7 / 25
6話【僕等の情欲】
しおりを挟む
理解するよりも早く、背中が柔らかな感触に包まれる。少し考えたら分かった。ベッドだ。間違いない。
だけどわけが分からず、目を丸くする。天井だけが広がっていた僕の視界を一瞬で埋め尽くしたのは……一太郎君だ。
頬に手を添えられ、優しく撫でられる。僕が猫だったら、喉が忙しなくゴロゴロと鳴っていただろう。犬だったら、尻尾が千切れ飛んでいたかもしれない。そのくらい、心地いい手付きだ。
頬を撫でていた筈の指が、僕の唇をなぞる。
そして、一太郎君が不敵に笑う。
「目、閉じて」
「一――」
「難しい? できない?」
「……っ」
言われた通りに、目を閉じてみた。
――駄目、駄目だよ、駄目。
「いい子だね」
心臓の音が、ダイレクトに鼓膜を震わせている気がする。もしかしたら、一太郎君に聞こえてしまっているかも。
――あぁ、でも……それすらも、気持ちいい。
「ん……っ」
一太郎君の唇が、重ねられる。初めは、啄むように。だけど角度を変えたら、深く深く口付けられて。音も、吐息も、全部飲み込まれていく感覚。
――一太郎君、駄目だよ。
――これ以上、好きにさせないで。
――あぁ、あぁ。駄目だよ、駄目。
大好きなんかじゃ足りないくらい、僕は一太郎君に溺れていく。その感覚すらも快感だなんて知ったら、一太郎君は何て言うかな? 破廉恥だって、軽蔑する? それはちょっと恥ずかしいかも。
暫く表面だけでお互いを感じていたけれど、一太郎君は物足りなくなったらしい。
「ふぁ、ゃ……ん……っ!」
――突然、舌が侵入してきた。
口内を好き勝手蹂躙するその動きに、僕は堪らず声を漏らす。けれど、一太郎君はそんなこと一切気にした様子も無く、歯列をなぞってきた。
――さっきまで泣いていた一太郎君は、もういない。
――ここにいるのは……情欲にまみれた、一人の男だ。
一太郎君の手が、寝巻の中に差し込まれる。それがどういうことを意味するのか、分からない程初心じゃない。
「ん、ん……ッ――は……っ!」
さすがに、これ以上は駄目だ。いや、僕の身と心はいつだってウェルカムだよ? 一太郎君になら、いつどこでどんなことをされたって構わないさ。痛いのも苦しいのも辛いのも、一太郎君が好きなら全部快感に転じられる自信がある。……訂正。自信しかない。
だけど、僅かに残った理性が仕事をした。
顔を背けるようにして、一太郎君からのキスをかわす。
「こ、これ以上は……やぁ……っ」
あ、何かちょっといやらしい言い方をしてしまった。それもそうか。理性以外はウェルカムなんだから、仕方ない、仕方ないさ。
だけどわけが分からず、目を丸くする。天井だけが広がっていた僕の視界を一瞬で埋め尽くしたのは……一太郎君だ。
頬に手を添えられ、優しく撫でられる。僕が猫だったら、喉が忙しなくゴロゴロと鳴っていただろう。犬だったら、尻尾が千切れ飛んでいたかもしれない。そのくらい、心地いい手付きだ。
頬を撫でていた筈の指が、僕の唇をなぞる。
そして、一太郎君が不敵に笑う。
「目、閉じて」
「一――」
「難しい? できない?」
「……っ」
言われた通りに、目を閉じてみた。
――駄目、駄目だよ、駄目。
「いい子だね」
心臓の音が、ダイレクトに鼓膜を震わせている気がする。もしかしたら、一太郎君に聞こえてしまっているかも。
――あぁ、でも……それすらも、気持ちいい。
「ん……っ」
一太郎君の唇が、重ねられる。初めは、啄むように。だけど角度を変えたら、深く深く口付けられて。音も、吐息も、全部飲み込まれていく感覚。
――一太郎君、駄目だよ。
――これ以上、好きにさせないで。
――あぁ、あぁ。駄目だよ、駄目。
大好きなんかじゃ足りないくらい、僕は一太郎君に溺れていく。その感覚すらも快感だなんて知ったら、一太郎君は何て言うかな? 破廉恥だって、軽蔑する? それはちょっと恥ずかしいかも。
暫く表面だけでお互いを感じていたけれど、一太郎君は物足りなくなったらしい。
「ふぁ、ゃ……ん……っ!」
――突然、舌が侵入してきた。
口内を好き勝手蹂躙するその動きに、僕は堪らず声を漏らす。けれど、一太郎君はそんなこと一切気にした様子も無く、歯列をなぞってきた。
――さっきまで泣いていた一太郎君は、もういない。
――ここにいるのは……情欲にまみれた、一人の男だ。
一太郎君の手が、寝巻の中に差し込まれる。それがどういうことを意味するのか、分からない程初心じゃない。
「ん、ん……ッ――は……っ!」
さすがに、これ以上は駄目だ。いや、僕の身と心はいつだってウェルカムだよ? 一太郎君になら、いつどこでどんなことをされたって構わないさ。痛いのも苦しいのも辛いのも、一太郎君が好きなら全部快感に転じられる自信がある。……訂正。自信しかない。
だけど、僅かに残った理性が仕事をした。
顔を背けるようにして、一太郎君からのキスをかわす。
「こ、これ以上は……やぁ……っ」
あ、何かちょっといやらしい言い方をしてしまった。それもそうか。理性以外はウェルカムなんだから、仕方ない、仕方ないさ。
0
あなたにおすすめの小説
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
貴方へ贈る白い薔薇~思い出の中で
夏目奈緖
BL
亡くなった兄との思い出を回想する。故人になった15歳年上の兄への思慕。初恋の人。忘れられない匂いと思い出。黒崎圭一は黒崎家という古い体質の家の当主を父に持っている。愛人だった母との同居生活の中で、母から愛されず、孤独感を感じていた。そんな6歳の誕生日のある日、自分に兄がいることを知る。それが15歳年上の異母兄の拓海だった。拓海の腕に抱かれ、忘れられない匂いを感じる。それは温もりと、甘えても良いという安心感だった。そして、兄との死別、その後、幸せになっているという報告をしたい。亡くなった兄に寄せる圭一の物語。「恋人はメリーゴーランド少年だった」も併せてどうぞよろしくお願いいたします。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
「誕生日前日に世界が始まる」
星井 悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です)
凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^
ほっこり読んでいただけたら♡
幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡
→書きたくなって番外編に少し続けました。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
君と過ごした最後の一年、どの季節でも君の傍にいた
七瀬京
BL
廃校が決まった田舎の高校。
「うん。思いついたんだ。写真を撮って、アルバムを作ろう。消えちゃう校舎の思い出のアルバム作り!!」
悠真の提案で、廃校になる校舎のアルバムを作ることになった。
悠真の指名で、写真担当になった僕、成瀬陽翔。
カメラを構える僕の横で、彼は笑いながらペンを走らせる。
ページが増えるたび、距離も少しずつ近くなる。
僕の恋心を隠したまま――。
君とめくる、最後のページ。
それは、僕たちだけの一年間の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる