悪の組織の正義論

あるふれん

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第六話 マイライフ・アズ・ア・ウェポン

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「おいお前ら!動くんじゃねえぞ!動いた奴は撃つ!」
「ギャーギャー騒ぐんじゃねえ!ぶっ殺されてえか!」

とある平日の昼間。晴れ模様。
俺たちは立てこもり犯の人質になっていた。



「いや、なんでこうなったんですか?」
「言ったでしょ、社会科見学だって」
「誰もそう言われて、飛行機乗って着いた先ですぐヴィランの人質になるとは思いませんよ!」

黒川さんが次々と文句を言う。振り向けないから表情は分からないけど。



「着いてくるんじゃなかった……」
「そんなこと言わないでよ、白森さん」

白森さんまで不満気だ。いい経験になると思ったんだけどな。



「おいそこのお前ら!何こそこそ喋ってやがる!」

ヴィランのひとりが俺たちに向かってくる。
誰だっけこいつ、名前は調べたけどもう忘れた。



「はっ、女二人侍らせていいご身分だな」
「その目は節穴か?どうみてもカッコいい男の子だろ」
「……ケッ、ホモ野郎かよ」

男はそう吐き捨てて立ち去る。あいつ人質の見張り役なのにあんな隙だらけで大丈夫か?
ちゃんと見張ってもいないし、素人だな。



「ごめんね二人とも、男扱いしちゃって」
「いえ、全然。助かりました」

二人に謝罪して、前を向く。

そろそろかな。



「おい、これでホントにキャプテン・ホープが来るのかよ」
「まだ大して待ってねえだろ、ヒーローを何だと思ってやがる。ワープでもするのか?」
「バカ共が、喧嘩してんじゃねえよ」
「てめえがリーダー面すんな!」

