悪の組織の正義論

あるふれん

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第七話 アッセンブル

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幹部全員に招集命令を出し、円卓で待ち構える。

最初にやって来たのはアミカ、次にロロだ。



「おや、ボスが一番乗りかい、珍しいこともあるもんだ」



「アミカさんにボスか。ボスがすでにいるなんて珍しいな」



二人揃って、ボスたるわたしに失礼な口をきく。

だが気にすることではない。そもそも立場上ボスという肩書きなだけで、我々は”対等な関係”だ。



「おっはよー!リーナお姉さんとルカちゃん、ただいま到着ー!」
「おはようございます、ボス。ロロさんとアミカさんも」
「おやおや、今日はリーナ殿がルカ殿を連れて来たのかい」
「そうだよー!ボスがもういるなんて珍しいね!」

円卓にはすでにわたしとロロ、アミカが座っている。
遅れてやってきたのはリーナと、車イスに乗せられたルカだ。



「ウィルはどうした?」
「それが昨日帰ってきてなくてね、遠征してるみたい。代わりにルカちゃんのことお願いーって」
「おや、あの格好つけたがりが珍しい。ようやく人を頼るようになったのかね」
「雑談は後にしろ。リーナ、席につけ」

放置してると話が長引きそうなので、さっさとリーナを座らせる。



「さて、これで全員揃ったな」
「またまたー、ボス、ウィルくんがまだ来てないよ!」



「いや、これで全員だ」

リーナとルカはきょとんとしている。
ロロの表情は昔から分からんがいつも通り。アミカは今ので察していそうだな。
本題に入る。






「ウィルが死んだ」

「……」

ロロの表情は変わらない。アミカは顔をしかめた。
泣き出しそうになっているルカを、リーナは抱きしめている。

話を続ける。



「これで政府からの依頼は達成した」
「……ボス、ルカ殿の前でその言い方はどうなんだい」
「何を言っている。すでに前回の会議で全員に話したことだ」

そう、これは創立メンバーが揃った前回の会議で話したことだ。
もちろんウィルもその場にいた。その時のことを思い返す。





────────。





「政府から直々に依頼が来ている。内容はウィルを暗殺しろとのことだ」

「……なに?」

静まり返った場に、一番最初に口を開いたのはロロだ。
もっとも、発言と呼べるほどのものではなかったが。



「ボス、もちろん断ったんだよね?」
「いいや、引き受けた」
「なんで!」

次に声を上げたのはリーナ。抗議の声だ。

アミカは口をつぐみ、ルカはウィルの方をじっと見ている。

だがウィルは至って冷静だった。彼が口を開く。



「ボス、その依頼でボスは野望に一歩でも近付けますか?」
「一歩どころではない。かなり実現に近付くと言っていいだろう」

その言葉で全員が引き締まった表情になる。

我々はそのための”組織”だからだ。



「向こうは色々と御託を並べていたが、要するに自分たちが我々を扱いきれなくなる前に力を削ぎたいというところだ」
「何人も殺してる俺が死ねば戦力も削げて、ついでに自分たちの罪も着させられて一石二鳥みたいな?」
「そういうことだ、なめられたことにな。その代わり我々に都合のいい条件をふんだんに要求させてもらった。向こうにとっては大した痛手でもないと思ってるであろうことをな」
「待ちなよ」

アミカがわたし達の会話を止めるように口を開く。



「条件が何かなんてどうでもいい、ボスが野望に近付けるのならいいさ。だが一番大事なのはウィル、あんたがそれでいいのかい?」

「はい、いいですよ。もちろんこれはよく考えたうえでの結論です」

アミカの質問に対して、ウィルは一切の迷いなく答える。



「……そうかい、それならこの年寄りから言うことはないね」
「……お姉さんも大丈夫かな」
「おれもだ」
「……」

アミカ、リーナ、ロロが賛成する。ルカは喋らないが、首を縦に振った。

全員、心から賛成している様子ではなかったが。

話を進める。



「ウィル、新人隊員の中に白森という偽名を使って、お前の命を狙っている女がいるな。そいつを利用しろ」
「ボスが手を下してくれないんですか?」
「わたし達の中にお前を殺したいやつがいると思うか?」
「……」

全員の顔を伺って、ウィルが黙る。
気まずそうな顔をしている。



「今すぐ殺されろとは言わん、シューティングスターの捜索もあるしな。タイミングはお前に一任する」
「了解しました」
「では会議は終わりとする。……全員、ウィルと悔いの無いように過ごせ」





────────。





そして現在。
部屋が静まり返り、ルカとリーナの涙をすする音だけが聞こえているが、構わず会議を続行する。



「話を続けるぞ。これで我々悪の組織は”政府公認の対ヒーロー組織”から大きく進化を遂げる」

「今まではただ政府の指示のもと、不祥事を行ったヒーローや法で裁けない悪に攻撃を行ってきた」

「だがこれからは我々の判断により、それらを行うことが出来る。もちろん国のお墨付きでな」

「……それがウィルを失って得た成果か」
「そうとも。何か問題があるか?」

わたしの話に文句を言うようにロロが口を挟む。彼にしては珍しく苛立っている。



「もちろんこれだけで終わるつもりはない。よって次に話すのは、今の我々にとって”最優先の最重要任務”だ」

今までの会議で使ったことのない表現に、幹部たちの姿勢が変わる。
全員がわたしを見る。険しい表情をしているロロとアミカも、目元が腫れているルカとリーナも。









「ウィルを蘇らせるぞ」






「……!?」

ルカとリーナが目を丸くする。あのアミカとロロさえ、驚いている表情だ。



「わたしの調べで、とある地域に”後天的な能力者”を発見した。能力は”空想上の人物の具現化”だ」

「その具現化した人物は実体を持ち、独立した思考で動き、すなわち普通の人間と何ら変わらない」

「つまり存在しない人間を存在させる力が人間の能力にはある。ならば、存在する人間を存在させることは?出来ても不思議ではない」

「ま、待ってください!」

ルカが挙手をし、声を上げる。
今まで彼女から聞いたことのない大声だった。



「長年に渡って強い願望を持ち続けることで、その願望通りの能力を得ることが出来る。確かに後天的な能力者はそうやって生まれます。でもそれは本当に長い期間、ずっとそれを思い続けなきゃ──」
「誰がわたし一人でそれをやると言った?」
「……へ?」



「ウィルは一体何年この組織に居た?一体どれだけ多くの隊員の指南をし、その者たちに慕われている?ずっと一緒に居たお前なら、いや我々なら知っているはずだ」

「これは”我々の任務”だと言った、つまり”悪の組織全員”で行う任務だ」

「我々でウィルが生き返ることを願い、”彼を生き返らせる能力”を得ること」

「ひとりの人間がひとつの能力を得られるのなら、複数の人間でひとつの能力を得ることが出来ない道理はあるまい」

「……」



まだ誰も把握できていないのか、わたしが話すのを止めると場が静まり返る。



だがその沈黙を最初に破ったのはアミカだった。



「はっはっは!ボス、あんたも無茶苦茶を言うねえ!」
「なんだ、では協力しないとでも?」
「やるに決まってるだろ、なめるな小童!」

小童か。わたしを小童扱いできるのはアミカくらいだろう。



「当然おれもやるぞ」
「お姉さんも!むしろ参加させてくれないと怒るよ!」
「わたしも!絶対、力になります!」

ロロもリーナもルカも、前のめりになって賛同する。



「……ふんっ、当然だ。誰の提案だと思ってやがる」
「格好つけてないで早く実行しようよ、ボス!」
「ならばお前たちはさっさと自分の部下たちを呼べ。場所はすでに用意してある」
「場所ってここで良いんですか?」
「この部屋に全員入りきるわけがないだろうが」

