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プロローグ【完成形ハッピーエンド】
3
昼休みが終わる、直前のことだった。
ガラッ、と。秋在が教室の扉を開けて、登校してきたのは。
教室の扉が開かれたところで、誰も振り返らない。昼休み中に教室の扉が開かれるなんて、普通のことだからだ。
ましてや、変人だと有名の秋在が登校してきたって、誰も気にしない。気にした方がデメリットを被るからだ。
「じゃあ、そのネイルはあの店でやってもらったのか」
「そうなのっ! ちょっと高かったけど、夏形が『可愛い』って言ってくれたらそれでいっかな~って!」
「なんだそれ。……まァ、確かに可愛いけどさ」
「やった! ネイルしてよかった~っ」
秋在を空気のように扱う教室の中、唯一、秋在の登校に気付いたのは。
「単純な奴だな。……あっ!」
女子と会話をしていた、秋在の恋人──冬総だけだ。
ツインテールと、長髪。二人の女子と交わしていた会話を半ば強引に終わらせて、冬総は登校してきたばかりの秋在に近寄る。
「秋在、はよ」
「……」
「……秋在?」
冬総が挨拶をしても、秋在は返事をしない。自分の席に座った秋在は、すぐさまノートを取り出していた。
そしてそのノートに、秋在はグリグリと落書きをしている。
「秋在?」
なにかに集中している秋在は、関心のないことに返事はしない。それは無視をしていると言うよりは、そもそも聞こえていないかのように。
そうと分かっている冬総は、困った様子で自分の頭を掻いた。
「あー……。午前の授業で書いたノート、家に帰ってから写すか?」
「うん」
「ッ! そっか、分かった!」
ダメもとで訊いたことに対し、予想外にも返事が返ってくる。たった二文字の返事だというのに、冬総は露骨に喜んだ。
しかし、秋在は落書きをやめない。ノートにグリグリとシャーペンを押し当て、力任せになにかを描いている。
ちなみに、秋在の前の席が冬総の席だ。なので冬総は自分の席に座りつつ、後ろの席に座る秋在を振り返ることができる。
「それ、なに描いてるんだ?」
「宇宙人がバケモノを食べてる絵」
「それはまた、なんとも……」
秋在の腕に隠れているせいで、冬総からはノートがよく見えない。
秋在の返答込みでノートの落書きが気になった冬総は、角度を変えてノートを覗き込もうともしたのだが、タイミングが悪かった。昼休みの終了を告げるチャイムが鳴ったのだ。
すぐさま教師が教室に入り、授業が始まる。冬総は秋在の落書きがなにを示しているのかを確認できないまま、体を黒板に向けた。
* * *
それから、授業が始まって数分後。
「秋在、プリント」
プリントを回すために、冬総は後ろを振り返った。
その時に丁度、秋在が描いている落書きがしっかりと見える角度とチャンスを得られたのだが、それよりも……。
「……っ」
絵を見られて恥ずかしそうな秋在の方が気になり、冬総はあまり落書きを注視できなかったとか。
……ちなみに、一瞬だけ見えた落書きは。
──胴体しかない、翼の生えた生物。その生物が、ツインテール頭の人間と、長髪の人間を食いちぎっている。……という内容だ。
大きくバツ印が描かれていたので、おそらく思うように描けなかったのだろう。
「……見ないで、ばか」
すぐさまノートに描かれた絵を両腕で隠し、秋在が机に突っ伏す。
そのまま上目遣いで見つめてくる秋在に、冬総はプリントを渡してから小さく謝る。
黒板に向き直った後、冬総は頬杖をつく。
──照れてる秋在は新鮮で、可愛いな。なんてことを考えながら。
思わずキスをしたくなったが、冬総はなんとか堪えた。
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