犯人は統率の取れていない3人グループ。
まあ基本一匹狼のヴィランが即席で群れたらこうなる。



彼らの目的は身代金ではない。三大ヒーローのひとり、”キャプテン・ホープ”だ。

話を聞く限り、全員彼に以前痛い目にあわされたので復讐したいらしい。
アホだ。



「とにかく、油断してねえでちゃんと人質を──」

言い切る前に建物の照明が落ちる。
昼間で窓があるから真っ暗ではないが、急な変化に俺たち以外の人質は悲鳴を上げる。

ヴィランは黙れと叫んでいるが、恐怖による支配は別の恐怖で簡単に上書きされてしまうものだ。
統率が全く取れなくなっている。



「クソッ、いい加減にしろ!」

バンッ!とヴィランのひとりが銃を一発撃った。
だが逆効果だ、余計に混乱を招く。



「勝手に撃つんじゃねえよ!」
「うるせえ!こいつら黙らせるためだ!」
「お前らいい加減に──っ」

直後、天井を突き破って何かが落下し、ひとりのヴィランが床に叩きつけられる。



本来そのヴィランがいた場所に立つ、一頭のクマの姿。
そのクマがすさまじい雄たけびをあげる。



「ぐおおおおおおおおお!!!」

「ひっ!?く、クマ!?」
「ビビんな!キャプテン・ホープだ!撃て!」

ダダダダッ!と片方のヴィランが銃を乱射する。
だがクマはオオカミへと姿を変え、銃弾を素早くかわしながらそのヴィランを爪で切り裂く。



「ぐあっ!!」
「クソッたれが!」

最後のひとりが何かを取り出した。手榴弾だ。

その男がピンに手をかけた瞬間、オオカミはゾウへと変身し──。



「なっ──」

前足を大きく上げ、最後のひとりを踏みつぶした。

そのままゾウは鼻を使って手榴弾を掴み、天井の穴から空へと向かって放り投げる。
爆発音と共に、ゾウは人へと姿を変えた。



天井の穴から差す光が彼を照らす。

赤と白を基調とした、無駄のないシンプルなコスチューム。筋骨隆々な身体。
顔の上半分をマスクで隠し、されど彼の人柄の良さを表すような笑顔が見える。



「二人とも、ちゃんと見てた?」
「は、はい。でもあれは一体……」
「記憶に焼き付けておいてね。彼の名はキャプテン・ホープ」






「最高峰のヒーローと称されている内のひとりだよ」






────。

────。

────。

その後、3人のヴィランは警察に引き取られていった。

キャプテン・ホープは人質ひとりひとりに話しかけ、励ます言葉をかけている。
とはいっても、ほとんど人質の方から彼に話しかけに行っているが。彼は有名人なのだ。

そして、最後に俺たちが残る。



「あれ、君はウィルくんじゃないか?」
「お久しぶりですね、キャプテン」
「え、知り合いなんですか!?」

黒川さんと白森さんが驚く。まあ悪の組織がヒーローと知り合いとか普通は驚く。



「そうなんだよ。昔、俺が災害救助の活動をしている時にちょっと危険な目にあっちゃって。その時にキャプテンが助けてくれて、少しだけ共に活動してたんだ」
「初めまして、わたしはキャプテン・ホープ。君たちはウィルくんの友達かい?」
「俺の部下です。この子は黒川さん、この子は白森さん」
「は、初めまして!」
「よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」

二人のたどたどしい挨拶に対して、キャプテンは爽やかに返す。

相変わらずいい笑顔だ。後光が差している。



「それにしても、よく俺のことなんて覚えていてくれますよね」
「一度助けた人の顔は忘れないよ。ところでウィルくん、また違う女の子とお出掛けかい?」
「変な言い方をしないでくれませんか。ただの部下との旅行ですよ、俺は彼女一筋なんです」
「だが以前は上司だという別の女性と共にいたが……」
「キャプテン、可愛い部下の前でいじわるは止めてください」
「ははは、冗談だ」

軽いジョークで笑い合う。
二人が置いてきぼりになっていて申し訳ないが、二人が話してボロが出てもマズいので話を続けさせてもらう。

あくまで今の俺はキャプテン・ホープと昔たまたま知り合った市民Aだ。



「しかし君もトラブルに巻き込まれやすいね」
「それはもうそういう星の元に生まれたんだと思うことにしましたよ。ところでこんなに話していて大丈夫なんですか?引き留めた俺が言うのもなんですけど」
「そうだな、そろそろわたしは行くとしよう。ウィルくんも君たちも、旅行を楽しんでくれ!」

そういうとキャプテンはワシに姿を変え、空高く飛び立っていった。

地面に目線を戻すと、空に飛んで行ったキャプテンを眺める二人の姿。
気持ちは非常に分かる。



「規格外な能力だろう?」
「は、はい……」
「あれが”後天的な能力者”、ですか」
「そうそう。実際に見た方がイメージも付きやすいと思って、今日はきみ達を連れて来たんだよ」

彼の能力は見た目が分かりやすく、それでいて規模が違うのが目に見える能力だから今回の趣旨に最適だ。

とはいえそれでもなお圧倒的な破壊力に、二人とも面食らっているようだが。



「ところで今回の社会科見学って、これで終わりですか?」
「うん、そうだよ」
「すっごい贅沢……」

黒川さんが別のところでも感動している。
ボスの財力、偉大。



「それじゃあどうしようか。要件は終わったけど、帰りの飛行機は明日の昼だ。せっかくここまで来たんだから何か行きたい場所があれば一緒に行くし、二人でどっか行ってきてもいいよ」
「あっ、あたし単独行動しても良いですか?どうしてもひとりで行きたい場所があって」
「いいよー。ホテルの場所とチェックインの時間、メッセージで送っとくね」
「ありがとうございます」
「ボクはここら辺全然知らないんで、ウィルさんに着いていっても良いですか?」
「もちろん。あ、でもちょっと待っててね」

ボスにメッセージを送る。するとすぐに返事が返って来た。
内容を確認し、スマホをポケットにしまう。



「それじゃ、美味しいもの巡りでもしようか、黒川さん」
「いいですね!あ、でも白森さんに申し訳ないかも」
「お土産も買えばいいよ、奢るから」
「そんな、悪いですよ」
「いいのいいの、格好つけさせてよ。あと渡したいものが──」





