51 / 131
第2章 正体―アイデンティティ―
026 ミンスと石の巫女 前半
しおりを挟む
久坂の言葉に、一同は驚く。
久坂は言った。
「ロケットが打ち上げられた日なら、オレも心当たりがある。
オレもその日、補欠要員でついてってたんだ。ヤツ等、薄気味悪ぃ機械を運んでてな。
そこで…石の巫女が死ぬ所を見た。」
その言葉に、ミンスは悲しそうな表情を見せながらも頷いた。
「石の巫女が他の者を国に入れないのはそのためです。
石の巫女が人間ではない、不思議な力を持った者だと皆さんは既におわかりでしょう?石の巫女は…地球の生物ではないのです。
…それを調べようとする人間を拒むためです。」
電話の外で、誠治は腑に落ちない表情をしていた。
守は随分と雰囲気の変わった誠治を見て、胸騒ぎを覚えていた。
ミンスは続けた。
「石の巫女は、力が命の源です。力が無くなれば枯れてしまいます。
…石の巫女は倒れ、力を失いかけたのですが、クロマが人間を追い払ったのです。」
その時だった、ずっと黙って聞いていたクロマが目を見開き、何かを思い出したかのように口をぽっかり開ける。
「クロマ…」
ミンスはクロマの異変に気づき、傍に寄る。
するとクロマは俯いて言った。
「倒れた母上を電気ショックで起こそうとした。」
久坂は眉を潜めてクロマを見つめた。
「電気ショック?雷の間違いな気がするが。」
それに対し、クロマは頷いた。
「加減を知らなかったのだ。全く反応を見せない母上が恐ろしく、雷を落とすのをやめたら終わりだと思った。」
その罪の告白のように、淡々と語るクロマを悲しげに見るミンス。
「クロマは…そんなにあの女の事…」
ミンスが呟くと、クロマは悔しそうな顔を上げミンスに言った。
「違う!私はそのような事で苦しんでいるのではない!」
周囲が首を傾げると、クロマはミンスの両肩を掴む。
「正気でなくなった私は…母上を殺した後、止めに入ったミンスを…貴様にも雷を落として…大怪我をさせてしまった…。」
ミンスは目を見開くと、クロマは掴む強さを強めて更に言う。
「その時、血の気が引いた。力が暴走するほど…頭の中がおかしくなったのだ。」
――十一年前、サウザは十一歳、クロマは六歳、ミンスは五歳の時だ。
国の王宮の中、サウザはクロマとミンスに笑顔で言った。
「三人で!父上と母上の結婚祝いしよう!街まで買い物に行こうよ!」
「あら、素敵な考えですね。わたくし賛成です。」
しかし、クロマは不機嫌な顔。
「結婚祝いなど下らない!母上と父上の事を、この私が祝うとでも思っているのか!
