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26)拠点作りチーム
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少しナタリー先生が言いよどむ。なぜだろうか、嫌な予感がする。
「実は今年から少し仕様が変わるみたいなんだ。前までは拠点の位置は大体クラスで決まっていたんだけど、今回は完全フリー。言いたいことがわかるかな?」
(なんだって!?)
今まで聞いた話だと、”屋外キャンプ”の目的はあくまで新しいクラスメイトとの親睦を深めるための行事である。そのため、拠点は元々ここらへんと決められていたのだ。”決められた場所”に自分たちの拠点を作れないのは正直言って面倒臭い。
「いや~なんか、先生たち気合い入りすぎてて…まるで僕たちを目の敵にするかのように難易度を上げてきたんだよねえ」
「もしかして先生、他のクラスの先生たちを煽ってきたんじゃないですよね?」
「うっ、そ、そんなことないヨ!!」
「本当のことを言ってくださいまし」
「ちょ、ちょ~っと君たちのことを他のクラスの先生たちに自慢しただけなんだ…まさか、こんな手を打ってくるなんて…。僕もできるだけ早く情報を君たちに伝えられるようにするけど、どんな小細工をしてくるかわからないから注意してほしい」
なるほど。なんとなく、なぜこんなことになったのか分かった気がする。きっと今は生徒同士で話し合う時間なのだろう。その間、教師は職員室で僕たちの会話で盛り上がる。そこでナタリー先生はSクラスの子たちの自慢を”少し”ではなく”過剰”にしてしまったのではないだろうか。それか、ナタリー先生が教師の間でかなり嫌われているかだろう。
「ごめん。今回の”屋外キャンプ”…君たちにとっては楽しょ…難易度の低いものだったはずなんだけど、もしかしたらそう簡単にはいかないかもしれない。僕はそこまで発言することができないから、このことは頭の片隅にでも置いておいてほしい」
そう言ってナタリー先生はポンッと音を立てて消えてしまった。職員室に帰ったのだろう。今の行動で怒られていないといいが…
「ははっ、だって。私たちも頑張らないといけないね」
「そうだな。そうと決まれば早めに対策を練るしかない」
殿下が珍しく歯を見せて笑っている。この状況を心から楽しんでいるような表情である。僕たちはこの学園の生徒たちから目の敵にされているというのに笑っていられる殿下を見ると、「もしかしたら大丈夫かも」という謎の安心感が湧いてくる。
「じゃあ、ここからは各チームに分かれて軽く当日の作戦を決めようか。あとでまた作戦のすり合わせをしよう」
「はーい」
(え!!このまま皆で決めるんじゃないの!?僕、一人で仕切るなんて無理だよ!?)
そんな僕の心の声の叫びは誰にも届くことなく、皆速やかに自分の席から各チームの元へ離れていった。
ーーー
「えーっと、「拠点作りチーム」のリーダーになりました。フィオーレ・アルノートです。君たちのことを知るためにも一度自己紹介をしてもいいかな?」
僕が司会をしているなんてただただ違和感だ。殿下はこの何倍もの人の前で堂々と話をしていると考えると「さすが」としか言いようがない。僕はもうすでにどうしたらいいか困っている。
「じゃあ、自分から」
先に声を挙げてくれたのはネイロ君だ。入学式に僕に話しかけてくれた若草色の髪色と瞳の男の子である。僕が困っていることに気づいたんだろう。同じチームになれて本当に良かった。僕の救世主である。
「名前はネイロ・ジャバス。属性は草属性やで~。軽く草木を操るくらいはできるから拠点作りや、良い場所を選ぶのに役に立つと思うからよろしゅう~」
ゆるい自己紹介で周りの緊張を解いていく。これが商人のコミュニケーション能力なのだろうか。僕も将来は領地の特産品を作って商売に活かしたいと思っているから、ネイロ君の会話術はぜひ教えていただきたい。
「じゃあ次俺だな!俺の名前はアイル!土属性だ。騎士団で体も鍛えているから、拠点の土台作りや力仕事は任せてくれよな!」
茶髪に頬のそばかすが印象的な少年だ。体つきは周りよりもがっしりしていて頼りになりそうだ。しかし、騎士団なのであればてっきり「食料調達チーム」に行くものだと思うのだが。気になってしまい、思わず聞いてみる。
「なんでこのチームに?「食料調達チーム」の方が君は動きやすいんじゃないか?」
「うーん、このチームを見た時に力仕事ができそうにないと思ってな。向こうはレナート様を含めてかなりのやり手が揃っているからな。俺一人がこっちにきたところで大丈夫だろう」
(た、頼もしい!!)
確かにこのチームは拠点を作るにしてはパワーが足りなそうだ。その点も含めてアイルさん?がうちのチームに来てくれて助かった。性格も明るくて優しそうだ。
あと3人、の自己紹介が残っているのだが、その中には今朝知り合った人もいる。今にも気絶しそうなくらい緊張しているのが伝わってくる。
(だ、大丈夫だろうか)
「実は今年から少し仕様が変わるみたいなんだ。前までは拠点の位置は大体クラスで決まっていたんだけど、今回は完全フリー。言いたいことがわかるかな?」
(なんだって!?)
