妖精さん達と暮らそう 改訂版

東郷 珠

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続くキャンプの夜

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 私は大満足の運動会を終えて、私は少しのんびりとしています。キャンプ用のチェアにどへっと埋まって、みんなの様子を眺めてます。
 モグとペチは、草原を走り回ってじゃれています。さっきまで寝てたのに、元気ですね。たまにお外に出る二匹ですが、草原は一味違うんでしょうか。いつもとは、少しテンションが違う気がします。
 ミィはモグ達の近くで、丸くなって寝てます。あのさミィ、なんか毛玉みたいになってるよ。

 妖精さん達も楽しそうです。運動会の興奮が抜けてないみたいで、走り回ってたりします。火の妖精さんが気になるけど、水の妖精さんが居るから心配ないでしょ。
 運動会のお片付けを楽しそうにやっていたお掃除の妖精さん達は、他の妖精さん達と追いかけっこしてます。ちょっと心配はしてたんですよ、自分の役割みたいなのが無くなったら、妖精さん達の元気が無くなっちゃうんじゃないかってね。
 そうでも無かったみたいですね。『それはそれ』って所でしょうか。キャンプという非日常の空間を楽しんでるみたいです。

 特に幸せそうなのが、お花の妖精さんですね。緑が豊かな草原にいるのが、嬉しいんでしょうね。クルっと回ってから、ニコって笑顔を見せてくれます。一回転して笑顔、クルっニコを何度も繰り返して、体中で喜びを表現しているみたいです。
 
 う~ん、平和ですね。いい景色と幸せな光景は、心を洗い流してくれる気がします。

 何よりも平和なのが、裕子ちゃんが酔っぱらって寝ている事でしょうね。
 何だかんだで、車やキャンプ道具の手配に加えて、朝から運転してここまで連れてきてくれたんですし、ゆっくりと休ませてあげましょう。そろそろ夕方だし、ブランケットでもかけてあげましょう。

 起こしたらやかまし、もとい面倒くさい、う~ん適切な表現が見つからない。とにかく元気な裕子ちゃんが静かなのも、たまには良いと思うんです。
 それにしても、キャンプ場に着くなり、モリモリ食べて飲んで寝ちゃうなんて、どこのお父さんでしょう。そう言えば、裕子ちゃんの苗字は音尾さんでしたっけ。どうでも良いですか? そうですか。

 ちなみに、美夏ちゃんはまだ帰ってきてません。サバイバルの妖精さんが、着いていったから迷子の心配はないと思いますけど、何て言うかわんぱくですね。
 最近では、まるで女の子みたいな男の子を、男の娘と呼ぶようですが、色んな属性を兼ね備えた美夏ちゃんは、何にカテゴライズされるんでしょう。
 ボクっ娘でしょうか? わんぱくっ娘でしょうか? 脳筋サバイバーでしょうか? どっちにしても、女の子の呼び方とは思えませんね。
 見た目はとっても可愛くて、彼氏なんてわんさか出来そうな気がしますけど。いまだに男っ気が無い、残念な子です。
 いい子なんです、自由奔放っぷりを理解してくれる男性諸君、美夏ちゃんはお勧めの逸材です。ってかこれ、何の紹介ですか! 人の事をとやかく言ってる場合じゃないって? 私も彼氏が居ないです、グスン。

 裕子ちゃんは、何のカテゴリーかって? 何を仰いますか、食欲魔王に決まってるじゃないですか。あれだけ食べてるくせに、ナイスバディって意味がわかりませんよ。もう都市伝説レベルですよ。
 あの食欲のせいで、彼氏に振られたんですよきっと。まぁ、個人的には剛田君か、武君と呼んであげて欲しいですけど。とは言え、私の事をのび子と呼ぶのは禁止です。

 そう言えば、この間たまたまやった相性占いで、裕子ちゃんと私の相性は抜群に良かったです。一応ね、はっきり言っときます。私は百合ではありません。
 もし、裕子ちゃんが男だったら? う~ん、知らない間に彼女認定されてそうで、怖いですね。それで気が付いたら入籍してたとか、ありそうで怖いです。
 子供は二人くらいで、モグ達にも子供が出来て、お帰りなさいあなたって、何を言わせるんですか! やめて下さい、そういう関係じゃないんです!

