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第2章 正体―アイデンティティ―
051 さようなら。からの復活、九重誠治
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守の暴走で、誠治はガラスで体を貫かれてしまった。
どうにか避難させるも、もう指を微かに動かすほどの力しか残っていない。
ハジメは誠治に泣きつくと言う。
「誠治…お前の望みはなんだよ…。」
誠治の手を握り締めると、ハジメは大きな声で言った。
「誠治!お前はそこの男子を助けたいんだろ!?お前が死んだらその男子!クロマに殺されるぞ!?
生きなきゃなんないだろ!?」
誠治は僅かに目を動かすとクロマを見た。
冷めた目で、きっと人を殺すにも躊躇いがないだろうと誠治は感じるのだった。
すると、ハジメは植物を生やす。
その植物からは青くて淡く光る丸い木の実がなり、幻想的な光景を魅せる。
それを遠くから見ていた研究員達は驚いた顔。
「これは…!植物人間の力…!?アレは被検体か!?」
「違います!正体不明の、意識を持った植物人間です…!」
研究員達はさておき、ハジメは誠治に言う。
(誠治…、お前の思いを今試す。本当にお前が馬鹿なら…その時は…)
ハジメはそう思うと、誠治に一滴、涙を落とす。
誠治の頬に涙は落ち、血と混ざると誠治の体から大きな光が放たれた。
クロマはその眩しさに、何が起こっているのか見極めようする。
薄ら見える誠治の体は徐々に形が整い、無傷の状態に誠治は戻る。
すると、光は呆気なく消えてしまった。
「傷が癒えた…」
クロマは呟き、ハジメは唖然と誠治を見ていた。
誠治は自分の体が何とも無い事を確認すると、守の方を見る。
「助けに行かないと…!ありがとう!ハジメ!」
誠治はお人好しを発揮し、走って再び守の方へ向かう。
「力をお与えになられたのですか。」
クロマがハジメに聞くと、ハジメは頷いた。
「うん…。でも驚いた、本当に誠治は真っ直ぐしている。
誠治の生き延びたい思いが能力として開花した。僕の予想が正しければ、彼はもう…死なない。」
それを聞いたクロマは返事はしなかったものの、承知したのかグレネに言う。
「グレネ、この男のために道を開けろ!」
「え?…えぇ!?」
一部始終を見ていないグレネは誠治を二度見したが、触手の層を壊そうと殴り続ける。
誠治はグレネによじ登ると肩まで来た。
「あの、この透明のって壁ですか?」
「トゲ!ガラスみたいに透明で、ちょっと太めのツルに刺が隙間なく生えたようなゲジゲジ触手!」
誠治はそれを聞いて突破口を考えていると、更にグレネは話しかけた。
「どうだい超人になった気分はよ。不死身ってやつか?
俺も欲しいもんだったな!そうしたら今頃、死霊なんてやってねぇのに。」
誠治は疑問に思う。
「死霊って、まさか君には生前があるとか…」
「そうだぜ。たった六歳で死んじまったのさ!
でもま、今はいい。こうしてお化けとして生きてるだけでもな。」
「お化け…」
誠治は自分の両手を見た。
「でも、こうして生きているんですから、生きているのと変わらないですよね。」
そう言って誠治はグレネに微笑みかける。
グレネは「へへっ」と笑うとパンチを強くしていく。
「さあもうすぐ開くぜ!兄さん頑張れよッ!って、何を頑張んだ兄さん。」
グレネは最後のパンチを入れ、最後の層を破った。
落ちるガラスの破片、誠治は真っ先に飛び込むと守をガラスから庇った。
守は急な人肌に驚き、息を詰まらせて誠治を見た。
(ゴミ拾いのお兄さん…!)