────────。





夜、宿泊先の部屋にて。

夕飯を食べ終わった後、俺たち三人はそれぞれ自分の部屋へと別れた。
もちろん全員一人部屋だ。オートロック付きの豪華な宿。ボスさまさまである。



シャワーを浴びて寝る支度を始めようと思ったとき、スマホが震えた。
白森さんからのメッセージだ。

開けば『今からお部屋に伺っていいですか?』とのこと。

承諾のメッセージを送ってから数分後、部屋のチャイムが鳴らされたのでドアを開き、白森さんを招き入れる。



「すいません、こんな遅くに。でもどうしても直接聞きたいことがありまして……」
「いいよいいよ、どうせまだ寝ないから。ほら、上がって」
「失礼します」

遠慮がちに白森さんが部屋の中に入る。
窓辺に置かれている席に座るように促して、冷蔵庫から飲み物を取り出す。



「あっ、あたしが淹れますよ」
「大丈夫、気にしないで」
「……じゃあ、淹れ終わるまで隣に居ます」
「真面目だねえ、白森さんは。それで話って?」

コップに飲み物を注ぎながら会話を始める。



「その前に、ウィルさんって恋人はいるんですか?」
「いるよー」
「前に言ってたヒモになってる美人のお姉さんって、その方のことですか?」
「……」

そこを聞いてくるか。思わず無言になったが、答えているようなものだ。
白森さんの視線が痛い。



「サイテーですね、フケツです」
「いろいろ事情があるんだよ、だから叩かないで」

ビシバシと結構な強さで何回も背中を叩かれる。
まあ聞く人が聞いたら殺されそうな案件だよな。

これ以上聞かれても都合が悪いので、コップをテーブルに運びながら話題を逸らす。



「それで本題は?まさかそれを聞きにわざわざ──」

コップをテーブルに置いた瞬間、後ろから白森さんが抱きついてくる。
当然その表情は見えない。



「あれ、白森さんって意外と情熱的?」
「東ヤマト。この名前に聞き覚えはありますか?」
「え?う、うーん。なんか聞き覚えがあるような、ないような」

ジョークを無視して彼女はそのままの体勢で質問してきた。



「聞きたかったことって、もしかしてそ──、れ?」

胸のあたりに激しい違和感。

視線を下にやると、そこには白森さんの手。

だがその彼女の手には、針のようなものが握られている。



それに気付くと同時に激しい痛みに襲われる。
続いて頭痛、軽いめまい、吐き気。

刺されただけではこうはならない。毒だ。



白森さんが手を放し、俺の身体が地面に倒れる。
若干身体は動かせたので、背中を壁に預けて彼女の方を向く。



「ずっとこの時を待っていました」
「きみ、は……」
「東ヤマトはあたしの兄です。中学生の頃にあなたが階段から突き落とした人、覚えてますか」
「……」

彼女は冷たいまなざしで俺を見る。今までに見たことのない目つき、表情だ。



「まあそれはどうでもいいです。少し自分語りをしていいですか」

「あたしの親は、ろくでもない親でした。父親は兄に暴力をふるうし、母親はあたしに暴力をふるう」

「だけどそんなクソみたいな家庭でも、兄だけはあたしの救いだったんですよ」

「学校じゃ、いろいろと問題を起こしていたみたいですけど。あたしには優しい兄でした」

「でもあなたはその兄を階段から突き落とした」

「しかも学校は兄の方に問題があったと判断した。元々クラスメイトにいじめをしていたのは兄だってね」

「別にそれが真実かどうかなんてどうでもいいんです。兄が悪いとか悪くないとか、道徳の話もどうでもいい」

「大事なのはそのせいであたしが、その後どんなクソみたいな人生になったかって話ですよ」

彼女は話しながらも、うろちょろと動き回っている。
右手に持っている針を度々握りなおしたり、意味もなく手遊びをしたり。
状態がかなり不安定だ。



「思い出したくもないんで話しませんけどね。あたしはそれからずっと、あなたのことを探し続けました」

「でもまるで雲隠れでもしたかのように、あなたの情報は一切出てこなかった」

