22 / 38
神竜家
どうしよう?
しおりを挟む窓から差し込む光と、鳥の鳴き声に起こされた。
「ん? もう朝か……」
清々しい朝。
俺はいつものようにベッドの上で上半身を起こし、あくびをしながら伸びをした。
また今日も家族や友達に冷たい態度をとられるのかと思うと、ベッドから出るのも億劫になってしまう。
いつまでもダラダラしているとまた両親に怒られるので、眠気まなこを擦りながら部屋を出た。
「お母さーん! お腹空いた!」
自分の部屋の前で大きな声を出し、起きました的に母を呼んだが返事が返ってこない。
でもこれは、いつもの事だ。
── いつもの事……ん? なんか変だな……。
「あっ……皆モンスターに殺られたんだった……」
自分の中で昨日の出来事を無かった事にしようとしていたのか……完全に現実逃避をしていたようだ。
一晩が過ぎ、否応なく突き付けられる現実に、これからどうやって生きていこうかと不安が押し寄せる。
「ううっ……ぐずっ、ずずっ。──う~、昨日は大丈夫だったのに、ひっく、ざびしい……」
一人ぼっちになったという現実を目の当たりにし、寂しかが込み上げてきた。
家族全員がいきなりいなくなったんだ、誰でも不安になるだろう。でも、生きていかなければならない。
「ぐすっ……お腹が、鳴ってる……」
お腹は何時だって空く。
家宝の刀を持ち、あまり辺りを見ないように一階へ下りて泣きながら食事を済ませた。
── い、いつまでも泣いてられない……。もう誰も助けてはくれないんだから、俺は強くならないといけないんだ。──そうだ、電話があるじゃないか!
急いで家の電話を手に取ったが不通だった。
「携帯ならいけるかな?」
リビングにあった父の携帯は圏外になっている。使えないものはしょうがない。
携帯をテーブルに置き顔を上げると、家の中で横たわっている人が目に入った。
このままでは可哀想だと思い、横たわる人全員に布団やシーツなどを被せる。
また涙が溢れ出すが、必死に堪えた。
その後自分の部屋へ戻り、今後の事を考えることに。
昨日の外の様子、そして電話が繋がらない事から考えても、もう町は機能していないのかもしれない。
もしかしたら、俺のように運良く生き残っている人がいるかもしれないが、それをあてにしていると誰もいなかった時が辛い。
俺一人だけがこの町で生きていると思っておこう。その方が誰もいなかった時に落ち込まないで済むから。
父が山向こうの街にある磯良支部と一緒にモンスターを倒すと言っていたが、そこに助けを求めるか?
いや、電話が通じないのなら、徒歩か自転車で行かなければならない。
自転車はあるけど、あの山を越えて行くことは無理か……。
── どうしよう? 家の中のあちこちに人が転がってるし、家族が亡くなってるこの家ではもう生活出来ない……。人を探しながら磯良支部に向かって進むしかない、よな。
そんなことを考えていると、昨日の事を思い出した。
── そうだ。俺、モンスターに攻撃されたのに死ななかったんだよなぁ。あれはなんでなんだろう? ステータスの『神』のお陰かな? 死ななかったのは良かったけど、死ぬ程痛かった……。あんなのはもう嫌だな。
━━━━━━━━━━
─ 磯良支部 ──
「こちら磯良支部。栗山支部、応答して下さい。こちら磯良支部。栗山支部、応答して下さい」
剣谷誠隊員がマイクに向かって話した後、暫く返事を待つが応答がない。
「河井支部長! 栗山支部、応答ありません!」
河井明支部長が、肘置き付きの立派な椅子に深く腰掛け、デスクを指でトントン叩きながら早口で命令する。
「だったら直接電話してみろ! 一々聞くんじゃねぇ!」
「はっ! 申し訳ありません!」
河井に怒鳴られた剣谷が、今度は電話で連絡している。
「駄目です、繋りません!」
「──どうなってるんだ? 昨日は朝の……確か八時半頃だったか? 巌上の携帯に電話して話したんだが。今から子供の儀式があるからまた連絡すると言われて、それから連絡がない。まぁ、こっちも連絡を取ってねぇが……。今日の朝には連絡が入ると思ってたが、もう午前十一時を回ってるんだぞ? いくら栗山支部の隊員数が少ないといっても、一人くらいは事務所にいるだろうに……」
栗山支部近辺で最近頻繁に目撃されているモンスターを討伐しようと、磯良支部と栗山支部とで共同作戦を実行する予定になっていた。
磯良支部の河井支部長と栗山支部の神竜巌上支部長は仲が良く、気心知れている。なのに、連絡が無い事に苛立つ河井。
「あいつ、上に報告してから心を入れ替えるのかと思ってたが、そんなもん欠片もなかったからな……もしかして、この間のアレを独り占めする気じゃねぇだろうな?」
「アレを独り占め……ですか? ──河井支部長、独り占めとは何でありますか?」
剣谷の質問に、窓の外を眺めている河井が。
「お前は知らなくていい」
はぐらかされた剣谷は、別の話題を河井に振った。
「あの、もしかしてランキング最下位の理由が現実になった……なんてことありませんよね?」
「はっはっはっ! そんなことある訳ないだろ……と言ってみたものの、日本UAFの支部に連絡が取れないってのは不可解だ。それに、栗山支部近辺にモンスターが出没してるのも確か……」
河井がまたデスクをトントン叩きながら、隊員に指示を出した。
「ヘリの用意をしておけ。陸から行くのは止めとけと俺の感が言ってる。十三時だ、それまでに連絡が無ければ一度偵察に出るぞ」
「了解しました!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる