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六本の糸~「天」編~
35.手蔓
しおりを挟む1人で墓地にいるのはすごく寂しい。どこかに行こうかと思っていても、人目があるところは全て危険に感じた。
町に捜索をかけると言っていたから、ここに来るのは時間の問題だとシンタロウは結論づけて、身を隠す場所をしばらく探そうと辺りを見渡した。
「じゃあ、ユッタちゃん。またな。」
シンタロウは顔も知らない少女の墓石に笑いかけた。
レイラが攫われ、自分の危険であり、ハクトの近くにはスパイがいる。
ロッド中佐は謀殺され、どこに安全な場所があるのだろうか。
シンタロウの首筋にふわりと風が吹いた。
何かが通り過ぎたような風で、思わず振り向いた。
「・・・どこも安全じゃない。」
シンタロウは後ろにあるユッタの墓石を見て呟いた。
『・・・危ない。』
何か話された気がして、思わず腰の銃に手をかけた。しかし、周りに誰もいなかった。
「・・・なんだ?」
シンタロウは再びユッタの墓石を見た。
港近くのひっそりと建つ石碑をキースは立っていた。
仕事の途中で来たのか近くに軍の車を停めていた。
石碑を眺め、たまに手で撫でて目を細めていた。
「ハンプス少佐?かね?」
キースは声の方を見た。
「はい。自分がキース・ハンプスですけど・・・?」
キースは目の前に見覚えがある初老の男がいた。
『・・・軍人か?でも、軍服じゃないな・・・でも、どこかで・・・』
「ほおほお・・・なかなかいい面構えをしている。「殲滅作戦」の時はもっと青臭かったのにな。」
男はキースの顔を見て笑った。
キースは男の言葉を聞き、彼の容貌を観察した。
「・・・これは、レイモンド・ウィンクラー大将。」
キースは口元に営業的な笑みを浮かべて目の前の初老の男、レイモンドを見た。
「あの作戦は地獄だったな。お互い苦しい思いをした。」
レイモンドは石碑を見て、苦しそうな表情をした。
「そうですね。・・・・何故ここに?大将殿は作戦の失敗で本部と縁遠くなっているはずですが?」
キースの言葉にレイモンドは笑った。
「他の者なら言えないことを、君たちくらいしか言えないことだな。」
「・・・自分に何の用ですか?」
キースは変わらず営業的に笑ってレイモンドを見た。
「君はどっちの味方なんだい?」
レイモンドはキースをしっかりとした目つきで見た。
「何を言ってるんです?」
「君は昨夜。何をしていたんだい?」
キースは男の言葉に目を見開いた。
「やはり、君が」
レイモンドはキースの反応を見て納得していたようだった。
「なんのことですか?」
「私は君だと思っていた。」
レイモンドはそう言うと笑った。
「何がですか?」
キースは男が何を言っているのかわからなかった。
「君は、戦友を大切に思うのだろう?」
レイモンドは石碑とキースを見て寂しそうに笑った。
「レスリー・ディ・ロッドのことですか?」
キースは皮肉を言うように冷ややかに言い放った。
レイモンドはキースの言葉を聞くと満足そうに頷いた。
「それでいい。」
そう言うとレイモンドは立ち去って行った。
イジーは約束の時間になるまで仕事に没頭していた。
自分の仕事と言ったら書類の整理が主だ。
何で中尉にまでなったのかというと、ロッド中佐の声掛けがあったらしい。
これは、彼の死の後聞いた話だ。
ロッド中佐の傍で運よく死ななかっただけでなく、彼が彼女を補佐とするために相応の地位を求めたことがあった。
「やっぱりわからない人・・・」
イジーは少し笑顔だった。
お昼休みになるとイジーは待ちきれないのかハクトの元に向かった。
《早くニシハラ大尉に伝えないと・・・・スパイのこと、そして大尉の身が危険なこと。》
イジーはハクトの現在の仕事場に向かった。
イジーのところとは棟が違うため移動に手間取る。
移動するためには施設の前の道路を渡る必要があった。
急いで道路を渡ろうとした。
だが、信号待ちで待たされた。
他にも待っている人が多いらしく信号を無視することはできない空気だった。
仕方なくイジーは信号待ちをしていると不審な車両があることに気付いた。
