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第6話
しおりを挟む班のメンバーより確実に小柄だし、さすがにこんだけやってて班のメンバーを覚えてないことは無い。焦げ茶色の瞳と髪、顔立ちまでもがどことなく平凡な彼をじっと見つめる。
「んぅー?ねぇねぇ!君、だあれ?」
西ちゃんの後ろに立っていた平凡くんは急に顔を出した僕に「わっ!」と小さな声を上げて顔を真っ赤にするとそのまま僕から逃げるようにしてクリスくんの方に小走りで走りよった。
(ん~?クリスくんと知り合いなのかなあ?)
「ごめんね。急に話しかけて驚かせちゃったね。僕は高等部1年の天宮 美緒だよぉ。君のお名前呼びたいからよければ僕に教えて欲しいなぁ~」
なるべく怖がらせないようににこにこと近寄りながら話しかける。すると、平凡くんはまたまた顔を赤くしてくいっくいっとクリスくんの袖を引っ張ると屈んだクリスくんの耳になにか囁く。
返事を待ちながらその様子をぼーっと眺めているとお話が終わったのかすっとクリスの後ろに隠れてしまった。僕の可愛さにあてられちゃって隠れちゃうのかな?とか思っていると平凡くんじゃなくてクリスが口を開いた。
「みお、はやし、ひとみしり?らしい。みおたくさんかわいいからもっと、もっと…?なんだ?…赤いくなる?」
首を傾げながら言うクリスくんに真っ赤なままの林くんがぶんぶんと首を振る。
つまり、平凡くんのお名前は林くんで照れ屋さんなのか。かわいいな。でも、教えてくれたのはいいんだけど情報量少なくないかな。下のお名前も分からないし、なんでここにいるのかもわかんない。その事に少しもやもやしていると見かねた西ちゃんが補足してくれた。
林くんの下の名前は唯人くんと言って1ヶ月ほど前にこの学園に転校してきたそうだ。元々2人用の部屋を1人で使っていたクリスくんと同室になって、それ故クリスくんとはギリギリ意思疎通ができている。でもやっぱりはじめましての人は慣れるまでは時間が必要らしい。今日はこの学園に早く慣れるためにも部活動をしたくて体験入部に来たようだ。
もやもやが晴れてすっきりした僕は教えてくれた西ちゃんにお礼のぎゅうをしておいた。それをクリスくんが「僕は?」という目で見つめてきたのでなでなでしてぎゅっとしてあげる。
そのままどさくさに紛れて唯人くん─ゆいちゃんに抱きつくとキャパオーバーだったのか湯気を出して倒れてしまう。しゃがみこんで、気絶しているゆいちゃんの頬をぺちぺち叩いても起きる様子がない。
そんな様子を見た西ちゃんがコキコキと指を鳴らすのにも僕は気づかず、背後に仁王立ちした西ちゃんに無様にも本日3回目を頭にお見舞いされる。
スパーーーンッ
と音が響くと同時に調理室内が静かになり、こちらに注目が集まる。決まりが悪くて、てへぺろっと頭に手を当てながらウインクすると班のメンバーとたけくん先輩以外のほとんどが赤くなって顔を逸らす。
そんな気まずい空気の中で堪えきれずくすくすと笑う声がすぐ近くから聞こえてきた。
そんなに笑って…。背後には気をつけてね?
にっこりと微笑むと笑い声は止んで青い顔で目を逸らされた。僕の超絶キュートスマイルにそんな反応をするなんて…!後でりひくんに頼んで〆といてもらおう。たぶん頼まれてくれないけど。
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