恋模様シーイング

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

文字の大きさ
118 / 183
8章【合戦前エントロピー】

7 *

しおりを挟む



 ――状況を、冬総は把握できていなかった。


「フユフサ。……これは、ルサンチマンじゃないよ」


 そう呟いた秋在は。

 ――何故か、冬総の男根を握っていた。


「あ、あの……秋在、さん? これは、いったい……?」
「誰が『喋っていい』って言ったの」
「ご、ごめん……」
「ダメ、許さない。……言っても言わなくても分からない悪い子なフユフサには、体罰」


 秋在が片手で、男根を強く握る。

 そして……もう片方の手で、冬総のモノをペチン、と、叩いた。


「……ッ」


 絶妙に痛く、そして妙に……恥ずかしい。

 冬総は今、下履きだけを脱がされ。

 最愛の恋人に、逸物を叩かれているのだ。


(何だ、この状況……ッ! メチャクチャ恥ずいし、なんか、落ち着かないって言うか……ッ)


 ペチン、ペチン……と。

 秋在は何度も、冬総の逸物を叩いた。

 男としては、屈辱的な行為だろう。

 ――しかし、相手が秋在ならば……?

 不意に、秋在が眉間に皺を刻んだ。


「……フユフサ。ボク、お仕置きしてるんだよ」
「……ッ」
「フユフサが魔女だったなら、今頃その体は燃やされてるんだよ。……自分の立場、分かってるの。……『イエス』か『ノー』で答えて」


 先端を、指の腹で力一杯、押される。

 その行為に眉を寄せながら、冬総は呻かないように気を配りつつ、なんとか答えた。


「イ、イエス。……だけど、相手が秋在だと……可愛くて、反応しちまうって……ッ」
「誰が『イエスかノー以外も答えていい』って言ったの」
「ご、ごめん……ッ。……でも、秋在――」
「度し難いおバカなフユフサには、極刑」


 秋在はそう言うと。

 ――冬総の逸物に、舌を這わせた。


「あ、きあ……ッ」


 先端を、丁寧に舐められる。

 まさか【お仕置き】という名目で、秋在から口淫をされるだなんて。……冬総は、考えていなかった。

 しかし、これだけでは冬総にとって【お仕置き】にならないと、秋在は分かっている。


「今日は、ボクの体に触らせてあげない」


 根元から、先端まで。

 秋在の小さな舌が、ゆっくりと這う。

 ゾクゾクと背筋を駆け抜ける快感に、冬総は堪らず……手を伸ばす。


「秋在、頼む……ッ。秋在に、触りたい……ッ」


 自分の逸物を、恋人が懸命に舐めているのだ。

 状況がどうであれ、頭を撫でて労わってあげたい。

 しかし、秋在はそれを許さなかった。


「自分の立場は」
「ご、ごめんなさい……」
「極刑の極刑」
「い、ッ」


 逸物を、甘噛みされる。

 小さな痛みが走り、冬総は思わず呻いてしまう。

 それでも、先端からは先走りの液が漏れている。


(俺、マゾとかじゃねェんだけどなぁ……ッ!)


 痛いのは嫌いだし、こういった趣味嗜好は持ち合わせていない。

 それでも逸物は、冬総本人の意思を気にしたりせず、萎えはしなかった。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

発情薬

寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。  製薬会社で開発された、通称『発情薬』。  業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。  社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; ) ――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ―― “隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け” 音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。 イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
「普通を探した彼の二年間の物語」 幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

僕の恋人は、超イケメン!!

BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

処理中です...