それは行き交う車がある中じっと誰かを待っている。
そういえば、誘拐事件があったのを思い出した。
嫌な予感がした。
《やっぱり・・・》
イジーはそんな気がした。
イジーの予感は当たった。ただ、誘拐ではなかった。
車の中の人物はイジーを確認すると猛スピードで突っ込んできた。
そこからは地獄絵図であった。イジーは信号待ちの中にいた。
車は多くの人を轢きイジーを目指した。
《間に合わない》
驚きのあまり足が止まった。混乱のあまり思考が停止した。
イジーは自分の意識とは反する移動をしていた。
あとなんか整髪料臭かった。
イジーは自分が生きていることを確認すると自分の手を引いた人物を見た。
「行くぞ。」
それは、昨日ハンカチを貸した男だった。
イジーは頷いて彼に手を引かれるまま走り出した。
彼に手を引かれ、必死に走った。
後ろでは相変わらず車が突っ込んだことでの悲鳴が聞こえる。
「どうしてここに?」
「嫌な予感がしたんだ。」
「嫌な予感?」
「敵は動くのがはやい。もしお前が察知されたとしたら殺しに来るって思った。」
イジーはその言葉に不安を覚えた。
「あなたの方も何かあったの?」
イジーは前を走る少年を見た。
「レイラが攫われた。しかも、強制的にだ。俺も戻ったら殺される。」
イジーは殺すという言葉を再確認し震えた。
「でも、どうしてそう思ったの?」
「ユッタちゃんのお墓にいたら幻聴が聞こえたんだよ。」
「幻聴?」
「幻聴だったけど来てみてよかった。」
イジーは死んだ親友を思った。
「ユッタ・・・」
「ユッタちゃんを思うのは後だ!!今はここをどう切り抜けるかだ。お前もう軍には戻れないぞ。」
男はイジーに覚悟を尋ねた。
「今更。ニシハラ大尉に伝えれなかったのが心残りよ・・・」
「最悪の事態だけど・・・・大尉は殺されないから安心しろ。」
「慰めのつもり?最悪の事態だけどって」
「悪いかよ。」
「悪くない!!」
イジーは男と並んで走りだした。後ろから車の音が聞こえる。
「この路地に入る。」
「わかった。」
車の入れない路地に二人は足を踏み込んだ。
イジーは自分の今までいた世界に別れを告げた。
しばらく走ると男が言った。
「お前にスパイの話をしなければこんなことにはならなかったかもしれない。すまん」
それにイジーは笑った。
「今更。それに、私は関係者よ。もともと危ない橋も渡っていた。」
「サンキュー。ここからどこ行く?」
ひたすら路地を抜けて、遠くに走っていた。
「たぶん私の荷物も取りに行けないから・・・隠れれるところを探すのよ。」
「わかった。」
イジーは男と物陰に隠れ周りの音を気にした。
「・・・・大丈夫?」
「・・・・・待て」
足音が聞こえる。
裾を引きずる音も。
ザッザッザ・・・・
イジーは息を呑んだ。男も息を呑んだようだ。
人の気配はイジーたちの隠れてる場所に近付いてきた。
二人は目を合わせて頷いた。
男はイジーに腰に持っている銃を渡した。どうやら万一の時に撃てと言うことらしい。
手でイジーの動きを制する様子は相当な慣れを感じた。
男の表情と周りの音を聞きながらイジーは呼吸を殺した。
人の気配がものすごく近くなった時、男は飛び出し、イジーは銃を構えた。
「まってって!!」
気配の主は慌てて下がった。声を聞いて男は飛びかかるのを止めた。
「あんたらを助けに来た。」
「あなたは・・・・」
イジーは驚いた。
そこにいたのは、かつて自分が探し続けた作業着の男だった。
ハクトは表が騒がしいことが気になった。
そういえばもうすぐイジーが来る時間あった。
ハクトは少し廊下に出て表で何があったのか聞こうと思った。
「すみません」
廊下を歩く女性の軍人に声をかけた。
「に・・ニシハラ大尉!!」
女性はハクトに姿勢を正した。
「表が騒がしいようですが・・・何があったかわかります?」
女性は険しい顔をした。
「信号待ちに車が突っ込んだんですよ。しかも逃げたんですよ。」
ハクトは驚いた。
「そんな事件が軍の前で・・・・」
ハクトは嫌な予感がした。
「ありがとうございます。」
急いでハクトは外に出た。
車が突っ込んだ後のため、現場はひどい惨状であった。
