31 / 183
2章【不誠実コントラスト】
7 *
しおりを挟むどんな恋愛ソングも、歌詞を失くすような。
そんな……予想外すぎる、告白だった。
(俺、なに……言って、ッ?)
相手は、わけの分からない目的のために性交を求めてきた。
しかもクラス――もしくは、学校一の変人。
極めつけに、男同士。
そんな……常識や理性が動く前に、冬総は言ってしまったのだ。
秋在の開いた口が塞がらないのも、納得だろう。
「なんか、気になって……俺は、春晴の、ことが……ッ」
言い訳のように、言葉が出てくる。
誰も理解できていない、急展開すぎる告白。
――しかし、秋在はそれを。
「――じゃあ、ボクも」
――両手を広げて、受け入れた。
顔を覆っていた腕が、冬総に伸ばされる。
まるで甘えるように伸ばされた腕が、冬総の首に回された。
「……え、ッ? 春晴、お前……いい、のか……ッ? それって、付き合うってことだぞ……ッ?」
潤んでいた瞳が、少しだけ……細められる。
「じゃあ、恋人同士のエッチだね。……キミにとっても、意味ができたよ……っ?」
微笑んだ秋在を見て。
――冬総の体に、ゾクッと。
――甘い電流のようななにかが、走る。
「……ッ! 春晴ッ!」
「え――んっ、あぁ、っ!」
刹那。
冬総が強引に腰を引き、そのまま間髪入れずに落とす。
ぱんっ、と……冬総と秋在が、ぶつかる音。
「まっ、待って……っ! いきなり、そんな――ぁあ、っ! ボ、ボク、初めて――」
「そんなこと言われて、止まれるワケないだろ……ッ!」
「やぁあ、あっ! 奥ばっかり、だめぇっ! ひあ、ぁあっ!」
【傷つけないように】や【優しく】といった、綺麗事が。
冬総の頭から、滑り落ちていく。
「そこっ、そこはだめぇっ! さっき、指でもだめだったから、あっ! んぅう、っ! とっ、止まって、止まってぇっ!」
「春晴、春晴……ッ! 悪い、俺……ッ!」
「はっ、あっ、あぁっ! もっ、むりぃ……っ! ボクもっ、イきそう、っ! ナツナリくん、ナツナリくん……っ!」
秋在の体に、力がこもる。
――それは二人にとって、限界の合図だった。
「春晴、出る……ッ!」
「ナツナリくんっ、イくっ、イっちゃ――んぁっ、ぁああっ!」
お互いがお互いを、強く抱き締め合い。
冬総と秋在は、ほぼ同時に。
……絶頂を迎えた。
体を震わせ、お互いが脱力するそのとき。
冬総がゆっくりと、腰を引く。
(うわ……ッ。コンドームの中、引くほど出てンだけど……ッ)
自分の興奮度合いを見せつけられたようで、いたたまれない。
その視線に気付いたのか、好奇心からか。
ぼんやりと脱力した秋在が、冬総を見上げる。
「はぁ、あ……っ。……ねぇ、ナツナリくん……っ」
「ン……? どうした、春晴……?」
「どのくらい、出たのか……見せて」
「マジかよ……ッ」
そんなことを強請ってくる相手、今までいなかった。
だが、相手は秋在だ。
冬総は手早くコンドームを外し、望まれた通り……秋在が見たいと言ったものを、見せた。
0
あなたにおすすめの小説
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
【完結】取り柄は顔が良い事だけです
pino
BL
昔から顔だけは良い夏川伊吹は、高級デートクラブでバイトをするフリーター。25歳で美しい顔だけを頼りに様々な女性と仕事でデートを繰り返して何とか生計を立てている伊吹はたまに同性からもデートを申し込まれていた。お小遣い欲しさにいつも年上だけを相手にしていたけど、たまには若い子と触れ合って、ターゲット層を広げようと20歳の大学生とデートをする事に。
そこで出会った男に気に入られ、高額なプレゼントをされていい気になる伊吹だったが、相手は年下だしまだ学生だしと罪悪感を抱く。
そんな中もう一人の20歳の大学生の男からもデートを申し込まれ、更に同業でただの同僚だと思っていた23歳の男からも言い寄られて?
ノンケの伊吹と伊吹を落とそうと奮闘する三人の若者が巻き起こすラブコメディ!
BLです。
性的表現有り。
伊吹視点のお話になります。
題名に※が付いてるお話は他の登場人物の視点になります。
表紙は伊吹です。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
「普通を探した彼の二年間の物語」
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜
古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。
かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。
その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。
ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。
BLoveさんに先行書き溜め。
なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる