逃がしてください!王子様!

発光食品

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16)家族のためにも

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「なんでそんなに驚いているんだい?そりゃあ、そうなるでしょ。他のクラスが負けたところで対して話題にはならないだろうが君たちは別だ。Sクラスでしかも僕の担当のクラスだと分かれば、周りの君たちに対する評価はどうなると思う?」

なるほど。僕たちには何も関係のない話とばかり思って聞いていたが、ナタリー先生がSクラスに入った時点で僕たちは注目の的なのだ。きっと学園中の生徒だけではなく大人たち、それも国の魔術師たちからも注目されているだろう。

(僕はなんでそんな簡単なことに気づけなかったんだ!)

「なんだ、そんなことか。それはナタリー先生が私たちの担任になった時から決まっていたことだろう。君は何をそんなにショックを受けているんだ?」

「あまり気にしなくてもいいと思うぞ」

(二人は未来が約束されているからそんなこと言えるんだ!)

僕はなんの後ろ盾もないただの子爵家令息だから、未来の顧客への信頼にも関わる。Sクラスに入れただけでも商売の看板になるのだ。でももし、これからの状況によってはSクラスの負け組のレッテルが貼られるかもしれないのだ。売上に関わってマイナスになることだけは避けたい。

(ここは僕が腹を括るしかない)

「僕!先生の提案に乗ります。学園一番を目指しましょう!」

皆「急に何を言い出してんだこいつ」とでも言いたそうな顔でこちらをみている。僕だって普段であればこんなことしたくない。でも背に腹は代えられないんだ。だってこのクラスには僕の領地の未来がかかっているんだ。将来、領地を継ぐ僕にとってこの学生生活は大切なのだ。

「それにクラスで一番になることは僕たちにとってプラスでしかありません。それに王宮魔術師のしかもトップから教えていただけるなんてまたもない機会です。皆さんはそんな機会を逃しても良いと思うのですか!」

「そ、そんなに言ってくれるなんて…」

我ながらかなりの力説だと思う。若干ナタリー先生も引いているではないか。

「まあ、そうだね。フィオーレの言う通りだ。私たちにとってはプラスでしかない。そう思わせてくれるんですよね?」

「もっもちろんだ。そうなるように努めよう」

「では私たちにナタリー先生の提案を断る理由は見当たりませんね。もちろん僕たちも頑張りますが、よろしくお願いします」

「ありがとう!これから3年間よろしく頼むよ!」

こうして話は丸く収まった(?)僕はナタリー先生と言わば運命共同体だ。他のクラスに負けてしまえば僕の領地の未来にも関わる。僕はこの学園に来て多くの人脈を作っていきたいんだ。

パチン

「じゃあ、この時間まで残してしまって申し訳ない。寮までは僕が送ろう」

一瞬で防音魔法を解いたのと一緒に僕たちの足元が光り出す。他人への転移魔法はかなりの魔力を消費すると言うが、この先生はクラス全員の転移を何回もやることが出来る化け物だ。

(もしかしたら、僕でもできるんじゃないかと錯覚するくらいに)

次の瞬間、僕は自室まで飛ばされていた。同室の殿下も一緒に。

「やっぱり。ナタリー先生は凄いよね。こんなに難しい魔術を正確にここまで使えるなんてさ」

「本当に、今日は驚かされることがたくさんありました」

今日は体もたくさん動かしたし、学級の秘書になってしまったし、ナタリー先生の秘密まで知ってしまった。僕の小さな頭では消化できないほどの情報が今日一日に詰まっている。

(どうしてこうなったんだ…)

Sクラスになると言うことは家にとっては名誉なことだが、今年のSクラスは特殊すぎる。それに今の僕の立場はかなり危うい位置ではないだろうか。名前も聞かない没落寸前の貧乏子爵家の僕がSクラスのしかも魔術師のトップが担任をしているクラスの秘書なんて誰も信じられないだろう。

(僕、もしかしてかなり危ない橋を渡っているのか!?)

「フィオーレ何をしているんだい?早く夜ご飯を食べてしまおう」

僕がぐるぐる考えている間に部屋の中に夕食が運び込まれていたようだ。

(いつの間に人が入った!?)

物音ひとつ立てることなく準備をして去っていくなんて一体何者なんだろう。まず、寮に入れば一般生徒は寮の食堂で晩御飯を食べる。今日の朝は考える暇もなく殿下と一緒に朝ごはんを食べてしまったが、本来であれば断るべきである。

「王子殿下、申し訳ないのですが…」

殿?」

「ク、クラウン様、申し訳ないのですが僕は食堂の方で夕食を食べようかと…」

「なんで?ここで食べたらいいじゃない」

「ですがこの料理はクラウン様のために準備されたものでしょう?僕がいただくわけにはいかないです」

ふふ、今回の僕はそう簡単に折れてたまるか。殿下の料理ももちろん美味しいが、毎回食事を殿下と共にするなんて息が詰まってしまう。食事くらいは別々にさせてくれ。

「せっかく王宮のシェフが腕によりをかけて作ったはずなのに…」

「えっ」

「ほら見なよ。フィオーレが食べてくれないって言うから泣いてる」

目の前にはシェフ特有の白い帽子を被った男の人が目をうるうるさせてこちらを見ている。いつの間に出てきたんだよ。少し前までそこにいなかったじゃないか。

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