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~糸から外れて~無力な鍵
協力者
しおりを挟むネイトラル国内は騒がしかった。
国内にいるディアとハクトは、数少ない公開されている戦士だが、ネイトラル出身で最近売り出し中の俳優「カカ・ルッソ」と「リオ・デイモン」もそうであると発覚したからである。
諸事情により、二人は母国を捨てたような形を取っている。そのため、この状況は少し思わしくない。
現在の国の指導者であるナイト・アスールは、娘によく似た銀髪を撫でつけ、これもまた娘によく似た端正な顔を歪めていた。
「テロリストごときが…、機密を公開しやがって。」
舌打ち交じりに呟いた言葉は、普段の彼を知っているのなら決して想像できないものだった。
「ハクト君はいるか?」
ナイト・アスールは近くの側近らしき男を呼び掛けた。
「ええ。確か、今はディア様と一緒におられると…」
「彼とディアを危険に晒さない程度に表に立てて、テロリスト対策に参加する。」
ナイト・アスールは手元にあった端末を取り出し、どこかに連絡を試みた。
「あの、危険に晒さない程度とは…」
側近の男が恐る恐る訊いた。
「二人にはいずれネイトラルを背負ってもらう。何かあっては困る。三年前の作戦でいいだけ命を危険に晒した。もう危険なことは国の為にも避けて欲しい。」
「親心とかでは…」
「それもあると言った方がいいか?」
ナイト・アスールは思い出したように訊いた。
側近の男は苦笑いをした。
「もしもし、私だ。元気か?」
ナイト・アスールは目的の者に連絡を取れたようで、笑顔を浮かべて端末に話しかけていた。
「ああ、いや、ご子息はこちらで預かっている。心配する必要は無い。…何、私と君の関係だろ?…いいって、リュウト。」
話し相手は気を許している相手のようで、だいぶ砕けた表情をしていた。
「ご子息よりも、我が娘が頑固で厄介だ。…全く誰に似たのやら…ははは」
愛想以外では笑い声をあげることのないナイト・アスールの素の笑い声が上がったことで側近の男は見てはいけないものを見た時のようにさりげなく目を逸らした。
「大変です!!」
ナイト・アスールが連絡しているところに急に顔色を変えた男が入ってきた。どうやら彼もナイト・アスールの部下のようだ。
一瞬ナイトは彼を睨んだが、息を切らして絶望するような表情をしている彼を見て通話中の相手に少し待つように言った。
「どうした?」
ナイトは端末のマイク部分を手で塞いで、通話していた時とは違う声色で部下に訊いた。
「…ニシハラ様と、ディア様が…見当たりません。」
部下の話を聞いてナイトは端末を持ち上げて
「…リュウト。悪い。ご子息がどこかに行った。」
と言うと、通話を切り、立ち上がり無言で部屋から出て行った。
大学の講堂には最初は沢山の学生がいたはずだった。
「こんなに…」
半分近くに減ってしまったのを見てリコウは何とも言えない罪悪感に襲われた。
「目的の為になら殺しも厭わない…正直、悪意を持っていない敵だからやりにくい。」
真っ青な顔をしたリコウの肩をコウヤは叩いた。
「先輩。それはフォローのつもりですか?」
リコウはコウヤが言った言葉に思わず苦笑いをした。
「どうとでも受け取っていい。」
コウヤはリコウと同様に愕然とする学生たちを見て悲しそうな顔をしていた。
「港の戦艦は無事だ。じきここにも軍が来る。このドームの制圧も直ぐに済むだろう。」
どこかと連絡を取っていたのか、端末を耳から外し、ウィンクラー少佐はリコウ達を始めとした学生達全員に呼び掛けるように言った。
「どんな意見を持とうが自由だ。だが、死にたくなければ俺やコウヤの傍を離れるな。」
何やら不信そうな顔を向けている学生に向かってウィンクラー少佐は淡々と言った。
彼の言葉は真実であり、一番の最善であるとリコウはわかった。
「あの人…すごいですね。俺なら絶対に揺らぎますよ。自分の気持ちとかが邪魔してあそこまで淡々とは…」
