281 / 290
オマケ②【そんなに上手にならないで】
3
しおりを挟むレッツゴー、ベッド。ツカサの煩悩は正直だ。
しかし、カナタの思いは違う。決してセックスをしたくないわけではないが、今はそうした展開に進みたくないのだ。
なぜなら……。
「答え、まだ聴いていません。ツカサさんは、なんでも答えるって言ってくれましたよね?」
勇気を出したというのに、ツカサのペースに呑まれていては意味がない。
カナタはキスレベルを向上させて、普段のカナタが抱いているような幸福感をツカサに与えたいのだ。
するとすぐに、ツカサはカナタと向き合った。
「答えなんて決まっているじゃない。俺には拒否する理由なんてないんだからさっ」
そう言うや否や、ツカサはカナタのことをヒョイと抱き上げる。
そのままツカサはベッドに座り、抱き上げていたカナタを自身の膝の上に座らせた。
「練習も本番も、カナちゃんのキスは全部俺だけのものだよ」
微笑みを浮かべた後、ツカサはまぶたを閉じる。
「さぁ、いつでもどうぞ? 俺は逃げも隠れもしないよ」
ツカサはきっと、カナタが望むことを叶えようとしているだけだ。カナタが【キスの練習】を望んだから、そう振る舞っているだけなのだろう。
しかしどうしても、カナタとしては揶揄われている気がしてならない。これから恋人がキスをするというのに、ツカサの態度はあまりにも堂々としていた。
……だが、ここで照れていてはなにも変わらない。
「ツカサさん、大好きです」
囁いた後、カナタはツカサの頬に自身の手を添えた。
それから顔を傾かせ、カナタはツカサの唇にキスを落とす。
始めは、警戒を解かせるようなツンと接触する程度のキス。そして次に、遠慮がちに唇の表面を舐めた。
すぐにカナタは、ツカサの口腔に舌を差し入れる。『好き』という気持ちを、ツカサに直接知ってもらいたくなったからだ。
「んっ、ん……っ」
ツカサと何度も交わしたキスのおかげで、今のカナタは【キス】に対して全くの無知ではなくなった。
甘い吐息を漏らしつつも、きちんと甘いキスを贈れている。……はずだと、カナタは思いたかった。
「ぁ、む……っ。……んっ」
酸素を求めるために、一瞬だけ唇を離す。しかしすぐに、カナタはツカサの下唇を優しく唇で食んだ。
意外なことに、ツカサからのアクションは一切ナシだった。ツカサはカナタのオーダー通り、練習台としてジッとしているらしい。
そんなカナタ想いの姿に、すぐさまカナタの胸は高鳴る。いつだってカナタの気持ちを考えてくれているツカサのことを、カナタは好きになってしまったのだから……。
しばらく、カナタは最愛の人の唇を堪能する。表面だけではなく、温かな内側。普段から想いを告げてくれる舌と、忘れてはいないと言いたげに歯も……。
やがて、今までカナタが贈ったキスの中で最長時間を軽く更新した後。
「……どう、でしたか?」
カナタは顔を真っ赤にしたまま、ツカサからの評価を待った。
10
あなたにおすすめの小説
辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで
月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆
辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。
けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。
孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。
年齢差、身分差、そして心の距離。
不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。
■執筆過程の一部にchatGPT、Claude、Grok BateなどのAIを使用しています。
使用後には、加筆・修正を加えています。
利用規約、出力した文章の著作権に関しては以下のURLをご参照ください。
■GPT
https://openai.com/policies/terms-of-use
■Claude
https://www.anthropic.com/legal/archive/18e81a24-b05e-4bb5-98cc-f96bb54e558b
■Grok Bate
https://grok-ai.app/jp/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%A6%8F%E7%B4%84/
僕と貴方と君と
五嶋樒榴
BL
カッコいい&可愛い年下ふたりに翻弄されてます。
柊木美峰は28歳。
不動産屋に勤務する宅地建物取引士。
顔見知りの24歳の融資担当の銀行員、葉山優星から食事に誘われ、そのまま自宅に招待される。
優星のマンションに着くと、そこには優星の年の離れた異母弟、小学2年生の明星が居て………。
恋愛に臆病な主人公が、ふたりの年下男子に振り回されるハートフルML。
【完結】その少年は硝子の魔術士
鏑木 うりこ
BL
神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。
硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!
設定はふんわりしております。
少し痛々しい。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
リンドグレーン大佐の提案
高菜あやめ
BL
軍事国家ロイシュベルタの下級士官テオドアは、軍司令部のカリスマ軍師リンドグレーン大佐から持ちかけられた『ある提案』に応じ、一晩その身をゆだねる。
一夜限りの関係かと思いきや、大佐はそれ以降も執拗に彼に構い続け、次第に独占欲をあらわにしていく。
叩き上げの下士官と、支配欲を隠さない上官。上下関係から始まる、甘くて苛烈な攻防戦。
【支配系美形攻×出世欲強めな流され系受】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる