24 / 54
22話「リビドー」
しおりを挟む
唯の機嫌が直ってから1週間。 ギターを弾いたり、ゴロゴロしたり、歌ったりとそんな毎日を過ごしていた。 唯とも仲直り? できたのかは分からないが、いつもと同じように接することができた。 そんな割とうまくいってると感じていた日々もそう長くは続かない。
何があったかって? 唯と相川が体育祭委員に選ばれてから放課後、唯と一緒に帰れていないのだ。
まあ唯は空手部で部活がある日は一緒には帰れないのだが。 それでも前より頻度が減って俺としては何だか寂しい。 一緒に帰れないのは仕方がないのだが、放課後に相川と委員の仕事を2人きりでしているらしい。
故に、帰宅部の俺は1人寂しくトボトボと家に帰り、ギターを弾いているのだ。
まあ楽しいんだけどな。
そして今日はスタジオで練習する日。
練習の成果、見せてやるぜ!
と、そんなことを考えていると真柴楽器に到着した。
現在16時半を回ったところ。 スタジオは17時から借りているから、まだ30分も時間がある。 店の中でギターでも見てるか。
店内に入ると、真柴が店の手伝いで接客をしていた。 目が合い、真柴は笑顔で手を振ってきた。 おい、なんか可愛いからやめろ。
他のお客さんが見てるだろ。 なんか照れくさくて視線を合わせられないだろ。
店内にあるギターを見ていたらいつの間にか30分経ったようで、真柴に声をかけられた。
「お待たせ!」
「おう、んじゃ入るか」
スタジオの中に入ると、石田が先に来ていたようでドラムを叩いていた。 相変わらず、迫力のあるドラムだ。
石田は俺と真柴に気付いたようで、演奏を止めた。
「おーっす。 待ってたぜお二人さん」
「お待たせ! 石田くん部活帰り?」
「ああ、そうそう。 部活終わって直で来たからこの格好」
石田は陸上部のTシャツを着ていた。 大きな字で南高魂と書かれたTシャツはいかにも体育会系といった感じだ。
「おー、かっこいい! 石田くん結構筋肉あるねぇ! どこかの帰宅部さんとは違うね!」
「おい真柴。 お前も帰宅部だろうが!」
「あはは~そうでやんした」
てへぺろと言わんばかりに舌を出して真柴はおどけた。
この前俺に言ってきたことが頭をよぎる。
……あれはなんだったんだろう。
……まあ今はいいか。 それよりも練習だ。
それぞれ楽器を準備し、セッティングが整ったところで今から演奏を始める雰囲気になった。
「おい淳一。 歌の練習はしてきただろうな?」
「もちろんだ! かかってこいや!」
「おー! すっごい自身だねえ。 期待しちゃお!」
「あ、でもぞんな期待されるのもな……」
「あ? 何だよ淳一! 男なら堂々としろよ」
「そうだよ淳一くん! 男なら堂々と色々ときっちりしないとね?」
真柴のは何か意味深に感じるんだが。
「わかったわかった! やってやるよ! 石田カウントくれ!」
「あいよ!」
1.2.3.4と石田のカウントで曲が始まった。
石田の力強くも安定したドラムにベース、ギターと重なっていく。
さてそろそろ歌い出し。 ギターも歌も忘れずに……よし! なんとか入れた。
あとはこの調子のまま…………
そう思った矢先、俺は曲に入り込んでいた。
曲以外のことは何も考えないほど集中していた。 サビに強く思いがこもった。 その時に唯のことを思い出した。
気が付けば曲が終わっていた。
それに気づくのとほぼ同時に涙を流しているのに気がついた。
ふと周りを見ると真柴と石田が唖然とした顔で俺を見つめていた。
何があったかって? 唯と相川が体育祭委員に選ばれてから放課後、唯と一緒に帰れていないのだ。
まあ唯は空手部で部活がある日は一緒には帰れないのだが。 それでも前より頻度が減って俺としては何だか寂しい。 一緒に帰れないのは仕方がないのだが、放課後に相川と委員の仕事を2人きりでしているらしい。
故に、帰宅部の俺は1人寂しくトボトボと家に帰り、ギターを弾いているのだ。
まあ楽しいんだけどな。
そして今日はスタジオで練習する日。
練習の成果、見せてやるぜ!