…母上の誕生日なら考えてやらんでもない。」
どうやらクロマは、母は好きでも父が嫌いのようだ。
そこに一人の男性が参上。
髪型がクロマやサウザによく似ている男性だ。
男性はニコニコしながら三人を抱きしめた。
「なんだなんだ~?俺と瑠璃の結婚祝い買ってくれるの?楽しみだな~」
そう、彼は三人の父親。
「う~聞かれちゃたよ~」
サウザは泣き言を吐くかのように言うと、クロマは父の腕を振り払って怒った。
「誰が貴様と母上の結婚祝いなどするものか!貴様は旅にでも出かけていればいいだろう!」
「酷いなクロマは。まあそこが可愛いんだけど。」
父は嫌われているのを、あまり気にしていない様子。
「クロマ、わたくしは祝った方がいいと思いますよ?きっと母上は喜んでくださいます。」
ミンスも微笑んで言った。
クロマはそれを聞くと下を向いて、それから立ち去る。
「母上が…父上との思い出で喜ぶなど…私は気に入らん。」
クロマが立ち去った後の三人は顔を合わせると、サウザは言った。
「ねえねえ、いつになったら父上とクロマは仲良くなるの?」
「さあねぇ。マザコン困っちゃうねぇ。」
父は口を尖らせて言うので、ミンスは苦笑。
それからミンスは言った。
「そうです。
明日、母上とわたくしとクロマで、ロケットを見に行くんですよ?楽しみです。」
それを聞くと、サウザは羨ましい顔。
「いいな~!俺も行きたい!クロマは父上と俺をあんま好いてないから、来て欲しくないんだろうけど…」
「まあまあサウザ。俺とサウザは二人でラブラブしてよーねー!」
父が言って、サウザに抱きつく。
するとサウザは笑った。
次の日。
クロマとミンス、そして二人の親である瑠璃は国の外へ出ていた。
砂漠の熱の中、ミンスと瑠璃は汗を拭った。
「ミンス、大丈夫か?…うぅ、ここは相変わらず熱いな…」
瑠璃が言うと、ミンスは限界なのかクロマに寄りかかる。
クロマは言った。
「母上もミンスも軟弱だぞ!」
「そう言われましても…」
ミンスが呟くと、クロマは何かに気づく。
クロマは足を止めたので、二人も足を止めた。
「人の気配だ。外の人間かもしれん。」
クロマが言うので、瑠璃は警戒をした表情を見せた。
クロマとミンスを優しく抱きしめ、周囲を見渡した。
すると、三人の真後ろに怪しい人影が見えた。
その怪しい人影は大きな機械を持ち運び、白衣の人間が数人。
白衣の人間の胸には、秋田宇宙生物研究所のエンブレムバッジが。
それを見ると、瑠璃は酷く驚いた表情を見せた。
瑠璃は二人に言った。
「逃げるぞ…!」
しかし瑠璃の行動は遅く、研究員は機械のスイッチを押す。
すると謎の光線が発せられ、瑠璃に当たった。
瑠璃は光線に当たると、苦しそうな表情を見せる。
「ぐっ…!」
「母上!?」
クロマが言うと、ミンスはクロマの腕を引っ張った。
「逃げますよクロマ!」
しかしクロマは動かない。
クロマは怒りに満ちた表情を見せると、クロマの周囲にプラズマが走った。
「貴様等…!母上に何をするッ!」
クロマがそう言うと、空が黒雲に包まれる。
空が真っ暗になると、空から雷が降ってきた。
研究員は猛攻に驚くと、そそくさと退散を始めた。
クロマは退散させたと同時に、瑠璃の様子を見る。
しかし瑠璃はその場で倒れていて、顔色が悪い。
それを見たクロマは青ざめる。
「…母上…?母上!!」
クロマは瑠璃を揺するが、瑠璃は目覚めなかった。
動揺したクロマは、ある事を思いつく。
「そうだ、電気を与えると人は起きるって…!」
クロマはそう信じて、雷を瑠璃に落とした。
それを見て驚いたのはミンス。
「クロマ!おやめなさい!クロマのプラズマは…!」
「起きろ…!起きろ母上!!」
何度も雷を当てるクロマ。
ミンスは見ていられなくなり、顔を隠して怯えていた。
「クロマ…!やめて…!」
すると、一つの雷が偶然にもミンスに当たってしまう。
「キャーッ!!」
ミンスの悲鳴が聞こえると、クロマは目を剥いた。
クロマはミンスを凝視すると、ミンスはプラズマのショックで倒れた。
クロマはその瞬間、心臓の乱れを感じた。
非常に強い焦りと、恐怖を覚える。
するとクロマは思い出すのだ、ミンスが自分の実の母である事を。
クロマはトボトボとミンスの前に歩くと、呟いた。
「ママ…?」
目を覚まさないミンス。
クロマはそれを見ると、自棄糞になり叫んだ。
「ママーーッ!!」
そしてクロマの力は暴走する。
天から雷が落ち続け、クロマからも強大なプラズマが強く放たれ続ける。
