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クオがその場から去ると、フローがクオの天幕から出てきた。
「おはよ~、ガーラ」
フローは上機嫌だった。ガーラはにこやかに返した。
「おはよう。さっきのクオとの話は聞いていたようね」
「さすが、ガーラだね」
フローは短く肯った。
「フローって嫉妬はしないの?」
ガーラは短く訊いた。言葉は軽いが、重く確かめるように。
「ん、オレ? 別に。クオは物じゃないし。クオがオレじゃない人と恋愛しても、何人と付き合っても、自由にすればいいって感じだね。人の独占欲は無駄って思うのは、シーフだからだろね」
フローは軽く答えた。そしてガーラに軽く尋ねた。
「そういうガーラもだよね。ガーラは依存心がないよね~? オレとクオの間柄に対しても、遠慮じゃなくて認めてるって感じだしさ」
ガーラは明るく答えた。
「私の産まれた中央大陸では、三人以上の縁の繋がった恋人たちが結婚することもあるんだけど、西大陸にはないのかしら?」
フローは得たりと笑った。
「そーだね~。西大陸の中央にあるバラ族の国には、そういう繋がりを認める式を挙げられるらしいね」
ガーラは頷いた。
「そう。やっぱりあるのね。私の育った中央大陸では珍しくないし、そういう繋がり、いいわよね。別に嫉妬する人を否定したいわけじゃないわ。独占欲が本当の愛って考え方と私は違うだけ。
元々、フローが『チェス』で私の元に来たのは、クオのことが話したかったからでしょ? フローと気が合ったのも、クオとの間柄はお互い了解済みだと思っていたわ」
フローは笑った。
「心が追いついてないのはクオだけだからね~」
「そうみたいね」
ガーラもにこりと笑った。
「クオ、真面目だからね~」
ガーラとフローは笑いあった。
「じゃ、ちょっと用事があるから、クオが戻ったら先に朝食を食べてていいぜ」
フローはガーラに言い残すとその場から消えた。
クオが朝の支度から戻ると、クオとガーラはひとまず先に白パンと乾し肉の軽い食事を済ませることにした。
しばらく経つと、フローが姿を見せた。手には摘みたての野いちごが入った籠を携えていた。
フローは明るく二人に赤い実を勧めた。
「コレさぁ、用意したから食べようぜ。ガーラもさ、嫌じゃなければ一緒にどう~?」
フローの言葉には微かな気遣いが含まれていた。ガーラは笑顔で応えた。
「そうね、私もお相伴させてもらうわね」
クオは和やかな空気に安堵した。そして赤い実を一つ口にした。甘かった。フローと目が合う。フローはにっと笑う。視線には艶っぽさがあった。クオはそれを温かく受け入れた。その様子を見てガーラは微笑んだ。クオはフローからの年を重ねた深い愛情とともに、クオの心を大切にするガーラの愛情も受け入れた。
「おはよ~、ガーラ」
フローは上機嫌だった。ガーラはにこやかに返した。
「おはよう。さっきのクオとの話は聞いていたようね」
「さすが、ガーラだね」
フローは短く肯った。
「フローって嫉妬はしないの?」
ガーラは短く訊いた。言葉は軽いが、重く確かめるように。
「ん、オレ? 別に。クオは物じゃないし。クオがオレじゃない人と恋愛しても、何人と付き合っても、自由にすればいいって感じだね。人の独占欲は無駄って思うのは、シーフだからだろね」
フローは軽く答えた。そしてガーラに軽く尋ねた。
「そういうガーラもだよね。ガーラは依存心がないよね~? オレとクオの間柄に対しても、遠慮じゃなくて認めてるって感じだしさ」
ガーラは明るく答えた。
「私の産まれた中央大陸では、三人以上の縁の繋がった恋人たちが結婚することもあるんだけど、西大陸にはないのかしら?」
フローは得たりと笑った。
「そーだね~。西大陸の中央にあるバラ族の国には、そういう繋がりを認める式を挙げられるらしいね」
ガーラは頷いた。
「そう。やっぱりあるのね。私の育った中央大陸では珍しくないし、そういう繋がり、いいわよね。別に嫉妬する人を否定したいわけじゃないわ。独占欲が本当の愛って考え方と私は違うだけ。
元々、フローが『チェス』で私の元に来たのは、クオのことが話したかったからでしょ? フローと気が合ったのも、クオとの間柄はお互い了解済みだと思っていたわ」
フローは笑った。
「心が追いついてないのはクオだけだからね~」
「そうみたいね」
ガーラもにこりと笑った。
「クオ、真面目だからね~」
ガーラとフローは笑いあった。
「じゃ、ちょっと用事があるから、クオが戻ったら先に朝食を食べてていいぜ」
フローはガーラに言い残すとその場から消えた。
クオが朝の支度から戻ると、クオとガーラはひとまず先に白パンと乾し肉の軽い食事を済ませることにした。
しばらく経つと、フローが姿を見せた。手には摘みたての野いちごが入った籠を携えていた。
フローは明るく二人に赤い実を勧めた。
「コレさぁ、用意したから食べようぜ。ガーラもさ、嫌じゃなければ一緒にどう~?」
フローの言葉には微かな気遣いが含まれていた。ガーラは笑顔で応えた。
「そうね、私もお相伴させてもらうわね」
クオは和やかな空気に安堵した。そして赤い実を一つ口にした。甘かった。フローと目が合う。フローはにっと笑う。視線には艶っぽさがあった。クオはそれを温かく受け入れた。その様子を見てガーラは微笑んだ。クオはフローからの年を重ねた深い愛情とともに、クオの心を大切にするガーラの愛情も受け入れた。
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