報われない恋はやめよう!…あれ?なんだか相手の様子がおかしいようです

発光食品

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5)報われない恋はやめた方がいい?

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そうこう考えているうちに浴室のドアが開く音がする。伊月が上がったのだろう。

「もう上がったんだな。どう、スッキリし…た…」

うっ!!!水も滴るいい男とはこのことを言うのか。漆黒の髪から滴る水滴はどこの湧き水よりも綺麗にキラキラしている。美しい顔面を目の当たりにし、俺は思わずぎゅっと目を瞑る。

「何回も見てるでしょ?そろそろ慣れたら?」

「伊月の顔面に慣れるのは無理がある!!!」

「そう」

伊月は「はいはい」とでも言うようにソファーに座っている俺の下に腰を下ろした。ああ、なるほど。これは伊月が俺に髪を乾かして欲しいという合図だ。最近はあまり同じ時間に風呂に入る事がないから忘れていたが、被った時は必ずと言っていいほど、伊月の髪は俺が乾かしていた。この美しい髪に触れるし伊月のためにもなる。俺にとっては一石二鳥だった。

でも『伊月離れ』をすると決めたばかりだというのに、すぐに髪を乾かしてあげるというのはいいのだろうか。自分の決意と願望の間で「うーん、うーん」と唸っていると、様子のおかしい俺を見かねて伊月が話しかけてきた。

「どうしたの?早く乾かしてよ」

「あっ、うん。ぼーっとしてた」

結局俺は伊月の髪の毛を乾かしている。伊月が「何かしてほしい」と言うと、俺はもうすでに抗えないくらいには調教されていた。これはかなり由々しき事態かもしれない。髪を乾かしながらふとそう思う。

でも俺は今日伊月の朝ごはんを用意しなかったんだ。これも大きな一歩だろ。と心の中で自分を甘やかした。少しずつ俺の中にいる伊月をなくしていけばいいんだ。

「ふ~よし、きれいに乾いたな。俺も風呂入ってくるから伊月も早く休むんだぞ」

「…え」

「どうしたんだ?」

「朝ごはんは?」

ドキンと胸が大きな音を立てる。本人に突っ込まれると何故か心の罪悪感が顔を出して暴れてくるのだ。伊月もキョトンという顔をして「まだ?」と催促してくる。息子の飯を抜くときのお母さんってもしかしてこういう気持ちになるんだろうか。でも、心を鬼にして。

「ご、ごめん。俺、疲れてるみたいで作るのを忘れてた~。はは、申し訳ないけど、何か冷蔵庫にあるものを簡単に食べててくれるか?」

「……」

そう言って俺はそそくさとバスルームに逃げ込んだ。何が「心を鬼にする」だ。本人を目の前にすると全然できそうもない。いよいよ俺の伊月に対する気持ちが異常であることに気づく。

「まずいな…これは何か作戦を考えないと」

まずは冷たい水でも浴びて頭を冷やそう。そしてこれからの計画をもっと綿密に組もう。俺は着ていた服を洗濯機に入れるついでにその辺に脱ぎ捨てられている伊月の服も回収し、洗濯を回した。
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