少しでも喰らえばひとたまりもないだろう。
そんな事も知らず、国でゆっくりしているサウザと父。
二人は国の外で強力な力を感じると、二人は窓を覗いた。
近くの空から伸びてくる、夥しい量の雷雲。
それを見るとサウザは言う。
「なぁにあれ!?」
「雷雲だ!サウザ、あの先には瑠璃達がいる!」
「母上達が!?」
そう言って父は窓から外に出てしまうので、サウザも急いで追いかけた。
父はサウザが一緒に出ている事を知ると、微笑んでサウザを抱き上げた。
「さ、風になるぞ~!」
そう言って父はウインク。
すると二人は形を失くし、風となって宙を走った。
あっという間に現場に着き、二人は風から元の姿へ戻った。
父はサウザを下ろしたが、その先はプラズマばかりが走っていてとても進めなかった。
父は言う。
「サウザ、能力をクロマに使うんだ。」
「う、うん!」
サウザは返事をすると、両手を遠くに見えるクロマに向けた。
サウザは深呼吸し、両手に念を込める。
見えない波がクロマに届き、クロマの力は一気に消された。
それと同時に、クロマは意識を失って倒れる。
すると周囲のプラズマは消え、雷雲も散っていった。
父とサウザはクロマに駆け寄るが、そこには無残な光景が広がっていた。
ミンスはほぼ無傷であったが、瑠璃だけは固まったように動かない。
瑠璃は石の色のように変色し、目を閉じたまま死んでいた。
父はそれを見て呆然とし、思わず膝を崩した。
サウザも驚きながらも、信じられずに父の後ろに隠れる。
「父上…母上は…」
すると父は頭を抱え、首を横に振った。
サウザはそれを知ると目に涙を溜める。
「え…」
未だに信じられない様子だった。
父は立ち上がり、瑠璃を抱き上げた。
続いてクロマを肩で担ぐ父。
「帰るか…サウザ。ミンスは頼んだぞ。」
父は随分落ち着いた様子になっていた。
サウザはミンスを抱き上げると、涙を拭いて真剣な表情で言う。
「う、うん!」
サウザは父の隣まで走ると、父は優しくサウザの頭を撫でた。――
久坂は言った。
「ロケットが打ち上げられた日なら、オレも心当たりがある。
オレもその日、補欠要員でついてってたんだ。ヤツ等、薄気味悪ぃ機械を運んでてな。
そこで…石の巫女が死ぬ所を見た。」
その言葉に、ミンスは悲しそうな表情を見せながらも頷いた。
「石の巫女が他の者を国に入れないのはそのためです。
石の巫女が人間ではない、不思議な力を持った者だと皆さんは既におわかりでしょう?石の巫女は…地球の生物ではないのです。
…それを調べようとする人間を拒むためです。」
電話の外で、誠治は腑に落ちない表情をしていた。
守は随分と雰囲気の変わった誠治を見て、胸騒ぎを覚えていた。
ミンスは続けた。
「石の巫女は、力が命の源です。力が無くなれば枯れてしまいます。
…石の巫女は倒れ、力を失いかけたのですが、クロマが人間を追い払ったのです。」
その時だった、ずっと黙って聞いていたクロマが目を見開き、何かを思い出したかのように口をぽっかり開ける。
「クロマ…」
ミンスはクロマの異変に気づき、傍に寄る。
するとクロマは俯いて言った。
「倒れた母上を電気ショックで起こそうとした。」
久坂は眉を潜めてクロマを見つめた。
「電気ショック?雷の間違いな気がするが。」
それに対し、クロマは頷いた。
「加減を知らなかったのだ。全く反応を見せない母上が恐ろしく、雷を落とすのをやめたら終わりだと思った。」
その罪の告白のように、淡々と語るクロマを悲しげに見るミンス。
「クロマは…そんなにあの女の事…」
ミンスが呟くと、クロマは悔しそうな顔を上げミンスに言った。
「違う!私はそのような事で苦しんでいるのではない!」
周囲が首を傾げると、クロマはミンスの両肩を掴む。
「正気でなくなった私は…母上を殺した後、止めに入ったミンスを…貴様にも雷を落として…大怪我をさせてしまった…。」
ミンスは目を見開くと、クロマは掴む強さを強めて更に言う。
「その時、血の気が引いた。力が暴走するほど…頭の中がおかしくなったのだ。」
――十一年前、サウザは十一歳、クロマは六歳、ミンスは五歳の時だ。
国の王宮の中、サウザはクロマとミンスに笑顔で言った。
「三人で!父上と母上の結婚祝いしよう!街まで買い物に行こうよ!」
「あら、素敵な考えですね。わたくし賛成です。」
しかし、クロマは不機嫌な顔。
「結婚祝いなど下らない!母上と父上の事を、この私が祝うとでも思っているのか!
