逃がしてください!王子様!

発光食品

文字の大きさ
22 / 34

20)共有

しおりを挟む
「ひ、秘密だなんて…」

「じゃあ私にも教えられるよね?お願い」

「わかりました。でも、僕はまだこのマジックアイテムをどこかに売ったり濫用したりはしていないということを理解してほしいです」

「うん。分かったよ」

僕はもうこれ以上ゴネ続けても話は並行線であることを察した。ならば早々に諦めて腹を括るほうがいいだろう。この場をどうにか逃れられたとしてもこの王子だったら何らかの手を使って僕の秘密を知ろうとするだろうから遅かれ早かれこうなっていたのだ。

「このメガネとローブはかなり高性能なんです。認識阻害魔法を組み合わせているので、このアイテムを身につけていればそう簡単に僕だと言うことがバレることがありません」

「そうだね。私も君にもらったメガネをつけてみて驚いたよ。私が言うのも変な話だが、かなり目立つ容姿をしているだろう?だから歩くと常に視線の的になっていたんだ」

(それはもう知っていますよ)

「だからこのメガネをつけたまま学園について私の存在に気づかれなかったときは本当に驚いたもんだ。このマジックアイテムの効果は身をもって知った私が証明するよ」

「…そんなに褒めていただけるとは思いませんでした…ありがとうございます。では、身をもって知っていただいたクラウン様にはこのマジックアイテムが商品化出来ない理由がわかるはずでは?」

殿下はニコッと笑って口を閉ざした。そこまで分かっていて僕の口から言わせたいと言うのであればかなりの性悪だろう。こんなこと口が裂けても言えないが。

「効果が強すぎたのが問題なんです。ここまで性能が良いときっと犯罪者もこのアイテムに手を出し始めるでしょう。その時は都市中がパニックになるはずです。僕が生み出したいのは犯罪道具ではなく、生活が豊かになるためのアイテムですから」

洗いざらい僕の開発したアイテムについて話した。製造方法から思いついた時の話までだ。何でそんなことまで言わなければならないんだ?という質問まであった。その間、殿下はいつもの笑顔でニコニコしていたが声色はどこか楽しそうだったのでよしとしよう。

「ふふ、ありがとう。君の話は本当みたいだね」

「まあ、今嘘をつこうと思ってもつけないですし…」

「もし嘘つけたらついていたってこと?」

「ま、まあ、場合によっては?」

「ははは!!!フィオーレは度胸があるね」

「うう…」

この紅茶いつまで効力が続くんだろう。もしかして僕はずっとこのまま殿下から逃げられないんだろうか。結構長い時間殿下の部屋の中にいてかなり不敬な言動もしてしまったような気がする。この部屋のどこかに殿下の護衛の人とかいて「不敬だ!!」と言って突然取り押さえられたりしたらどうしよう。

「まあここは学園だから軽い不敬は不問だよ。今の話で私はもっと君との仲を深めたいとも思ったしね」

「…殿下、その言い方は誤解されてしまいます」

「誤解?何がだい?」

意地悪な顔で殿下が微笑む。そこはどこか妖艶で僕の顔はリンゴのように真っ赤になってしまった。表情のせいかもしれないが、その、恋愛の意味で「仲を深めたい」と言ってるように聞こえてしまう。この国の王子がこんなに破廉恥でいいのか!?いや、よくない!!

「このアイテムはまだ販売すらされていない。そうだよね?」

「もちろんです。売ってしまったら将来的に捕まりかねませんから」

「そこで君に一つ提案がある」

「提案?」

「このマジックアイテムを私専用で作ってくれないかな?」

「えっ!?このマジックアイテムをですか!?」

「費用であれば私が出そう。それに褒美もたんまりと与えよう」

費用は元から貰おうと思っていたが、褒美も!?褒美ももらえちゃうんですか!?僕は目の前の報酬に目が眩んで、今、殿下が悪魔のような笑みを浮かべていることに気が付かなかった。

「引き受けてくれるかい?」

「も、もちろんでございます。クラウン様のためであればいくらでも。でもなぜ?」

「入学式の日任務中の私を見ただろう?任務中僕の目は目立つからね。片方の目が違うのはこの国の第二王子くらいだからね。でも、あのメガネがあれば私は目を隠すことに気を使わなくても良くなる。それだけで作業効率が全く違うとは思わないかい?」

「は、はい」

すごい迫力と説得力だ。きっと殿下は裏で動くことが多いんだろう。器用な殿下だからできることである。その中でも殿下の瞳は誰よりも目立つから綺麗だけど邪魔になるんだろう。

「もう夜も遅いね。これからは部屋が同じだから話す時間はたくさんあるだろうし、明日も授業があるから今日は部屋に戻りなさい。…それとも私のベッドで一緒に寝ていくかい?」

「いっ!!自室に帰らせていただきます…」

「そう?残念♡」

「お邪魔しました」と言って殿下の部屋を後にする。部屋に戻った僕は自分のベッドにバフッとダイブする。さすが貴族の通う寮のベッドだ。ふわふわして気持ちがいい。最後の殿下の威力が凄すぎて僕は部屋に戻ってからしばらくボーッとしてしまって眠りについたのは深夜を過ぎてからだった。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

処理中です...