今まで聞いた話だと、”屋外キャンプ”の目的はあくまで新しいクラスメイトとの親睦を深めるための行事である。そのため、拠点は元々ここらへんと決められていたのだ。”決められた場所”に自分たちの拠点を作れないのは正直言って面倒臭い。
「いや~なんか、先生たち気合い入りすぎてて…まるで僕たちを目の敵にするかのように難易度を上げてきたんだよねえ」
「もしかして先生、他のクラスの先生たちを煽ってきたんじゃないですよね?」
「うっ、そ、そんなことないヨ!!」
「本当のことを言ってくださいまし」
「ちょ、ちょ~っと君たちのことを他のクラスの先生たちに自慢しただけなんだ…まさか、こんな手を打ってくるなんて…。僕もできるだけ早く情報を君たちに伝えられるようにするけど、どんな小細工をしてくるかわからないから注意してほしい」
なるほど。なんとなく、なぜこんなことになったのか分かった気がする。きっと今は生徒同士で話し合う時間なのだろう。その間、教師は職員室で僕たちの会話で盛り上がる。そこでナタリー先生はSクラスの子たちの自慢を”少し”ではなく”過剰”にしてしまったのではないだろうか。それか、ナタリー先生が教師の間でかなり嫌われているかだろう。
「ごめん。今回の”屋外キャンプ”…君たちにとっては楽しょ…難易度の低いものだったはずなんだけど、もしかしたらそう簡単にはいかないかもしれない。僕はそこまで発言することができないから、このことは頭の片隅にでも置いておいてほしい」
そう言ってナタリー先生はポンッと音を立てて消えてしまった。職員室に帰ったのだろう。今の行動で怒られていないといいが…
「ははっ、だって。私たちも頑張らないといけないね」
「そうだな。そうと決まれば早めに対策を練るしかない」
殿下が珍しく歯を見せて笑っている。この状況を心から楽しんでいるような表情である。僕たちはこの学園の生徒たちから目の敵にされているというのに笑っていられる殿下を見ると、「もしかしたら大丈夫かも」という謎の安心感が湧いてくる。
「じゃあ、ここからは各チームに分かれて軽く当日の作戦を決めようか。あとでまた作戦のすり合わせをしよう」
「はーい」
(え!!このまま皆で決めるんじゃないの!?僕、一人で仕切るなんて無理だよ!?)
そんな僕の心の声の叫びは誰にも届くことなく、皆速やかに自分の席から各チームの元へ離れていった。
ーーー
「えーっと、「拠点作りチーム」のリーダーになりました。フィオーレ・アルノートです。君たちのことを知るためにも一度自己紹介をしてもいいかな?」
僕が司会をしているなんてただただ違和感だ。殿下はこの何倍もの人の前で堂々と話をしていると考えると「さすが」としか言いようがない。僕はもうすでにどうしたらいいか困っている。
「じゃあ、自分から」
先に声を挙げてくれたのはネイロ君だ。入学式に僕に話しかけてくれた若草色の髪色と瞳の男の子である。僕が困っていることに気づいたんだろう。同じチームになれて本当に良かった。僕の救世主である。
「名前はネイロ・ジャバス。属性は草属性やで~。軽く草木を操るくらいはできるから拠点作りや、良い場所を選ぶのに役に立つと思うからよろしゅう~」
ゆるい自己紹介で周りの緊張を解いていく。これが商人のコミュニケーション能力なのだろうか。僕も将来は領地の特産品を作って商売に活かしたいと思っているから、ネイロ君の会話術はぜひ教えていただきたい。
「じゃあ次俺だな!俺の名前はアイル!土属性だ。騎士団で体も鍛えているから、拠点の土台作りや力仕事は任せてくれよな!」
茶髪に頬のそばかすが印象的な少年だ。体つきは周りよりもがっしりしていて頼りになりそうだ。しかし、騎士団なのであればてっきり「食料調達チーム」に行くものだと思うのだが。気になってしまい、思わず聞いてみる。
「なんでこのチームに?「食料調達チーム」の方が君は動きやすいんじゃないか?」
「うーん、このチームを見た時に力仕事ができそうにないと思ってな。向こうはレナート様を含めてかなりのやり手が揃っているからな。俺一人がこっちにきたところで大丈夫だろう」
(た、頼もしい!!)
確かにこのチームは拠点を作るにしてはパワーが足りなそうだ。その点も含めてアイルさん?がうちのチームに来てくれて助かった。性格も明るくて優しそうだ。
あと3人、の自己紹介が残っているのだが、その中には今朝知り合った人もいる。今にも気絶しそうなくらい緊張しているのが伝わってくる。
(だ、大丈夫だろうか)
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