…母上の誕生日なら考えてやらんでもない。」
どうやらクロマは、母は好きでも父が嫌いのようだ。
そこに一人の男性が参上。
髪型がクロマやサウザによく似ている男性だ。
男性はニコニコしながら三人を抱きしめた。
「なんだなんだ~?俺と瑠璃の結婚祝い買ってくれるの?楽しみだな~」
そう、彼は三人の父親。
「う~聞かれちゃたよ~」
サウザは泣き言を吐くかのように言うと、クロマは父の腕を振り払って怒った。
「誰が貴様と母上の結婚祝いなどするものか!貴様は旅にでも出かけていればいいだろう!」
「酷いなクロマは。まあそこが可愛いんだけど。」
父は嫌われているのを、あまり気にしていない様子。
「クロマ、わたくしは祝った方がいいと思いますよ?きっと母上は喜んでくださいます。」
ミンスも微笑んで言った。
クロマはそれを聞くと下を向いて、それから立ち去る。
「母上が…父上との思い出で喜ぶなど…私は気に入らん。」
クロマが立ち去った後の三人は顔を合わせると、サウザは言った。
「ねえねえ、いつになったら父上とクロマは仲良くなるの?」
「さあねぇ。マザコン困っちゃうねぇ。」
父は口を尖らせて言うので、ミンスは苦笑。
それからミンスは言った。
「そうです。
明日、母上とわたくしとクロマで、ロケットを見に行くんですよ?楽しみです。」
それを聞くと、サウザは羨ましい顔。
「いいな~!俺も行きたい!クロマは父上と俺をあんま好いてないから、来て欲しくないんだろうけど…」
「まあまあサウザ。俺とサウザは二人でラブラブしてよーねー!」
父が言って、サウザに抱きつく。
するとサウザは笑った。
次の日。
クロマとミンス、そして二人の親である瑠璃は国の外へ出ていた。
砂漠の熱の中、ミンスと瑠璃は汗を拭った。
「ミンス、大丈夫か?…うぅ、ここは相変わらず熱いな…」
瑠璃が言うと、ミンスは限界なのかクロマに寄りかかる。
クロマは言った。
「母上もミンスも軟弱だぞ!」
「そう言われましても…」
ミンスが呟くと、クロマは何かに気づく。
クロマは足を止めたので、二人も足を止めた。
「人の気配だ。外の人間かもしれん。」
クロマが言うので、瑠璃は警戒をした表情を見せた。
クロマとミンスを優しく抱きしめ、周囲を見渡した。
すると、三人の真後ろに怪しい人影が見えた。
その怪しい人影は大きな機械を持ち運び、白衣の人間が数人。
白衣の人間の胸には、秋田宇宙生物研究所のエンブレムバッジが。
それを見ると、瑠璃は酷く驚いた表情を見せた。
瑠璃は二人に言った。
「逃げるぞ…!」
しかし瑠璃の行動は遅く、研究員は機械のスイッチを押す。
すると謎の光線が発せられ、瑠璃に当たった。
瑠璃は光線に当たると、苦しそうな表情を見せる。
「ぐっ…!」
「母上!?」
クロマが言うと、ミンスはクロマの腕を引っ張った。
「逃げますよクロマ!」
しかしクロマは動かない。
クロマは怒りに満ちた表情を見せると、クロマの周囲にプラズマが走った。
「貴様等…!母上に何をするッ!」
クロマがそう言うと、空が黒雲に包まれる。
空が真っ暗になると、空から雷が降ってきた。
研究員は猛攻に驚くと、そそくさと退散を始めた。
クロマは退散させたと同時に、瑠璃の様子を見る。
しかし瑠璃はその場で倒れていて、顔色が悪い。
それを見たクロマは青ざめる。
