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幕間 ソフィアの受難
後編
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私がお屋敷の広間で盛大な命乞いをしてから2日が経ちました。
あの後、私は思いつく限りの作り話をしました。
曰く、
アリス様がいなくなったのはアリス様の元兄であるアレクが連れ去ったからである。
アレクはアリス様の弱みを握っていて、アリス様は泣く泣くついて行くしかなかったのである。
すべての元凶はアレクにある。
アレクには幼女趣味がある……とかとか。
他にも色々ありもしないことを言いましたが、良く覚えていません。
とにかくアレクにすべての罪を着せるために頑張りました。はい。
死にたくありませんでしたし。
それから何やかんやありまして、アルファード様の部下が調べた結果、アリス様はアレクと共に東の門から王都を出られたということがわかったのです!
皆さま驚かれていました。
私の言った通りだったからです。
流石に私もびっくりしました。
アリスさまとの会話で東というワードは出ましたが、まさか本当に東に行っていたとは思いもよらなかったですし。
アレクと一緒にいるという予想も確証があったわけではありません。
アレクは無職の烙印を押されたキレイル家の恥晒しという認識でいましたし、アリス様が気にかけるはずがないと思っておりました。
なぜアリス様があの無職の青年と共に行動しているのか知りませんが、居場所がわかっただけでもアルファード様やアリシア様はほっと一安心でしょう。
すべては私のおかげなわけですが!
私がいなければ手がかりも掴めませんでしたよね!?
そこははっきりとさせないといけませんよね。
ええ。
と、いうわけで。
その甲斐あってなんと!
私の罪は軽くなり、減給で済みました!
死なずに済みました!
おめでとう! 私!
手がかりを掴んだアルフォード様のその後の行動は迅速でした。
すぐにアリス様の捜索隊を再編成し王都から東の方角を重点的に捜索するよう命じたのです。
また、キレイル家のコネを使い東方面に領土を持つ貴族様に捜索の応援をお願いしたと聞いております。
非番の騎士団員も招集し、捜索隊に組み込まれたようで、まさに総出でアリス様を捜索することとなりました。
アリス様に対する愛が伝わってきますね。
ここまでが一昨日の顛末です。
それから一日後。
件の立役者である私はと言いますと、なぜか馬車に揺られております。
ガタガタと揺られております。
胸も揺れています。
と、いうのもなぜか捜索隊の一員に組み込まれていたのです。
なぜでしょう。
私は一介のメイドです。
非力なか弱いメイドです。
それがどうして捜索隊の前線で、馬車に揺られているのでしょうか。
罪は帳消しになりました。
アリス様の捜索は騎士団の皆様にお任せして、私は平穏な日々が戻るはずでした。
もう死にかけるのは嫌ですから、大人しく下っ端のメイド続けようと思っていた矢先ですよ。
アルフォード様が私に命じられました。
『貴様はアリスの専属メイドだ。アリスも、むさ苦しい集団に近寄られるより見知った顔があった方がいいだろう。ソフィアをアリス捜索隊第一部隊に同行させることとする』
ぽかーんですよ。
あれだけ私のこと殺そうとしていたのに、疑いが晴れれば今度は使いっ走りにするなんて、卑怯です!
鬼畜です! 外道です! 最低最悪です!
誰が好きでこんな危ないことしたいと思いますか!
外は危険なんですからね!
魔物はうろうろしてますし!
殺されたらどうするんですか!?
責任とってくれるんですか!?
と、出発前の私は思っていたのです。
杞憂でした。
私の被害妄想でした。
ここは、天国でした。
ドリームでした。
「ソフィア殿。長旅になりますから、休めるときに休んだ方がいいですよ」
「そうですよ、ソフィア殿。なんなら私の膝をお使いください」
「しかり」
四人乗りの馬車で、私は3人の上級騎士様に囲まれていました。
皆さん、とてもお優しいのです。
イケメンなのです。
最高です。
出発の際、第一部隊に加わる騎士団員の皆様のお顔を拝見したとき、私は確信しました。
私ソフィアはついに彼氏を作るときが来たのです、と。
モテ期というものが来たのですよ!
この中から未来の旦那様を選びなさい、と神様がおっしゃっているわけです!
