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10章【疾風に勁草を知る】
15 *
しおりを挟む山吹のオーダーを聴いた桃枝は、その数分後。
「──す、ごいな……ッ。ゴムがないだけで、こんなに変わるのか……ッ」
珍しく、二人を隔てる物を付けずに山吹と繋がっていた。
山吹が『ナマがいい』と言い、当然ながら桃枝は悩んだ。
ただでさえセックスは山吹の体にかかる負担が大きいと言うのに、わざわざ負担を増やすなんて……。山吹を過保護なほど大事にしたがる桃枝には、考え難い行為だ。
だが、これは【ご褒美】という名目を掲げている。突っぱねてしまえば、山吹を必要以上に落胆させてしまうのは自明の理だ。
悩み、対話を重ね、それから……。山吹は、粘り勝ちをした。
いつも以上に『山吹と繋がっている』という実感を得て、桃枝は快楽に眉を寄せている。そんな桃枝を見上げて、山吹は瞳を蕩けさせていた。
「課長の、感じている顔……カワイイ」
「やめろ馬鹿。比べるまでもなくお前の方が可愛い」
「あっ、うぅ……」
「なんで照れるんだよ、今さらだろ」
一言『可愛い』と言っただけで、よく締まる。後孔の締め付けが増したことにまた感じながらも、桃枝は山吹にキスをした。
「ボクも、白菊さんのがスゴく気持ち良くて……。頭が、ふわふわしてます」
唇が離れた後、山吹は桃枝の腕に触れる。
「いつも、白菊さんの体に見惚れてはいたのですが……こうしてナマですると、より強くドキドキしちゃいます。『ボク、こんなにカッコいい人に抱かれてるんだ』って」
「……ッ」
「んっ。課長の、ビクッて跳ねました……? えっ、どうしましたか?」
「分かれ、馬鹿ガキ……ッ」
なにかがお気に召したらしいが、肝心な理由が分からない。山吹は目を丸くしつつ、桃枝の腕を撫でた。
「今日は、ナカに出してください……っ。課長のザーメン、お腹にいっぱい注いでほしいです……っ」
奥まで挿入されて、それだけで山吹は達してしまいそうだった。いつ理性が焼き切れてしまうか分からないほど、今の山吹は快楽に溺れてしまいそうで。
この口が言葉を紡げるうちに、してほしいことは全て伝えよう。そう思った山吹は桃枝の手を取り、手のひらにキスをした。
「ッ。煽るんじゃねぇよ、馬鹿ガキが……ッ!」
「ぁ、あっ!」
すぐに、桃枝が山吹の体を支える。掴まれた腰は、奥を突きやすくするためにほんの少しだけ浮かされた。
奥を突かれ、桃枝の熱い逸物が山吹の弱いポイントを擦る。山吹は視界がチカチカと明滅するような錯覚を覚えつつ、無意識に首を横に振った。
「はっ、あ、ぅ。やっ、だめ、やぁっ」
「こら、山吹。ナカに出してほしいんだろ? だったら逃げんなよ」
「ぁあ、っ! 腰、押さえ付けちゃ、や──んあッ!」
いつもより、桃枝の逸物が熱い。形がハッキリと分かり、どこをどう愛そうとしているのかが分かってしまう。
何度も何度も、桃枝の劣情が山吹を犯す。そうされる度に、山吹の頭の中にある理性が剥ぎ取られていくようだった。
「ダメです、課長っ。腰、そんなに強く掴まないでぇ……っ!」
「奥に欲しがったのはお前だろ。こうした方が、お前の好きなとこを突きやすいんだよ」
「ふ、あぁッ、んッ! そこはっ、そこはそんなに乱暴に突いちゃ──やぁ、あッ、んんぅッ!」
この行為を強請ったのも、深く愛されたがったのも、全部全部、山吹自身が望んだこと。
それなのに……。
「やぁ、あ……ッ。射精、止まんな……ん、あぁ……っ」
尻を犯されて、こんなに呆気なく射精してしまうなんて。山吹は瞳に涙を浮かべながら、羞恥で顔を真っ赤にした。
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