「その間もずっとクソみたいな人生でした。それである日全部嫌になって、全てを放り出して当てもなく彷徨っていたら、リーナさんと出会いました」

「その時は悪の組織に入って、全部ぶっ壊してやろうって思いましたね」

「そしたら新人指南役だって紹介されたのが、あたしの探し続けたあなたじゃないですか」

「珍しい名前だからすぐ分かりましたよ。父親が外国人なんでしたっけ」

「それで、これは運命だと思いました。天があたしに復讐のチャンスを与えてくれたってね」

会話の最中もずっと、彼女の表情はめまぐるしく変わる。怒り、悲しみ、恐れ、喜び。

興奮しているのか、息が荒くなっている。



「ようやくです。ようやくあたしの夢が今日叶った。ずっとずっとずっと!クソみたいなあたしの人生は、今変わったんですよ!」

「どうですか、裏切られた気分は。自分がハニーとか呼んで可愛がっていた教え子に刺された気分は。教えてくださいよ!」



「……」

思わず笑みがこぼれる。

「……何笑ってるんですか、おかしくなっちゃいましたか?」
「いや、ごめんごめん」









「だって今きみが話した内容、全部知ってたし」

「……は?」

白森さんの表情が、怒りと困惑が混ざったようなものに変わる。
ずっとウロウロ歩き回っていた足も止まった。



「全部は言い過ぎか。きみが両親にどんな目にあわされたかは具体的には知らない。でも虐待を受けていたとか、きみが偽名を使って組織に入ったこととか、兄が階段から突き落とされた過去とか、俺のこと探し続けてたとか、俺を殺そうとしてたとか」

「俺は全部知っていた。いや、俺たちは全部知ってたよ」

「……なんですかそれ、負け惜しみですか」
「変だとは思わないかな?突然雲隠れした学生が、ずっと足取りの掴めなかった人物が、最近になって急に自分の前に現れるなんて」
「……」

彼女の目はまだ疑っている。だがそこに少し不安の色も出ている。

今度は俺が話を続ける。



「運命。天から与えられたチャンス。ロマンチックな響きだが、少々夢を見過ぎだ」

「俺たちは昼間、狙ってキャプテン・ホープに会っただろう。野良のヴィランが起こした事件に合わせるように訪れ、狙ったヒーローに遭遇できるような情報源を持つ組織が、自分の組織に入る人について何も知らないとでも?」

「そもそもウチはむやみに破壊活動をする組織じゃない。全部ぶっ壊してやるなんて思ってるやつが入れるような組織じゃないし、本来スカウトされるわけもないんだよ」
「じゃあ今目の前に倒れてるあなたは何だって言うんですか!?」

話を遮るように彼女が声を荒げる。目に見えて呼吸が荒くなり、目も血走っている。



「俺を刺した気分はどうだい?」
「最高の気分ですよ。決まってるじゃないですか、ずっとあなたに復讐したかったんですから!」
「そうか。みんなで新人歓迎の食事会を開いた時は?」

「……何の話ですか、今さら同情なんかしませんよ。解毒薬も作ってません、必要ないですから」

依然として彼女の息は荒い。ずっと俺を睨んでいる。



「新人隊員みんなでレクリエーションをした時は?焼肉に行ったときは?仲良くなった子と遊びに行ったときは?俺以外のみんなと居た時の気分はどうだった?」
「……」






「それを全部自分の手で捨てた、今の気分はどうかな?」
「……っ!!!」

彼女の呼吸がさらに乱れる、過呼吸に近い。目の焦点もあわなくなっている。



「きみはクソみたいな人生でようやく手に入れた自分の居場所を、自分の手でぶち壊したんだよ」

「もう一度聞こう。俺を刺した気分はどうだい?」



「……は、ははは!あはははははは!」

突然、彼女は狂ったように笑い始めた。感情のコントロールが出来ていない。



「じゃあどうしたって言うんですか!あなたはもうすぐ死ぬ!誰も助けに来ない!あたしは引き返せないところまできたんですよ!」
「きみには観察力が足りないな」
「はあ?さっきから何を余裕ぶって──」



「きみの目の前にいる男。今際の際にしてはペラペラしゃべり過ぎだと思わない?」

ガチャリ、と部屋の鍵が開く音がする。ドアが開けられると共に侵入者が白森さんに襲い掛かった。

彼女はすぐに迎え撃とうとするが、姿勢も精神もガタガタだ。



そんなやつに、俺の教え子は負けない。



侵入者は彼女の迎撃をひらりとかわし、胸ぐらを掴んで投げ飛ばす。
起き上がろうとする彼女に間髪入れず飛び掛かり、顎に一撃を加えて気絶させた。

そのまま気絶した彼女を縛り上げて、ゆっくりと俺の方に近寄ってくる。



「大丈夫ですか、ウィルさん」
「お見事だったよ、黒川さん」

拍手を送ってあげたいところだが、今はちょっと身体が動かないな。



「緊張しましたよ。10分経っても連絡来なかったら襲撃されてるから部屋に来てってメッセージが来るし、合い鍵を渡してくれたのってこの為だったんですね」
「そういうこと。今の動きを見て安心したよ、黒川さんはもう免許皆伝だね」
「いやいや、急ぎ過ぎですよ。もっと色々教えてください、これからも」

「ごめん、それは出来ない」
「え?」
「毒で刺されたんだ、結構強力なやつ。もう割と時間が経ってる」

黒川さんの表情がこわばる。



「いやでも、元気そうに喋って──」
「身体の不調をごまかすやつはあらかじめ打っておいたけど、解毒剤じゃない」
「じゃ、じゃあこの人の持ち物を探せば!毒を作るときは解毒剤も一緒に作るのが基本って、座学でも!」
「その子、俺を殺すのに執着しすぎて持ってない気がするなあ」

黒川さんが白森さんのポケットなどを探る。

徐々に焦りが見え始めて、見当たらないことが言わなくても分かった。



「なんで、なんでどこにも無いの!」
「黒川さん」
「待っててください!すぐに見つけ出して──」
「黒川さん。おいで」

再度呼びかければ、俺の方を向いてくれた。とても悲しい表情をしている。
申し訳ないな、辛い思いをさせてしまう。

そのまま黒川さんは俺の側に寄り、しゃがみこむ。



「黒川さん」
「……はい」






「俺、死ぬから」
「……」






「でも、生き返るから」
「……はい」






「……はい?」

黒川さんの表情が、悲しさと困惑の混ざった微妙なものに変わる。

それが何だか面白くて少しだけ吹きだしてしまう。



「な、なに笑ってるんですか。毒で頭がおかしくなりましたか」
「辛辣だね。まあいいや、ちょっと伝えたいことだけ伝えるから、聞いてて」

納得いかないといった様子だが、黒川さんは頷いてくれた。



「詳しくはまだ言えないんだけど、俺、上層部から死ねって言われてるんだよね」
「何ですかそのイカレた命令」
「そうだね。でも死んだ後については何も言われてないから、生き返る予定」
「予定って……」

不安そうに聞かれる。だが予定は予定だ。



「当てはあるんですか?そういう技術とか」
「ないよ、だからつくるんだ」
「作るって?」
「くわしい、はなしはボスが、……はなす、とおもうか、ら」
「ウィルさん?」
「あー、さすがに、げんかい、かな」

痛みだのなんだのは全くないが。頭がボーっとするような、眠りにつくような、突然そんな感覚に襲われる。



「ウィルさん!?ちょっと、しっかりしてください!」
「あとこれだけ……あの子が俺、を、ころしたって、証人、よろしく……」
「証人って!ちょ、ちょっと待って!」
「たのんだ、よ……」



ねむい。






ねむいな。









しぬときって、わりとこんなかんかくか。












まあ、くすりのせいでもあるけど。















ふあんはない、というのはさすがにうそになるが。


















でも、うん。おれはなかまをしんじてるからね。





















またあおう、みんな。
























<了>
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