主人公の義弟兼当て馬の俺は原作に巻き込まれないためにも旅にでたい

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義兄にドキドキするなんておかしい!!

9)母の怒り

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「お、お母様…」

「どうしたのかしらナハトちゃん。早く座りましょう?」

「あの、僕…」

「ナハトちゃん。私は早く座りましょうって言ったのよ?」

最初に畳み掛けようと思っていたら母に先手を打たれてしまった。もう俺が魔物討伐に行こうとしていくことを知っているのだろう。雰囲気がいつもより重くて怖い。

「ル、ルーナ…」

「あら、あなた。今日は来るのが遅かったわね?早く食べましょう?」

「あ、ああ…」

父が小動物のように小さくなってしまっている。公爵家の当主も自分の嫁には弱いらしい。
重々しい空気の中、父と俺は食卓につく。

「今日も美味しそうね。ねえ?ナハトちゃん」

「はは…そうですね…あの、お母様お話が…」

「今はお食事の時間よ?その話は今、必要なの?」

「…いいえ」

「いい子ね♡ナハトちゃん」

ガチで怒っている。俺に話をする隙を与えてくれない。公爵家の料理はいつもベテランのシェフが作っているから最高に美味しいんだが今は全く味がしない。今まで食事を残したことはなかったが、食事が喉を通らないとはこのことなんだろうか。

結局俺は食事を7割くらいしか食べられなかった。これはうちの使用人にも衝撃を与え、料理長はショックで倒れてしまった。ごめん。でも俺も今はそれどころでは無いのだ。この後、母の部屋に呼ばれている。もちろん父もだ。

ーーー

「…失礼します」

「いらっしゃい。ナハトちゃん。夜に私の部屋に来るのは久しぶりね♡さあ、さあ、座ってちょうだい」

意外と母は優しく俺を受け入れた。父は先についていたらしく、もうソファーの上に座っている。俺は父の隣にちょこんと座った。母と戦うのが一人じゃなくて本当に良かった。

向かいの席に母も座ると、スッと雰囲気が変わる。

「で、私ナハトちゃんが魔物討伐にいくって話をさっき聞いたんだけど、どういうことかしら?」

「「……!?」」

声がいつもより一段階低くなる。先ほどまであった天使のような笑みはもうない。

「ぼ、僕が言い出したんです。お兄様に追いつきたくて父に無理やりお願いしました」

「そうだ。それに私も無条件でナハトを討伐に連れていくと言ったわけではない。この半年でナハトも十分成長したんだ」

「二人とも何故私がここまで怒っているのか理解していないみたいだわ。私は魔物討伐に行くことについての理由を聞いているわけではないの」

やれやれといった様子で母は首を振る。

(な、何か見落としているのだろうか)

「その半年も前から出ていた大切な話を私にしなかったことに怒っているの。ナハトちゃんが頑張っていることは知っていたし、レナートが悩んでいることにも気づいていたわ。なのに、私には一言も話してくれないんだもの」

母は少し頬を膨らませて拗ねてしまった。ああ、母が怒っていたのはそういうことだったんだ。



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