植物人間の子

うてな

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第3章 平穏―ピースフル―

113 召喚!我等の父上テオドール!

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クロマの死霊術で、クロマそっくりの男性が現れた。
名はテオドール。
クロマは眉を潜めた。

「神のプラズマ?」

サウザはテオドールに近づいて笑顔を見せた。

「父上だ!!父上!父上~!」

サウザは喜ぶので、クロマは聞いた。

「父上…なのか?」

するとテオドールは頷いて微笑んだ。

「そうさ、俺はテオドール。お前達のお父さんだ。」

サウザは追記で言う。

「俺が産まれた後に旅に出て浮気してた父上!」

「んなわけ~」

テオドールは笑顔で受け流していた。
するとグレネと野良はテオドールを囲んで、グレネはテオドールと握手する。

「あ!クロマの友人のグレネって言います!」

野良は不思議そうにテオドールを見る。

「ほんと~に似てる~」

「親子だからな。にしても、随分二人共大きくなったな。父は嬉しいぞ。」

「はい!」

とサウザは喜ぶ。
クロマは特に返事をしないので、テオドールは笑った。

「相変わらずクロマは無愛想だな。言いたい事とかないのか?」

「顔も覚えてない。」

クロマがキッパリ言うと、テオドールは「えぇー…」と引いた声を出してから言う。

「そう言えば何で俺は復活したんだ?死んだはずだろう?」

するとクロマは無表情で言う。

「私が召喚したのだ、我に従え。」

その言葉にテオドールは笑った。

「ああ、さっきの声はクロマのか。俺は唱えられた通り軽い人間でね、人の言う事には縛られたくないんだ。」

「貴様。」

睨みつけるクロマだが、テオドールは野良やグレネを見て「ふ~ん」と言った。
それからクロマを見て言う。

「ミンスが『殺した者』を、お前が形にして出しているんだな。」

「は?」

クロマが言うと、グレネは言った。

「死霊召喚って言うんだぜ?クロマは立派なネクロマンサー!」

その言葉に、テオドールは笑う。

「なるほどな!クロマの由来はそこからか…。」

「貴様、何か知っているな。」

クロマが聞くと、テオドールは頷く。

「クロマ、お前は力の塊。力さえ無ければ死んでしまう。」

「知っている。」

「その力はミンスが供給している。人を植物人間に変え、栄養にしているんだ。」

「それも聞いた。」

「栄養は全てクロマの中、つまりお前の中には俺も、友人も、この犬もいる。」

それを聞いたクロマは黙ってしまう。
思わず自分の胸で拳を握るクロマ。
テオドールは続けた。

「それを『死霊』という形で出しているだけ。」

テオドールがそこまで言うと、クロマは少し動揺した様子に。

「待て、なぜミンスが殺したと言い切れる。」

「逆にな、お化けを召喚するだなんてできる訳が無いんだ。
俺は実際ミンスに殺されかけているし、そう考えれば大体予想がつく。」

テオドールが言うと、クロマは眉を潜めた。

「貴様は信用ならん。」

「本人に聞いてみたら~?ま、ミンスは嘘つきだから本当の事は言わないだろうけど。」

「ミンスって嘘つきなの?」

サウザは聞くと、テオドールは頷く。

「人間を欺き、巧みに人を操るのさ。」

クロマは黙って聞いていると、テオドールは苦い顔。

「あーそんな知らん顔して。」

そう言ってクロマを見つめた。

「ぜーんぶお前のためなのに。少しは有り難く思いな?」

クロマは特に反応も見せず、テオドールに背を向けた。

「ミンスを探す。」

野良もグレネも、クロマと共に行ってしまう。
取り残されたサウザとテオドール。
サウザは言った。

「あ、父上…一緒にミンスを探して欲しいんだけど…」

サウザが言うと、テオドールはさっきの軽薄な様子を変えて真面目な様子で言った。

「サウザ、クロマとミンスを会わせてはいけない。」

「え?」

「ミンスはきっと、これから多くの人間を犠牲にするはずだ。
それを止める為には…クロマを諦める以外方法はない。」

それを聞いたサウザは顔を真っ青にして、テオドールから数歩離れた。

「ち…父上…!父上がそんな事を言ったから、ミンスに殺されてしまったんだろう…!?」

テオドールは塞がれた空を見上げた。

「ミンスが悪い奴ではない事は俺も知っている…ただ、クロマがいるからここまでしている。」

それにサウザは難しい顔をするので、テオドールは落ち着いた様子で言った。

「ミンスも今は盲目になっているだけで根は優しく利口だ。目が覚めれば普通になるさ。」

しかしサウザはクロマを見捨てる事などできない様子で葛藤した。

「そんな事…できるわけ…!」

「全てを救おうと考えるのがお前の悪いところだ。どの選択が一番犠牲者を少なくできるか、よく考えるんだ。」

そう言って頭を撫でた。
サウザは歯を食いしばって悔しがっていたが、同時にテオドールが言っていることも間違いではないと思っていた。
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