短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【俺のカノジョは超一途】

オマケSS【俺のカノジョはヤッパリ一途】 上

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 冬休み明け、最初の登校日。……の、昼休み。


「──央先輩。私と、二人羽織しませんか?」


 俺のカノジョ──叶苗が、ワケの分からない提案をしてきた。

 思わず、箸でつまんでいたオカズを弁当箱の中に落としてしまうほどの衝撃。オクラとチーズを肉巻きにしたオカズが、白米の上で小さくワンバウンドした。

 部室には、俺と叶だけ。つまりこの状況は、あまり【聞き間違い】が発生するとは思えない状況なのだ。


「……。……悪い、叶。今、なんて?」
「二人羽織しませんか?」
「……なんで?」
「新年ですから」


 確かに、今は一月。新年と言えば新年、かもしれない。

 いやしかし、なんで数ある遊びの中からピンポイントで二人羽織なんだ? 叶が平然とした態度であるからこそ、余計に謎が深まる。


「うぅ~ん? えぇっと、先ず俺はなんて言えばいいのか……」
「もしかして央先輩は、私と二人羽織するの……お嫌、ですか?」
「嫌ではない! 嫌じゃないぞ! だから目をウルウルさせないでくれ!」


 ワケは分からないが、大切なカノジョの泣き顔は見たくない! 俺は慌てて立ち上がり、叶の言葉を否定した。

 叶は眉を八の字にしたまま、勢いよく立ち上がった俺を見つめる。


「それなら、私としてくれますか? 二人羽織」
「えッ。……えぇっと、まぁ。叶がそんなに、情熱を持っているのなら……」

「ありがとうございます、央先輩っ」
「こんなことでそんな笑顔を向けられるのか……」


 可愛いじゃないか、チクショウ。幸福そうに笑う叶を直視できず、俺は一先ず椅子に座り直した。


「えーっと、どうする? 俺はどっち側になればいいんだ?」
「私が後ろに立って、央先輩のお口にオカズを運びますね」

「叶はそっちがいいのか。ますますワケが分からないが、もうどうにでもなれって感じだ」
「信頼の証ということですね。ありがとうございます、央先輩」


 だから、こんなことでそんなに華やかな笑顔を見せないでくれ。なんて言うか、俺の中の価値観みたいなものが瓦解する。

 叶は椅子から立ち上がり、俺の背後まで移動を始めた。俺はなにをしていいのかが分からず、とりあえず待ちの姿勢を選ぶ。


「央先輩のジャケット、お借りしますね」
「念のため最後にもう一度確認したいんだが、本当にやるんだな?」
「え? どうして【やらない】という選択肢が出てくるのですか?」
「だよなぁ~。悪い、今のはなんでもない」


 叶が俺の背後に立ち、スタンバイ完了。俺は着ていたジャケットを叶に渡す。つまり、お互いに準備は万端だ。


「それでは、央先輩。失礼します」
「よし、分かった。ここまで来たら、全力で楽しもう」
「はいっ」


 と言うわけでいざ、二人羽織の始まり──。

 ……ちょっと待った。今さらだが、後ろに立つのは叶、なんだよな?

 二人羽織って、あれだ。後ろに立つ奴が手を動かして、前にいる奴の代わりにメシを食べさせる~……みたいな、あれだよな?

 つまり、それって。


「かっ、叶! ちょっと待った、ヤッパリちょっと待った!」
「大丈夫ですよ、央先輩。私、絶対に央先輩のお顔は汚しません」
「いやそういう信頼面とかの問題じゃなくて!」
「失礼します、央先輩。私、頑張りますっ」


 だからそういう話じゃない! そういう話じゃないんだ!
 二人羽織ってつまり、叶が後ろに立つってことはつまり、つまり!

 ──叶が背後から俺にくっつく状態だから、叶の体が俺に密着するってことじゃないかーッ!




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