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21)不思議なクラスメイト
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「おはよう♡フィオーレ」
「お、はようございます。クラウン様」
僕は早起きな方だ。家にいる時も家族の中で誰よりも起きるのが早かった。朝には強い方なので早起きが苦だと思ったことはない。だから、今日こそ殿下よりも早く起きようとしたのだ。実際にいつもより30分早く目覚めて一人で朝の食堂に行こうと思っていたのだ。
「クラウン様は朝が早いんですね…」
「フィオーレこそ早いじゃないか。今日は何か予定でもあったのかな?」
予定などない。昨日変な別れ方をしたから普通に気まずいだけだ。「私のベッドで一緒に寝ていくかい?」と言った昨日の殿下の姿がフラッシュバックする。どこか色気のある殿下に僕はドキドキしてしまったんだ。
「ぼーっとしてどうしたの?」
「わああ!!急に近づかないでください!!」
「私はそんなに動いていないよ?それにしても顔が真っ赤だ。何を思い出したのかな?」
(こ、この~!!全部わかっているくせに!!)
くすくすと悪戯が成功した子供のように殿下は笑う。僕の心境はそれどころじゃないというのに。僕みたいに殿下のオモチャになった人間はいったい何人いるんだろう。きっと数えきれないんだろうな。
「冗談がすぎたね、ごめんごめん。私はフィオーレみたいな友達が少ないから嬉しくなったんだ」
「僕よりは友達がいると思いますよ」
「ああ、上辺だけの友人であれば数えきれないほどいるな」
「あー!あー!僕は何も聞いていません」
「ふふ、じゃあもういっ」「やめてください」
いつの間にか僕は殿下と普通に会話をしていた。
「君と話をするのはとても楽しいけど、そろそろ朝ごはんを食べないと料理を作ってくれたシェフが泣いてしまう。もちろん一緒に食べてくれるよね?」
「は、はい」
言い争うのは時間の無駄だと昨日のうちに理解した僕は大人しく殿下の向かいの席に座った。料理を持ってきてくれたシェフが僕たちを見てニコニコしているのが子供を見守る親のような視線で居たたまれなくなる。「友達ができてよかったね…」みたいな視線を僕たちに送るのはやめてくれ。
今日の朝ごはんもなかなか豪華だった。家から通っていた時は一切れのパンか食べずに学園に向かっていた。なのでお肉やら野菜やらスープやら出されるとかなりきつい。食べないと言うのは僕の中のもったいない精神が許してくれない。
(く、苦しい…)
頑張ったが全部は食べきれなかった。今にもお腹が張り裂けそうである。僕は殿下の隙をついて昼ごはんのお弁当にしてくれないか殿下の使用人?に言ってみた。すると何故か涙ぐんだ使用人が「お任せください。私が必ずフィオーレ様にこのお弁当を届けて見せます」と言ってくれた。どこに感動する要素があっただろうか。
「フィオーレは食が細いんだね」
「朝からあの量食べるのは無理がありますって」
「いいや、あのくらい食べないと。だからこんなに細いんだ」
貴族ってもしかしてかなりの大食いなのではないか?学園には細身の人が多かったから気づかなかった。
そして僕は重たいお腹を持ち上げながら学園に向かった。
ーーー
「フィオーレ様おはようございます」
「ルーナ嬢もおはよう。あれ?後ろの子は?」
「ヨル嬢ですわ。私と同室ですの」
「は、初めまして…ヨル・ラナスと申します」
「あ、えっと、僕はフィオーレ・アルノートです」
「ヒェ」
そう言ってルーナ嬢の後ろに隠れたヨル嬢は入学してから初めてみた。黒くて長い髪に真っ直ぐの前髪は一度見たら印象に残るはずだ。ルーナ嬢と部屋が同じと言うことは彼女はSクラスである。昨日一通りクラスメイトは覚えたがその中に彼女がいた覚えがない。髪とは対照に瞳がガラスのような色で透き通っている。一度見れば覚えるはずだ。
じーっと見ていたからだろうか、彼女はルーナ嬢の後ろに隠れてしまった。
(見すぎてしまっただろうか)
「あらあら、フィオーレ様はそんな怖い方ではないですよ」
「……」
「なるほど…男性が苦手なのね。気づかなくてごめんなさいね。私でさえも話せるようになるまで長かったのに」
「…!……」
僕には聞こえないほどの小さい言葉で話をしている。男性が苦手なのか、では普通に話しかけたから怖かっただろう。僕は少し屈んで彼女と視線を合わせる。
「驚かせてしまって申し訳ありません。でも、僕はあなたに決して危害は加えないので信じていただきたいです」
するとルーナ嬢から顔を半分だけ出してくれた。僕の顔をじっと見ている。僕のことを見定めているのだろうか。
「わっ、わた、くしのほう、こそ…ごめんなさい。フィッ、フィオーレ様のことでしたら存じ上げていますわ」
「僕のことを知っていただけていたのですね」
「あっ、昨日とか…すごい活躍でしたし…」
「あー」
ヨル嬢は僕のことを知っていたようだ。逆に知っていない方が申し訳なくなってくる。
「すみません。僕はヨル嬢のことをあまり知らなくて…」
「仕様がないことですわ。わ、わたく、しの魔法のせいですわ。だ、からフィオーレ様は私のす、がた…を認知できていなかったのですわ。私のせいなのです…」
「え?」
「お、はようございます。クラウン様」
僕は早起きな方だ。家にいる時も家族の中で誰よりも起きるのが早かった。朝には強い方なので早起きが苦だと思ったことはない。だから、今日こそ殿下よりも早く起きようとしたのだ。実際にいつもより30分早く目覚めて一人で朝の食堂に行こうと思っていたのだ。
「クラウン様は朝が早いんですね…」
「フィオーレこそ早いじゃないか。今日は何か予定でもあったのかな?」
予定などない。昨日変な別れ方をしたから普通に気まずいだけだ。「私のベッドで一緒に寝ていくかい?」と言った昨日の殿下の姿がフラッシュバックする。どこか色気のある殿下に僕はドキドキしてしまったんだ。
「ぼーっとしてどうしたの?」
「わああ!!急に近づかないでください!!」
「私はそんなに動いていないよ?それにしても顔が真っ赤だ。何を思い出したのかな?」
(こ、この~!!全部わかっているくせに!!)
くすくすと悪戯が成功した子供のように殿下は笑う。僕の心境はそれどころじゃないというのに。僕みたいに殿下のオモチャになった人間はいったい何人いるんだろう。きっと数えきれないんだろうな。
「冗談がすぎたね、ごめんごめん。私はフィオーレみたいな友達が少ないから嬉しくなったんだ」
「僕よりは友達がいると思いますよ」
「ああ、上辺だけの友人であれば数えきれないほどいるな」
「あー!あー!僕は何も聞いていません」
「ふふ、じゃあもういっ」「やめてください」
いつの間にか僕は殿下と普通に会話をしていた。
「君と話をするのはとても楽しいけど、そろそろ朝ごはんを食べないと料理を作ってくれたシェフが泣いてしまう。もちろん一緒に食べてくれるよね?」
「は、はい」
言い争うのは時間の無駄だと昨日のうちに理解した僕は大人しく殿下の向かいの席に座った。料理を持ってきてくれたシェフが僕たちを見てニコニコしているのが子供を見守る親のような視線で居たたまれなくなる。「友達ができてよかったね…」みたいな視線を僕たちに送るのはやめてくれ。
今日の朝ごはんもなかなか豪華だった。家から通っていた時は一切れのパンか食べずに学園に向かっていた。なのでお肉やら野菜やらスープやら出されるとかなりきつい。食べないと言うのは僕の中のもったいない精神が許してくれない。
(く、苦しい…)
頑張ったが全部は食べきれなかった。今にもお腹が張り裂けそうである。僕は殿下の隙をついて昼ごはんのお弁当にしてくれないか殿下の使用人?に言ってみた。すると何故か涙ぐんだ使用人が「お任せください。私が必ずフィオーレ様にこのお弁当を届けて見せます」と言ってくれた。どこに感動する要素があっただろうか。
「フィオーレは食が細いんだね」
「朝からあの量食べるのは無理がありますって」
「いいや、あのくらい食べないと。だからこんなに細いんだ」
貴族ってもしかしてかなりの大食いなのではないか?学園には細身の人が多かったから気づかなかった。
そして僕は重たいお腹を持ち上げながら学園に向かった。
ーーー
「フィオーレ様おはようございます」
「ルーナ嬢もおはよう。あれ?後ろの子は?」
「ヨル嬢ですわ。私と同室ですの」
「は、初めまして…ヨル・ラナスと申します」
「あ、えっと、僕はフィオーレ・アルノートです」
「ヒェ」
そう言ってルーナ嬢の後ろに隠れたヨル嬢は入学してから初めてみた。黒くて長い髪に真っ直ぐの前髪は一度見たら印象に残るはずだ。ルーナ嬢と部屋が同じと言うことは彼女はSクラスである。昨日一通りクラスメイトは覚えたがその中に彼女がいた覚えがない。髪とは対照に瞳がガラスのような色で透き通っている。一度見れば覚えるはずだ。
じーっと見ていたからだろうか、彼女はルーナ嬢の後ろに隠れてしまった。
(見すぎてしまっただろうか)
「あらあら、フィオーレ様はそんな怖い方ではないですよ」
「……」
「なるほど…男性が苦手なのね。気づかなくてごめんなさいね。私でさえも話せるようになるまで長かったのに」
「…!……」
僕には聞こえないほどの小さい言葉で話をしている。男性が苦手なのか、では普通に話しかけたから怖かっただろう。僕は少し屈んで彼女と視線を合わせる。
「驚かせてしまって申し訳ありません。でも、僕はあなたに決して危害は加えないので信じていただきたいです」
するとルーナ嬢から顔を半分だけ出してくれた。僕の顔をじっと見ている。僕のことを見定めているのだろうか。
「わっ、わた、くしのほう、こそ…ごめんなさい。フィッ、フィオーレ様のことでしたら存じ上げていますわ」
「僕のことを知っていただけていたのですね」
「あっ、昨日とか…すごい活躍でしたし…」
「あー」
ヨル嬢は僕のことを知っていたようだ。逆に知っていない方が申し訳なくなってくる。
「すみません。僕はヨル嬢のことをあまり知らなくて…」
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「え?」
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