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2.綾と「黒猫茶房」
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綾とは大学の学食で待ち合わせることにした。12時に集合だと、彼方まで並ぶことを厭わない、飢えた昼食難民に遭遇することになる。昼の混雑を避けるべく、少し遅めの昼食をと言うことにしておいた。
午後の国文学の授業は、詩織先生が入院しているため、休講になっていた。この時間を昼食に充てることにした。
少し時間をずらすだけで、学食の人口密度は大幅に減る。辺りを見回すと、昼食をつついている人間は数人いる程度になっていた。
和喜魔具の話は他の人に聞かれたくもないので、隠れるように1人黙々とラーメンを食べている男の後ろを擦り抜け、できるだけ人目のつかない、柱と壁に挟まれた食堂の端の席を陣取ることにした。
魔法とか、魔王とか、秋葉原魔理事会総選挙とか、そういう単語をまじめに口にする人間だと思われると、後々の人間関係に支障が出るように思えるからである。影が薄くてもいい、普通の人間として学園生活を送りたいものである。
前期の終わりが迫っているので、レポートをいかに簡単に済ませるかという作戦を立てながら待っていると、5分ほど遅れて綾がやってきた。
魔法使いらしいゴスロリ調の黒い服を着て、長い黒髪を揺らす姿は、学食を可憐に舞う、美しく小さな黒いアゲハ蝶を思わせた。
〇
僕と綾が初めて出会ったのは、大学の入学初日、大学の時計塔の前である。
当時、時計塔の前では、新入生を獲得すべく、様々な部活、サークル、同好会がひしめき合っていた。
揃いのユニホームを着こなすソフトボール部、かわいい女性の笑顔を前面に出すテニスサークル、路上で笑いを集める落語研究会、僕は片端から気になる勧誘に足を止め、耳を傾けていった。
これから過ごす、大学でのリアルで充実した生活を夢想し、どのサークルに入るか頭を悩ませた。所属するサークルで、これからの大学生活が左右されるに違いないと当時の僕は本気で思い込んでいたのだ。
時計塔の前で、サークル勧誘のビラを集めては読みふけり、あ~でもない、こ~でもないと、1人で根拠のない論戦を頭の中で繰り広げていた。
その時だった。僕は、黒いアゲハ蝶がふわりふわりと時計塔の前を舞っているのを見た。
いや、僕の目に止まったのは黒いアゲハ蝶ではなかった。
長い黒い髪に、ゴスロリ調の黒い服を着こなした、とても可愛らしい女の子だった。その女の子は、花の上に止まるが如く、あるサークルの前で立ち止まった。
机の前に貼られたサークルの名前に目を凝らすと、それは「魔法研究会 黒猫茶房」だった。
女の子は、勧誘をしている人達と言葉を交わし始める。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている。
黒猫茶房も、こちらを見ている僕の姿を見つけた。背の高い、ホウキを片手に持った女性が僕を手招きする。僕は好奇心に駆られるまま、黒猫茶房の方に歩いていた。
言うまでもなく、この黒アゲハ蝶の女の子が綾である。サークル勧誘の席上で言葉を交わし、3分後にはお友達になりたいと心から思うようになっていて、魔法研究会、黒猫茶房がどんなサークルかも分からないまま、綾と一緒に入会届にサインをして今に至る。
この時名前を聞いたのだが、名字は答えずに、堂々と綾と答えられてしまった。なにかこだわりがあるらしい。以降、僕は綾と呼び続けている
〇
「お待たせ」
綾は小さく手を振って、僕の方にやってきた。
「昨日はサークルを休んで何をしてたの?」
箒にまたがり、赤いリボンを着けた黒い服の女の子が描かれたバックを机の上に置き、僕の向かいの席に座る。その声を聞くだけで幸せな気分になるほど、僕の精神回路は躾けられている。
「和喜魔具に呼び出されたんだ」
「あ、そういえば昨日電話に着信してた」
「電話に出ないって言ってたぞ」
「昨日は満月じゃない。いろいろと忙しかったのよね」
サークルは満月と新月に色々と騒ぎを起こす。
満月と新月は魔法使いにとって、重要なイベントなのだそうだ。前回の満月の時は精霊を召喚するとかいう話になって、和喜魔具から仕入れた正体不明のクリスタルを媒介に、3時間かけて呪文を唱え続けた。結果、精根尽き果てみんなで屍の山を築いた。
「何か知らんが、預かってきたぞ」
足元から、ダンボールを引っ張り出す。和喜魔具で預かった荷物は、嫌な予感を秘めたまま、僕と1晩を過ごしていた。
「あっ!ありがとう!届いてたんだ!重かったでしょ?」
「一体なんだこれ?朝品さんが意味深なセリフを口にしてたが」
綾は僕を哀れむような目で見、うっすらと笑った。
「世の中には知らないほうがいいこともあるわよ」
ダンボールを受け取ると、僕に見えないように少しだけ隙間を開けて中を覗き込む。
「流石いい大きさね。次の満月は楽しみにしておいて」
綾がフッフッフッと笑うのを見て、次の満月には僕の寿命が縮まるのを覚悟した。
前期試験の話をしながら、僕は天ぷらそば、綾はカレーライスをそれぞれ食べた。綾はカレーライスの上に手をかざし、くるくると手を回す。よくわからないが、こうすることでカレーの辛さがまろやかになるのだそうだ。
手を右に回したり左に回したりすることで味が変わる理由は見当がつかない。
こういうのを見ると、普通の人間なら首をかしげる所だが、僕にはいつものことなので、首は縦に振られることになる。むしろ僕の心は、こういう綾の行動で癒されてしまう心境にまでたどり着いている。
ひらりひらりと宙を舞う綾のスプーンを見ながら、天ぷらそばを心ゆくまで堪能した。
◯
食べ終わった後、昨日の和喜魔具で朝品さんに頼まれた選挙の話をすることにした。
秋葉原魔法協会とやらについては、家に帰ってから好奇心にかられてネットで調べてしまったが、調べる程に何が言いたいのか分からない代物だった。
途中で頭痛がしてきたので調べるのは止めてしまった。そもそもこういうのは一夜漬けの僕よりも、綾の方がはるかに詳しい。黒猫茶房エースの呼び声高い優等生だけあって、むしろ僕の方が秋葉原魔法協会とはなんぞやということについて、1から説明を受けてしまったほどだ。
ややこしい説明をしなくて済むのはありがたい。あれこれ聞かれても、一般人に理解の及ばない世界だから説明しようがない。
昨日の朝品さんとのやりとりを、かいつまんで綾に説明した。
魔王こと真木氏にビルを追い出されることになった、黒猫茶房OGの私怨に思えなくもないが、とりあえず、秋葉原魔法協会とやらの選挙に、詩織先生に立候補してもらえないだろうかという話だ。
綾はフムフム言いながら、僕の話を聞いていた。
「う~ん、微妙ね。詩織先生は会長なんかやりたがない気がするけど」
まぁ、まともな神経をしていたら、魔法協会会長なんていう、けったいな肩書を欲しがる奴はまずいないだろう。
詩織先生は、そういう意味では常識人としてのバランスも備えている人だから、魔法協会の会長になりたいとか言い出すようには、とても思えない。
「よくわからんが、選挙は断ればいいんじゃないか?別に魔王とやらが会長をやったところで、どうってことないように思えるが」
「まぁ、どうってことないわね」
綾はあっさりと頷いた。
ならもうこの話は解決ではないか。正直、綾が詩織先生を会長に当選させたいとか、私が会長になるとか言い出すんじゃないかと心配していたが杞憂で済みそうだ。直感で生きている女なので、常に想定外の外側を歩きたがるから注意が必要なのだ。
「俺の方から詩織先生に電話してみるよ。嫌だって言ってもらえれば、それまでなんだし」
「入院中なのよ。あんまり電話するのは感心しないけど」
「それは確かに」
「明日、詩織先生のお見舞いに行く予定なの。その時に話をしてみるわ」
「なら、そうするか。慌てるような話でもないしな」
これでとりあえず大方の話はついた。僕は一仕事済ませた気分で、大きく伸びをした。
「そりゃ、詩織先生が選挙に出ないなら、慌てる話しじゃないけど、一応明日中には伝えておかないと」
綾が非難するように僕の目を見た。
「なんでだ?」
「立候補締め切られちゃうじゃない」
「そうなのか?」
「そんなこと知らないなんて、あんたもしかして、会員じゃないの?」
「会員じゃないぞ。秋葉原魔法協会の存在すら知らなかったし、どうやって入会すればいいのかも知らない」
「ネットから入会できるわよ。後は年会費を払うだけ」
魔法協会って秘密結社みたいなものじゃないのか?満月の夜にはみんなで鶏の頭をはねて踊り狂うようなイメージがあるのだが。
「それじゃ魔法使いかどうかなんて関係無く入会できてしまうぞ。いくらなんでも、いい加減すぎないか?」
「私に言われても知らないわよ。自分で魔法使いと申請すれば、魔法使いって方針だから」
自称魔法使いが集まっているだけなのか。
「いったい、入会して何をしているんだ?」
「いろいろやってるわよ。夏フェスとか、秋のピクニックとか、冬の大忘年会とか。時々飲み会なんかもあるわね」
なんだかだいぶイメージと違うな。昨日ネットで調べた時は、抽象的で神秘的で、意味不明な事を書き連ねていたが、実際にやっていることは大学のサークルとたいして変わらない。
「ネットで会員を集める、イベントサークルにしか見えないぞ」
「全然違うわよ。あんたも入りなさいよ。結構面白いわよ。今なら割引期間中だし」
入っても入らなくてもどっちでもいいさ。万が一入りたくなったら、その時考えれば充分だ。
綾は魔法協会がどんなものかについて、延々と話しを繰り広げた。僕は適当に相槌をうちながら河の流れを眺めるがごとく話を聞き流した。一般人には関わるべき団体では無い事は確かだろう。
どこで誰がどういう団体を作ろうが構わない。会長とやらも、自分たちの好きなように決めてくれればそれでいい。
僕はこうやって、綾の横で綾の声を聞けるだけで、魔法については十分だ。
午後の国文学の授業は、詩織先生が入院しているため、休講になっていた。この時間を昼食に充てることにした。
少し時間をずらすだけで、学食の人口密度は大幅に減る。辺りを見回すと、昼食をつついている人間は数人いる程度になっていた。
和喜魔具の話は他の人に聞かれたくもないので、隠れるように1人黙々とラーメンを食べている男の後ろを擦り抜け、できるだけ人目のつかない、柱と壁に挟まれた食堂の端の席を陣取ることにした。
魔法とか、魔王とか、秋葉原魔理事会総選挙とか、そういう単語をまじめに口にする人間だと思われると、後々の人間関係に支障が出るように思えるからである。影が薄くてもいい、普通の人間として学園生活を送りたいものである。
前期の終わりが迫っているので、レポートをいかに簡単に済ませるかという作戦を立てながら待っていると、5分ほど遅れて綾がやってきた。
魔法使いらしいゴスロリ調の黒い服を着て、長い黒髪を揺らす姿は、学食を可憐に舞う、美しく小さな黒いアゲハ蝶を思わせた。
〇
僕と綾が初めて出会ったのは、大学の入学初日、大学の時計塔の前である。
当時、時計塔の前では、新入生を獲得すべく、様々な部活、サークル、同好会がひしめき合っていた。
揃いのユニホームを着こなすソフトボール部、かわいい女性の笑顔を前面に出すテニスサークル、路上で笑いを集める落語研究会、僕は片端から気になる勧誘に足を止め、耳を傾けていった。
これから過ごす、大学でのリアルで充実した生活を夢想し、どのサークルに入るか頭を悩ませた。所属するサークルで、これからの大学生活が左右されるに違いないと当時の僕は本気で思い込んでいたのだ。
時計塔の前で、サークル勧誘のビラを集めては読みふけり、あ~でもない、こ~でもないと、1人で根拠のない論戦を頭の中で繰り広げていた。
その時だった。僕は、黒いアゲハ蝶がふわりふわりと時計塔の前を舞っているのを見た。
いや、僕の目に止まったのは黒いアゲハ蝶ではなかった。
長い黒い髪に、ゴスロリ調の黒い服を着こなした、とても可愛らしい女の子だった。その女の子は、花の上に止まるが如く、あるサークルの前で立ち止まった。
机の前に貼られたサークルの名前に目を凝らすと、それは「魔法研究会 黒猫茶房」だった。
女の子は、勧誘をしている人達と言葉を交わし始める。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている。
黒猫茶房も、こちらを見ている僕の姿を見つけた。背の高い、ホウキを片手に持った女性が僕を手招きする。僕は好奇心に駆られるまま、黒猫茶房の方に歩いていた。
言うまでもなく、この黒アゲハ蝶の女の子が綾である。サークル勧誘の席上で言葉を交わし、3分後にはお友達になりたいと心から思うようになっていて、魔法研究会、黒猫茶房がどんなサークルかも分からないまま、綾と一緒に入会届にサインをして今に至る。
この時名前を聞いたのだが、名字は答えずに、堂々と綾と答えられてしまった。なにかこだわりがあるらしい。以降、僕は綾と呼び続けている
〇
「お待たせ」
綾は小さく手を振って、僕の方にやってきた。
「昨日はサークルを休んで何をしてたの?」
箒にまたがり、赤いリボンを着けた黒い服の女の子が描かれたバックを机の上に置き、僕の向かいの席に座る。その声を聞くだけで幸せな気分になるほど、僕の精神回路は躾けられている。
「和喜魔具に呼び出されたんだ」
「あ、そういえば昨日電話に着信してた」
「電話に出ないって言ってたぞ」
「昨日は満月じゃない。いろいろと忙しかったのよね」
サークルは満月と新月に色々と騒ぎを起こす。
満月と新月は魔法使いにとって、重要なイベントなのだそうだ。前回の満月の時は精霊を召喚するとかいう話になって、和喜魔具から仕入れた正体不明のクリスタルを媒介に、3時間かけて呪文を唱え続けた。結果、精根尽き果てみんなで屍の山を築いた。
「何か知らんが、預かってきたぞ」
足元から、ダンボールを引っ張り出す。和喜魔具で預かった荷物は、嫌な予感を秘めたまま、僕と1晩を過ごしていた。
「あっ!ありがとう!届いてたんだ!重かったでしょ?」
「一体なんだこれ?朝品さんが意味深なセリフを口にしてたが」
綾は僕を哀れむような目で見、うっすらと笑った。
「世の中には知らないほうがいいこともあるわよ」
ダンボールを受け取ると、僕に見えないように少しだけ隙間を開けて中を覗き込む。
「流石いい大きさね。次の満月は楽しみにしておいて」
綾がフッフッフッと笑うのを見て、次の満月には僕の寿命が縮まるのを覚悟した。
前期試験の話をしながら、僕は天ぷらそば、綾はカレーライスをそれぞれ食べた。綾はカレーライスの上に手をかざし、くるくると手を回す。よくわからないが、こうすることでカレーの辛さがまろやかになるのだそうだ。
手を右に回したり左に回したりすることで味が変わる理由は見当がつかない。
こういうのを見ると、普通の人間なら首をかしげる所だが、僕にはいつものことなので、首は縦に振られることになる。むしろ僕の心は、こういう綾の行動で癒されてしまう心境にまでたどり着いている。
ひらりひらりと宙を舞う綾のスプーンを見ながら、天ぷらそばを心ゆくまで堪能した。
◯
食べ終わった後、昨日の和喜魔具で朝品さんに頼まれた選挙の話をすることにした。
秋葉原魔法協会とやらについては、家に帰ってから好奇心にかられてネットで調べてしまったが、調べる程に何が言いたいのか分からない代物だった。
途中で頭痛がしてきたので調べるのは止めてしまった。そもそもこういうのは一夜漬けの僕よりも、綾の方がはるかに詳しい。黒猫茶房エースの呼び声高い優等生だけあって、むしろ僕の方が秋葉原魔法協会とはなんぞやということについて、1から説明を受けてしまったほどだ。
ややこしい説明をしなくて済むのはありがたい。あれこれ聞かれても、一般人に理解の及ばない世界だから説明しようがない。
昨日の朝品さんとのやりとりを、かいつまんで綾に説明した。
魔王こと真木氏にビルを追い出されることになった、黒猫茶房OGの私怨に思えなくもないが、とりあえず、秋葉原魔法協会とやらの選挙に、詩織先生に立候補してもらえないだろうかという話だ。
綾はフムフム言いながら、僕の話を聞いていた。
「う~ん、微妙ね。詩織先生は会長なんかやりたがない気がするけど」
まぁ、まともな神経をしていたら、魔法協会会長なんていう、けったいな肩書を欲しがる奴はまずいないだろう。
詩織先生は、そういう意味では常識人としてのバランスも備えている人だから、魔法協会の会長になりたいとか言い出すようには、とても思えない。
「よくわからんが、選挙は断ればいいんじゃないか?別に魔王とやらが会長をやったところで、どうってことないように思えるが」
「まぁ、どうってことないわね」
綾はあっさりと頷いた。
ならもうこの話は解決ではないか。正直、綾が詩織先生を会長に当選させたいとか、私が会長になるとか言い出すんじゃないかと心配していたが杞憂で済みそうだ。直感で生きている女なので、常に想定外の外側を歩きたがるから注意が必要なのだ。
「俺の方から詩織先生に電話してみるよ。嫌だって言ってもらえれば、それまでなんだし」
「入院中なのよ。あんまり電話するのは感心しないけど」
「それは確かに」
「明日、詩織先生のお見舞いに行く予定なの。その時に話をしてみるわ」
「なら、そうするか。慌てるような話でもないしな」
これでとりあえず大方の話はついた。僕は一仕事済ませた気分で、大きく伸びをした。
「そりゃ、詩織先生が選挙に出ないなら、慌てる話しじゃないけど、一応明日中には伝えておかないと」
綾が非難するように僕の目を見た。
「なんでだ?」
「立候補締め切られちゃうじゃない」
「そうなのか?」
「そんなこと知らないなんて、あんたもしかして、会員じゃないの?」
「会員じゃないぞ。秋葉原魔法協会の存在すら知らなかったし、どうやって入会すればいいのかも知らない」
「ネットから入会できるわよ。後は年会費を払うだけ」
魔法協会って秘密結社みたいなものじゃないのか?満月の夜にはみんなで鶏の頭をはねて踊り狂うようなイメージがあるのだが。
「それじゃ魔法使いかどうかなんて関係無く入会できてしまうぞ。いくらなんでも、いい加減すぎないか?」
「私に言われても知らないわよ。自分で魔法使いと申請すれば、魔法使いって方針だから」
自称魔法使いが集まっているだけなのか。
「いったい、入会して何をしているんだ?」
「いろいろやってるわよ。夏フェスとか、秋のピクニックとか、冬の大忘年会とか。時々飲み会なんかもあるわね」
なんだかだいぶイメージと違うな。昨日ネットで調べた時は、抽象的で神秘的で、意味不明な事を書き連ねていたが、実際にやっていることは大学のサークルとたいして変わらない。
「ネットで会員を集める、イベントサークルにしか見えないぞ」
「全然違うわよ。あんたも入りなさいよ。結構面白いわよ。今なら割引期間中だし」
入っても入らなくてもどっちでもいいさ。万が一入りたくなったら、その時考えれば充分だ。
綾は魔法協会がどんなものかについて、延々と話しを繰り広げた。僕は適当に相槌をうちながら河の流れを眺めるがごとく話を聞き流した。一般人には関わるべき団体では無い事は確かだろう。
どこで誰がどういう団体を作ろうが構わない。会長とやらも、自分たちの好きなように決めてくれればそれでいい。
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