誠治は着地した痛みと刺さったガラスで痛みを耐えていたが、守を見ると笑顔を見せる。
「あ、無事でしたか。発作、だいぶ落ち着きましたね。」
守は自分の発作が落ち着いている事に気づいた。
そして再び誠治を見る。
誠治の後ろは沢山のガラスが刺さっているが、正面にいる守は気づかないまま。
守はその笑顔を不思議に思うだけ。
「お兄さん、お人好しの顔してる。」
「え?」
誠治がポカンとすると、守はナイフを出してナイフを鏡のようにして誠治の顔を映す。
「これ、よく覚えておいて。お人好しの顔。
優しそうなお目目にお馬鹿そうな雰囲気、すぐ笑顔が出てくるゴミ拾いボランティアさんは優しすぎて感謝するにしきれないから気を付けようね。」
それを聞くと誠治は笑顔になる。
「ありがとう…!」
聞き慣れない感謝の言葉に、守は戸惑いを隠せずそっぽ向いてしまう。
正直、守はさっきの状況が怖くて仕方なかったので、誠治が飛び込んで来てくれて嬉しかったのだ。
更に予想以上に誠治の機嫌が良いので、守の調子が狂う。
ここに、さっきの少女が守に飛び込んで泣いて喜ぶ。
「妖精さんよかった!お兄さんヒーローのおかげだね」
守は少女を見て目を丸くする。
(食料…)
と思ったが、守は溜息。
(まーいいや。)
グレネは誠治を自分の手のひらに乗せると、背中や足に刺さったガラスを全部抜いてあげる。
勿論誠治からは血は流れず、傷もすぐに消えた。
それを確認したグレネは、誠治を肩に乗せて喜んだ。
「やったな兄さん!これでクロマによる殺人計画が無駄に終わった…」
しみじみグレネが言うと、誠治は苦笑する。
そこにやってくるクロマ。
「ハジメ様のご慈悲で見逃しただけだ。なんなら今滅してもいいんだぞ。」
無情にも言うので、誠治は苦笑。
「勘弁してください…」
ハジメはグレネの方まで近づくと誠治に言った。
「凄いじゃないか。こんな恐ろしい魔物を容易に止められるなんて。」
それを聞くと誠治はグレネに頼んで降ろしてもらい、守に話しかける。
「君」
守は振り向くと誠治は言った。
「もう人様に迷惑をかけるような事はしないで欲しい。みんなのために、君のためにも、お願いだ。」
誠治はそう言うと深々と頭を下げ、守は非常に不機嫌な顔をする。
すると守は「フン!」と鼻で言った。
「そこまで言うなら…別に聞いてやらない事はないよ。」
守は照れ隠しで上から目線で言う。
誠治は目を輝かせて嬉しさのあまりに、守の手を咄嗟に繋いで握手した。
守が驚いていると、誠治も自分の無意識の行動に気づいたのかすぐに手を離した。
「すいません…」
反省した様子の誠治を見て、守は鼻で笑う。
「くるしゅーない。」
そう言うと、守は心配してくれた少女に言った。
「ばいばい、また遊ぼ。」
そしてかつらを被り、立ち去る。
誠治と少女は、その後ろ姿を見つめていた。
「誠治、」
ハジメが誠治に話しかけるので、誠治はハジメの方を見る。
「今度の休日でいいからまた陽の下院に来いよ。話しておかなきゃならない事があるから。」
「あ、はい!」
誠治は内容を気にしつつも、はっきりと返事をした。
どうにか避難させるも、もう指を微かに動かすほどの力しか残っていない。
ハジメは誠治に泣きつくと言う。
「誠治…お前の望みはなんだよ…。」
誠治の手を握り締めると、ハジメは大きな声で言った。
「誠治!お前はそこの男子を助けたいんだろ!?お前が死んだらその男子!クロマに殺されるぞ!?
生きなきゃなんないだろ!?」
誠治は僅かに目を動かすとクロマを見た。
冷めた目で、きっと人を殺すにも躊躇いがないだろうと誠治は感じるのだった。
すると、ハジメは植物を生やす。
その植物からは青くて淡く光る丸い木の実がなり、幻想的な光景を魅せる。
それを遠くから見ていた研究員達は驚いた顔。
「これは…!植物人間の力…!?アレは被検体か!?」
「違います!正体不明の、意識を持った植物人間です…!」
研究員達はさておき、ハジメは誠治に言う。
(誠治…、お前の思いを今試す。本当にお前が馬鹿なら…その時は…)
ハジメはそう思うと、誠治に一滴、涙を落とす。
誠治の頬に涙は落ち、血と混ざると誠治の体から大きな光が放たれた。
クロマはその眩しさに、何が起こっているのか見極めようする。
薄ら見える誠治の体は徐々に形が整い、無傷の状態に誠治は戻る。
すると、光は呆気なく消えてしまった。
「傷が癒えた…」
クロマは呟き、ハジメは唖然と誠治を見ていた。
誠治は自分の体が何とも無い事を確認すると、守の方を見る。
「助けに行かないと…!ありがとう!ハジメ!」
誠治はお人好しを発揮し、走って再び守の方へ向かう。
「力をお与えになられたのですか。」
クロマがハジメに聞くと、ハジメは頷いた。
「うん…。でも驚いた、本当に誠治は真っ直ぐしている。
誠治の生き延びたい思いが能力として開花した。僕の予想が正しければ、彼はもう…死なない。」
それを聞いたクロマは返事はしなかったものの、承知したのかグレネに言う。
「グレネ、この男のために道を開けろ!」
「え?…えぇ!?」
一部始終を見ていないグレネは誠治を二度見したが、触手の層を壊そうと殴り続ける。
誠治はグレネによじ登ると肩まで来た。
「あの、この透明のって壁ですか?」
「トゲ!ガラスみたいに透明で、ちょっと太めのツルに刺が隙間なく生えたようなゲジゲジ触手!」
誠治はそれを聞いて突破口を考えていると、更にグレネは話しかけた。
「どうだい超人になった気分はよ。不死身ってやつか?
俺も欲しいもんだったな!そうしたら今頃、死霊なんてやってねぇのに。」
誠治は疑問に思う。
「死霊って、まさか君には生前があるとか…」
「そうだぜ。たった六歳で死んじまったのさ!
でもま、今はいい。こうしてお化けとして生きてるだけでもな。」
「お化け…」
誠治は自分の両手を見た。
「でも、こうして生きているんですから、生きているのと変わらないですよね。」
そう言って誠治はグレネに微笑みかける。
グレネは「へへっ」と笑うとパンチを強くしていく。
「さあもうすぐ開くぜ!兄さん頑張れよッ!って、何を頑張んだ兄さん。」
グレネは最後のパンチを入れ、最後の層を破った。
落ちるガラスの破片、誠治は真っ先に飛び込むと守をガラスから庇った。
守は急な人肌に驚き、息を詰まらせて誠治を見た。
(ゴミ拾いのお兄さん…!)
誠治は着地した痛みと刺さったガラスで痛みを耐えていたが、守を見ると笑顔を見せる。
「あ、無事でしたか。発作、だいぶ落ち着きましたね。」
守は自分の発作が落ち着いている事に気づいた。
そして再び誠治を見る。
誠治の後ろは沢山のガラスが刺さっているが、正面にいる守は気づかないまま。
守はその笑顔を不思議に思うだけ。
「お兄さん、お人好しの顔してる。」
「え?」
誠治がポカンとすると、守はナイフを出してナイフを鏡のようにして誠治の顔を映す。
「これ、よく覚えておいて。お人好しの顔。
優しそうなお目目にお馬鹿そうな雰囲気、すぐ笑顔が出てくるゴミ拾いボランティアさんは優しすぎて感謝するにしきれないから気を付けようね。」
それを聞くと誠治は笑顔になる。
「ありがとう…!」
聞き慣れない感謝の言葉に、守は戸惑いを隠せずそっぽ向いてしまう。
正直、守はさっきの状況が怖くて仕方なかったので、誠治が飛び込んで来てくれて嬉しかったのだ。
更に予想以上に誠治の機嫌が良いので、守の調子が狂う。
ここに、さっきの少女が守に飛び込んで泣いて喜ぶ。
「妖精さんよかった!お兄さんヒーローのおかげだね」
守は少女を見て目を丸くする。
(食料…)
と思ったが、守は溜息。
(まーいいや。)
グレネは誠治を自分の手のひらに乗せると、背中や足に刺さったガラスを全部抜いてあげる。
勿論誠治からは血は流れず、傷もすぐに消えた。
それを確認したグレネは、誠治を肩に乗せて喜んだ。
「やったな兄さん!これでクロマによる殺人計画が無駄に終わった…」
しみじみグレネが言うと、誠治は苦笑する。
そこにやってくるクロマ。
「ハジメ様のご慈悲で見逃しただけだ。なんなら今滅してもいいんだぞ。」
無情にも言うので、誠治は苦笑。
「勘弁してください…」
ハジメはグレネの方まで近づくと誠治に言った。
「凄いじゃないか。こんな恐ろしい魔物を容易に止められるなんて。」
それを聞くと誠治はグレネに頼んで降ろしてもらい、守に話しかける。
「君」
守は振り向くと誠治は言った。
「もう人様に迷惑をかけるような事はしないで欲しい。みんなのために、君のためにも、お願いだ。」
誠治はそう言うと深々と頭を下げ、守は非常に不機嫌な顔をする。
すると守は「フン!」と鼻で言った。
「そこまで言うなら…別に聞いてやらない事はないよ。」
守は照れ隠しで上から目線で言う。
誠治は目を輝かせて嬉しさのあまりに、守の手を咄嗟に繋いで握手した。
守が驚いていると、誠治も自分の無意識の行動に気づいたのかすぐに手を離した。
「すいません…」
反省した様子の誠治を見て、守は鼻で笑う。
「くるしゅーない。」
そう言うと、守は心配してくれた少女に言った。
「ばいばい、また遊ぼ。」
そしてかつらを被り、立ち去る。
誠治と少女は、その後ろ姿を見つめていた。
「誠治、」
ハジメが誠治に話しかけるので、誠治はハジメの方を見る。
「今度の休日でいいからまた陽の下院に来いよ。話しておかなきゃならない事があるから。」
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