俺の価値って0円なのか?〜最強の矛を携え、ステータスにある『最強』のスキルがまさかのチートだったので最弱からダンジョンを蹂躙し無双する〜

カレーハンバーグ

文字の大きさ
21 / 38
神竜家

戦うという選択肢が頭にない

しおりを挟む

 色んなことを考えながら窓の外に目をやると、ふと佐山のことが気になった。

「あれ? そういえば佐山を見かけなかったよな。家にいないということは、どうにか逃げきれたってことかな? 会いたいなぁ佐山に……」


 ── まてよ、もしかしたら外に佐山がいるかもしれないぞ。探してみようかな……。


 そう思い、家を出て町を見回ることにした。俺は家族よりも佐山が好きだから。

 そうと決まれば急いで家を出る。何が起きるか分からないので、家宝の刀を抱きかかえて。

「この刀を手に持ってると、強くなりたいって気持がどんどん大きくなってくる」

 そんなことを呟きながら歩いていると、道や庭に人が倒れているのが見える。
 犬が走り回っている以外生きている人は見かけないし、見える範囲で無事な家はなさそうだ。

 町外れの山からモンスターが押し寄せたのか、別の所から来たのか俺には何も分からない。

 佐山を探しながら歩いていると、いきなりモンスターが目の前に現れた。

 キョロキョロしながら歩いていたのに、突然現れたモンスターに全く気が付かなかった。

 子供の俺の脳では処理しきれない突然の情報に、理解が後から追いついてくる。


 ── え? モンスター……だ。う、嘘だろ? まだモンスターが残ってたなんて……。い、家を出るんじゃなかった。


 佐山に会いたい一心で外に出たのが間違いだった。刀を抱きしめていたが、怖くて戦うことなど出来ない。
 というより、戦うという選択肢が頭に無い。

 俺はモンスターに詳しくないので、こいつの名前も分からないし特徴も分からない。

 何もかも分からない尽くしで、刀を抱きしめ震えながらただ立ち尽くしていた。

「──く、来るな。あっちへ行ってくれよ……」

 俺の思いも虚しく、段々と近づいてくるモンスター。
 モンスターを前にし、叫ぼうとして口を開けるが声が出ているのかどうかさえ分からない。

 目の前にいるモンスターが自分の体の前で手の平を上に向けると、小さな火が現れた。

 その火がやがて大きなボール状へと成長していく。

「そ、その火のボールをどうするんだよ? もしかして、俺に向かって投げる気か? や、やめて……」

 後退るどころか怖くて脚が震え、体を動かすことさえ出来ない。
 人の言葉など分からないであろうモンスター相手に、「やめて!」と口を動かしたが、声に出たのか出なかったのか……。

 モンスターがその手をゆっくりと上げ、俺に向かって火のボールを放り投げた。

「あっ、はゎ、あ゛……」

 段々と近寄ってくる火のボール。俺にはスローモーションに見えている。

 火のボールが来るのを待っている訳では無いが、足が地面に貼り付いて離れない。

「うわ゛ぁぁーーっ!」

 火のボールが俺に触れると、ゆっくりと俺の身体を包み込んだ。


 ── あ、熱いっ!


 息を吸った途端に喉が焼け、全身の熱さと痛みで地面に倒れる。

 考える余裕などない。熱くて痛くて、ただがむしゃらに動き回った。

「あ゛、い゛……だ、だず……」

 焼けた喉がから出る声は、もう言葉ではない。──そして、意識が遠のいていく……。



 ❑ ❑ ❑



 ── はっ!


 目が覚めて身体を起こそうとした時に、全身に痛みが走っ……らない?

「あれ? 死んでないのか? 確か俺はモンスターに火のボールを投げつけられて、全身火だるまになったんだよな? だったら大火傷を……」

 間違いなく熱かった記憶はあるが、自分の身体を見てもどうもなっていない。
 触っても痛い箇所はどこにも無かった。

 頭に手をやると、髪はゴワゴワで短くなっており、服も焼け落ちている。

 つまり裸だ。

 辺りを見渡したがモンスターはもういない。

「──なるほど、やっぱり俺は死んだのか」

 そう解釈するに至る。

 立ち上がり、体ごと一回転しながらもう一度辺りを見渡したが、やっぱり先程のモンスターはいなかった。

 見覚えのある景色。

 家は崩れ、まだ火が燻っている所もある。道には血を流し倒れている人がいて、庭にも……。

「──ん? モンスターに殺される前に見た光景ばかりだ。俺って地縛霊にでもなったのか……ってもしかして、俺って死んでないのか?」

 もう一度身体に目をやると、足元に刀が転がっているのが見えた。

「あっ! 家宝の刀だ。──持てるぞ。幽霊なら持てないよな? やっぱり夢でも無いし、死んでもいないんだ。だったら何で無傷なんだろう? っていうか、振るのもやっとだった刀が少し軽く感じるのはなんでだ?」

 生きていることも、刀が軽く感じることもさっぱり分からないが、生きているのなら真っ裸なのがたまらなく恥ずかしくなってきた。とにかく、急いで家に帰ることに。

「だ、誰にも見られてないよな? 真っ裸で外を走ったのは初めてだよ……。──外はもう真っ暗だ。どれくらい気を失ってたんだ?」

 家に着くと家の中も変わっていない。俺が斬ったドアもそのままだし、亡くなっている人も動いた形跡はない。

「佐山……結局いなかったなぁ……」

 二階の自分の部屋へ行き、パジャマを着てベッドに潜り込むと、いつの間にか眠りについていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...