私の守護霊さん『ラクロス編』

Masa&G

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ラクロス編

第3話 焦り②

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ピッ――!

笛の音が、張りつめた空気を切り裂く。

実戦形式も後半に差し掛かり、グラウンドには疲労と焦りが滲み始めていた。
行き交う足音、短い声、スティックがぶつかる乾いた音。
それらが混じり合い、視界の端でせわしなく揺れている。

ボールが前に運ばれる。左サイドから――

「宮司さん!」

彩音に向かって、鋭いパスが飛んできた。

――通った。

反射的にスティックを伸ばし、ボールを収める。
だが、次の瞬間、正面に立ちはだかるディフェンスの影。

(塞がれた……)

進路を失い、ほんの一瞬だけ判断が遅れる。

(後ろに……)

彩音は振り返り、後方へパスを出した。

――しかし。

スティックが伸びる。

パスカット。

ピピ――!

笛が鳴り、プレーが止まった。

「宮司!自分の位置を確認してみろ!」

監督の声が、グラウンドに響く。

「はい!」

短く返事をしながら、彩音は息を整える。

(自分の位置を確認……)

(いないとこで……パスを……)

頭の中で言葉が回る。だが、さっきの感触が、まだ体に残っていた。

「……」

真夏は、彩音から目を離さず、その一部始終を静かに見ていた。

再び、笛。

ピッ――!

攻撃再開。

(いないとこで……)

彩音は前に走る。 右サイド奥へ。

視界の端で、ボールが動く。

――こない。

左からのパスは上がらなかった。

ピピ――!

「宮司! 上がりすぎだ!」

(上がりすぎ……?)

足を止めた瞬間、左サイドから声が飛ぶ。

「宮司さん、私…そこまでパス届かない……」

(……今度は、出過ぎ……)

判断を修正したつもりが、またズレる。

「宮司。」

監督の声は、先ほどよりも低く、落ち着いていた。

「焦らなくていい。」

「練習どおり、周りを見ろ。」

「……はい。」

監督は、ふぅっと小さく息を吐いた。

「別メニューだ。」

「はい……。」

彩音はうなずき、グラウンドの端へ向かう。

「梶原!行けるか?」

「はい、行けます。」

即答だった。

交代の流れの中で、別メニューに戻る彩音と、フィールドへ向かう真夏が、すれ違う。

(…………)

言葉はない。

丘の上――

そこから全体を見下ろしていた守護霊さんは、静かに、自分の手をぎゅっと握りしめていた。
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