「…母上…?母上!!」
クロマは瑠璃を揺するが、瑠璃は目覚めなかった。
動揺したクロマは、ある事を思いつく。
「そうだ、電気を与えると人は起きるって…!」
クロマはそう信じて、雷を瑠璃に落とした。
それを見て驚いたのはミンス。
「クロマ!おやめなさい!クロマのプラズマは…!」
「起きろ…!起きろ母上!!」
何度も雷を当てるクロマ。
ミンスは見ていられなくなり、顔を隠して怯えていた。
「クロマ…!やめて…!」
すると、一つの雷が偶然にもミンスに当たってしまう。
「キャーッ!!」
ミンスの悲鳴が聞こえると、クロマは目を剥いた。
クロマはミンスを凝視すると、ミンスはプラズマのショックで倒れた。
クロマはその瞬間、心臓の乱れを感じた。
非常に強い焦りと、恐怖を覚える。
するとクロマは思い出すのだ、ミンスが自分の実の母である事を。
クロマはトボトボとミンスの前に歩くと、呟いた。
「ママ…?」
目を覚まさないミンス。
クロマはそれを見ると、自棄糞になり叫んだ。
「ママーーッ!!」
そしてクロマの力は暴走する。
天から雷が落ち続け、クロマからも強大なプラズマが強く放たれ続ける。
少しでも喰らえばひとたまりもないだろう。
そんな事も知らず、国でゆっくりしているサウザと父。
二人は国の外で強力な力を感じると、二人は窓を覗いた。
近くの空から伸びてくる、夥しい量の雷雲。
それを見るとサウザは言う。
「なぁにあれ!?」
「雷雲だ!サウザ、あの先には瑠璃達がいる!」
「母上達が!?」
そう言って父は窓から外に出てしまうので、サウザも急いで追いかけた。
父はサウザが一緒に出ている事を知ると、微笑んでサウザを抱き上げた。
「さ、風になるぞ~!」
そう言って父はウインク。
すると二人は形を失くし、風となって宙を走った。
あっという間に現場に着き、二人は風から元の姿へ戻った。
父はサウザを下ろしたが、その先はプラズマばかりが走っていてとても進めなかった。
父は言う。
「サウザ、能力をクロマに使うんだ。」
「う、うん!」
サウザは返事をすると、両手を遠くに見えるクロマに向けた。
サウザは深呼吸し、両手に念を込める。
見えない波がクロマに届き、クロマの力は一気に消された。
それと同時に、クロマは意識を失って倒れる。
すると周囲のプラズマは消え、雷雲も散っていった。
父とサウザはクロマに駆け寄るが、そこには無残な光景が広がっていた。
ミンスはほぼ無傷であったが、瑠璃だけは固まったように動かない。
瑠璃は石の色のように変色し、目を閉じたまま死んでいた。
父はそれを見て呆然とし、思わず膝を崩した。
サウザも驚きながらも、信じられずに父の後ろに隠れる。
「父上…母上は…」
すると父は頭を抱え、首を横に振った。
サウザはそれを知ると目に涙を溜める。
「え…」
未だに信じられない様子だった。
父は立ち上がり、瑠璃を抱き上げた。
続いてクロマを肩で担ぐ父。
「帰るか…サウザ。ミンスは頼んだぞ。」
父は随分落ち着いた様子になっていた。
サウザはミンスを抱き上げると、涙を拭いて真剣な表情で言う。
「う、うん!」
サウザは父の隣まで走ると、父は優しくサウザの頭を撫でた。――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる