異世界転移したよ!

八田若忠

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web連載

略奪戦

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「んだども、オラエンガルの魔王にリンダしゃんが騙されでるって、聞いて慌てて来たどもそれが誤解で、リンダしゃんが魔王の側にいるっで事は、リンダしゃんをお嫁さんにするっで事だぺした?」

 何を言ってるこのぺした人は?

「だから勝負だぺした」

 リンダに助けを求めて視線を移すと、ウットリとした顔で身を捩っている。

「喧嘩をやめて〜二人を止めて〜♪」

 呑気に歌い出す始末だ。

「ちょっとあなたねぇ!」

 デックスが立ち上がり抗議を始めた。

「イントはもう既婚者なの! もう年齢不詳の変な女の入り込む余地は無いの! 解る?」

 リンダがちょっとムッとする。

「年齢不詳ってひど〜い、見た目通りのピチピチギャルなのに〜」

 ヴィータも珍しく憤っているらしく立ち上がった。

「年齢不詳は年齢不詳〜、それに登場した時から思っていたけど、語尾がなんか被ってて嫌〜」

 それは俺も思ってた。

「そうだぞ! いい加減服を着たらどうだ! いつまでもパンツ一丁で!」

 エステアは平常運転だ。

「魔王は結婚してるだか?」

 伯爵が首を傾げながら聞いてくる。

「俺は既婚者だぞ? だからな……」

「許さないぺした」

「いや、だから」

「許さんぞおおお!」

 もう嫌……この人感情スイッチがデジタルすぎ……。

「許すも許さないもだな……」

「こ、このプ、プレイボーイがあああ!」

 プレイボーイって……。

「どちらかと言うとこの状態を楽しんでいるのはリンダだぞ?」

「あらあ? 楽しんでないわよ? そうねぇ、勝った方に私を口説く権利をあげるわ〜」

 調子に乗ってきたリンダがまた適当な事を言い出す。

「権利を放棄するから早くこのバカを連れて行ってくれ」

 筋肉伯爵が更に怒る。

「リ、リンダしゃんを弄んだのかああ!」

 ああ……誰か助けて下さい……。

「ああ、私から提案だが……」

 あ、ギルド長居たんだ?

「二人の勝負は、そうだな……どこか遠くの山の中とかどうだね?」

 厄介払いする気満々ですね? このじじい。

「そもそも俺はリンダをどうしようとも思ってないし、この筋肉と事を構えようとも思ってない、どうしてそう勝負だ勝敗だと優劣を付けたがる? ナンバーワンよりオンリーワンだよ、争いは無しにしてラブ・アンド・ピースの精神を皆持とうじゃないか」

 一生懸命に適当な事を言っていたら、思いの外集まっている全員が感動したらしい。

「おら……恥ずかしいぺした。 争う事や憎しみ合う事ばかりに目先を奪われて、肝心な事が見えて無かったぺした」

 筋肉伯爵が肩を落とす。
 意外と話せば解ってくれる奴だったみたいだ。

「うむ、私もそれが言いたかったのだよ、町内で大暴れとか絶対に良くない事だとな」

 ギルド長が乗っかって来る。
 脂汗をテカらせながら、必死の形相だ。

「そうよね……要らぬ争いで憎しみを増長させるよりも、平和的に解決してお互いを分かり合えるように、正々堂々スポーツでケリを付けましょう、模擬戦で!」

 そしてリンダが滅茶苦茶にした。

「良し! かかってこおおおい! エンガルの魔王とやらの実力、見せてもらおうかああああ!」

 伯爵が暑苦しい程に筋肉をパンプアップさせた。

「伯爵! キモチワルイけど逞しいわあ!」

 リンダが煽る。

「ふははははは! 我輩がドラキュラ伯爵であああある!」

 リンダと伯爵以外全員が頭を抱え、ギルド長は胃を抑えながら机に突っ伏した。
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