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終章 ~そして〝カナセ〟の始まり~
そして〝カナセ〟の始まり
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「というわけで、私達の次のお目当てはここです」
サクラは、マオシスが出した地図を示して言った。
何が〝というわけ〟なのか──スザンノーという、移動手段兼スイキョウの隠れ蓑兼家を失った今のソーディス一家にとって、船の確保は喫緊の問題であった。
「レヴェラの遺跡で手に入れた情報に、当時の地図と街や施設の情報も入っていました。で、さしあたっての候補はここ」
トリーレからは北東の大地──エナ大陸の西南地域の一部が拡大される。
「カルター州の北──海岸部分に当時の造船があったそうです。主な設備は海底の更に下になりますから、中身も当時のままのはず。てことは」
「使われなかった船があってもおかしくはない、と」
勿体ぶった言おうとした結論をラヴィーネに奪われ、サクラは色々と詰まらせたような顔になった。
そんなサクラに、フィルはすかさず、
「サクラ様、お言葉を奪われてご不満なのは分かりますが、ここは一つ」
「別にそんなんじゃありませんし」
サクラは鼻を鳴らして不満を追い出すと、話を続ける。
「そこまで察してるなら、話の続きも分かるでしょう……はい、マハル?」
「……西部方面軍でしょ?」
話を振られたマハルは、地図を再び確かめると、カルター州の北側──ノルフェス州を指さす。
「軍本部が近くて、しかも州境で海。ゴタゴタが起こっても後始末がしやすいから、必ず出張ってくるでしょうね」
「……それなんだけどね~」
ラヴィーネが、思案顔で言った。
「ちょっと考えがあるんだよね~」
それはもう、見るからに悪巧みの顔で。
*****
「……で、こうなるんだもなぁ~」
哨戒に注意して慎重に侵入し、カルター州の南部の平野で降ろされたレイヤは、嫌そうにぼやいた。ラヴィーネの悪巧みに対して。
「でも、本当にここで良いのですか?」
「これでもかなり近づいちまってる。のんびり歩きの旅っても悪くねえ……て思うさ」
サクラの心配に、二つの背嚢の中身を確かめながら、レイヤは鼻を鳴らした。
「……分かりました。でも、いざとなったら無理はしないこと。行くのは貴方だけじゃないんですから」
サクラは、レイヤと共に降り立った白い少女に目を向ける。
「いざとなったら、貴方だけでも逃げてくださいね……カナセ」
「了解した」
十三番と呼ばれていた白い少女は、淡々と頷いた。
「では、こっちも行きましょう」
二人を残して、スイキョウは静かに飛び去っていく。レイヤは、それを見送ることはせず、
「ったく、何が大丈夫だっつの。囮なんて面倒なことやらせやがって」
代わりにぼやきをくれてやった。
「嫌なら、断っても良かったのでは?」
「断ったら断ったで、それはそれで別の面倒が待ってんだよ。姉御の性格は、お前も知ってんだろ?」
脳裏にラヴィーネの悪巧みの顔が浮かび、レイヤは気分は大きく減退する。
「まあ、いざとなったらお前の力でオサラバすりゃいいだろ」
「レイヤなら、私がいなくてもどうとでもなるのでは?」
「便利なモノは、どんどん使えってこった……よし、と」
欠品が無いことを確かめ、レイヤは背嚢を背負い、
「そんじゃ、ぼちぼち行こうぜ。カナセよ」
「了解した」
カナセもレイヤに倣い、もう一つの背嚢を背負う。
作られた人形に過ぎなかったソレは、道の無い道を歩みだす。
十三番と言う番号を捨て去り、カナセ・クドー・ソーディスと言う、一人の存在として。
一個の存在としてのあり方を、見出していくために。
サクラは、マオシスが出した地図を示して言った。
何が〝というわけ〟なのか──スザンノーという、移動手段兼スイキョウの隠れ蓑兼家を失った今のソーディス一家にとって、船の確保は喫緊の問題であった。
「レヴェラの遺跡で手に入れた情報に、当時の地図と街や施設の情報も入っていました。で、さしあたっての候補はここ」
トリーレからは北東の大地──エナ大陸の西南地域の一部が拡大される。
「カルター州の北──海岸部分に当時の造船があったそうです。主な設備は海底の更に下になりますから、中身も当時のままのはず。てことは」
「使われなかった船があってもおかしくはない、と」
勿体ぶった言おうとした結論をラヴィーネに奪われ、サクラは色々と詰まらせたような顔になった。
そんなサクラに、フィルはすかさず、
「サクラ様、お言葉を奪われてご不満なのは分かりますが、ここは一つ」
「別にそんなんじゃありませんし」
サクラは鼻を鳴らして不満を追い出すと、話を続ける。
「そこまで察してるなら、話の続きも分かるでしょう……はい、マハル?」
「……西部方面軍でしょ?」
話を振られたマハルは、地図を再び確かめると、カルター州の北側──ノルフェス州を指さす。
「軍本部が近くて、しかも州境で海。ゴタゴタが起こっても後始末がしやすいから、必ず出張ってくるでしょうね」
「……それなんだけどね~」
ラヴィーネが、思案顔で言った。
「ちょっと考えがあるんだよね~」
それはもう、見るからに悪巧みの顔で。
*****
「……で、こうなるんだもなぁ~」
哨戒に注意して慎重に侵入し、カルター州の南部の平野で降ろされたレイヤは、嫌そうにぼやいた。ラヴィーネの悪巧みに対して。
「でも、本当にここで良いのですか?」
「これでもかなり近づいちまってる。のんびり歩きの旅っても悪くねえ……て思うさ」
サクラの心配に、二つの背嚢の中身を確かめながら、レイヤは鼻を鳴らした。
「……分かりました。でも、いざとなったら無理はしないこと。行くのは貴方だけじゃないんですから」
サクラは、レイヤと共に降り立った白い少女に目を向ける。
「いざとなったら、貴方だけでも逃げてくださいね……カナセ」
「了解した」
十三番と呼ばれていた白い少女は、淡々と頷いた。
「では、こっちも行きましょう」
二人を残して、スイキョウは静かに飛び去っていく。レイヤは、それを見送ることはせず、
「ったく、何が大丈夫だっつの。囮なんて面倒なことやらせやがって」
代わりにぼやきをくれてやった。
「嫌なら、断っても良かったのでは?」
「断ったら断ったで、それはそれで別の面倒が待ってんだよ。姉御の性格は、お前も知ってんだろ?」
脳裏にラヴィーネの悪巧みの顔が浮かび、レイヤは気分は大きく減退する。
「まあ、いざとなったらお前の力でオサラバすりゃいいだろ」
「レイヤなら、私がいなくてもどうとでもなるのでは?」
「便利なモノは、どんどん使えってこった……よし、と」
欠品が無いことを確かめ、レイヤは背嚢を背負い、
「そんじゃ、ぼちぼち行こうぜ。カナセよ」
「了解した」
カナセもレイヤに倣い、もう一つの背嚢を背負う。
作られた人形に過ぎなかったソレは、道の無い道を歩みだす。
十三番と言う番号を捨て去り、カナセ・クドー・ソーディスと言う、一人の存在として。
一個の存在としてのあり方を、見出していくために。
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注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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