陽のあたる場所

こたろ

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溺れる魚

溺れる魚5

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震災から2日後の飲み会当日の昼休み、

俺とシゲルは高円寺の中華料理屋で昼飯を食べながら今日の飲み会の話をしていた--。



「フク、いいんだよ。

節電以外は普通に生活した方がいいからね。」


「分かってる。それは俺も同じ考え。


だけど、今日予約してるのって焼き肉屋で電気もすげぇ使いそうだし、

しかも火を使うからデカい余震でもきたら危なくねぇか?」


シゲルは元々マイ弁当を持参していたのに、今日は敢えて外食をして

経済の流通を円滑にしようと微力ながらに行動していた。



「まぁもう予約しちゃってんだし、今更考えてもしょうがないっしょ!?(笑)」



「それもそうだな(笑)

与えられた状況を楽しまなきゃな♪」



自粛自粛と騒がれる中、自粛モードに俺もシゲルも反対派というか…


みんな自粛しろだの、募金だの、ボランティアだの…もちろんそれ自体は"良いこと"なのかもしれないが

みんながみんなそっちに突っ走って、結局そういった機関がパンクしてる現状に俺とシゲルは呆れていた…。




そう、自粛とは何も生み出さないのだ。



でもこんな状況ではナーバスになってしまうのも分かるし、自粛するのを悪いとは言わない。



だけど本当に被災地を助けたいならば、今まで通り…いや、むしろ今まで以上に浪費することが自分には最善と俺は考えていた。





仕事が終わった後、いよいよ焼き肉屋に向かって、みんなで飲み始めた。


今日の飲み会は高円寺の職場を辞める1人の送別会というカタチだった--。



みんな余震の不安からか、いつもよりハイペースで飲んでいるようで酔っ払いが続出していた(笑)



その後酔っ払い達のノリでカラオケにも行って…


「みんな入れないなら俺いれちゃうよ?(笑)」


「シゲルズルいっ!!

俺もそれ唄いたいっ!!」



カラオケ中、シゲルと俺と


同じ職場でフィリピン人の"キャリー"と"エミリー"の4人が

酔っ払った勢いで騒ぎまくって、ハイテンションで場を盛り上げていた(笑)




でもこの日、俺はなんだか胸騒ぎがしていたんだ…。



酔っ払って家に帰ると宗介はまだ帰ってなくて…

俺は1人部屋の中、不安にかられていた---。
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