ハクトは周りを見渡しイジーを探した。
《まさか・・・・》
「これはニシハラ大尉!!」
後ろから声をかけられた。
後ろを見ると、この前の誘拐事件のときにいたミゲル・ウィンクラー准尉がいた。
「お疲れ様。ここでひき逃げがあったって聞いて・・・犯人は?」
「それが捕まってないのですよ。この前の誘拐事件といい、軍の前で」
ミゲルは困ったような顔をしていた。
「そうか・・・あの、ルーカス中尉を見なかったか?」
ミゲルは一瞬考えたようだった。
「ルーカス中尉とは・・・ロッド中佐の補佐だった人ですか?」
「ああ。見ていないか?」
ハクトの問いにミゲルは申し訳なさそうな顔をした。
「見ていないです。ちょっと、自分は事故があってから来たので。あ・・・おーい。」
ミゲルはどうやら知り合いがいたようで、現場近くにいた他の軍人に話しかけた。
ミゲルに話しかけられた軍人はキラキラした目でハクトを見て、駆け寄ってきた。
「ルーカス中尉ですか?・・・その、名前しか知らないので、外見は?」
目を輝かせながらも軍人は申し訳なさそうにした。
ハクトはイジーがもともと地球の軍本部で勤めていたことを思い出した。
《月だと知らない人の方が多いか・・・》
「えっと・・・若い女性だ。一つ結びの茶髪の・・・」
「若い女性ですか?そういえば・・・軍服の女性がやたら整髪料臭い男に手を引かれて逃げって行ったって・・・・まあ、あくまで雑談で聞いたのですが、犯人ではないので上には伝えてません。」
「男?」
「はい。映画とかだったら彼女狙いだったなんてありそうですけどね。」
ハクトは男のことも気になったがこれはイジーを狙ったものだと分かった。
《犯人は捕まっていない。これはまだ、目的を達成していないからだ・・・》
軍内部に協力者がいるとしたら、どうしてイジーを狙うのか考えた。
《ロッド中佐の元補佐・・・それだけか?関係者だとしても・・・》
彼女は該当者じゃない。
当然だ、これは捕らえに来てるのではなく生きていればいい程度のもの。
死んでも構わないという考えが事故現場から察せられた。
《何かを知っているんだ。それを俺に話に来たんだ。たとえば・・・・》
「いや・・・ロッド中佐関係か・・・」
《イジーが何を知っているのか。そういえば・・・・ロッド中佐はクロスの友人だと》
ハクトは自分がものすごい失態を犯したのに気付いた。
《俺が言ってしまったんだ・・・・ロッド中佐関係のものだろうと・・・》
だが、それを聞いていたのはあの部屋の前にいた・・・
《廊下で聞き耳を立てれば行けるか、それとも俺との接触に危険を感じたか・・・》
ハクトは後悔を繰り返したが、頭を切り替えた。
《そうだ、俺はサンプルとしての接触があるのを待たなきゃいけないんだ。それまではコウヤ達のことを隠しながらやっていくしかない・・・》
そう自分に言い聞かせると今度は別のことが気になった。
「整髪料臭い男・・・か。」
ハクトはその人物がどんな者がわからなかった。
イジーとシンタロウは作業着の少年の滞在場所と思われる場所に匿われていた。
「誘拐?」
シンタロウは驚いた。
「ええ。軍人二人が誘拐されたの。確か、ゴートン軍曹と整備士の・・・」
イジーは思い出そうとしていた。
「リリーとモーガンか!?」
シンタロウはすごい迫力だった。
「え・・・ええ。確かそうだったけど・・・あなた何者?その二人は」
「ニシハラ大尉たちとフィーネに乗っていた人だ。」
イジーはシンタロウを驚いた目で見ていた。
「・・・待って、あなたがスパイに気付いた理由って」
「俺は、戦艦フィーネに乗って避難していたんだ。」
シンタロウは白状した。
「だからスパイがわかったのね。」
「そうだ。声を聴いて・・・信じたくなかったけど、顔を見てしまった。」
「それは向こうにばれているの?」
「いや、俺は死んだことになっているし変装もしていた。気にも留めてないはずだ。」
イジーはそれを聞きもっと不思議そうな顔をした。
「一体何があったの?」
すると部屋に作業着の男が入ってきた。
「それは俺も聞きたい。」
男はシンタロウを見ていた。
シンタロウは二人を見て信用できると思ったらしく頷いた。
