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平凡ではない昔
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その昔。
末樹はイジメられていた。
具体的に言えば、小学生の頃。
イジメの理由は妬み。
お金があり手に入れたいものは簡単に手に入る。
そんな女の子に妬みを持った女の子によりイジメは始まった。
お金持ちの女の子は姉妹だった。
でもイジメられたのは妹だけ。
姉の方は気が強く、男の子からも慕われており、イジメを行う女の子の勝てる相手ではなかった。
だから妹を狙った。妹であれば、無口で地味で大人しいから。
イジメられていた女の子――末樹は堪えた。
でも小学生の心で許容できる行為ではなかった。
姉は――私は気付かなかった。
妹が、末樹が傷ついて、苦しんで、堪えている事に。
気付く事ができなかった。
気付いたのは末樹が自分の命を絶とうとした時だった。
後一歩気付くのが遅ければ、妹の、とても身近でとても可愛くてとても優しい妹の命が失われるところだったのだ。
いや、それでも遅かった。
もっと私が早く気付いてあげれば、妹はこんなに傷つかず、命を失いかける事なんてなかった。
こんなに華奢で繊細でもろい妹の身体を傷つけずに済めたのに。
私が気付くのが遅かったから。
――私は誓った。
妹を幸せにする。
どんな形でも良い、妹を必ず幸せにする。
苦しい想いなんてもうさせない。
傷なんて一切つけない。
必ず私が。
私の手で。
「末樹、何をしているの?」
だから今――。
その華奢で繊細でもろくて、とても弱い妹が私に黙って勝手に行おうとしている行為は止めないといけない。
「計画では駅をでたらすぐに家に連れていく。そうだったわよね?」
私の計画で、百合は末樹の身体を求める様になった。
今告白すれば95%成功するかもしれない。
でも駄目。
5%の確率で末樹が傷つくのだから。
苦しむのだから。
「帰るわよ。仕切りなおすわ」
「でも…!待って、未久ちゃん…!」
「――私の言う事を聞きなさい!」
命を絶とうとしたあの瞬間、あの光景の姿が脳裏に浮かぶ。
私は末樹に全て捧げてきた。
転校して、全てリセットした上で、無口で地味で大人しい女の子から変化させた。
その結果、高校では学校のアイドルとまで言われるようになった。
多くの人から敬まれる学校のマドンナである私と違う。
少数の人から妬まれる私と違う。
誰からも愛される学校のアイドル。
皆に愛される学校のアイドル。
私の妹、私の末樹は誰からも愛される存在になれた。
「あなたがここまで出来たのは誰のおかげ?」
あなたは告白なんてしなくていい。
百合に告白させればいい。
そしたら95%ではなく100%傷つかないのだから。
「あなたがここまでこれたのは誰のおかげ?」
大丈夫、今日までは計画通りに進んでいたのだから。
「大丈夫よ末樹。私に任せなさい。大丈夫よ…」
「未久ちゃん…」
私は末樹の小さな手をとる。
大丈夫。
後少しの辛抱だから。
さあ、今日は帰ろう。
末樹はイジメられていた。
具体的に言えば、小学生の頃。
イジメの理由は妬み。
お金があり手に入れたいものは簡単に手に入る。
そんな女の子に妬みを持った女の子によりイジメは始まった。
お金持ちの女の子は姉妹だった。
でもイジメられたのは妹だけ。
姉の方は気が強く、男の子からも慕われており、イジメを行う女の子の勝てる相手ではなかった。
だから妹を狙った。妹であれば、無口で地味で大人しいから。
イジメられていた女の子――末樹は堪えた。
でも小学生の心で許容できる行為ではなかった。
姉は――私は気付かなかった。
妹が、末樹が傷ついて、苦しんで、堪えている事に。
気付く事ができなかった。
気付いたのは末樹が自分の命を絶とうとした時だった。
後一歩気付くのが遅ければ、妹の、とても身近でとても可愛くてとても優しい妹の命が失われるところだったのだ。
いや、それでも遅かった。
もっと私が早く気付いてあげれば、妹はこんなに傷つかず、命を失いかける事なんてなかった。
こんなに華奢で繊細でもろい妹の身体を傷つけずに済めたのに。
私が気付くのが遅かったから。
――私は誓った。
妹を幸せにする。
どんな形でも良い、妹を必ず幸せにする。
苦しい想いなんてもうさせない。
傷なんて一切つけない。
必ず私が。
私の手で。
「末樹、何をしているの?」
だから今――。
その華奢で繊細でもろくて、とても弱い妹が私に黙って勝手に行おうとしている行為は止めないといけない。
「計画では駅をでたらすぐに家に連れていく。そうだったわよね?」
私の計画で、百合は末樹の身体を求める様になった。
今告白すれば95%成功するかもしれない。
でも駄目。
5%の確率で末樹が傷つくのだから。
苦しむのだから。
「帰るわよ。仕切りなおすわ」
「でも…!待って、未久ちゃん…!」
「――私の言う事を聞きなさい!」
命を絶とうとしたあの瞬間、あの光景の姿が脳裏に浮かぶ。
私は末樹に全て捧げてきた。
転校して、全てリセットした上で、無口で地味で大人しい女の子から変化させた。
その結果、高校では学校のアイドルとまで言われるようになった。
多くの人から敬まれる学校のマドンナである私と違う。
少数の人から妬まれる私と違う。
誰からも愛される学校のアイドル。
皆に愛される学校のアイドル。
私の妹、私の末樹は誰からも愛される存在になれた。
「あなたがここまで出来たのは誰のおかげ?」
あなたは告白なんてしなくていい。
百合に告白させればいい。
そしたら95%ではなく100%傷つかないのだから。
「あなたがここまでこれたのは誰のおかげ?」
大丈夫、今日までは計画通りに進んでいたのだから。
「大丈夫よ末樹。私に任せなさい。大丈夫よ…」
「未久ちゃん…」
私は末樹の小さな手をとる。
大丈夫。
後少しの辛抱だから。
さあ、今日は帰ろう。
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