大嫌いな幼馴染みは嫌がらせが好き

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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5話・監視するのが好き

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 引き寄せられ、胸にうずまり。
 耳元に唇を寄せられて、囁かれる。

 この光景を見て……徹が曖昧な表情をするのは当然だろう。


「と、徹っ! こ、これは違うぞ! 仲直りとかじゃないからな! お、俺はまだ、美鶴を許してない! それに、美鶴だって――」
「苗字呼びから、名前呼びに戻ってる……」
「たっ、たた、高遠原っ!」


 しまった、徹が穏やかな表情を浮かべている!
 この状況についていけていないのは、俺だって同じなんだ。

 美鶴――じゃなくて。高遠原は俺を見限ったんじゃなかったのか?

 俺が要らなくなったから、先輩に俺とのことをバラして……俺を、虐めたかったんじゃないのかよ。


(ワケわかんねぇよ……っ!)


 腕を引き抜こうとしても、高遠原は放してくれない。
 慌てて徹に弁解しようとしても、失敗した。

 ――もう、どうなってるのかわからない……っ!


「秋葉……お前はどうせ、知ってるんだろ?」
「あ、あぁ……。美鶴の気持ち、だよな。ふわ~っとは気付いてたけど……こう、いざ、見せつけられると……」
「ちなみに俺様の本心だが、諸星との通学にお前はいない方がいいと思ってるぜ」
「マジで美鶴は昔から変わんねぇな!」


 突然、徹が憤慨した様子でズンズン歩き始めてしまった。


(……え? 徹、何で置いてくんだよ!)


 慌てて追いかけようとしても、高遠原が手を放してくれない。


「お前、ふざけるなよ……っ! ほんと、いきなり何なんだよ! なにが目的なんだよ!」


 文句と疑問をぶつけながら、ジタバタと暴れて抵抗する。
 そこまですると、ようやく解放する気になったらしい。高遠原が俺の腕から手を放した。

 そして、ポツリと呟く。


「監視だ」


 短く、簡潔に。


(監視……?)


 所有物を監理するのは、なにも変な話じゃない。


(ヤッパリ、高遠原は……俺のこと、どう思ってるのか分かんない……)


 色々と、辻褄が合わないんだ。

 ――先輩たちに、俺のことをバラしたくせに。

 ――俺が危害を加えられると、怒って監視し始める。


(……何で俺、ちょっとガッカリしてるんだよ……)


 もしかしたら、友達に。
 そんな、ありもしない幻想を抱いてしまった自分が。

 ちょっとでも浮かれた自分が……とにかく、恥ずかしかった。





 その日の昼休み。
 徹とお弁当を食べようと思い、椅子の向きを反対にする。

 すると、げんなりとした表情の徹と目が合った。


「……徹? 携帯睨んでどうしたんだよ?」
「『どうした』は俺のセリフ。……真冬、マジで……美鶴になにしたんだよ……?」
「高遠原?」


 すると、徹の携帯画面を見せられる。
 どうやら誰かからメッセージが届いていたらしい。それを読め……ということなんだろう。

 何事かと思った俺は、徹に送られてきたメッセージを読んだ。


『昼、俺様も一緒に食う』


 ――差出人は、高遠原美鶴。

 どうして二人が連絡先を交換しているのかは、この際スルー。
 それよりも、重要なのは……。


「……何で?」


 メッセージを読み返して、もう一回読んで……更に一応、もう一回。


「……いや、本当に何で?」


 何度読んでも、内容は同じ。
 俺が疑問をぶつけても、徹には分からないらしい。ただただ、肩をすくめるだけ。

 どうやら俺と徹は……これから、高遠原とお昼ご飯を一緒にするらしい。




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