「俺は、第1ドームが破壊された時、色々あったが、戦艦フィーネに乗り込んだ。そして、ドームの破壊で両親を失った。それがきっかけで俺は軍に入った。地連のな」
イジーは驚いていた。
「あなた、もともとこっちの人間なの?じゃあどうして、あの人の傍にいたの?」
「第6ドームで俺は軍の訓練施設に入った。」
第6ドームという言葉を聞いて、イジーと作業着の男は口元を歪めた。破壊があったことを知っているようだ。
「そこでドール使いを目指していたわけだ。訓練はひどかったし、ひょんなことから色々な事実を知ってしまった。それをハクトに伝えようとしたんだが、丁度その時、そこが破壊され俺は死にかけた。」
二人は息を呑んで聞いていた。
「死にかけた時に、元々憎しみが揺らぎかけているのもあって、いろいろ心境の変化とかあったのは端折るけど、瓦礫のなかで死にかけていたのをレイラに助けられた。あいつにとっては罪滅ぼしだったようだけどな。」
「それがゼウス軍に入ったきっかけ?」
「きっかけはそれだけじゃない。レイラが憎しみに駆られているのを見ると自分と重なった。あとは、親友のためだった。」
「親友?待てよ・・・・確か第1ドームにいたって・・・・」
作業着の男が食いついた。
「お前わかったのか・・・・そうだ。俺の親友はコウヤ・ハヤセ。二人にはコウヤ・ムラサメって言った方がわかるか。」
シンタロウは二人を順に見た。
二人とも言葉を失っていた。
「そして、なかなかつらかったよ。レイラはフィーネ相手に暴走するし、ドールプログラムは人を暴走させる。いろいろあってこのドームに来た。レイラとは信頼関係を築けていたが、レイラが攫われてしまって、俺は戻ると殺される状況になったわけだ。」
シンタロウが話し終えると二人は息を吐いた。
「驚いた・・・・君がそういう経緯を持っていたなんて・・・」
作業着の男はシンタロウのことをどう思っていたのかわからないが、ただ感心していた。
「そうだ!!私名前聞いていなかった。」
イジーはシンタロウを見た。シンタロウは笑った。
「俺はシンタロウ・コウノ。」
「私はイジー・ルーカス・・・・前まで中尉だったけど」
「お前は?」
シンタロウは作業着の男を見た。
「・・・・俺は」
作業着の男は黙った。
イジーはその様子をみて笑った。
「・・・・もうわかっているから・・・・」
その言葉に作業着の男は顔を上げた。
「わかっている?」
シンタロウはイジーと作業着の男を交互に見た。
「・・・・・俺は・・・」
作業着の男は深く被った帽子に手をかけた。
久しぶりに母親と話せてコウヤは幸せだった。
「でも、コウヤが生きているなんて・・・みんなにも教えないと!!」
張り切るミヤコを見てコウヤは嬉しそうにしていた。
「あんたアリアちゃんは?」
「ああ・・・ちょっとひどい形で別れたから会って話したいかも・・・・」
コウヤはアリアとの間にあったことを思い出して気まずいものを感じた。
その様子を見てミヤコは
「ふーん・・・・あんたも最低ね。」
と鋭い目で見ていた。
「ちゃんと話すから!!!」
コウヤはアリアと再会したときにきちんと話すことを誓った。
「ならいいのよ。シンタロウ君は?」
ミヤコが聞くとコウヤは暗い顔になった。それを見てミヤコは驚いた。
「まさか、あんた三角関係で仲がこじれたんじゃ・・・」
「違う!!」
コウヤの剣幕に驚いたのか、ミヤコは飛び上がった。
「違うんだ・・・母さん。シンタロウは・・・」
その様子を見てミヤコは笑った。
「何言ってんの?生きているんだから話せばいいじゃない。」
コウヤの肩を叩いた。
「違うんだ!!シンタロウは・・・第6ドームの軍施設の破壊の時・・・・」
コウヤの言葉にミヤコは目をパチパチさせた。
「何言ってんの?シンタロウ君ならこの前このドームで会ったわよ。」
「え?」
コウヤはミヤコの言葉が嘘ではないかと疑った。
「あんた知らなかったの?すっごい美人の彼女連れてたわよ。でも、あれは性格きついわね。しかも、あの子銃なんか持って・・・銃を持つとモテるのかしらね?」
ミヤコは楽しそうに話していた。
「母さん!!それ本当!?人違いじゃない?」
