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第4章 侵食―エローション―
133 石の巫女につけこめば
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奥ではミンスとミィシェルはこたつに隠れ、テオドールを避けようとしている。
テオドールはなんとなく察しがつくので、こたつの前に来てみかんを食べる事に。
「ミンス、クロマとは仲良くしているか?」
「当たり前です。」
「クロマはお前の理想の子供に育ったか?」
テオドールが聞くと、ミンスは黙り込んでしまった。
テオドールはベランダのカーテンを開けて言った。
「クロマは俺によく似ているな。好奇心旺盛ですーぐどっか遊び回ったり。でも惜しいな…」
テオドールが言うので、ミンスは気になるのかこたつから顔を出してしまう。
「何が…ですか?」
ミンスが聞くと、ミィシェルは笑顔を出した。
「クロマ兄様!仲間思いです!」
「クロマは純粋にミンスだけを愛してる。ミンス以外は何も要らない…本当に、俺とは決定的な違いだ。」
ミンスはムスっとする。
「クロマは仲間も…家族も好きです。」
「そうか?じゃあちょっとは変わったんだろうな。でもクロマは、お前だけを愛しているはずだ。
だから偽りを嫌い、束縛し、他者を傷つける。いずれ人殺しだって平気でするようになる。」
するとミンスはクロマの不器用な言葉を思い出す。
――「ミンス!私から離れるなと昔から何度も何度も言っているだろう!なぜ離れる!」――
――「な!泣くなミンス!貴様はいつも私を困らせおって!何が嫌なのか言え!」――
そして、先日の冷たい表情のクロマを思い出したミンス。
ミンスは俯いて声を震わせた。
「わたくし…クロマの友を殺した事、怒られました。腕を強く掴まれました。」
ミンスはしょんぼりしながら言う。
テオドールはまた笑うと言った。
「アイツが不器用なのがまだわからないか?まだ子供なんだよ。」
「だからと言って暴力は酷いです…!」
「それがお前の誤ちだ。クロマはお前に嘘をつかれたと思っている。
自分を生み出した親に裏切られる。それは母を妄信しているクロマにとって、自分の死よりも辛い事。」
ミンスが驚くと、テオドールはミンスの前で膝をつく。
テオドールは微笑んだ。
「なあ、クロマといて辛くならないか?」
ミンスは図星な為、眉を潜めて黙り込む。
テオドールは続けた。
「ミンス、お前はクロマを救うために、本当に愛しているものを拒んでいるんじゃないのか?
ミンス、お前もこの美しい世界を壊したい…なんて思わないだろ?」
ミンスは顔を上げてテオドールの顔を見ると、テオドールは微笑んだ。
「図星か。
妻がそうであったのにミンスがそうじゃないわけないもんな。可愛い奴め。」
しかしミンスは葛藤している。
「変な言葉…かけないでください…」
「思った事言っただけだけど?…そうだミンス、俺と結婚しよう。」
唐突にテオドールが言い始めるので、ミンスは不機嫌な顔。
「この浮気男…!」
「妻は俺のそういうライトな部分もひっくるめて好きだった。
ミンスもだろ?」
テオドールはそう言って、ポケットから指輪を取り出した。
ミンスはそれを見て目を見開いた。
「これは…あの女の指輪…」
「今から…ミンス、お前の物だ。」
テオドールはそう言い、ミンスの手を取った。
ミンスは指輪をじっと見つめていた。
テオドールが指輪を薬指に嵌めようとすると、ミンスはふと手を離す。
「な…なぜ死んだ貴方がこんな物を…」
「妻が死んだ時、外して俺の部屋にしまったに決まってんじゃんか。最近国まで取りに帰ったのさ。」
ミンスは少し気が動転しているのか、不自然な様子で言った。
「な…なぜわたくしなのですか…!あの女ばかり見ていたくせに、なぜいきなりこんな…!」
「気付けなかったんだ。お前が本当はこの世界を愛している事、そして…俺を必要としている事を。」
テオドールはそう言うと、ミンスをこたつから引っ張り出して抱きしめた。
「これは俺の償いでもあるんだ。
サウザが産まれてから、俺が妻から離れなかったら…ミンスはきっとクロマを必要としなかったかもしれない。
