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19)提案
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「あの時のって?」
本当に殿下がいつのことを言っているのかわからないのだ。殿下と僕があったのは高等部になってからが初めてのはずだ。中等部ではクラスが遠すぎて会うことなど一度もなかった。殿下はいつの話をしているのだろう。
「本当に覚えていないの?」
「いや、このメガネには身に覚えしかないんですけど…殿下に会ったのは高等部が初めてですよね」
「うーん、嘘はついてないみたいだね。あっけなかったんだった☆」
「なっ!!?」
(ば、バカにしてるのか~!?まあ確かに何の疑いもなくお茶を飲んだ僕も悪いんだけど!!)
はははっと声をあげて殿下は笑っている。僕はそれどころではないんだが殿下がそんな感じだとこっちも気が抜けてしまう。でも殿下は何か確信を持って僕に質問しているような気がする。なんだ?何があるんだ?
「このメガネを渡した相手のことは覚えているかい?」
「渡した相手?」
僕はメガネを渡したあの朝の記憶を必死に思い出す。あの時見た人は男性で、紅色の瞳を持った男性だった。背も殿下くらい高くて…金髪…
(えっ…まさか…いや、でも片方の瞳は見ていないしまだそうとは限らない)
「何か分かったかい?」
「ハッ」
息をのむ、ど、どどどうしたらいいんだ。ここで選択肢を間違えたら僕の学生生活終わるか!?
「何をそんなに焦っているんだい?君は何となく知っていることを教えてくれたらいいんだよ」
「僕の家がお金がないことは知っていますよね?」
「うん。何となくだけど知っているよ」
「入学式の時、僕は馬車を持っていないから走って登校していたんです。その時に殿下と同じくらいの身長で金髪の男性に会ってそのメガネを渡しました」
ここまできたら正直に答えよう。きっと殿下には全て見透かされているんだから。僕はやや諦めていた。殿下はゆっくりと微笑んで僕の目をじっと見つめる。改めて綺麗な顔である。僕はもうほとんどの思考を停止させたため、殿下が美しいということしか考えられない。このまま一緒の部屋で生活を共にしていたら他の人であれば殿下に惚れていただろう。
「あの時の人は私だよ」
「へぁ?」
「ずっと君にもらったメガネを返したいと思っていたんだ。あの時はありがとう」
「あ、はい…」
何となく分かっていたがあの時あった少年がまさかの第二王子殿下だなんて思わないものだ。あの時話しかけたのが不敬だったか!?それとも貴族でありながら走りながら登校していたのが貴族の品を損なうと怒られてしまうのだろうか。それとも、それともといろいろな最悪なことが頭から離れない。というか…
「でも、あの時なぜ殿下はあんなところに…」
ぽろっと口から言葉があふれてしまう。今は何でも口から思ったことが出てしまうんだ。もっと注意しなければいけない。
「君って本当に面白いね。私の作った自白剤のせいでもあるんだけど、表情だけでも言いたいことがわかるからとても楽しいよ。あの時は確か極秘任務を陛下に任されていてね、しまったこれは秘密だったんだった」
「そんな簡単に王宮の秘密を僕に言わないでください~」
「フィオーレならきっと誰にも言わないって信じてるよ」
出会って二日目の僕をそう簡単に「信じる」など言わないでほしい。凡人の僕にはその言葉が何よりプレッシャーになることをこの王子様は分かっていなさ過ぎる。メガネを返してくれるだけであればよかったのになんで余計なことも僕に吹き込もうとするんだ。
「それにしてもこのメガネすごいんだね。君が作ったの?」
「はい。領地を復興させるための商品として開発したものです。実際に僕も使っていたので品質に問題はないと思うのですが」
「ということは中等部の頃にはもう開発をしていたということかな。商品としてこれはもう発売しているの?」
「それが、これを発売しようと思ったんですが…」
「ですが?」
まずい、これ以上このメガネやローブの話はしてはいけない。とりあえず言えないのだ。
「急に話が止まったけどどうしたんだい?」
「いやあ、あはは」
今の殿下には嘘をつけない。どうやってこの場を切り抜ければいいんだ。きっと僕の目はすごく泳いでいると思う。手も足も震えてしまっていて感覚があまりない。
「大丈夫。君も私の秘密を知ったんだ。これでお互いに秘密が一つずつある。いいことじゃないか」
殿下の甘い言葉にうなずきそうになってしまう。もうこれ言ってしまってもいいんじゃないか?という気持ちになるのだ。殿下はきっと尋問とか向いているだろう。いや、尋問だけじゃない。殿下はきっとどんなことでもこの崩れない笑顔でサラッと出来てしまうタイプなんだろう。こういうのを何というんだったっけな。
この学園に来てから殿下に振り回され続けている。僕の学園生活はSクラスに入ってからというもの思い描いていた学園生活とはほど遠いものだった。まだ二日目でここまで躓いてしまってはどうなってしまうのだろうか。
「ねえ。私にも君の隠していることを教えてほしいな」
本当に殿下がいつのことを言っているのかわからないのだ。殿下と僕があったのは高等部になってからが初めてのはずだ。中等部ではクラスが遠すぎて会うことなど一度もなかった。殿下はいつの話をしているのだろう。
「本当に覚えていないの?」
「いや、このメガネには身に覚えしかないんですけど…殿下に会ったのは高等部が初めてですよね」
「うーん、嘘はついてないみたいだね。あっけなかったんだった☆」
「なっ!!?」
(ば、バカにしてるのか~!?まあ確かに何の疑いもなくお茶を飲んだ僕も悪いんだけど!!)