「人違いもないって。シンタロウ君、あんたのこと気にしてたわよ。死んだって話したらすごい表情していたから、早く生きているって伝えなさいよ。」
ミヤコはコウヤの肩を強く叩いた。
シンタロウが生きていた。
何があったのかわからないが、それは事実らしい。
「よかった・・・よかったよ・・・」
コウヤは下を向いて声を震わせていた。
でも、シンタロウはどうやってこのドームまで来たのか・・・
そして、彼が一緒にいた美人とは何者か
「そうだ!!コウヤの友達の話。あれって本当なの?」
「え?ああ、乗った戦艦の艦長が親友だったってこと?」
「それもだけど、ディア・アスールもって」
「ああ、そうだよ。なんなら写真見てみる?」
コウヤはポケットの中の写真を取り出した。
並ぶ少年少女たち
ミヤコはこれを何度か見たことがあったけど、一緒にこうやって見るのは初めてだった。
「こいつがハクト。艦長ね。」
「へー・・・地味にモテるタイプね。」
「この眼鏡がディア。」
「これがあの美人にね・・・」
「この女みたいなのがクロス」
「わーかわいい。これ将来美青年コースでしょ。」
「あとこれがレイラ。」
「いかにもお嬢様な子ね・・・・綺麗だけど・・・・ん?」
「あとこれがユイで・・・どうした?」
コウヤはミヤコがレイラを凝視しているのに気付いた。
「コウヤ・・・この子よ」
「え?」
「だから、シンタロウ君と一緒にいた子よ。」
ミヤコはレイラを指さして言った。
コウヤは急いで写真を見た。
「母さん。それ本当?見間違いじゃない?」
「見間違いって・・・髪の色も目の色も全く同じだったわよ。性格きつそうなところとか」
「・・・・どうして」
コウヤは驚いていた。
シンタロウとレイラが一緒にいることが何を意味しているのか
「お前らには、シンタロウには必要ないかもしれないが、まずレベルアップをしてもらう。」
作業服の男は相変わらず帽子を深く被っていた。
「なあ、俺はお前をなんて呼べばいい?」
シンタロウは男を見て困った顔をした。
「先生と呼べ。あと、お前は早く風呂に入れ。その整髪料臭いぞ。」
シンタロウはすこしすねた顔をしたがおとなしく部屋から出て行った。
「あの・・・先生でいいのね?」
イジーは作業着の男を見て言った。作業着の男、先生はイジーの方に向き直し
「ああ、誰に聞かれるかわからない。だから普段から先生と呼んでくれ。」
頷きイジーに言った。
「わかったわ先生。じゃあ私は能力アップね。」
イジーはそう言うと腕まくりをし、気合を入れた。
「君はとりあえず軍で訓練を受けていた。だから、俺が教えるのは隠れ方。逃げ方だ。基礎的な格闘レベルは基礎体力を伸ばすことを第一としてくれ。時間は少ない。」
先生はそう言うとカレンダーを取り出した。
「イジーは動きながらでいいから頭に入れてほしい。」
「シンタロウは?」
「あいつは動きとあの体つきから必要ないと思う。全くどんな訓練を受けたのか知らないが、サイボーグみたいな体してやがる。それに、まずは臭いのをどうにかしてほしかった。」
先生はそう言うと鼻をつかむしぐさをした。
「そうでうすか。・・あの、時間がないって、ニシハラ大尉のことですね。」
先生は首を振った。
「正直言って、ニシハラ大尉のことは俺らにどうにかできるものじゃない。」
イジーはそれを聞くと少し落ち込んだ。
「だが、君とシンタロウには、別のルートで研究ドームに入ってもらいたい。」
先生は持っていたカレンダーを広げ指さした。
「君とシンタロウは一週間で研究ドームに侵入してもらう。これは、「できるできない」ではなく、やらなきゃいけないことだ。」
先生は一週間後の日付を叩いた。
「でも、どうして一週間なんですか?」
「その時に外の準備が整のう。こちらの最悪の事態は一転して相手方の最悪の事態になる。」
先生は口元が笑っていた。
「最悪の事態?」
イジーは先生が笑ったのが気になった。
「二人はひたすら技術を磨く。中にいたとはいえ、君は軍人だろ?」
先生はイジーを見た。イジーは強く頷いた。
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