愛する者が増え、苦しめずに済んだのかもしれない…。そして、世界を壊す未来に導かなかっただろう…と。」
ミンスは心を打たれたのか、呆然とテオドールを見つめていた。
テオドールが虚しそうな顔をミンスに見せると、ミンスは首を横に振った。
「そうですか…わたくし、わかっているようで全く貴方の事を知りませんでした…。」
「いいよ。
ほら、受け取ってくれ。ミンスも俺の事、好きなんだろ?」
そう言いながら、テオドールはミンスの指に指輪を嵌めた。
ミンスは指輪を付けてもらうと泣いてしまい、テオドールの胸に顔を埋める。
「わたくし…!貴方が好きです…!テオドール…!」
とミンスは自分のポケットから、自分の指にあるのとお揃いの指輪を出した。
テオドールはそれを見て驚く。
「それは俺の…。…そうか、大事に持っていてくれたんだな…」
ミンスは俯きながら言う。
「本当は…クロマにあげるつもりでしたが…」
そう言いながらテオドールの手を取る。
そしてゆっくりとテオドールの指に、その指輪を嵌めた。
そして二人は見つめ合い、お揃いの指輪を近づける。
「結婚当初を思い出す。」
「そうですね…」
ミンスと共に微笑んだ。
窓から差す光からなる二人の影が重なり合う時、ミィシェルは目を見開いて感心の声をあげる。
しかし
「クロマ兄様ハどうするです?」
ミィシェルは聞いた。
ミンスは咄嗟にテオドールから離れてしょんぼりしてしまう。
「そうです…わたくし、クロマも貴方以上に好きです…」
「浮気者。」
テオドールはウインクをしてミンスに言った。
ミンスは顔をバッと上げる。
「貴方と一緒にしないでください!わたくしは…!」
と言葉に詰まる。
テオドールはミンスを優しく抱きしめる。
「俺も好き、クロマも好き。愛する人間と愛する子供、どっちも捨てがたいのはよくわかる。」
ミンスが目に涙を溜めると、テオドールは耳元で言った。
「ゆっくり選べばいいんだぜ。」
ミンスはそれを聞いて俯きながら思う。
(テオドールと地球の命か…クロマと地球の破壊を選ぶか…)
テオドールはなんとなく察しがつくので、こたつの前に来てみかんを食べる事に。
「ミンス、クロマとは仲良くしているか?」
「当たり前です。」
「クロマはお前の理想の子供に育ったか?」
テオドールが聞くと、ミンスは黙り込んでしまった。
テオドールはベランダのカーテンを開けて言った。
「クロマは俺によく似ているな。好奇心旺盛ですーぐどっか遊び回ったり。でも惜しいな…」
テオドールが言うので、ミンスは気になるのかこたつから顔を出してしまう。
「何が…ですか?」
ミンスが聞くと、ミィシェルは笑顔を出した。
「クロマ兄様!仲間思いです!」
「クロマは純粋にミンスだけを愛してる。ミンス以外は何も要らない…本当に、俺とは決定的な違いだ。」
ミンスはムスっとする。
「クロマは仲間も…家族も好きです。」
「そうか?じゃあちょっとは変わったんだろうな。でもクロマは、お前だけを愛しているはずだ。
だから偽りを嫌い、束縛し、他者を傷つける。いずれ人殺しだって平気でするようになる。」
するとミンスはクロマの不器用な言葉を思い出す。
――「ミンス!私から離れるなと昔から何度も何度も言っているだろう!なぜ離れる!」――
――「な!泣くなミンス!貴様はいつも私を困らせおって!何が嫌なのか言え!」――
そして、先日の冷たい表情のクロマを思い出したミンス。
ミンスは俯いて声を震わせた。
「わたくし…クロマの友を殺した事、怒られました。腕を強く掴まれました。」
ミンスはしょんぼりしながら言う。
テオドールはまた笑うと言った。
「アイツが不器用なのがまだわからないか?まだ子供なんだよ。」
「だからと言って暴力は酷いです…!」
「それがお前の誤ちだ。クロマはお前に嘘をつかれたと思っている。
自分を生み出した親に裏切られる。それは母を妄信しているクロマにとって、自分の死よりも辛い事。」
ミンスが驚くと、テオドールはミンスの前で膝をつく。
テオドールは微笑んだ。
「なあ、クロマといて辛くならないか?」
ミンスは図星な為、眉を潜めて黙り込む。
テオドールは続けた。
「ミンス、お前はクロマを救うために、本当に愛しているものを拒んでいるんじゃないのか?
ミンス、お前もこの美しい世界を壊したい…なんて思わないだろ?」
ミンスは顔を上げてテオドールの顔を見ると、テオドールは微笑んだ。
「図星か。
妻がそうであったのにミンスがそうじゃないわけないもんな。可愛い奴め。」
しかしミンスは葛藤している。
「変な言葉…かけないでください…」
「思った事言っただけだけど?…そうだミンス、俺と結婚しよう。」
唐突にテオドールが言い始めるので、ミンスは不機嫌な顔。
「この浮気男…!」
「妻は俺のそういうライトな部分もひっくるめて好きだった。
ミンスもだろ?」
テオドールはそう言って、ポケットから指輪を取り出した。
ミンスはそれを見て目を見開いた。
「これは…あの女の指輪…」
「今から…ミンス、お前の物だ。」
テオドールはそう言い、ミンスの手を取った。
ミンスは指輪をじっと見つめていた。
テオドールが指輪を薬指に嵌めようとすると、ミンスはふと手を離す。
「な…なぜ死んだ貴方がこんな物を…」
「妻が死んだ時、外して俺の部屋にしまったに決まってんじゃんか。最近国まで取りに帰ったのさ。」
ミンスは少し気が動転しているのか、不自然な様子で言った。
「な…なぜわたくしなのですか…!あの女ばかり見ていたくせに、なぜいきなりこんな…!」
「気付けなかったんだ。お前が本当はこの世界を愛している事、そして…俺を必要としている事を。」
テオドールはそう言うと、ミンスをこたつから引っ張り出して抱きしめた。
「これは俺の償いでもあるんだ。
サウザが産まれてから、俺が妻から離れなかったら…ミンスはきっとクロマを必要としなかったかもしれない。
愛する者が増え、苦しめずに済んだのかもしれない…。そして、世界を壊す未来に導かなかっただろう…と。」
ミンスは心を打たれたのか、呆然とテオドールを見つめていた。
テオドールが虚しそうな顔をミンスに見せると、ミンスは首を横に振った。
「そうですか…わたくし、わかっているようで全く貴方の事を知りませんでした…。」
「いいよ。
ほら、受け取ってくれ。ミンスも俺の事、好きなんだろ?」
そう言いながら、テオドールはミンスの指に指輪を嵌めた。
ミンスは指輪を付けてもらうと泣いてしまい、テオドールの胸に顔を埋める。
「わたくし…!貴方が好きです…!テオドール…!」
とミンスは自分のポケットから、自分の指にあるのとお揃いの指輪を出した。
テオドールはそれを見て驚く。
「それは俺の…。…そうか、大事に持っていてくれたんだな…」
ミンスは俯きながら言う。
「本当は…クロマにあげるつもりでしたが…」
そう言いながらテオドールの手を取る。
そしてゆっくりとテオドールの指に、その指輪を嵌めた。
そして二人は見つめ合い、お揃いの指輪を近づける。
「結婚当初を思い出す。」
「そうですね…」
ミンスと共に微笑んだ。
窓から差す光からなる二人の影が重なり合う時、ミィシェルは目を見開いて感心の声をあげる。
しかし
「クロマ兄様ハどうするです?」
ミィシェルは聞いた。
ミンスは咄嗟にテオドールから離れてしょんぼりしてしまう。
「そうです…わたくし、クロマも貴方以上に好きです…」
「浮気者。」
テオドールはウインクをしてミンスに言った。
ミンスは顔をバッと上げる。
「貴方と一緒にしないでください!わたくしは…!」
と言葉に詰まる。
テオドールはミンスを優しく抱きしめる。
「俺も好き、クロマも好き。愛する人間と愛する子供、どっちも捨てがたいのはよくわかる。」
ミンスが目に涙を溜めると、テオドールは耳元で言った。
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