リコウは反感を持たれているかもしれない状況でも変わらずに命令を淡々とこなすウィンクラー少佐を見て感心していた。
「…軍って、ああいうものなのかな。」
リコウは彼の命令を忠実に聞く他の軍人を思い出した。
「…あいつはいい意味で自分の気持ちを無視できるが、そもそも軍っていうのは個人の気持ちを無視するものだからな。」
マックスは吐き捨てるように自嘲的に言った。
「マックスは軍に携わったことあるんだもんな。」
リコウは自分よりも経験豊富な研究者を見て、頼もしそうに頷いた。
コウヤはマックスの顔を見て目を伏せた。
ウィンクラー少佐を先頭としてリコウ達は無事に港に停まっている戦艦にたどり着いた。
二重の入り口になっているとはいえ、外から無理やり戦艦が入ってきたため、多少外気の影響か、付いてきた生徒たちの数人が咳き込んだ。
ウィンクラー少佐の言う通り、港の戦艦は占領されておらず、きちんと見張りの軍人が立っていた。
彼を見つけて見張りの軍人は敬礼をして、戦艦の中へ促すように扉を開いた。
緊張しながら生徒たちは続々と戦艦に入って行く。
数人の生徒は周りを好奇心旺盛な目で見ている。
おそらく、大学での悲劇の現実味が無く、未だに殺戮を実感できていないためまだ目を輝かせていられるのだろう。
実感している生徒はこの世の終わりのような顔をして項垂れ始めていた。
「…こんなの、あの三年前以来の感覚だ。」
一人の生徒が呟いた。
三年前、フィーネの戦士が活躍した戦いの時、関わっていない者たちは戦いがわからなかった。だが、ドールプログラムに占領されたのはわかっている。
宇宙全体の人類は皆実感したのだ。
自分の意識が通用しない世界。
人によったらあれが心地よいという者もいたが、気持ち悪いことと恐怖心を訴える者が大半だった。
あれはまだ命があった。
今回は違う。
「…でも、あの時はまだ生かされている感覚があった。…今回は違う。」
一人の生徒が言った。彼は確か従軍経験があると言って、大学の講堂で協力的だった学生だ。
彼の言葉で生徒たちは震えあがり始めた。
避難してきたリコウ達が通された部屋は、広いが何もない部屋だった。
「避難させるのを想定しているみたいだ。」
リコウは通された部屋が用意されていたもののように思えていた。
「ウィンクラー少佐の経験上仕方ありません。」
淡々とした女性の声が響いた。
声の元を見ると、濃い茶髪をポニーテールにした、前髪を綺麗に切りそろえた少女が立っていた。少女というには少し大人びている。リコウと年齢が変わらないようだ。
だが、彼女は軍服を着ていた。
丸いたれ目がかわいらしいが、眉がきりりと凛々しく、小さいが丸みのある唇は、だらしない表情を決してしない印象を受けるほど、機械的な動きをしていた。
すぐにこう考えてしまうのは年齢的に仕方ないのだろうが、リコウは彼女のことを可愛いと思った。
思わず表情が緩んだ。他の男子学生も同じなのだろう。
ふとルリに睨まれているのに気付いて、緩んだ表情を引き締めた。
「私はイジー・ルーカスと言います。この戦艦に搭乗しており、地連軍の所属です。」
茶髪の可愛らしい少女は淡々と言うと、機械的に礼をした。
イジー・ルーカス
どこかで聞いたことのある名前、いや、見たことのある名前だった。
「…あなたもフィーネの戦士の一人…」
ルリは自分と変わらない年齢の少女を信じられないという目で見ていた。
ルリの言葉でリコウも思い出した。彼女の名前もあったことを。
「はい。ですが私は戦闘員ではありません。」
少女、イジーは淡々と答えると生徒たちを見渡した。
「ここに、リコウ・ヤクシジ様はいらっしゃいますか?」
イジーの問いに生徒たちはいっせいにリコウを見た。
「はい。俺です…。」
リコウは生徒たちの視線を一斉に受けたことで緊張したが、否定することができるはずもするはずもなく、手を挙げた。
「…こちらに来ていただけますか?」
イジーはリコウを見た。
リコウは彼女に従って、部屋の外に向かおうとした。
「待ってください。」
動き出したリコウ達にルリが声を上げた。
「はい。」
イジーは声の主のルリを見つけて、機械的に動きを止めた。
「彼を一人で行かせるわけには…行かないと思います。…私も…」
ルリはイジーを何やら睨んでいた。
「それは困ります。一人だけで来ていただくように聞いています。」
イジーはルリの言葉に首を振った。
リコウは何かの助け舟を期待してコウヤ達を探した。
だが、コウヤとマックスとウィンクラー少佐は気が付いたらいなくなっていた。
どうやらリコウ達が通された部屋とは別室に行ったようだ。
「…軍は信用できません。」
ルリは不満そうにイジーを見ていた。
「それはこちらのセリフです。私たちはヤクシジさんを始めとして皆さま一人一人に話を聞く予定です。もちろんあなたにも。だからご安心ください。皆様にも、あなたにも一人で来てもらいます。」
イジーはルリの反論を聞く気がいないようで、リコウを見た。
「大丈夫だよ。ルリ。ありがとう。」
リコウはとりあえず心配してくれたルリに礼を言った。
「変なことをされたら言ってね。」
ルリは心配するようにリコウに縋りついた。
「…わかった。」
リコウは何となくだが、ルリがイジーと自分が二人きりになることに対して嫉妬をしているのではないかと思った。
「行きましょう。」
イジーはルリとリコウを見比べて淡々と言った。
部屋から出て、廊下を歩き始めるとイジーはリコウの方を見て立ち止まった。
「先ほどああ言いましたが、あなたに聞く話は他の人とは違います。」
イジーは背の高いリコウを見上げて言った。
近くで見ると160センチあるかないかの身長で、背の高いリコウから見るとかなり小さく見えた。
「あの、先輩やマックスはどちらに…」
リコウは見当たらないコウヤやマックスの所在を尋ねた。
「彼らのいる場所にあなたを連れてくるように言われました。他の方々はもうじき順に呼ばれて形式だけの事情聴取がされるでしょう。」
イジーはそう言うと口元に笑みを浮かべた。
「先ほどの彼女に後で伝えてください。私はリコウ君に興味はないです…と。」
イジーもルリが嫉妬で引き留めたと思ったようで、リコウにとって少しショックなことを言った。
「え…は、はい。」
ルリの行為に少し照れくささと、嬉しさと、多少の面倒くささを感じてリコウは何も言い返すことができずイジーに返事をした。
イジーに案内された部屋は、誰かの私室の用だった。
学生が通された部屋とは別に、この戦艦の乗組員の部屋、そして、それはこの戦艦の主くらいのレベルだと思った。
部屋に入ると客人用の腰掛が二つローテーブルをはさんで向かい合わせで置いてあり、腰掛とは別の辺に部屋の主が使う机と椅子が置いてあった。丁度、部屋の主用の椅子はリコウが入ってきた入り口と向かい合う形になっている。
部屋の主が座るような椅子にはウィンクラー少佐が、彼の前にある客人用の腰掛にはマックスとコウヤが座っていた。マックスはふんぞり返っていた。
「先輩方…」
リコウは見当たらなかった顔を見つけたことで安心していた。
「自室で悪い。他の部屋は全て監視されていると考えていい。」
ウィンクラー少佐は部屋の壁などを見渡して言った。
「念の為、他の部屋で打ち合わせすると乗組員には伝えています。」
イジーはウィンクラー少佐の目線を見て、慣れたことのように言った。
「悪いな。リコウ君もルーカス中尉も掛けてくれ。」
ウィンクラー少佐は空いている客人用の腰掛をリコウとイジーに勧めた。
どうやら、イジーの階級は中尉のようだ。
「おいおい、堅苦しい言葉は止めろよ。」
客人用のソファでふんぞり返っているマックスは、イジーとウィンクラー少佐の二人を見比べて冷やかすように笑った。
「リコウ君は関係者だが、身内でない。」
ウィンクラー少佐は座っていた椅子から立ち上がり、リコウの前に歩いてきた。
