逃がしてください!王子様!

発光食品

文字の大きさ
30 / 34

23)静かなチームメイト

しおりを挟む
「あの…僕、そろそろ話してもいいのぉ?」

ナナ嬢の話を止められないでいると、隣でのほほんとした声が聞こえる。

(こ、子供…?)

もちろん僕もまだ子供だが、隣の少年はかなり体が小さい。まだ10もいってないんじゃないかと思うほど小柄なのだ。それに口には飴を含んでいる。学園的に授業中に飴を食べるのは良いのだろうか。

「ごめーん!ナナ、ついついたくさんお話ししちゃった☆エリたん。自己紹介どーぞ!!」

「はあい。エリたん事、エリオット・ヴァンスだよ~。「拠点作りチーム」にしたのは~僕が楽できそうだから~」

薄緑の瞳と髪の少年はぼんやりとした表情で今にも眠りそうだ。それにしても、なんなんだそのふざけた理由は。この子は一体何ができるんだというのだろう。

「エリたんはこんな風にのんびり屋さんだけど、めちゃくちゃ頭がいいんだよ!!ナナが中等部の時もエリたんに助けてもらったんだ!」

「ナナたんは頭が悪すぎるんだよ~。中等部の勉強くらいは考えなくてもわかるでしょ」

(ん?エリオット・ヴァンス?)

「君、魔法史のテストで唯一勝てたと言われた、あのエリオット・ヴァンスなのかい?」

そうなのだ。中等部の時、殿下はずっと学業でも武術や運動、魔法学でもトップだった。しかし、一回だけ魔法史のテストで2位になったのだ。その時は学園中で大騒ぎ。「1位になったやつはどんなやつなんだー!」「殿下が誰かに点数で負けるなんて!!」とあまりに騒ぐものだから嫌でも覚えている。

「う~ん。その通りなんだけど…でもたった一回だよ~」

「たった一回でもすごいよ…」

そう、本当にすごい事なんだ。なぜなら殿下は毎回のテストでほぼ満点をとっているからだ。うちのテストは他の学園よりもかなり難易度が高いらしい。7~8割問題があっていれば頭がいいと言われているテストに対してほぼ満点を取るなんて余程の天才しかいない。

(僕は死に物狂いで頑張って平均8割くらいだったけど…)

そして、僕たちはやっとお互いの名前を知り合えた。軽く整理すると僕と、

ネイロ・ジャバス、気さくで話しやすい。どんな魔法を使うか、あえて言っていない感じがありまだ謎がある男。

ヨル・ラナス、今朝ルーナ嬢と一緒にいた重度の人見知りの女の子。霧魔法を使って姿を消してしまうので、目を離さないように注意だ。

アイル・ロアート、騎士団で普段から体を鍛えているからかがっしりして力仕事で頼りになりそうだ。…このチームは特に力仕事が苦手そうな人が多いから彼のような存在は正直助かる。それに「拠点作りチーム」にとって土属性はいくらあってもいいくらいだ。

ナナ、どんな魔法を使うのかはわからないがものを作るのは得意と言っていたので期待したい。それに、彼女のコミュニケーション能力は2泊3日過ごすチームには欠かせないものだ。苗字を呼ばれることを嫌っているため、注意していきたい。

エリオット・ヴァンス、ナナ嬢からエリたんと呼ばれている。中等部の頃は殿下にテストで勝つという偉業を成し遂げた天才である。彼の頭脳があればきっとキャンプの時も順調にことが進むだろう。…彼のやる気があるかどうかはわからないが。

こう改めてまとめてみるとかなり「濃い」メンバーが集まった。僕はこのチームをきちんとまとめられるのだろうか。不安しかない。

「じゃあ今から”屋外キャンプ”に向けての作戦を立てるよ」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

処理中です...