嫌われ者の僕が学園を去る話

おこげ茶

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1章 嫌われ者は学園を去る

第6話







 「─────ん”っ……ん、ぅ……にゃぅ……む、っぅ………って、、ハッ!?」

 意識を失ってそのまま眠ってしまっていた僕は自分が置かれていた状況を思い出して一気に微睡みから覚めた。バッと起き上がり、焦って周りをキョロキョロと見渡すとちょうど自分の背後から声がした。

 「お。起きたか。」

 ギギギッという音が聞こえてきそうなぎこちなさで振り返ると長い足をだらんと放り出して木の幹に寄りかかる男がいた。
 気絶する前にされたことを思い出して咄嗟に距離を取る。そんな僕を見て男はケラケラと笑った。

 「くっ、ははっ!そんな警戒しなくてもいいだろ?リアム?」

 5分もたってないとはいえ足が痺れてすぐには動けないからなと付け足すとそいつはニヤリと笑った。そのまま立とうともしない男にほっと息を吐き出す。
 この時の僕は男がとりあえず今動けないという事実に気を取られていて教えていないはずの名前が呼ばれていることにも気づかない。

 まだ寝起きで頭が回らず、すっかり安心してしまった僕に1つの疑問が浮かぶ。何故こいつの足は痺れてるのだろうか。不思議に思った僕は起きてからの状況を思い返した。
 寝てしまっていて起きて辺りを見回していたら後ろからこいつが声を掛けてきたのだ。

 (ん?…?)

 「、、、、つッ、つかぬ事を尋ねるけれど、まっ、まさか、、、、、」

 僕の様子を眺めていた男に恐る恐る声をかけると僕が言い切る前に男が笑いだした。

 「ッはは!そんな驚くようなことか?大体お前の想像通りだろうけど。どうだった?俺の足の寝心地は?」

 男はそう言ってぽんぽんと自分の太腿を叩いての方を見上げた。
 視線の先の僕はというと、羞恥心と情けなさで真っ赤な顔を覆って天を仰いでいた。
 当たって欲しくなかった予想は見事に的中してしまった。

 (警戒してた相手の前で気絶するなんてッ…!し、しかも膝枕で寝てしまった……。)

 不覚だ。こうなったらもう今すぐこの場を離れようと思い立つ。
 痺れが取れたのか立ち上がる男を尻目にお金を諦めて本来の目的地である正門に向かおうとした、、、、が、男は僕が横を通り過ぎようとする僕の腕をガシッと掴んだ。一体何なんだ。勘弁して欲しい。当然のごとく振り解けない腕の力を抜き、仕方なく視線を上げる。

 「まだ何か用が?」

 不機嫌なのを隠そうともせずに問いかけた。すると男は長いまつ毛で縁取られた目をパチパチとさせたと思ったら声をあげて笑いだした。
 この男さっきから笑いすぎではないか。ツボが浅いのか。

 「さっきから何なんだ。」

 僕に突っかかってくる人は大抵無視するのに何故かムキになってしまってムッとする。

 「いやっ………っふ…くっ、ははっ。す、すまない。少しからかい過ぎたようだ。リアムの反応が可愛くてつい、、な?」

 「は、はぁ……」

 ウインクしながらよく分からないことを言う男に警戒してたのも馬鹿らしくなってきてため息混じりに返事をする。
 気が抜けて疲れがどっときた僕は先程までなら確実に恥ずかしがっていたような男の言動に対しても、もはや完全に無感情だった。




感想 1

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