倉庫の方へ足を踏み入れる。
棚の間を通るたびに、かすかな塵の匂いと、鉄のような金属臭が鼻を掠めた。
並べられているのは木箱や陶器の壺、巻物に封印布――形も大きさも様々な物品が、整然と静止していた。
「……ここ、"倉庫”って感じじゃないな」
リュクスがぼそりと漏らす。
「うん……“封印庫”って言った方が近いかも」
セイラが言った。
「研究の途中で危険があるものとか、検証中の遺物とか……そういうのを、一時的に保管してた場所かもしれない。あくまで、可能性だけど」
「あり得ますね。でも……妙に綺麗に整理されてますね。時間も経ってるし、もっとこう、荒れてると思ってました」
「それはまぁ......"封印庫"だからかな。元々、帝国時代の研究機関だったって話だから、状態が変わらないよう、"保存"とか"停止"の術が組まれてるんだと思うわ。
要するに、まだ"生きてる"ってことね」
彼女の言葉は、断定ではなく、丁寧に並べられた推測だった。
そのとき、彼女がひとつの木箱に目を留めた。
魔術的な封印布に包まれた板片。そこには、何らかの図形が彫られている。
「これは……なにかの……魔法陣か?」
俺がそう言うと、セイラはそっと首を傾げた。
「見たことのない書式。でも、契約に関係あるものかもしれない」
彼女の声は慎重だった。
“知っている”から語るのではなく、“知ろうとしている”姿勢がそこにある。
「もっとちゃんと調べるには、文書室を見てみないと、だね」
セイラはそう言って、やわらかく微笑んだ。
【文書室】
右手の扉も、同じ銀の鍵で開いた。
中は、まるで空気そのものが凍りついたかのように静まり返っていた。
壁沿いに並ぶ棚には、丁寧に保存された巻物や帳面が収められている。
窓はない。光源も乏しいのに、なぜか棚の隅々まで見通せるような。
そんな不思議な空間だった。
「……これ全部、帝国期のだ」
リュクスが近づいて、そっと背の低い棚を眺める。
「読みはしないけど……何となく雰囲気で分かる。ヤバい匂いがぷんぷんしますね」
「慎重にね」
セイラが言い、ひとつの帳面を棚から引き出した。
それは、管理用の記録台帳のようだった。
「日付と収蔵番号……それに、分類記録……」
彼女がページを捲るうちに、ある項目で指が止まる。
「……“契印術研究記録”。“試行個体群”……?」
聞きなれない言葉に、俺も思わずページを覗き込む。
そこには幾何学的な文様と、緻密な図式がいくつも描かれていた。
「……!」
そのひとつに、俺の指先がふと触れた瞬間。
かすかに、図の中心が光を帯びた。
「……今、反応した?」
セイラが、驚いたように俺を見つめる。
けれど、それ以上は何も言わず、ゆっくりと帳面を閉じた。
「……詳しくは、まだ。私も知らないことが多すぎるし……でも、次は地下の封域を見に行かないと。きっと、この記録も、そこに繋がってる」
彼女の声音は、どこか不安げでもあり、決意のようなものも混じっていた。
「……記録、全部写しときたいけど……時間がないですね……!」
リュクスが悔しそうに呟きながら、急ぎ速記を走らせていた。
「焦るな。生きて帰るのが先だ」
俺がそう言うと、彼は苦笑しながらうなずいた。
「……はい。わかってます。でも、こういうのって……次に来た時は、もう“違ってる”かもしれませんから」
――ああ。
確かに、この静けさも、この気配も、次に来た時には……。
俺たちは互いに短く視線を交わすと、再び黙って歩き出した。
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