 それはさておき、キャンプですよキャンプ。せっかくのキャンプなんです、しかも近くに温泉が有るんです。最高なんです。まぁ、こんな妄想している位にゆっくりできるのが、一番の最高なんでしょうね。

 あ~、夕焼けが素敵! 妖精さん達もずらっと揃って、山の稜線に日が沈んでいく所を眺めています。なんだか、青春の一幕みたいで微笑ましいですね。
 
 流石に日が沈む頃には、だいぶ涼しくなってきますね。さて、焚火でもしますかって、着火の心配はしなくて良いんですよ。火の妖精さんがボウって、色々燃やしてくれますから。
 
 薪の暖かな光に包まれて、お料理の妖精さんが夕食の準備をします。
 匂いに釣られて、裕子ちゃんが目を覚まします。流石は食欲魔王です。そんでもって、ようやく帰ってきた美夏ちゃんは、泥だらけになってました。どこで何してきたのやら、ミス泥ん娘と呼んであげましょう。

 仕方なく、温泉に連れて行きましたよ。もちろん、裕子ちゃんも一緒にね。普通は、食事より温泉に目を輝かせるのが、女子ってもんじゃないですか? それが裕子ちゃんときたら。

「先に食事よ! 決まってるじゃない!」

 私は、裕子ちゃんの首根っこをつかまえて、温泉に連れて行きましたよ。マイペースな美夏ちゃんは、適当に体を洗って湯船でふい~って言ってます。

「あ゛ぁ~!」
「裕子ちゃん。おっさんみたいだよ」
「いいのよ。それにしても、温泉最高ね! 夕食が余計に楽しみになってきたわ」
「裕子って、ご飯の事ばっかりだよね」
「うっさいわよ、美夏!」
「そんな美夏ちゃんは、何処で何をしてたのよ!」
「ちょっと山の方まで行ったら、遭難しかけちゃってさ。転んで崖から滑り降りたりしてたのさ」

 色気が無くて済みません。温泉回なのに、ポロリが無くて済みません。って、ポロリなんてする訳ないっしょ!
 そもそも女子トークって、もっと楽しそうだろって? いやいや、何を期待している男の子達よ、夢を壊してすまんです。
 女子のトークは、キャッキャウフフみたいな、ときめき色はしてないですよ。場合によっては、どす黒い色してますからね。

 とりあえず温泉効果で、夕食のおいしさがマシマシでしたね。でも、幸せなひと時もこれで終わりです。
 昼間に寝まくってた裕子ちゃんが、「夜はこれからよ!」みたいなテンションになってます。
 
 テントに入って、寝袋に包まれた所までは良かったです。そこからは、裕子ちゃんと美夏ちゃんの、リアルホラー話が始まっちゃいました。
 私の怪談には笑い転げていた妖精さん達が、怖がってテントから出てっちゃいました。私は、怖くて一人でトイレにも行けずに、おまけに眠れずにいました。
 そんな私を置いて、話し疲れた二人は先に寝ちゃいました、コンニャロ! 因みに、モグ達は猫用のテントで寛いでいたみたいです。
 
 はい、朝日が目に優しくなかったです。でも、朝食は美味しかったです。そして帰りに助手席でウトウトしていると、裕子ちゃんに叩かれました。とっても理不尽です、グスン。

 運動会は楽しかったし、外での料理も格別でしたけど、暫くキャンプはいいや。それにしても旅をした後、自宅に辿り着いた時のほっとした感ってなんでしょうね。

 あぁ、言い忘れてました。実はお土産があります。なんと、美夏ちゃんが着いてきました。暫く私の自宅に居候するそうです。あぁ、面倒くさい予感がします。
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