「お前の口からヤクシジ一等兵の話を聞きたい。そして、鍵に設定された可能性の話もしたい。」
ウィンクラー少佐は真っ黒な目をリコウに向けていた。口調と表情からやはり彼からは知性が感じられ、強いだけではなく他の軍人に尊敬される理由が分かった気がした。
「兄さんのことは、おそらく俺が知らない面が多いから、頼りにならないと思う。」
リコウは知っている兄と別人の顔をした兄のことを思い出して悲しい気持ちになった。
「だけど、ヤクシジは、兄が協力者でもおかしくないと思っていただろう?」
コウヤがリコウの様子を窺うように言った。
「確かに…兄さんはロッド中佐にすごく憧れていて…あなたたちが活躍した作戦の後はその傾向が強くなっていました。…俺らは元々ゼウス共和国の人間なのに…不思議でした。」
リコウは兄が見せた瞳の輝きを思い出していた。
「強い力は毒だ。…ロッド中佐は毒というのに相応しい人だった。」
コウヤは流石戦友なだけあって、ロッド中佐の事をよく知っているようだ。
「…確かに、あの人はそんな人でした。」
イジーもよく知っているようで納得したように頷いていた。
マックスは複雑そうな顔をしていた。
「そうなんですか。でも、気持ちはわかる気がします。」
リコウはウィンクラー少佐の圧倒的な戦いを見たときの憧れと羨ましさ、自分に対する無力感が蘇って、目の前のウィンクラー少佐を見た。
「そうか。じゃあ、彼はロッド中佐に強い憧れを持っていると捉えていいんだな。戦士に対する報復とかではないんだな。」
ウィンクラー少佐はリコウから向けられた視線の意味を考える様子もなく言った。
「それは大丈夫だと思う。彼のシンタロウやマックス、俺に対する感情は本当に尊敬と憧れだった。今の地連軍にいるからシンタロウに対しては崇拝に近かった。」
コウヤが何故わかるのかわからないことを、確信を持って言っていた。
「シンタロウ。今はあまりリコウに兄のことを聞くな。それよりも俺は新しいネットワークが気になる。」
マックスはリコウに気を遣ったのかシンタロウにアズマの話題から逸れるように言った。
「わかった。では、お前が鍵に設定された時のことを何か憶えていないか?ドールプログラム特有の変な声とかでもいい。」
ウィンクラー少佐はマックスに頷いて再びリコウを見た。
「鍵とかわかりません。…変な声のことだって、俺は幻覚だと思っていたんです。」
リコウは頭に響いた声を幻聴だと片付けたことを思い出した。
「なら、幻覚はなんだ?」
ウィンクラー少佐はリコウの言った言葉に引っかかった。
「え?」
リコウは何を聞かれているのかわからず、間抜けな声を上げた。
「声は幻聴だろうけど、幻覚とは…何かを経験したのか?」
ウィンクラー少佐はリコウが何かを経験したのを確信しているようにリコウを見た。
「…あの、幻覚で片付けたこと…ありました。」
リコウは見知らぬ男に遇った時のことを思い出した。
テロリストの報道が入る前に、名前の知らない男に会い、その男の船の近くでドールプログラムに関する講義を受けたこと、男の船が水陸空兼用でとても便利そうだったこと、船の内部はドールのコックピットのようになっていること、そして、彼がリコウを知っていたことを話した。
「ヤクシジを知っていた?」
口を開いたのはコウヤだった。
「はい。最初はドールプログラムに詳しい研究者関係の人だと思ったんです。けど…軍の訓練協力のバイトをしているのを目をつけていたと言っていました。」
リコウの言葉を聞いてウィンクラー少佐は心当たりがあるようで頷いてた。
「リコウ。ちなみにお前が読んでいた俺の論文はどんなものだ?」
マックスはその時にリコウが読んでいた論文が気になるようだ。
「…マックス、鍵と権限について書き示したものだ。基本の仕組みが分かっていてから読むものだし…普通の研究者じゃぴんと来ない内容だ。」
コウヤが答えた。
正直、リコウは論文の内容が全く分からなかったため、代わりに答えてくれた有難かった。
「じゃあ、あの人しかいない。」
マックスも心当たりがあるようだった。そして、コウヤも、イジーもだった。
「あの、その人は誰ですか?」
リコウは恐る恐る訊いた。
「ギンジ・カワカミ。ドールプログラムの開発者の一人に間違いないだろうな。だが、リコウ君の話を聞くと、彼はテロリストサイドではないようだ。」
ウィンクラー少佐は考え込むように目を伏せた。
リコウは、その名前に聞き覚えがあった。
彼も最近見たフィーネの戦士の一人だ。
「むしろ止めようとしているんだと思う。なら、テロリストサイドは誰がアズマを鍵にしたか…」
コウヤは悩むように頭を抱えていた。
「なあ、リコウ。他に何かなかったか?変な声のこととか、幻聴の内容は…?」
マックスはリコウの気を遣うように見ていた。
「そう言われても…」
「何言ってるマックス。リコウ君に対して「君もそうだよ」とか、鍵である可能性を示唆することを言っていただろ?」
ウィンクラー少佐は同意を求めるようにコウヤを見た。
「え?」
コウヤは目を丸くした。
「確かに言っていましたけど…それ以外だと否定的なことしか言われていないような…」
リコウは《お前には無理だ》などと言われたことを思い出した。
だが、思い出すよりもマックスとコウヤの表情の変化が気になった。
二人は驚いた顔をしてウィンクラー少佐を見ていた。
「…シンタロウ。お前、ドールの適合率今幾つだ?」
マックスはウィンクラー少佐を測る様に見ていた。
「そんなの…しばらく乗っていないから分からない。」
ウィンクラー少佐は何かを付払うように首を振って答えた。
「…それよりも、ドールを止めた時のことだけど、俺はヤクシジの力を借りるとアズマが言っていた新しいネットワークに介入することができるとわかった。」
ウィンクラー少佐とマックスのやり取りから話を変えるようにコウヤが別の話題に話を持って行った。
「…なら、これでテロリスト対策は…」
ウィンクラー少佐は安心したように頷いた。
「いや、少し厄介なんだ。」
コウヤは立ち上がり、ウィンクラー少佐の横に並び、同じようにリコウに向かい合った。
「ヤクシジ…手を出せ。」
コウヤはリコウに手を差し出すように言った。
「は?え?わかりました。」
リコウは何を言われているのかわからなかったが、何をするように言われているのかは分かったので、言われた通り手を差し出した。
その手をコウヤが握った。
「ひい!!」
リコウは予想外のことに間抜けな声を上げた。正直気色悪いと思った。
だが、ふと周りの景色に別のものが映りこんだ。
光の束と、何か空中に浮かぶ糸切れのような光。
「これは…」
目がおかしくなったのかと思いリコウはコウヤから手を外し、目をこすった。
目をこすると辺りの景色は元に戻っていた。
「は…なんだ。」
リコウは安心したが、またコウヤに手を掴まれた。
「うわ!!」
また思わず声を上げたが、コウヤの行動の意味が分かった。
彼に手を取られた瞬間見ていた景色に光の束が戻った。
「おいコウヤ。さっきから何リコウの手を握っているんだ?」
マックスは少し引いた顔をしていた。
「…俺が新しいネットワークに介入できるのは、ヤクシジに触っているときだけみたいなんだ。」
コウヤは気まずそうに言った。
「それは、対テロリストには彼が欠かせないということですね。」
イジーは納得したように頷いていた。
「え?どういうこと?」
リコウは訳が分からずコウヤの顔を見た。
「…要するに、ヤクシジ一等兵を始めとするテロリストが扱うネットワークに介入するには、君が必要だということだ。リコウ君。」
ウィンクラー少佐は少し気の毒そうにリコウを見ていた。
「更に言うなら…お前は対抗しているときはずっとコウヤに触れられていないといけないということだ。」
マックスが補足するように言った。
「…え…は、はああ?」
リコウは今日一番間抜けな声を上げた。
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