異世界で商売はじめました。(〇豚は異世界に出荷よー(´・ω・`)そんなー! )

ヒロ三等兵

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87話-1.ミッションスタート

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 3号店の開店前のミーティングの時間だ……
 3号店の従業員の皆と話し合い、貴族のリストア様の対策がある程度が決まった。

 あの貴族は、貸し切りを良い事に女風呂に行って連れの少女を襲うだろう……
 女風呂は見回りも女性なので、その女性も半ば強制的に巻き込まれる。
 金で従業員は納得させられるが――私は、強く貴族に強く出れない状況に陥る。
 そうなれば、今回の件で完全に私の事を格下だと貴族のリストアは侮るハズだ。

 ちなみに――この流れが覆されるのなら、作戦はもう一度練り直しだ。
 私は貴族のリストアに対して、場をわきまえれる人間と再評価をするべきなのだ。
 もしかすると……? 過去の事も事故という可能性があるわけで――
 出来れば、そうあって欲しいと願いはするが、無理だろうなと半ば諦めていた。

 本当なら、今の段階であの少女を助けたいが――それだと貴族との関係にカドが立ちすぎて、あの貴族が私の事を油断しなくなる。
 それでは駄目なのだ!! 今日のミッションは、貴族に対する誘いの為の一手だ。
 相手は貴族だし、下手な油断は禁物だ。
 私は、確実なチェックメイト(詰み)に追い込む必要がある。

 3号店の開店時間になった。
 各スタッフが各々の勤務場所に配置され、すでに業務を始めている。
 副町長のミルコが、貴族一行を連れて三号店に入って来た。

「ようこそ、リストア様。
 本日はリストア様の為に、貸し切り営業とさせていただきます。
 当施設をご自由にご利用ください」

 ……と言って、私は貴族に対して深く礼を行った。

「ほぉー。魔道具にしては明るい光じゃのぉ……
 こんな建物は、ウチの街にもないぞ」

 貴族と一緒に付き添いの連中も内装に驚いている様子だった。

「こんな建物を庶民に開放しておるのか?
 貴族と商談すれば多額になるだろうに……」

「いえいえ、貴族の方々と商談するには、私では格が足りてませんので」

 ……と言って、自分を卑下して相手の話に合わせておいた。

「こちらから、左手側が飲食スペースとなってましてます。
 色々なお店が入ってますので、お好きに飲食していただいて結構ですよ」

「このワシに、大衆食堂で食事をせよと、申すのか? お前は!!」

「も、申し訳ございません。
 ただ、高貴なリストア様に食事を提供できると喜んでいるスタッフ達がいますので、提案をさせていただきました」

「ふむ……酒はあるのか?」

「もちろん用意させていただいてます」

「ほう、準備は良いようじゃな」

「ありがとうございます」

「それでは、ここは後で来るとしよう。
 町長よ、まずは自慢の風呂に案内しろ」

「わかりました。
 すぐ近くではありますが案内させていただきます。
 ここの道を抜けて、飲食スペースの裏に抜けますと男湯と女湯がございます。
 お連れ様もいらっしゃいましたので、男湯女湯の両方ともにお湯を張ってスタッフも配備しております」

「ほうほう、準備がいいのぉ」と言って、貴族はニヤニヤしながら少女を眺める。

「ワシは、この子の面倒を見なければいかんので女湯に入るとするよ。
 今日は貸し切りなんだろう?」

「それでしたら……
 お風呂についての説明は案内のスタッフがいますので、そちらでお聞きください」

「わかった、わかった。
 ほら行くぞ!!」と言って、貴族は強引に少女を引っ張って行く。

 俺とボルグだけが、この場所に残った。

「ボルグさん、貴方も女湯ですか?」

「馬鹿にするな!!
 あんなふざけた趣味を持ってるのは父だけだ!!」
 ……と言って、貴族の息子ボルグは私の皮肉に激昂していた。

「それなら、私は貴方を男湯に案内しましょうかね?」

「なあ、町長。
 父が女湯を貸し切りで少女と二人きり、更にお店の従業員が若い女なら確実に悲惨な目が待ってると思うぞ」

「ボルグさん、逆にソレも想定済みだよ。
 むしろ、その想定が外れたら貴方の父親がいい人かもと知れないと考えを変える必要があったよ。
 言い方は悪いが貴方の父は、詰みチェックメイトに向かって、歩いて行ってる。
 止めたいのなら、貴方があの人を止めるんだな!!」

「それは、もう無理だよ。
 この間、止めに入ったら牢屋にブチ込まれたさ」

「それは災難だったな……
 その事は忘れて、今日は当店自慢の大浴場を楽しんで行ってください」

「なぁ、町長。
 この前の私に対する態度と、今日の態度は違いに差がありすぎないか?」

「リストア様には私を侮って貰わないとな――貴方から許可をもらったとしても。
 私としても、大義名分がたたなければ、『 人殺し 』の汚名は被れないよ」

「なんだ? 父は君の計算通りに動いてるのか……」

「ハイハイ、それはいいから。
 風呂に入りましょう」と言って、ボルグを脱衣所に案内した。

「ここで服を脱いでくださいな。
 服脱いだら――洗い場に私がいるので、腰にタオル巻いて洗い場に来てください」
 ……と言って、私は洗い場に移動してボルグが男湯に来るのをしばらく待った。

 ……
 …………

「あぁ、風呂場はこうなっているのか。
 広いな……ウチの風呂より広いぞ」

「一人で入る為の施設じゃないからね。
 それじゃ、簡単に大浴場の使い方を説明します。
 まずは、そこの洗い場で石鹸を使って身体を洗ってくれ」

「石鹸? なんで、そんな貴重品がココに?」

「そういう疑問は、あとあと……」

 私に言われた通りに、ボルグは石鹸を使い身体を洗っている。

「泡立ちもよく――
 ウチで使ってる石鹸より出来がいいじゃないか!!」

 私は、ボルグの質問をスルーして次の説明を行った。

「身体を洗い終わったら、ソコの樽に入ってる石鹸シャンプーを掬って頭にかけて頭を洗うといいですよ。
 頭を洗うときは目をつぶってないとダメですよ」

「こうか? お、おう石鹸とハーブの香りする。
 それと髪の汚れが落ちていくのを感じ取れるな」

「一度、目の前の洗い場のお湯を桶で汲んで、お湯を頭に流せばシャンプーを流し落とせます。
 次に、シャンプーの横のリンスを掬って髪に塗り込む」

「こうか? 
 なんだ? この酸っぱい匂いとハーブの匂いが混ざったような匂いは?」

「大元が調味料だからな。
 お湯を何回か頭にかけて――髪についているリンスとシャンプーを落としていってくれ」

 ボルグは言われるがままに髪を洗い終えた。

「こうか? 
 おおっ、すごくサッパリしたぞ」

「身体と髪を洗ったなら。
 そこの大浴場に入っていいよ」と、私は大浴場の方向を指をさして案内した。

「そうか、そうさせてもらう」

 ボルグは大浴場の手前まで来て、立ち止まり大浴場のお湯に手をつける。

「豊富な湯量、見事な温度調整……
 ウチの風呂より性能がいいのかもしれないな」

「とりあえず、ボルグさん。
 貴方に言っておく――貴方達が帰って2週間後位に、リストア様が町長就任のお祝いに来てくれたお礼に、私が嫁の三人を連れてソチラに挨拶に行く」

「二人じゃないのか?」

「あぁ、この前……三人目の嫁が増えたよ――リストア様のおかげでな。
 エミリー、シェリー、キャリーの孤児院の三人組が私の嫁だよ」

「おい、そんな事すれば!!
 確実にキミに標的が向くじゃないか」

「当然、嫌がらせを受けるだろうな。
 あんたら貴族は、自分が偉いと思って商人相手に無料で仕事させるくらいのロクデナシだからな!!
 どうせ無理難題ふっかけてくるだろうから、私はソレを無視する。
 それに業を煮やして、リストア様が派兵して来たら――町を守る[町長の大義名分]で、蹴散らしてみせるよ」

「あぁ、その流れなら確実に……君の考え通りになると思うよ。
 それより金を払わない、ロクデナシとは私の事か!!」

「あぁ、報酬金額なしと聞いて――
 貴方をドラゴンの餌にでもすれば良かったと後悔したよ」

「うぐっ」

「価値観が違いすぎるんだよ。
 貴族様と商人とはな……
 まぁ、土産として討伐したアイスドラゴンでも手土産として出せば、リストア様に対しての威圧になるかもしれないが……
 それより、面白いものが手に入ったからな――を見て私達に手を出さないとリストア様が引いてくれればそれでいい。
 ただ、ソレを金銭としての価値観でしか見れないのなら、リストア様の最後だ。
 父親を生かしたいなら、ココで絶対に止めてくれ」

「ああ、できるだけ手を尽くすよ……」と、ボルグは半ば諦めの入った返事をした。

「すまないが……
 従業員の様子が気になるんであっちの様子を聞いてくるよ」

「覗きか?」

「違うわ!! こちとら従業員を預かってる身なんだ。
 従業員の心配して何が悪い――とりあえず気がすむまで風呂を楽しんでくれ」
 ……と言って、私は男湯を離れた。
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