やっぱり神様はいるんですよ。
私信じていました。
今後は教会を通るたびにお祈りしようと思います。
「みなさん、ありがとう存じます。私は大丈夫ですから、みなさんの方がお疲れじゃありませんか」
私がこうも余裕を持って同行できているのにはもう一つ理由があります。
騎士団はとてもお強い方ばかりだったのです。
道中、何度か魔物と戦闘が起こりましたが、一瞬で片付けられてしまうのです。
あまりの呆気なさに私はぽかんとするばかりです。
ここは安心安全な場所です。
馬車の周りにも馬に跨った下級騎士様が5人もいます。
これで何か起こる方がおかしいということに私は一日目で気がつき、それからは安眠できております。
それはもうぐっすりと。
「日頃から鍛えておりますゆえ、体力には自信がありますとも」
「そうです」
「しかり」
「我々はソフィア殿の方が心配なのです。こんなに可愛らしいお方に万が一のことがあったとなれば我ら騎士の名折れというもの。この任務は、アリス様を探し出すと共にソフィア殿を無事王都へ帰還させるということも含まれているのです」
え、今可愛いっていいました!?
言いましたよね!? 聞き違いですか!?
確認、確認いたしましょう!
「そんな……可愛いなどと……お世辞でも嬉しいですわ」
若干頬を赤めるのがポイントですよ。
「お世辞ではないとも! ソフィア殿は可愛らしい! なぁ、お前たち」
「当然です」
「しかり」
「最後のこいつなんて普段はもっと喋るんです。ソフィア殿を前にして緊張しているようで、然りしか言わなくなってしまいました」
「し、しかり」
「うふふ……面白い方ですね」
あぁ、なんて居心地がいいのでしょうか。
私が少し話すだけで顔を真っ赤にされてかわいいです。然りさん。
そんなに私の顔って可愛いですかね?
私もですね、そう思っていたんですよ。
私可愛いなって。
もしかしたら、この方と気が合うかもしれませんね。
「ふぅ……」
何でしょうね。
今まで霞んでるとしか言われてこなかった私の人生に春の訪れを感じます。
「春ですね」
「え? ええ……」
窓から覗く外は曇り空で四季は秋ですが、私の中では春の到来なんですよ。
思うんですよね、私。
これ、アリス様が見つからない方が私にとってメリットなんじゃないかって。
だってこの天国がずっと続くわけですよ。
だったら、このままアリス様が見つからなければいいのに、と思いますよ。
この天国を知ってしまったら普通には戻れませんよ、ええ。
私はお姫様なんですから。
「あら?」
……あ、今神父様らしき人とすれ違いました。
ついでに願っておきましょうか。
神様、
どうかアリス様が見つかりませんように。
「うふふふふふふふ」
笑いが止まりませんね。
※※※※※
幕間のはずが予想より長くなってしまいました。
申し訳ございません。
ここからまたアレクとアリスの旅が始まります。
今後もよろしくお願いします。
あの後、私は思いつく限りの作り話をしました。
曰く、
アリス様がいなくなったのはアリス様の元兄であるアレクが連れ去ったからである。
アレクはアリス様の弱みを握っていて、アリス様は泣く泣くついて行くしかなかったのである。
すべての元凶はアレクにある。
アレクには幼女趣味がある……とかとか。
他にも色々ありもしないことを言いましたが、良く覚えていません。
とにかくアレクにすべての罪を着せるために頑張りました。はい。
死にたくありませんでしたし。
それから何やかんやありまして、アルファード様の部下が調べた結果、アリス様はアレクと共に東の門から王都を出られたということがわかったのです!
皆さま驚かれていました。
私の言った通りだったからです。
流石に私もびっくりしました。
アリスさまとの会話で東というワードは出ましたが、まさか本当に東に行っていたとは思いもよらなかったですし。
アレクと一緒にいるという予想も確証があったわけではありません。
アレクは無職の烙印を押されたキレイル家の恥晒しという認識でいましたし、アリス様が気にかけるはずがないと思っておりました。
なぜアリス様があの無職の青年と共に行動しているのか知りませんが、居場所がわかっただけでもアルファード様やアリシア様はほっと一安心でしょう。
すべては私のおかげなわけですが!
私がいなければ手がかりも掴めませんでしたよね!?
そこははっきりとさせないといけませんよね。
ええ。
と、いうわけで。
その甲斐あってなんと!
私の罪は軽くなり、減給で済みました!
死なずに済みました!
おめでとう! 私!
手がかりを掴んだアルフォード様のその後の行動は迅速でした。
すぐにアリス様の捜索隊を再編成し王都から東の方角を重点的に捜索するよう命じたのです。
また、キレイル家のコネを使い東方面に領土を持つ貴族様に捜索の応援をお願いしたと聞いております。
非番の騎士団員も招集し、捜索隊に組み込まれたようで、まさに総出でアリス様を捜索することとなりました。
アリス様に対する愛が伝わってきますね。
ここまでが一昨日の顛末です。
それから一日後。
件の立役者である私はと言いますと、なぜか馬車に揺られております。
ガタガタと揺られております。
胸も揺れています。
と、いうのもなぜか捜索隊の一員に組み込まれていたのです。
なぜでしょう。
私は一介のメイドです。
非力なか弱いメイドです。
それがどうして捜索隊の前線で、馬車に揺られているのでしょうか。
罪は帳消しになりました。
アリス様の捜索は騎士団の皆様にお任せして、私は平穏な日々が戻るはずでした。
もう死にかけるのは嫌ですから、大人しく下っ端のメイド続けようと思っていた矢先ですよ。
アルフォード様が私に命じられました。
『貴様はアリスの専属メイドだ。アリスも、むさ苦しい集団に近寄られるより見知った顔があった方がいいだろう。ソフィアをアリス捜索隊第一部隊に同行させることとする』
ぽかーんですよ。
あれだけ私のこと殺そうとしていたのに、疑いが晴れれば今度は使いっ走りにするなんて、卑怯です!
鬼畜です! 外道です! 最低最悪です!
誰が好きでこんな危ないことしたいと思いますか!
外は危険なんですからね!
魔物はうろうろしてますし!
殺されたらどうするんですか!?
責任とってくれるんですか!?
と、出発前の私は思っていたのです。
杞憂でした。
私の被害妄想でした。
ここは、天国でした。
ドリームでした。
「ソフィア殿。長旅になりますから、休めるときに休んだ方がいいですよ」
「そうですよ、ソフィア殿。なんなら私の膝をお使いください」
「しかり」
四人乗りの馬車で、私は3人の上級騎士様に囲まれていました。
皆さん、とてもお優しいのです。
イケメンなのです。
最高です。
出発の際、第一部隊に加わる騎士団員の皆様のお顔を拝見したとき、私は確信しました。
私ソフィアはついに彼氏を作るときが来たのです、と。
モテ期というものが来たのですよ!
この中から未来の旦那様を選びなさい、と神様がおっしゃっているわけです!
やっぱり神様はいるんですよ。
私信じていました。
今後は教会を通るたびにお祈りしようと思います。
「みなさん、ありがとう存じます。私は大丈夫ですから、みなさんの方がお疲れじゃありませんか」
私がこうも余裕を持って同行できているのにはもう一つ理由があります。
騎士団はとてもお強い方ばかりだったのです。
道中、何度か魔物と戦闘が起こりましたが、一瞬で片付けられてしまうのです。
あまりの呆気なさに私はぽかんとするばかりです。
ここは安心安全な場所です。
馬車の周りにも馬に跨った下級騎士様が5人もいます。
これで何か起こる方がおかしいということに私は一日目で気がつき、それからは安眠できております。
それはもうぐっすりと。
「日頃から鍛えておりますゆえ、体力には自信がありますとも」
「そうです」
「しかり」
「我々はソフィア殿の方が心配なのです。こんなに可愛らしいお方に万が一のことがあったとなれば我ら騎士の名折れというもの。この任務は、アリス様を探し出すと共にソフィア殿を無事王都へ帰還させるということも含まれているのです」
え、今可愛いっていいました!?
言いましたよね!? 聞き違いですか!?
確認、確認いたしましょう!
「そんな……可愛いなどと……お世辞でも嬉しいですわ」
若干頬を赤めるのがポイントですよ。
「お世辞ではないとも! ソフィア殿は可愛らしい! なぁ、お前たち」
「当然です」
「しかり」
「最後のこいつなんて普段はもっと喋るんです。ソフィア殿を前にして緊張しているようで、然りしか言わなくなってしまいました」
「し、しかり」
「うふふ……面白い方ですね」
あぁ、なんて居心地がいいのでしょうか。
私が少し話すだけで顔を真っ赤にされてかわいいです。然りさん。
そんなに私の顔って可愛いですかね?
私もですね、そう思っていたんですよ。
私可愛いなって。
もしかしたら、この方と気が合うかもしれませんね。
「ふぅ……」
何でしょうね。
今まで霞んでるとしか言われてこなかった私の人生に春の訪れを感じます。
「春ですね」
「え? ええ……」
窓から覗く外は曇り空で四季は秋ですが、私の中では春の到来なんですよ。
思うんですよね、私。
これ、アリス様が見つからない方が私にとってメリットなんじゃないかって。
だってこの天国がずっと続くわけですよ。
だったら、このままアリス様が見つからなければいいのに、と思いますよ。
この天国を知ってしまったら普通には戻れませんよ、ええ。
私はお姫様なんですから。
「あら?」
……あ、今神父様らしき人とすれ違いました。
ついでに願っておきましょうか。
神様、
どうかアリス様が見つかりませんように。
「うふふふふふふふ」
笑いが止まりませんね。
※※※※※
幕間のはずが予想より長くなってしまいました。
申し訳ございません。
ここからまたアレクとアリスの旅が始まります。
今後もよろしくお願いします。
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