はははっと声をあげて殿下は笑っている。僕はそれどころではないんだが殿下がそんな感じだとこっちも気が抜けてしまう。でも殿下は何か確信を持って僕に質問しているような気がする。なんだ?何があるんだ?
「このメガネを渡した相手のことは覚えているかい?」
「渡した相手?」
僕はメガネを渡したあの朝の記憶を必死に思い出す。あの時見た人は男性で、紅色の瞳を持った男性だった。背も殿下くらい高くて…金髪…
(えっ…まさか…いや、でも片方の瞳は見ていないしまだそうとは限らない)
「何か分かったかい?」
「ハッ」
息をのむ、ど、どどどうしたらいいんだ。ここで選択肢を間違えたら僕の学生生活終わるか!?
「何をそんなに焦っているんだい?君は何となく知っていることを教えてくれたらいいんだよ」
「僕の家がお金がないことは知っていますよね?」
「うん。何となくだけど知っているよ」
「入学式の時、僕は馬車を持っていないから走って登校していたんです。その時に殿下と同じくらいの身長で金髪の男性に会ってそのメガネを渡しました」
ここまできたら正直に答えよう。きっと殿下には全て見透かされているんだから。僕はやや諦めていた。殿下はゆっくりと微笑んで僕の目をじっと見つめる。改めて綺麗な顔である。僕はもうほとんどの思考を停止させたため、殿下が美しいということしか考えられない。このまま一緒の部屋で生活を共にしていたら他の人であれば殿下に惚れていただろう。
「あの時の人は私だよ」
「へぁ?」
「ずっと君にもらったメガネを返したいと思っていたんだ。あの時はありがとう」
「あ、はい…」
何となく分かっていたがあの時あった少年がまさかの第二王子殿下だなんて思わないものだ。あの時話しかけたのが不敬だったか!?それとも貴族でありながら走りながら登校していたのが貴族の品を損なうと怒られてしまうのだろうか。それとも、それともといろいろな最悪なことが頭から離れない。というか…
「でも、あの時なぜ殿下はあんなところに…」
ぽろっと口から言葉があふれてしまう。今は何でも口から思ったことが出てしまうんだ。もっと注意しなければいけない。
「君って本当に面白いね。私の作った自白剤のせいでもあるんだけど、表情だけでも言いたいことがわかるからとても楽しいよ。あの時は確か極秘任務を陛下に任されていてね、しまったこれは秘密だったんだった」
「そんな簡単に王宮の秘密を僕に言わないでください~」
「フィオーレならきっと誰にも言わないって信じてるよ」
出会って二日目の僕をそう簡単に「信じる」など言わないでほしい。凡人の僕にはその言葉が何よりプレッシャーになることをこの王子様は分かっていなさ過ぎる。メガネを返してくれるだけであればよかったのになんで余計なことも僕に吹き込もうとするんだ。
「それにしてもこのメガネすごいんだね。君が作ったの?」
「はい。領地を復興させるための商品として開発したものです。実際に僕も使っていたので品質に問題はないと思うのですが」
「ということは中等部の頃にはもう開発をしていたということかな。商品としてこれはもう発売しているの?」
「それが、これを発売しようと思ったんですが…」
「ですが?」
まずい、これ以上このメガネやローブの話はしてはいけない。とりあえず言えないのだ。
「急に話が止まったけどどうしたんだい?」
「いやあ、あはは」
今の殿下には嘘をつけない。どうやってこの場を切り抜ければいいんだ。きっと僕の目はすごく泳いでいると思う。手も足も震えてしまっていて感覚があまりない。
「大丈夫。君も私の秘密を知ったんだ。これでお互いに秘密が一つずつある。いいことじゃないか」
殿下の甘い言葉にうなずきそうになってしまう。もうこれ言ってしまってもいいんじゃないか?という気持ちになるのだ。殿下はきっと尋問とか向いているだろう。いや、尋問だけじゃない。殿下はきっとどんなことでもこの崩れない笑顔でサラッと出来てしまうタイプなんだろう。こういうのを何というんだったっけな。
この学園に来てから殿下に振り回され続けている。僕の学園生活はSクラスに入ってからというもの思い描いていた学園生活とはほど遠いものだった。まだ二日目でここまで躓いてしまってはどうなってしまうのだろうか。
「ねえ。私にも君の隠していることを教えてほしいな」
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