ルカの天然発言をぶった切って、とっとと場所を教える。



「故人に思いを馳せても違和感のない場所と言えば、葬式場だろうよ」

「……カモフラージュか、流石だな」
「この都市で一番巨大で豪華な葬式場をしばらく貸し切りだ。成果が出せないとは言わせんぞ」
「またまたー、お金なんて気にしてないくせに!」
「ああ、ウィルの方が価値がある」
「はっはっは、素直じゃないねえ、ボス」

リーナとアミカの絡みをかわして、出掛ける支度をする。



「あ、ロロさんの車って四人乗りですよね、どうしましょうか」
「わたしは別の用事がある。お前らは先に行け」
「えー!人でなし、薄情もの!」
「ウィルが生き返ることを願うのに重要な人物が居るだろうが!」

リーナは思い当たる節がないと言った様子だ。こいつマジか。



「わたしはウィルのご家族さんに会いに行く」





────────。










────────。










────────。










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────────。





夢を見ていた。



見渡す限りのお花畑。



ルカの能力だ。



彼女の能力は”世界の狭間の生成”



現実世界とは別の時空に、自分の望んだ世界を生み出す。



そしてこの世界に立ち入れるのは、ルカ本人と俺だけ。



この世界にいる間は、現実世界の肉体は実体を失う。



当然ここまでぶっ飛んだ能力は、”後天的な能力者”だからなせる技。



なぜ彼女がこのような能力を得たのかは知らない。



ただこの世界を見たとき、俺はこの景色を綺麗だなと思った。



そして俺たちにとって大事なのは、お互いが側にいることだった。



……。



上手く思考がまとまらない。夢だからか。



……。



なんか、今回はいつにもまして花が多い気がする。なんか息苦しいというか。



花におぼれてる気分だ。



というか、花が俺に向かって迫ってきているような。



うん、迫ってきてる。花の雪崩だ。俺の身体はそれに流されていく。





────────。





「……けほっこほっ」

夢か。いや、夢だろうなとは思っていたけど。

真っ暗だ。夜か。

身体を動かそうとしてみると、すぐに壁みたいなものにぶつかる。

なんだこれ。

身体は仰向けの状態だ。

手当たり次第に辺りを触ってみる。すごく狭い。

箱の中にいるのか?

力を込めてあちこち触ってみると、どうやら真上の部分が動かせそうだ。

体勢的につらいが、力いっぱい退かそうと試みる。

動いた。光が差し込んで、とても眩しい。

目を庇いながら、身体を起こした。






「わあああああああああああああああああああ!!!」

声うるさっ。何ごと?お祭り?

いろんな声が混じって何が何だか分からない。

徐々に目が慣れてきて、周りの景色が見えてくる。

葬式場みたいな場所だ。

あと、すごい数のひと。

でも全員見覚えがある。

いや、見覚えがあるどころじゃない。

俺はこの人たちを知っている。

そして、次に目に入ったのは──。



「……ルカ?」
「っ!」

名前を呼ぶと同時に、ルカが抱きついてきた。



「ウィルっ!」

「あー……ただいま、でいいのかな」

「……うんっ!おかえり!」

次に聞こえてきたのは、盛大な拍手の音。

だんだん状況が分かって来た。恥ずかしくもなって来た。

すると今度はこれまた聞き覚えのある声で話しかけられる。



「おはよう、ウィル。もうお昼だけどね」
「……レイ」
「次会ったら文句言ってやろうと思ってたけど、1年も経ったらどうでもよくなっちゃった」

レイ。俺の妹。



「首を切ったやつ許せるとか聖人かよ」
「聖人なら悪の組織に居ません。どうせ私のためだったんでしょ、ムカつくけど嬉しいから」
「やっぱ前言撤回。首切られて喜ぶやつは聖人じゃないね」

二人で笑い合う。周りは若干引いてたが、愛想笑いをしてくれた。

レイの後ろからリーナさんが話しかける。



「な、なんですか。えっと、リーナさんでしたよね。そんなにニヤニヤして」
「んーん?レイちゃんはお兄ちゃんに抱きつかなくていいのかなーって」
「私、もうそんな子供じゃないんで」
「じゃあお姉さんが抱きついちゃおー!ウィルくん、ハグー!」

リーナさんが飛び掛かってくる。いつも通りルカが能力で透かして──。



「……あれ?」
「え?」

俺の身体をすり抜けずに、リーナさんとハグをかわす。



「リーナさんにはこっちの方が効くって推測したんですけど、どうです?」

「あ、あははは~」
「あの、勝手に抱きついて勝手に照れるのやめてくれません?」

してやったりといった表情をするルカ。照れるリーナさん。

こっちまで照れるんですけど。絶対言ってやらないけどね。

すると追加でもうひとり、背中から抱きついてきた人物がいた。



「ウィルさーん!無事でよがっだですー!」
「この声、黒川さん?」
「はい、黒川ですー!ボク、もう心配で心配でー!」
「あはは、ありがとね」

でも背中から抱きつくのはちょっとやめてほしい。それで俺ぶっ刺されたんだよね。

そんなことを思い返していると、ロロさんとアミカさんが二人を俺から引きはがす。



「ほら、そこまでにしときな。順番があるんだから」
「順番ってなんですか」
「あっちを見ろ、ウィル」

ロロさんが指さした方向を見ると、何故か一列に並んだ組織の隊員たちの長蛇の列。

全員の顔は見えないが、おそらく俺が昔、指南した子たちばかりだ。



「いや、何の行列?」
「ウィルさんとの挨拶&ハグ待ちの列です!」
「アイドルか何かかな?」

先頭に並んでる東条さんが教えてくれたが、ちょっと意味が分からない。

というかそんなことしてたら日が暮れるどころじゃないだろうに。

ロロさんが俺の肩に手をかけ、話し始める。



「この場にいる者は全員、お前が生き返ることを望んだ者たちだ。大人しく相手するんだな」
「いや、俺は良いんですけど最後尾のひとが可哀想でしょ」
「ボクは大丈夫です!待てます!」

いつの間にか最後尾に並んでいる黒川さん。並びなおしたの?

最後尾付近の子たちもうんうんと頷いている。
まあきみ達が良いなら良いよ、もう。



「じゃあ、まずは東条さんから──」





────────。





「はい、黒川さんもハグね」
「ありがとうございますー!」

涙でぐしゃぐしゃになりながら喜ぶ黒川さん。さっきもやったよね。

でもまあ、俺はこの子の目の前で死んだからある意味一番つらい役目だっただろう。
そう思い抱きしめながら頭を撫でる。



「あー!ずるーい!わたしは頭撫でてもらってないのにー!」
「あたしもあたしもー!」
「ウィル殿、この場で特別扱いは悪手じゃないかい?」
「いやなんでみんな帰ってないんですか。そこ、並びなおそうとしない!」

もうすっかり夜中なのに誰も全然帰ろうとしない。

嬉しいけどさ。顏がにやけちゃうけどさ。

するとレイが俺にマイクを渡してくる。



「これで締めのあいさつでもしたら?」
「えー、柄じゃないんだけど……」

だがこのままだと事態が収拾つかない気もするので、大人しく受け取る。



「あー、えっと。みんなのお陰で、無事に俺は生き返ることが出来ました」

「まあ生き返ったって実感はあんまりないんですけど、でも今生きてるのはみんなのお陰です」

「多分、さっきのじゃ全然話したりないなって人がいるんだと思います。嬉しいです、指南役冥利に尽きます」

「だから、暇な時でいいんで会いに来てください。俺は基本、みんなが鍛錬を積んだあの部屋にいるので」

「メッセージとかも、遠慮しないで送ってください。返せるときは返します」

「こんな俺のこと、慕ってくれてありがとう。きみ達の指南役になれて、とても光栄です」

「えー……以上!終わります!みんな本当にありがとう!」



全員から拍手喝采が送られる。グッダグダだったけどそれでいいのか。

スピーチとも呼べないスピーチを終えて、後ろを振り返ると幹部全員が心配そうな目で俺を見ていた。何事だろうか。



「どうしたんですか、みんな揃って」
「ウィルくん、あんなこと言ったら大変なことになると思うけど大丈夫?」
「自分の影響力を考え直した方が良いと思う」

リーナさんからは心配され、ルカからは呆れられる。
ロロさんは諦めに近い表情で、アミカさんは笑っている。



「どういうことですか?」
「……おれは知らんぞ」
「まあ、明日になれば分かるんじゃないかい。はっはっは!」

意味深なことを言われる。
それについて考える前に、ひとりの無視できない存在が俺の前に現れる。



「ボス」
「久しぶりだな、ウィル。まあお前にとってはそうでもないだろうが」
「そうですね。……1年でしたっけ」
「ああ。だが話す前にマイクを貸せ」

俺からマイクを受け取ったボスは隊員に帰るよう指示し、みんな続々と帰っていく。

そして残ったのは俺を含めた組織の創立メンバーの6人と、妹のレイ。



「あ、じゃあ私も一旦──」
「いや、構わん。残っていい、話を聞いていろ」

レイが帰ろうとしたのをボスが引き留める。

ボスが姿勢を正し、俺たちと向き合って話し始める。



「まずはウィル、ルカ、ロロ、アミカ、リーナ。今まで大変ご苦労だった」



「わたしに忠誠を誓い、だが決して考えなしではなく自分の意思でついてきてくれたこと、心より感謝しよう」

ボスが軽くお辞儀をする。
珍しい雰囲気と態度に、誰もからかったりはしない。






「これから話すのは、わたしの”真の目的”についてだ」
「!!!」

ボスの”真の目的”。
今まで誰も聞いたことがないものだ。



「いいの?話しちゃっても」
「もう隠す段階ではない。少なくともお前たちにはな」






「わたしは──」








────────。





「はっはっは!あんた最高だね、ボス!」
「最初におれ達を集めた時から考えていたのか?」
「当然だ」
「お姉さん、ワクワクしてきちゃった!」
「キャラじゃないですけど、わたしもです」
「俺は良いと思いますよ、ボス。悪の組織らしくて」
「私、この話を聞いても良かったんですかね?」

6人がそれぞれの反応をする。

だが少なくとも創立メンバーは全員乗り気だ。



「しかしその前に、やるべき事をやらなくてはな」
「というと?」
「悪の組織がやられっぱなしなど、それこそらしくないだろう?」

ボスが不敵な笑みを浮かべる。
こういう時は大体、大きなことをしでかそうとしている。



「レイ、お前に説明すると、我々がヒーローを攻撃するのは全て政府による指示だった。そしてその指示の中にはウィルの殺害も含まれている」
「!?」

レイが目を丸くする。当然、今まで教えていなかった。



「そしてウィル、お前にも説明すると、お前の殺害依頼を達成したことで我々は我々の判断でそれを行う権利を得た」
「……つまり俺たちの意思で攻撃相手を決めていいと?」
「そうだ」

話しながらボスが懐から大量の書類を取り出す。



「そしてここには、”政府の人間がヒーローを標的とした攻撃依頼や殺害依頼を出した”という証拠がある」



「そんな人間を、我々はどうするべきかな?」



ボスが白々しく聞いてくる。その顔はどうみても悪いことを企んでいる顔だ。

だが人のことは言えない。俺も、アミカさんとロロさんも、リーナさんとルカも、ボスと同じ思いだからだ。






「さて、反撃を開始しよう。我々は一年間、身を潜めて来た」



「我々を制御しきれていると思っている連中に、目にものを見せてやろう」



「腑抜けきったこの世界に、我々がなぜ”悪の組織”を名乗っているかを思い知らせてやろう」






「悪の組織らしく、ふんぞり返ってな」











────────。





『警察によると死因は不明、犯人は痕跡さえ残していないとのことです。ただし、被害者の共通点として政府関係者であることが──』









<了>
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