と、そんなことを考えていると真柴楽器に到着した。
現在16時半を回ったところ。 スタジオは17時から借りているから、まだ30分も時間がある。 店の中でギターでも見てるか。
店内に入ると、真柴が店の手伝いで接客をしていた。 目が合い、真柴は笑顔で手を振ってきた。 おい、なんか可愛いからやめろ。
他のお客さんが見てるだろ。 なんか照れくさくて視線を合わせられないだろ。
店内にあるギターを見ていたらいつの間にか30分経ったようで、真柴に声をかけられた。
「お待たせ!」
「おう、んじゃ入るか」
スタジオの中に入ると、石田が先に来ていたようでドラムを叩いていた。 相変わらず、迫力のあるドラムだ。
石田は俺と真柴に気付いたようで、演奏を止めた。
「おーっす。 待ってたぜお二人さん」
「お待たせ! 石田くん部活帰り?」
「ああ、そうそう。 部活終わって直で来たからこの格好」
石田は陸上部のTシャツを着ていた。 大きな字で南高魂と書かれたTシャツはいかにも体育会系といった感じだ。
「おー、かっこいい! 石田くん結構筋肉あるねぇ! どこかの帰宅部さんとは違うね!」
「おい真柴。 お前も帰宅部だろうが!」
「あはは~そうでやんした」
てへぺろと言わんばかりに舌を出して真柴はおどけた。
この前俺に言ってきたことが頭をよぎる。
……あれはなんだったんだろう。
……まあ今はいいか。 それよりも練習だ。
それぞれ楽器を準備し、セッティングが整ったところで今から演奏を始める雰囲気になった。
「おい淳一。 歌の練習はしてきただろうな?」
「もちろんだ! かかってこいや!」
「おー! すっごい自身だねえ。 期待しちゃお!」
「あ、でもぞんな期待されるのもな……」
「あ? 何だよ淳一! 男なら堂々としろよ」
「そうだよ淳一くん! 男なら堂々と色々ときっちりしないとね?」
真柴のは何か意味深に感じるんだが。
「わかったわかった! やってやるよ! 石田カウントくれ!」
「あいよ!」
1.2.3.4と石田のカウントで曲が始まった。
石田の力強くも安定したドラムにベース、ギターと重なっていく。
さてそろそろ歌い出し。 ギターも歌も忘れずに……よし! なんとか入れた。
あとはこの調子のまま…………
そう思った矢先、俺は曲に入り込んでいた。
曲以外のことは何も考えないほど集中していた。 サビに強く思いがこもった。 その時に唯のことを思い出した。
気が付けば曲が終わっていた。
それに気づくのとほぼ同時に涙を流しているのに気がついた。
ふと周りを見ると真柴と石田が唖然とした顔で俺を見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ニュクスの眠りに野花を添えて
獅子座文庫
恋愛
過去のトラウマで人前で声が出せなくなった伯爵令嬢ラニエラ・アンシルヴィアは辺境の男爵、オルテガ・ルファンフォーレとの政略結婚が決まってしまった。
「ーーあなたの幸せが此処にない事を、俺は知っています」
初めて会った美しい教会で、自身の為に一番美しく着飾った妻になる女の、真っ白なヴェールを捲る男は言う。
「それでもあなたには此処にいてもらうしかない」
誓いの口づけを拒んだその口で、そんな残酷なことを囁くオルテガ。
そしてラニエラの憂鬱な結婚生活が始まったーーーー。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる