植物人間の子

うてな

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第2章 正体―アイデンティティ―

074 これは大量虐殺

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誠治の家の二階、狭いベランダにて。
誠治は妹の芙美香と一緒にシャボン玉を飛ばしていた。
芙美香はまだ十歳、シャボン玉でキャッキャッと喜んでいた。

誠治の母は昨年病気で他界し、父は出張で他県に行く事が多いので、こうして兄である誠治が芙美香の面倒を見ている。
今日の有給も、妹の面倒を見る為に取ったものだ。

「親父今度はいつ帰ってくるかな。」

芙美香が言うと、誠治は優しく言った。

「芙美香、親父呼びはやめろと言っているだろう。」

「にーちゃんも帰り遅いし退屈なのー。」

膨れて言う芙美香に、誠治は頭を撫でると言った。

「うーん、じゃあ毎日仕事帰りに懐かしい駄菓子屋のおもちゃ、買ってきてあげよっか?」

すると芙美香は喜んだ。

「ん!じゃあ触れるシャボン玉!」

それを聞いて誠治は、微笑ましく笑顔を見せた。
すると芙美香は、空から降る花に気づいた。

「お花!にーちゃんあれ!」

急に芙美香が言うので、誠治は空を見上げる。
空から数個、黄色い花が落ちてきたので誠治はそれを手に取った。

「綺麗だね。どこから飛んできたんだろう?」

誠治はそう言って微笑む。
それを羨ましく思い、芙美香も花を手に取った。


しかし花に触れた瞬間、芙美香は倒れてしまった。


誠治は驚いて花を落とし、芙美香を一度室内に入れる。

「芙美香!芙美香!」

芙美香は息が薄くなり、体も少し痙攣していた。
誠治は急いで救急車を呼ぼうと携帯を取り出そうとするが、ない事に気づく。

(しまった…どこに置いたっけ…!いや、家の電話で…)

誠治は固定電話を使用したが、繋がらない事に気づく。
よく電話を確認すると、表示がおかしくなっていた。

(壊れている…!?
携帯も探してる暇はない、病院まで連れて行くしか…!)

誠治はそう思うと、芙美香をおんぶして外に出た。
誠治は空から無数に降ってくる花に唖然とすると、芙美香が倒れた原因を悟って芙美香にカッパを着せる。

(植物人間の仕業か…!)

誠治は芙美香を病院へ連れて行くために外を走る。
誠治自身は不死身なので、この手のものも一切効かなかった。

道に倒れる人々がいて、誠治は一瞬足を止めそうになる。

(駄目…!助けたい…けど芙美香が…!)

誠治は葛藤をしながらも、道に倒れる人々を諦めてしまう。
胸が裂けるような思いと、息の詰まる苦しさを我慢しながら誠治は走り抜けた。



植物人間と戦うサチ達。
アンジェルは言った。

「植物人間って、植物を奪えばどうにかなるんでしょ。」

「そうね。すると植物人間は種になって…地面に消える。
あれ、石かな。」

「何の種?気になるね。」

アンジェルが言うと、守はニッコリ。

「持って帰ると久坂さん喜ぶよ。」

守は植物人間を見た。
するとアンジェルは言った。

「サチは植物人間の気を引いて、そしたら僕が足元を凍らせるから、守はガラスで草をむしって。」

サチは難しそうな顔をしながらも言う。

「確かに、素手で触れると危険ね…」

守はやる気がなさそうだった。

「責任じゅーだいじゃん」

そう言って溜息をつく。
アンジェルはそんな事お構いなしにも言った。

「行くよ!」

サチが光線状のプラズマを繰り出すと、相手はなかなかのスピードで避けてくる。
サチはいくつか試すが、やはり相手は全て避けてしまうのだ。

「うっわ何で植物人間はああも身体能力高いの~」

守が言い、サチは相手に攻撃を続けた。
すると守がケチをつける。

「攻撃のレパートリーないなあ、魔法使いなんだからもっと全体攻撃みたいなのやってよ~」

「全体攻撃?あたしこのくらいしかできないわよ、全体攻撃なんてどうやって。」

アンジェルは呆れた顔。

「想像力がないんだねサチは。」

サチは腑に落ちない。
とりあえず目に入った巨大植物を見て、巨大植物を出すつもりで地面からプラズマを繰り出す。
突き出るように出てきたプラズマは見事に相手に当たり、相手は転んでしまう。

「今だね。」

アンジェルは笑うと、地面から徐々に相手を凍らせていく。
植物の部分だけを上手く露出させたアンジェルは、守を見る。

「へいへーいとぺんぺん」

守は独特な返事をしながらガラスを伸ばした。
ガラスは相手に向かって伸びるが、アンジェル達の目には見えにくいので何が起こっているのかわからない状態。

「遅い、まだ取れないの?」

アンジェルが聞くと、守は言う。

「マイペースなんだー」

アンジェルがそんな様子が気に入らないのか少しカリカリした様子になっていると、守はやっとで植物人間の植物をむしる事に成功した。

(やっと…)

サチが思っていると、植物人間は種に姿を変えてしまったので守がガラスでキャッチする。
手元に持ってきた種。
半透明で、ある程度硬さのある石のような種だった。

「石だね。秀也のトコに持って帰ろっか。」

とアンジェル。
二人は頷いて、病院に帰る事にした。
が、

「あ!九重先輩の携帯!…ごめん先に帰ってて。」

サチが言うので、二人は了承するのだった。
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