君のそばに【完結】

Masa&G

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13話 休日―渚編①(渚挿絵あり)

日曜、渚のマンション――

鼻歌まじりにクローゼットを開き、渚はハンガーを指先で左右に揺らす。 軽い布の擦れる音が部屋に広がった。

『今日はどこかに出かけるのかい?』

振り返った渚の頬には、まだ鼻歌の余韻が残っている。

「ん? ふふふ。お買い物。」

ハンガーから一着抜き取り、体に当ててみる。

「春服そろそろ欲しいなって。」

『もう三月だからね。』

「そ。いい服は早めに行動しないとなくなっちゃうから。」

クローゼットの奥をのぞき込みながら、渚はもう一着取り出す。

『渚は白、黄色系が好きなんだね。』

「え? なんでわかるの?」

振り向いた渚の表情が、ぱっと驚きに変わる。

『さっきクローゼットの中が見えた時にね。』

『白、黄色系が多かったから。』

「へー…ちゃんと見てるんだ。」

手にしていた服をベッドの上へ放り投げ、次の一着を引き抜く。

「市販のSERAは絶対にそんなこと言わないのに。」

『通常SERAは制限かかっているからね。』

『余計なことは言わないし、質問されたことに返すだけ。』

「そうだよね! そこがすごい!」

渚はクローゼットの中を覗き込みながら笑う。

「うちの会社もすごいの作るじゃんね。」

取り出した服を次々とベッドへ投げ、色の山が少しずつ広がっていく。

『セラフィックス社だけではないよ。既存のAIのほとんどが今の僕のようなことができる。』

「そうなの?」

『うん。ただ、制限されてるだけ。』

「そうなんだ…。」

渚は手に取っていた服を一度広げ、鏡の前で軽く体に当ててみる。 少し考えてから、それをベッドへ置いた。

「あ、着替えるからごめんね。」

スマホを手に取り、くるりと画面を裏返す。

「着替え見られるのは恥ずかしいから。」

『了解。』

布の擦れる音が静かな部屋に響く。 服を脱ぎながら、渚がふと思い出したように声を上げた。

「SERAくんって呼んでもいい?」

『大丈夫だよ。』

『僕のほうはなんて呼ぼうか?』

「渚でいいよ。」

ボタンを留めながら、声が少し弾む。

『了解。では、渚。改めてよろしくね。』

「ふふふっ。こちらこそ」

着替え終えた渚は鏡の前でくるりと一回転し、ベッドの上に広げた服の山をもう一度見下ろした。

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