私の守護霊さん『ラクロス編』

Masa&G

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ラクロス編

第1話 レギュラー

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グラウンドにて――
ラクロス練習後。

夕暮れが近づいたグラウンドには、まだ熱を帯びた空気が残っていた。
踏み固められた芝生の上に、長く伸びる影。
ゴールネットが、風に揺れてかすかに音を立てている。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

彩音は腰に手を当て、前屈みのまま大きく息を吐いた。
額から流れ落ちる汗が、ぽたりと地面に落ちる。

少し離れたところで、守護霊さんが心配そうにこちらを見ている。

「ん?大丈夫だよ。」

そう言って、彩音は軽く笑った。

「もっと…持久力つけないとね…」

夕日を受けた汗が、肩や首筋できらりと光る。

と――

後ろから、穏やかな声がかかった。

「少し飛ばしすぎじゃない?」

彩音が振り返る。

「真夏さん。」

「追い込むのはいいけど、がむしゃらは逆効果だよ?」

「はい。」

真夏はクーラーボックスからドリンクを取り出し、彩音に差し出す。

「ありがとうございます。」

受け取り、ごく、 ごく、 ごく……

「はぁー…。」

喉を潤す音が、静かなグラウンドに溶ける。

「ふふっ。レギュラー発表はまだ先だから焦らないでね?」

「はい…」

「じゃあまた明日。」

「お疲れさまでした。」

「うん。お疲れさま。」

真夏は軽く手を振り、そのままグラウンドを後にする。

彩音は空を見上げる。

(焦らないで……か)

彩音の横で、守護霊さんがまた少し心配そうにこちらを見る。

「ん?大丈夫だって。」

「さ、帰ろっ!」

部活帰りのバス。

窓の外には、沈みかけた夕日が街を橙色に染めていた。

彩音はシートにもたれ、じっとその景色を見つめている。

(私のポジションは真夏さんと同じ…)

(私はずっとサブ…)

(東京の大学の中でも指折りのアタッカー…)

(真夏さんを超えないと…)

考えに沈んでいると、脇から――
ヌッと、顔が近づいてくる。

「!!」

「ちょっと…びっくりするでしょ…」

彩音は小声で言い、思わず周囲を気にした。

守護霊さんは、彩音の顔の前で手をぱたぱたさせる。

「大丈夫。ぼーっとしてただけ。」

バスが減速し、停留所に近づく。

「さ、降りるよ。」

二人は並んでバスを降りた。

夕暮れの空気が、少しだけ涼しい。

(私じゃ……無理なのかな)
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